アーサーVSロット②
すいませんだいぶ遅れました!気づいたら3ヶ月近く経ってて驚きました・・・。それでは続きをどうぞ!
「グォォォォォォォォォォ!!!!!」
「ロット!?」
巨大な雄叫びをあげたのは赤い竜━━ロットだった。
「・・・なあサラ」
「・・・何?」
「勝てると思うか?」
「・・・正直・・・わからない」
竜となったロット。その威圧感から額に汗が浮かぶ。
『どうだ?怖気付いたか?』
頭に響く声はロットのものだった。
「・・・!まさか喋れるとはな。怖気付いた?まさか!むしろやる気が出てくるね」
『ふん!この姿を見ても軽口を叩けるとはな』
「・・・1つ聞きたいことがある」
『聞きたいことだと?一体なんだ?』
「お前は竜人族のはずだ。本来竜人族は竜の姿になることは出来ないはずだ。竜と人の姿を自由に変えられるのは純粋な竜だけ。ならお前はなぜその姿になれる?」
竜人族は大昔に竜と人が交わったことで生まれた種族だ。普通の人よりも強い力を発揮できるが、竜ほどの力はない。だからロットには竜化の力はないはずなのだが・・・
『それがお前が聞きたかったことか?』
「あぁ」
『まぁいい。教えてやる━━』
━━あれは昔。父さんと母さんが俺を連れて暗殺者から逃げた日だ。
「はぁ・・・はぁ・・・。アリナ!カルを連れて早く逃げろ!」
「何を言ってるの!あなたも早く!」
「俺は後から行く!早くカルを安全な所に!」
「父さん!父さんも一緒に・・・!」
「カル・・・母さんの言うことをしっかりと聞くんだぞ!」
「父さん待って・・・父さん!!」
炎に包まれる父さんの後ろ姿を見ながら俺は母さんに抱えられていった。
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追っ手から逃げて着いたのはシャングリラから少し離れた森だった。
母さんは森に入ると茂みの中に俺を隠して言った。
「絶対に迎えに来るからそれまで動いちゃダメよ」
「嫌だ!置いていかないで母さん!」
「大丈夫よ。絶対に戻ってくるから。ね?」
「・・・絶対だよ?」
「えぇ。絶対よ」
母さんは優しい笑みを浮かべて森の奥へ走っていった。
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それから何時間たったのだろうか。いくら待っても父さんも母さんも来ない。ついに待ちきれず、茂みから飛び出した。森は暗く、とても静かだった。その静けさに俺はどんどん不安になっていった。
「父さん!母さん!どこにいるのー!」
叫んでも虚しく声が響いただけだった。泣き出しそうになりながら俺は母さんが走っていった方向に向かった。
ひたすら歩いた。あたりはさらに暗くなり、より不気味さが増した。自分がどこにいるかもどこに向かっているかもわからなくなってきたが、俺は歩いた。何となく、何かがあるような気がしたから。
そしてたどり着いたのは少し開けた泉だった。その時雲に隠れていたルナ(月)が顔を出し、当たりが照らされた。すると泉の向こうに黒い何かがいた。
・・・竜だった。黒く大きな竜。不思議と驚かなかった。その美しい鱗に見とれていたのかもしれない。
「子よ。このような時間に何をしておる。この森は幼子が1人来るところではないぞ?」
「あ、あの!僕の父さんと母さんを知らないー・・・ですか?」
「ふむ・・・。お主名はなんという?」
「カル・・・カルロットです」
「・・・なんと!お主がカルロットか。・・・すまぬ。すまぬな。ワシはお主に謝らねばならぬ」
竜は俺に深々と頭を下げた。
「なんで謝るの?」
「そうじゃの・・・幼いお主には辛い話になるがワシはお主に伝える義務がある。よく聞いとくれ。・・・実はの、お主の両親が・・・天へと昇ってしもうたのじゃ」
「・・・?どういうこと?空に行ったの?」
「そうじゃ。もうお主には会えぬ」
「父さんと母さんにもう会えないの?ずっと?」
「そうじゃ・・・」
「そん・・・な。・・・う・・・うぅ、とう・・・さん・・・かあ・・・さん。うぅぅ・・・うぁぁぁああ!!ああぁぁぁぁああ!!」
俺は泣き叫んだ。父さんと母さんにもう会えない。その時は2人が死んでしまったということがよく分からなかったが俺は会えないということだけで涙が止まらなかった。竜は何も言わず悲しげに俺を見つめていた。
しばらくして涙も止まり、ようやく落ち着いた。
「落ち着いたか?」
「・・・・・・うん」
