ペペロンチーノ
ペペロンチーを具材が少なくて美味しいパスタととらえるか、具材が少なく貧困なパスタととらえるかは人の自由である。
ペペロンチーの主な材料はニンニク、オリーブ、唐辛子の三つである。シンプルな料理ほど難しい。なぜなら、どれか一つでも欠点があれば、それが浮き彫りになってしまうからである。
唐辛子は、どうしようか。唐辛子も品種改良に新種などをどんどんと毎年のように更新されている植物である。人は辛さに魅力される。激辛のポテチにラーメンなど、ピンとくる人も多いのではないだろうか。まぁ、ダイエット効果や新陳代謝などを目的にしている人も多いと思う。日本では鷹の爪といった種類がポピュラーに思われる。
唐辛子は乾燥させることで日持ちや、様々な変化をもたらせることができる。生のときは中の白い部分が辛いが、乾燥させることで辛さが全体的にまわることになる。干し椎茸みたいに乾燥野菜は、旨味を増やすことができる。それに調理時間も短縮できるなど利点は多い。なにも干し野菜だけではなく、魚介類なども天日などで乾燥させて旨味を増やすことはよくある。一夜干しに干物、乾物といわれたりするものである。干し海鼠やアワビにフカヒレなどは乾貨などとよばれたりして、高級品である。
普通に唐辛子をつかうのもわるくないが、唐辛子を使った調味料をつかっても面白いかもしれない。その名もカンズリである。簡単にいってしまえば、雪で寝かせた唐辛子である。唐辛子を雪に寝かせると辛味の角がとれたり甘く感じたり、旨味がよくなるというものである。そうして、雪で寝かせた唐辛子を調理したものがカンズリである。
雪に野菜などを寝かせる話は、けっしてめずらしくない。というのも、雪国では雪というのは天然の冷蔵庫だし、普通にひやしてカピカピに乾燥することもない。越冬野菜なども有名だろう。例えば白菜などが越冬すると甘くなるという。なぜなら普通の水は凍りやすいが、何かしら混ざった水は凍りにくいといった凝固点降下がおこるからである。野菜たちがのほほんとしていたら、氷付けになってしまう。そこでピンチを感じた野菜たちは糖分などを増やして凍らないように物質を分泌や生成するのである。そう、考えるとちょっと涙ぐましい。こういった野菜は、色々なエピソードがある。
野菜があまり売れなかったが、偶然とり忘れていた野菜を越冬した後や最中に収穫したらおいしくなっていて農家を救ったとかの話もある。ほかにもそういったことをしらずとも、しらずしらずのうちに雪に埋めるとおいしくなると感じていた人がしていたのではないだろうか。
人でも年をとるにつれて、角がとれてまるくなるという。ようは性格がおだやかになるということだ。これは植物のヒイラギの葉が若いうちはトゲトゲしているが、年を経るにつれ丸くなるという。唐辛子も、寝かせる事で辛味が落ち着き、辛さが強いときにはわからなかった上手さを感じる余裕ができる。寝かせるというのは、そういった効果もあるのである。
唐辛子は食べるだけではなく他の事にも使われる。もちろん食用や気付で食べることができるが、それだけではない。そもそもトマトのように観賞用としてそだれていたこともあるぐらいである。江戸時代には唐辛子のコスプレをした唐辛子売りなんていたぐらいである。
ほかには、おにぎりを商売している私にはありがたい生米の中にいれておくと虫がわかないという利点もある。匂いか絡み成分かはわからないが、虫がわかないのは衛生的にうれしい。木には虫から守るために、フィトンチッドという物質が生成されるし。他の植物では蚊や黒いあいつが嫌いな成分をだして身を守る植物もある。唐辛子をつかった虫除けは、無農薬なので農業にはありがたい。
匂いだけでなく、唐辛子成分には攻撃性もある。唐辛子の味覚は味覚というよりも刺激である。熊を撃退するスプレーに唐辛子成分をしようしたり、かの有名なカチカチ山ではたぬきどんにからし味噌で、だまし攻撃をしたりと、その攻撃性は発揮されている。強烈なものを食べさせれば、一時的に味覚と嗅覚もしようできなくもできる。
そういったものだけではなく、靴や服に唐辛子を入れておけば温かくなるという利用法もある。食べてもあたたかくなるが、唐辛子の成分のおかげで服にいれておくだけで温かく過ごせる利点がある。それを利用して、衣服に直接唐辛子成分が含まれている商品もある。
ニンニクは、匂いが女性に嫌煙されそうだが匂いがあったほうがニンニクらしい。その点は難しい。味をそこなわず匂いだけを魔法で消し去る事も可能ではあるが手間がかかる。この方法なら匂いのキッツイのを手軽に食べれるが、それは後の話である。せいぜい、匂いがすくないようにと苦味を減らすために、にんにくの芽をとるぐらいか。芽もおいしいのだけれどね。
あとはやはりオリーブオイルを使うのでさっぱり食べたいかな。好みだがパセリを使う事にした。そう、ちょこんと添えられてて食べ残し圧倒的なあれである。蒸かしたジャガイモとパセリのみじん切り美味しいのにな。まぁ、茎はたしかにアレだけど、ブーケガルニなどに使えるしね。乾燥したものをグリモアでとりだせるが、ゆはり生を使おう。綺麗に水洗いして、葉をとり、水をきってクッキングペーパーで絞りアクを抜いて、包丁で微塵きりしていく。それを、作るときにあわせることにしよう。