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裏切られた魔王はどうやら転生したようです。  作者: 穂始 鏡明
一章 どうやら転生したようだ
6/6

出会いの前ぶれ

タイトルが決まらないので取りあえずこれにしました。

 例のお嬢様がこの名もなき村にやってきてからレントの鍛錬は少しだけ変わった。


 何が変わったか。鍛錬の内容?そうではない。変わったのは・・・・・・


 ジー・・・・・・・・・


 そう、レントの鍛錬の変わったところは急にハードになったわけでもなく、楽になったわけでもなく、観客ができたのだ。


「はぁ・・・・・・」


 今日何度目か分からないため息を吐く。もともとレントは人に見られながら何かをするというのが得意ではない、それに加えて昨日のレントの幻影を見破った目、前者だけでもやりづらいのに警戒すべきことまで増えればやる気も下がるものだ。仕方なくレントは身体強化を使い、物陰に隠れながら追いかけてくる少女を撒くのだった。


 なぜ、人目を避けなければならないのか。レントの性格上人目につくのが嫌だというのもあるが、それは些細だといえるほど小さな問題だ。では何がレントにここまでさせるのか。


 答えは簡単、魔術の鍛錬をいよいよ始めるからだ。


 この3年間、レントは筋力を上げることよりも魔力回路を増やすことに集中し、今では一般的な魔族の魔力回路に比べ半分程まで増え、魔力は光源の魔術で魔力を使い切ろうとすれば日が暮れてしまうほどまで増えたた。魔力回路が魔族のたった半分しかないといえば聞こえは悪いがレントの体はあくまでヒトの6歳児の体なのであって、常識で当てはめて考えるとまさしく『ありえない』のだ。


 ではそのありえない魔力量を使って何をするのかというと、攻撃魔術の鍛錬だ。


 今日レントが使う魔術は前世の魔族の間では基礎六属と呼ばれる魔術のうちの一属、土属だ。なぜ火属ではなく土属が一属なのかは魔族の開闢理論というものに基づくものだがその話は別の機会に。


 なぜ土属を使うかというと土属は他の系統に比べて周囲に及ぼす影響をコントロールしやすい、だから土属を選んだのだ。


 今回使うのは『バレット』と呼ばれるもの。攻撃魔術の中では基礎中の基礎で最低の威力のもので主に牽制に使われる。


 的も周囲に木があるところを選んだため誰にも見つからないはず、そう信じて魔術を発動する。


「我、第一の種子を求めん!」


 掛け声とともに構えていた左手の手のひらから放たれたのはレントの予想を裏切ることなく小さな、文字通り種子のサイズの弾だった。


 前世の魔族の姿だったら最低でも拳大の大きさになったのだ。弱体化が凄まじい事を改めて感じたレントは・・・・・・


「我、第三の種子を求めん!」

「我、第四の種子を求めん!」

「我、第六の種子を求めん!」


 順番に水属、風属、火属の弾を木に向かって放つがどれも大差はなかった・・・・・・


 器用貧乏というべきか、それともバランスがいいというべきか、何とも言えない事実を突きつけられたレントは、一通り日課の鍛錬を終わらせた後、何時もの場所へと向かうのだが、そこには・・・・・・


 物陰から不満げにレントを見る影があった。金の穢れのない流れるような髪に緑の不満げに開かれた目と不満によって歪められた村娘にはあり得ない端正な顔、この村の人間ではないと一目でわかる新品の服。


 間違いようがない、例のお嬢様だ。


 なんとも言えない視線を背中に受けながらも仕方なく汗にまみれた体を洗い流していくレント。


 話しかけようとも思ったが、用があるなら向こうから話しかけてくるだろう。


 そう思い、その場をあとにした。

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