おにぎり大作戦
「おのおの方、戦の準備はよろしいかな。」
「「「オオオオオォォォーーーーーーーー。」」」
「では、まいる。」
広大な調理場に、販売場所も良い場所が取れている。何日もまえから、この世界では貴重な真っ白な紙で広告を作ったのである。こんな素晴らしい一品をただで配っているのを目撃した商人達は、この素晴らしい紙をどうにかして販売したいとやっきになっている。
ちなみに印刷機なんてないので100均の巨大ゴム版を同じく100均の彫刻刀で削り、同じく100均のインクを使いペッタンしていったのである。
「へい、ペッタン、ペッタン、ペッタン娘。」
私はノリノリで、私のことが大好きなレムも大きな胸をゆすりながら楽しそうにしていたのに、残りの三人の美少女達は表情が暗かったのが不思議である。ぺったん娘って、最高じゃない? 途中で彼女達のHPがゼロになったので、たいへんだったよ。もう、まったく。
ここで説明しておこう。なぜ人手?が多いかということである。そう、彼女達のおかげである。彼女達の魔法適正を思い出して欲しい。ネクロマンサーに、ゴーレム使いに、植物魔法である。ネクロマンサーはスケルトンを使役でき、ゴーレム使いはゴーレムを、そして植物魔法ではウッドマン?が使役できるのである。
まぁ、ネクロマンサーはゾンビなども召還できるが、臭いも見た目も飲食には向かない。ウッドマンのほうは本体は木なのに、彼女はキノコ大好き人間なので木に生えてるキノコが本体で、木は木偶である。まぁ、便利なので問題ない。面倒なのでウッドマンといっておく。
いろいろな作業はあるのだが、スケルトンとウッドマンは火に弱いので、ゴーレムさんに活躍してもらうことになる。私もホムンクルスを量産すれば、売り子として大活躍だが倫理が難しい。ので、レム一人しか作っていない。
ちなみに彼女の白い肌は、マッドドラゴンを退治したときの白土が触媒に入っていたからであろう。ハピコの故郷の獣人の村に被害を及ぼしたマッドドラゴンを、ハピコ達と協力して退治したときに手に入れたものである。簡単に説明すると数の暴力と100均アイテムもろもろで退治した。一番効果的だったのは、乾燥剤であろうか。あとはガス缶を投げつけて火矢で爆発とかね。100均アイテム怖いよね。
私にはマジックリングを作る適正もあったので、自分の能力を底上げもしてあるしね。私が作ればなんでもマジックリングになる。最初に作ったのは木であった。簡単なものはそこそこに、細工を施せば能力が上がった。あとはビーズなどでもリングや他のアクセサリーを作ってのマジックアイテムとなった。
あとは合成魔法であろうか。合成魔法を使うにはなるべく同じものを使う方が簡単である。そう、100均では姿、形、品質がほぼ同じようなものがいくらでも手に入りやすいので合成しやすかった。高級包丁+10なんて神アイテムを作ったりもした。ちなみに+は、本当に大変であった。プラスがつくにつれ難易度があがる。しかし、+ごとに性能があがるのでギャンブルみたいなものだ。ひょっとしたら+11以上もありえるのかもしれないが、やるには人生をかけても成功するかはわからない。
まぁ、もろもろ魔法でドーピングしながら作業は順調であった。
私なんかは手をちゃんと消毒して握っているが、前世ではビニール手袋などが必須であろうな。もちろん100均グッズでおにぎりをつくるぐっずはたくさんある。スケ、ゴー、ウはグッズをつかって握っている。ちなみに形は三角である。丸や俵などもあるが三角の方が好きなのである。ここでもスタンダードを作ってしまう、恐ろしい。
後は海苔だろうか。海苔も奥が深いんだよな。しかも海苔に巻くのはなにも海苔だけではない。寿司の巻物にもいえることである。種類は多い。しかし、手で食べるのがおいしいと思うので、汚れないように塩むすび以外は海苔をつけることにした。この海苔も加工しなくてはいけない。
高級のりは口に残らないが、安いのりは口に残る。だからトゲトゲローラーをグリモアからでだして、海苔にかけてから使用する事で安くても、口に残りにくい海苔にした。