「お主、これからどうするつもりじゃ?」
「・・・わかんない。どうしたらいいのか何もわからない」
「ならワシと一緒に来るか?」
「・・・・・・え?」
「幼いお主だけでは生きていくのも大変じゃろう。お主が良いならワシが面倒を見てやろう」
「僕は・・・どこかに行くとこもない。だからあなたについて行ってもいいかな?」
「もちろんじゃ。よろしく頼むぞカルロット」
「うん!よろしく・・・えっと?」
「おお、ワシの名か。ワシはファイオスじゃ」
━━━『こうして俺はファイオスさんについて行った。そして2人の仇をとるために。俺はファイオスさんに鍛えてもらった。そして俺は竜の力を獲得した。竜族に伝わる秘術でな』
「・・・そういう事だったのか」
『満足したか?俺はもう止まらない。父さんと母さんのためにも!俺は止まれないんだァァァ!!!』
「待てロット!くっ・・・!」
ロットは息を吸い込むと口から炎のブレスを吐き出した。アーサーは地面を蹴り思い切り後ろへ距離をとる。だが竜となったロットはアーサーの想像以上に速かった。
『グォォォォォォォォ!!!!!』
「なっ!?」
「アーサー避けて!」
ロットは翼を羽ばたかせるととてつもないスピードでアーサーに迫った。ロットは自分の鋭利な爪を振りかざし、アーサーを切り裂こうと爪を振り下ろした。
だがその一撃は空を切った。・・・いや、正確には少しだけかすった。
「う、くっ・・・、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「アーサー!」
あの時着地したアーサーは咄嗟に足元に衝撃を発生させる魔法の『インパクト』を使い、右へ自らを吹き飛ばしたのだ。だがほんの少しだけ爪がかすり、アーサーの左腕から血が流れ出していた。
「はぁ、はぁ、ゔ・・・ガハッ・・!」
突然アーサーが吐血しだした。
「アーサー!無理するから!」
「ゲホッ、ゲホッ、・・・だ、大丈夫」
「無理に上位の魔法を使ったら体に負荷がかかるって言ったじゃない!」
「けど、そうしないとロットには勝てない・・・」
「だけど・・・!」
「前、父さんに聞いたことがある。竜は胸に心臓があってそこが力の源だって。この剣じゃ致命傷にはならないけど倒すことは出来ると思う。だから・・・」
「・・・わかった。あれを使うのね?サポートはできるだけする。けど無理はしないで。一応言うけどあなたまだ11歳だからね?」
「ははは。わかってるよ」
『何をブツブツ話している!独り言を話していられるほど余裕なのか!』
「くっ、いくぞサラ!」
「うん!」
ロットは再びアーサーに向かって高速移動をすると尻尾で薙ぎ払った。だがアーサーは逃げなかった。それどころかロットに向かって走り出した。
「飛べぇぇ!!」
そして薙ぎ払いに当たるギリギリでアーサーは上空へ飛び上がった。
『ちぃっ!』
ロットが叱咤をする。飛び上がったアーサーは空中で詠唱した。
「水の精霊よ。我が身を霧で包め!『ミラージュ』!」
辺りが霧で包まれていく。やがてアーサーの姿は霧に溶け込み見えなくなった。
『くそっ、霧の魔法か!だが霧を吹き飛ばせばいいだけだ!風の精霊よ!『ウインドストーム』!』
詠唱と同時に荒れ狂う風が辺りの霧を吹き飛ばしていく。あっという間に霧が晴れた。だが━━━
『どこだ!どこに消えた!』
アーサーの姿はどこにもなかった。だがすぐにどこにいるかはわかった。
「火の大精霊よ・・・」
『なっ!?』
アーサーはロットの懐に潜り込み詠唱をしていた。
「我が剣に大いなる炎の力を!いくぞサラ!」
「いいよ!私の力を思いっきり込めてあげる!」
アーサーの剣に普段の赤とは違う青く燃え盛る炎が剣に宿っていく。
『くっ、俺は・・・俺は・・・!こんな所で負けるわけにはいかねぇぇぇ!!!』
「くらえ!『ブレイジングソードォォ!!』」
アーサーは剣を構えるとロットの胸に剣を突き刺した。
「はァァァァ!!!!」
『グァァァァァ!!!』
2人の叫びとともに剣が魔法に耐えられず爆発した。
爆発による煙が辺りを覆っているが、少しずつ晴れてきた。やがて煙が全て消えるとそこには元の姿に戻り横たわるロットとそれを見下ろすアーサーが立っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ。終わりだロット・・・!」
「・・・く・・・そっ!こんな所で・・・!」
「もう辞めるんだ。こんな事をしようとしてお前の両親は喜ぶと思うか?」
