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女神たちには敵わない -The goddess's march-  作者: まるずし
序章 異世界への招待
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第4話 戦闘と魔法の講義

 訓練場に着くと、そこに居たのは数人の騎士達と、そして恐らく神官と魔道士達。その騎士の集団の中には、この世界に召喚された時に見た顔があった。

 ウェーブの掛かった短い金髪に、ほんの少しの無精髭。その逞しい体格は、紛れもなくあの場に居た騎士だ。あの時とは違い、今日は表情を崩して和やかな雰囲気を醸し出している。

 名はオルドル・カピターン。このエーアスト王国の騎士団長ということだった。


「あの時は済まなかったな。オレも緊張して、つい殺気立ってしまった。諸君達の協力に心から感謝する。オレのことはオルドルと呼んでくれ」


 騎士団長自らが僕らの指導をしてくれるという事らしい。

 早速戦闘における基本的な流れを教えて貰うことになった。


 戦闘における各職業の位置や、それぞれの特色を活かした攻撃の仕方、防御の仕方を教えて貰ったあと、実際にその行動パターンをやってみることに。

 みんな初めて持つ剣や盾、魔法に使う杖などを興味深げに観察し、おもむろに振ってみたりした。当然みんな初心者だったが、それぞれが様になっていた。それは、ステータスによる補正があったからだ。



「諸君、改めてステータスの画面を見て欲しいが、君たちには何かしらの『技術スキル』が付いているはずだ。それについて説明したいと思う」



 そう、クラスメイト達が昨日から気にしていたことがあった。ステータスに、意味不明の記述があったからだ。

 それがこの『技術スキル』らしい。


 『技術スキル』とは、昨日授かった『ギフト』、『エクストラスキル』とはまた違った能力のことで、主に戦闘における支援的な能力とのことだ。

 この『技術スキル』には『戦闘スキル』と『能力スキル』というのがあって、『戦闘スキル』とは剣術や弓術、魔術等、戦闘に対しての直接的な技術で、『能力スキル』というのは、腕力や耐久力、異常耐性等、戦闘における補佐的なポテンシャル能力のこと。ほかに看破や鑑定などのスキルもあったり、鍛冶や乗馬なんていうのもあったりするらしい。


 そして技術スキルには、熟練度のランクが存在する。E~SSSという表記で分けられ、SSSが最高ランクということになる。使い方は、剣術Bや腕力Cなどといったような感じだ。

 このスキルのランクは、例えEランクでも、そのスキルを持っていない者とはかなりの差があるとのこと。通常、余程の才能がある者でも無い限り、技術スキルは持っていないことの方が多いので、まずは訓練、経験を重ねて、スキル自体を付けることが最初の目標となってくる。


 因みに、Dランクならその技術はすでに中級レベルに達しているらしい。Cランクになればもう一人前、Bランクは熟練の域だ。そしてAランクまで成長すれば、一流と言われる。

 Sランクまで行ける者は、かなり才能のある部類。冒険者ならSSランクになれる者達とのこと。


 技術スキルSSランクとなると、最高位SSSランクの冒険者や、各国の軍の中心を担っている者がほとんどらしい。そしてSSSランクは、全技術スキル合わせても、世界に3人しか確認されてないとか。

 基本的には、本人の特性に合ったモノが伸びやすかったりするらしいんだけど……。



「あ、オレ『剣術E』持ってる!」

「オレは『武術D』と『体術D』があるな」

「私『魔術E』と『料理C』なんてのあるんだけど、この『料理』って必要?」


 みんな口々に自分の技術スキルを報告する。様子を窺った限りでは、全員何かしらのスキルが付いているようだ。



「う~ん、ビックリするほど何も付いてない……」


 ガックリと肩を落とす僕。分かっていたことだった。だって昨日ステータス見た時から、何も書いて無かったもんね。


「因みに、『技術スキル』とは別に、『スキル技』というのが存在する。これは簡単に言うと必殺技のようなモノなのだが、それはまた諸君のレベルが上がってから追々詳しく説明することとする。さて、次は魔法の講義に移ろう」


 重ね重ねの不遇に意気消沈する僕をよそに、ぞろぞろと魔法専用の訓練施設へ移動して行くみんなだった……。



 ◇◇◇



「これが第一階の火属性魔法『火炎焼却(ファイア)』です」


 魔道士が詠唱を読み上げたあと、その魔法は炸裂した。それは凄い熱量で、普通の人間なら一撃で焼死するだろう威力だった。

 基本的に、魔法の攻撃力は剣などよりも圧倒的に高い。その代わり、発動前には専用の手順が必要で、すぐには撃てないようになっている。


 火、雷、氷、土、光、闇の6属性魔法と召喚魔法には強さのランクがあって、それは第一階~第四階で表される。第一が一番弱く、第四が最強の魔法とのこと。第四まで習得しているのは、突出した才能のある一部の者だけらしい。

 水と風の属性魔法は、攻撃と言うよりは補助魔法的な要素が大きく、強さのランクは特に存在しないようだ。神聖魔法も同様だ。

 それにしても、第一階でもあの威力とは……すごいな魔法。



「では魔法職の皆さん、私の言う通りにやってみて下さい」


 まずは精神を集中させて、体内にある魔力を高めながら安定させる。そして習得している魔法の術式を喚び出して魔力回路を起動。詠唱にて回路に魔力を通し、詠唱終了後、望む性質に変化させた魔法を射出する。もちろん、この作業は神聖魔法や召喚魔法でも一緒らしい。

 詠唱終了後、しばらくは魔法射出待機状態を維持出来るが、かなり集中力を必要とするため、通常は詠唱後すぐに射出する。なので、魔法のタイミングを計ることが重要となってくる。

 因みに、魔法を習得すると、その魔法専用の術式と魔力回路が体内に形成され、一度形成されれば、簡単な術式でその魔力回路を起動させられるとのことだった。


 魔法職のクラスメイト達が、言われた通りのことをやってみる。確かに、一連の魔力操作によって、あちこちに魔方陣が浮かび上がっていた。


「頭に使いたい魔法の詠唱が浮かんでいるはずです。それを唱えれば魔法が射出されますが、今日のところはまだ撃たないで下さい。もう少しレベルが上がってからにしましょう」


 ……敢えて詳しくは言わないが、まだ習得している魔法が1つも無い僕は、体内の魔力を高めることすら出来なかった。

 同じ魔法剣士の宅君は、どうやらつつがなく魔力回路の起動に成功したみたいだけどね。



 ほか、主な魔法の詳細を一通り講義し終えたところで、本日は訓練終了となった。

 訓練後には、昨日この世界に来た時には会わなかった王様との謁見をし、その後夕食を食べて自室に戻る。


国王守護騎士(キングズガード)って人たち、凄かったなあ」


 王様の横には、国王守護騎士(キングズガード)と呼ばれる4人の凄い護衛が居た。素人目に見ても圧倒的なオーラが見えるほどの迫力で、騎士団長のオルドルさんに聞いてみたら、自分など及びも付かないほどの騎士達らしい。


 たった二日の事ながら、この世界の救世主としては、まるで見込みの無いことが次々に判明していく自分。

 あんな風に強くなれたらいいなと思いながら眠りに就いた……。


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