後は具を中に入れるタイプと、外側の中心にくぼみで入れるタイプがあるが、中の中心に入れるタイプにしておいた。外側の方が楽だが、中にあったほうが宝探しみたいで楽しい。ここでも、スタンダードを作ってしまう恐ろしさを感じた。
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そして、朝早くから準備して販売にこぎつけた。
売り子はレムちゃんである。完璧な営業スマイルで接客している。軟派な客には背筋も凍る笑みで
「死ね。」
といって追い返す。が、逆にそれでも火がつく客もいるので不思議である。彼女だけでは裁ききれない
ので、スケルトンとウッドマンも接客している。ちなみにプラコとキラコは、人見知りなので接客していない。スケルトンとウッドマンではさびしいので、私の幻影魔法で美女と美男子にしてあるので、女性への対応もばっちりである。
ちなみにハピコは猫の獣人であるから、鰹節の作業をしているときに邪魔しまくったのでお仕置きしている。
「なんで僕は猫なのに、うさぎの格好をしているのニャ。」
そう、立派な猫耳をしているのにバニースーツをつけて客寄せに使っていた。セクシーな格好に、のぼり旗が違和感ありまくりである。
ちなみに塩ニギリ80G、ツナマヨ100G、おかか100G、こんぶ100Gで、どれでも3個買えばたくあんがおまけについてくる。
ちなみにたくあんまで自作する気力はなかった。まぁ、前世では糠漬けをつくったことはあったのだが。そして、もちかえりは100均の竹の皮を使用している。プラスチックなどのオーバーテクノロジーは使いどころが難しいからである。
「ツナマヨは女性に、塩むすびは作業員なんかの人よく売れているな。」
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ある女性
「あぁ、このツナマヨなる魅惑的な具の虜になっちゃう。」
後にマヨラーになったとかならなかったとか。
ある作業員
「いや~、肉体労働の後に塩むすびを食べるとうまいなー。」
後に塩むすび親方とよばれ、立派な建物を建てまくったという。
ある美食家
「うむ、少し下品かもしれないがおかかとこんぶをいっしょに食べると美味だ。」
後に、美食家達におかかとこんぶの食べあわせを広めたという。
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「う~ん、やっぱりみそ汁は美味いな。」
鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸が合わさると旨味が何倍にもなると発見した人は偉大である。鰹節と昆布の合わせ出汁のみそ汁って最高だな。
「いずれは、みそ汁屋もつくったら面白いかもな。」
ちなみにハピコはぐったり倒れている。客寄せが疲れたのであろう。そもそも全てコイツが悪い。私も鰹節にハッスルするだけなら許したのである。猫が魚を食べるイメージは日本というのが強い。パスタを食べる国では猫がパスタを食うイメージとかがあるくらいである。
そもそも猫が魚を食べるなら、猫は泳げるはずである。猫の完全栄養食はチューチューである。飲食店には厳禁だけどね。まぁ、料理を助けてくれるチューチューの話も色々あるよね、映画とか本とかね。
この馬鹿はおにぎりを試食したときに、私を愚弄したのである。
「へ~、三角でおもしろいのニャ。どうやって作るのニャ。」
「え、普通に体を使ってけど。ハピコ達も手伝ってくれる。」
「へ、へ、変態ニャ。脇に米を挟んで作るなんて食べられないのニャ。」
とりあえず、腹パンしてやった。
「へんなこというなよ、プラコとキラコが変な目で見てるだろ。脇なんか使うかよ。」
ハピコにグリモアでだしてあげた、消臭スプレーの銀イオン味になってしまうやろ。
「ド、ド、ド変態ニャー。どうせ僕達美少女のマタの三角ポイントに米を押し込んで作らせるつもりニャ。私には大きな腸詰とミートボールがあってつくれない、なんていうつもりなのニャ。」
とりあえず、強めに腹パンしてやった。
「手で作るんだよ、馬鹿。」
安心した様子で、プラコとキラコが食べだした。ハピコは横たわっている。返事がない、ただの屍のようだ。
「死んでいないのニャ。死ぬところだったのニャ。」