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世界の歪み  作者: 沖原里予
1/2

繰り返し :壱:

 私はこの世界が嫌いだ。

この世界は誰かと繋がってないと生きていけないからだ。 

親も兄弟も親戚もいない施設育ちの私

頼れる人もいない友達もいない

将来の夢もやりたいこともない

まだ15年しか生きてないけど

何もかもが嫌になり、どうでもよくなり

死ぬ事にした。

どうせなら私の誕生日7月4日がいい

始まりと終わりが同じ 

死に方は飛び降りだって、高い所が好きだから。

そんなことを考えながら、週末の夜の繁華街を人を避けながら歩いて行く。

賑やかな人通りを見て私も、もっと上手く生きてればこの中を歩けてたのかもしれない。

まだ15歳の私も友達と騒ぎながら休みどうするとか、恋や将来の話しをしたかもしれない。

そして、ある立体駐車場の前で私の足が止まった。

    「ここでいいか」

出入り口横の階段階段を登って行くと

カップルとすれ違ったこれから食事でもするのだろう楽しそうに笑っていた。

ふと、今日なにも食べてないことを思いだした。

でも、これから死ぬんだからお腹がすいていてもかまわない。

飛び降りるだけだから。

重たい屋上のドアを開けると車は一台も止まってなかった。

この空間に私だけ、しばらく座り込んで空を見上げてたが飛行機の明かりだけで星は見えない暗闇が私を包んでいるみたい。

そろそろ行こうと思ってフェンスをよじ登ろうとした時

急にタバコの臭いがした。

なぜタバコの臭いを知ってるのかと言うと、施設の同部屋の一つ上の子がたまに吸っているからだ。私の嫌いな臭いだ。

回りを確認してみたが、やっぱり誰もいない

気のせいかと思いフェンスを越えて下を見た瞬間、またタバコの臭いがした。

気のせいじゃなかった。

私が越えたフェンスの向こう側さっきまで私が座ってた場所に

誰かいる。煙も見える。暗闇でよく見えないが、ホームレスかも

しれない。誰もいないと思ったのに、よく確認すべきだった。

その得体の知れない人物はこちらをうかがっているのか、動こうとしない。ただタバコ煙が立ち上ってるのがわかるだけだ。

もういい、見られててもいい!そう思ってもう一度下を見た瞬間

聞こえた言葉に耳を疑った。



「そこから飛び降りてもなにも変わらないぞ!田中水樹!」


若い男の声が私の名前をはっきりと叫んだ。


どうして?なぜ?私の名前を知ってるの?私の知っている人?

訳がわからなかった。


聞き覚えのない声で私の名前を叫んだ男はゆっくりとこっちに

やって来る、黒のジャケットにジーンズを着た

全く見たこともない若い男がタバコをくわえていた。


「誰?」


当然の言葉がでた。

でも怖いと思ってたのかもしれない

自分でも声が震えてるのがわかった。


男はタバコを吹かしながらニコッと笑いながら


「はじめまして田中水樹さん」


やっぱり私の名前を知っている


「だから、誰なの?」


まだ声が震えてる


男はタバコをあしでけしながら名乗った。


「俺は"全てを知る人"だ!」

                                                          全く意味がわからなかった。

これが私と彼の出会いである。

この後あんなことになるなんて微塵も思わなかった。    


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