「うる・・・さい!俺は・・・母さんと父さんの仇を・・・、そしてもう俺みたいな人が・・・生まれることがないように・・・」
するとアーサーはロットに近づくと勢いよく頬を叩いた。
「っ・・・。てめぇ、何しやがる!」
「いい加減にしろ!お前のやっている事は貴族たちと変わらない!復讐心に囚われるな!」
「・・・お前に何がわかる!お前には親がいる!兄弟もいる!なんの不自由もない生活をしてきたんだろ!大切の人を奪われる気持ちがお前にわかってたまるか!!」
「そんなことはない!!・・・俺にだって・・・俺にだって・・・大切な人を失う辛さはわかる・・・」
アーサーの目から涙がこぼれる。
「今でも後悔してるんだ・・・あの時のことを思い出すだけで自分が許せないんだ!だから・・・お前の気持ちは痛いほどわかる。だからこそお前を止めたいんだ!友達として!」
「アーサー・・・お前・・・」
ロットは静かにアーサーの言葉を聞いていた。
「だからもう・・・終わりにしよう?ロット・・・」
「・・・・・・俺は・・・やり直せるかな・・・?」
ロットは今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「何言ってんだ。お前はまだ何にもしてないだろ?もしまた何かするようなら俺がぶん殴って目を覚ましてやるさ」
「・・・ふっ、ははは。そっか、そうだよな。・・・・ありがとうアーサー。俺は初めて最高の友達に会えたよ」
「ああ、俺も最高の友達に巡り会えたよ」
「ふふっ・・・。父さん、母さん。俺もう復讐なんて考えない。道を正してくれた最高の友達に会えたから。だから・・・これからも・・・見守・・・て・・・」
そのままロットは目を閉じて動かなくなってしまった。
「おい、ロット!大丈夫か!しっかりしろ!」
「大丈夫。眠っただけよ」
「そうか・・・。良かった。助け・・・られ・・・て・・・」
そしてアーサーもロットの横に倒れてしまった。
「ふぅ。アーサーも寝ちゃったか。アーサーも無茶するなぁ。でも元が竜人と言っても竜に勝てるとは流石だね。・・・さてと。これからどうしよう」
そんなサラの心配は数分後に荒野に現れた光によってすぐに解決することになるのだった。
アーサーとロットが戦っている頃・・・
━セリア━
「うーん・・・。うーーん・・・」
「少しは落ち着きなさいセリア」
「だってお父様!アーサー1人でだなんて・・・」
「何、アーサー君なら大丈夫だよ。そうだろ?アスト、リース、ラース」
城の中にはノアにセリア、リースにアストもラースまでもが集合していた。
「それはもちろん。私たちの自慢の息子だもの。ね?あなた?」
「ああ、俺は信じているぞ。剣術もたっぷり仕込んでやってるからな!」
「俺は少し心配かな。アーサーはまだ11なんだからさ」
「なんだお前も心配性か」
「それはそうだよ。かわいい弟なんだから」
会話が続く中、ノアが咳払いをする
「ごほん。そろそろ本題に入りたいんだが」
「あら。ごめんなさいね」
「うん。集まってもらったのはこれからの事と頼みがあるんだ。まずは貴族についてだが、これは私に任せてくれ。必ず全員捕らえるよ」
「やっとか。これでこの国もかなり良くなるといいんだがな」
「ああ。きっとね。それで頼みなんだが・・・」
空気が静まり返る。
「西で動きがあった。魔力の高まりがあったらしい」
その場にいるもの達はゴクリと息を飲む。口を開いたのはラースだった。
「・・・人間の国で何かあったと?」
「おそらくね・・・。近頃は進行もなかったから気にはなってたんだけど・・・。けど何が起きたかは詳しくはわからない。そこで・・・」
「俺たちに調査に行って欲しいと・・・」
「うん。頼まれてくれるかい?」
「・・・了解。いいわよねあなた?」
「ああ、俺たちの仕事みたいなもんだしな」
「ありがとう。だが気をつけてくれよ」
「わかってる」
そして今まで黙っていたセリアが口を開いた。
「お父様・・・。大丈夫なんですよね・・・?」
「大丈夫・・・とは言えないけど、きっとなんとかなるさ。・・・お。どうやら終わったようだ」
「!アーサーは無事?」
「大丈夫。問題ないよ」
「やっぱりね。流石アーサー」
「よし。話は終わりだ。僕は行ってくるからセリア、後はよろしく」
「はい。任せてください」
ノアが出ていくとセリアの胸には不安があった。何かが起こるような気がする・・・と。




