凛子のターン
何故こんな事に……。
忙しなくあの子の為にバスタオルや寝巻きを用意してやり、お風呂が壊れた貧しい家の子なんだと親に嘘を吐いて、さすがに使用済みのパンツとブラじゃ可哀想だからと、いざと言う時の為に買ってあったちょっとセクシーなのを引っ張り出し、入浴中の彼女を待つ間、あたしは何度も繰り返し思う。
何故……こんな事に……。
乗り掛かった船だと友城は言っていたけど、あいつが変質者からあの子を守ったのはちょっと意外だわ。
面倒臭い事には極力関わらない様な性格で、逆にあたしが世話焼き体質なもんだから何にでも首突っ込むなとか言うくせに。
一体何が友城を変えたのかしら?
「お風呂、ありがとうございました!」
そんな事を考えているうちに、あの子がスッキリした顔でお風呂から上がって来た。
「着るものまで用意して頂いて……本当にありがとうございます。でも、あの、これは、お返しします」
その手にはブラジャーが。
「あなたねぇ、パンツ履いておいて今更ブラだけ遠慮したって仕方ないじゃない。ちょっとくらいサイズ合わなくても付けときなさいよ」
そう言ってまた突き返したけど、何だかごにょごにょと口ごもったままハッキリしない。
「一体どうしたの?パンツは良くてブラはダメって……」
「つ……付けようとしたんです……けど……どうしても……」
「何よ?ハッキリ言って?」
「どうしても入らなかったんです!」
は……?
はぁぁぁぁああああ?!
そっ……そんなワケないでしょう!あたしだってDはあるのよ?!Dカップのブラなら無理すればEくらいまでは余裕で入る!つまりこの子の胸が少なくともF以上ある事になるわ!その華奢な体つきで胸はF以上ありますとかそんなバカな事……!
「ふわぁぁぁっ?!」
思わずあたしはあの子の胸を鷲掴みにしていた。
「でっ……でかい……!」
何これ……。
着痩せにも程があるわ!
あたしの目算ではせいぜいCだと思ってたのに!
「り……凜子様……痛いです……」
凜子様?
あの子があたしをそう呼んだ。
妙な気分になってくる。
凜子様のブラジャーが入らないなんて事……あってはいけないわよねぇ……。
「貸しなさい!あたしが入れてあげる!」
あたしは寝巻き用にと貸した中学時代のジャージをあの子からひっぺがし、下に着ていたキャミソールも強引に奪った。
目の前に現れる2つの白いマスクメロン。
これは……G級かも知れない……。
「ふぁっ?!む……無理なんです!私だって何度もやってみましたけど……」
「やり方がいけないのよ!ほら……こぉして……ここを……」
「痛い痛い凜子様痛いです!」
「とりあえず……ぬぬぬ……大事なとこが見えなきゃセーフだから……」
「つ……潰れる……!」
「ちょっとくらい潰れても大丈夫よあなたの場合!」
「はぅっ……ううぅ~…!」
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……ほら……入った……だいぶはみ出してるけど」
「はぁっ……はぁっ……本当だ……凄いです凜子様!ありがとうございます!」
「あっ、そんなに動いちゃ……」
「あっ……!」
無理だった。
「仕方ないわね……明日学校帰りに買って来てあげるから、それまでノーブラでなんか外出しちゃダメよ?」
「凛子様……何から何まで親切にして頂いてありがとうございます。でも、自分のを手洗いして一晩乾かせば何とかなりますから」
何なのかしらこの子……。
男の前でだけ良い子ぶってるあたしが一番嫌いなタイプかしらと思ったけど、そう言うんじゃないみたい。
ちょっと変わり者なのには間違いないけど、家族とも友達ともうまくやって行けそうなのにどうして家出なんか……
「ねぇ?あなたどうして……」
「あ、凛子様、私の事はどうぞリフレとお呼びください」
「……分かったわ、リフレ。じゃあ、あたしの事は凛子で良いわよ」
「それはいけせん!凛子様は召喚主様の大切なご友人とお見受け致しました。いえ!それだけではなくて私にこんなに親切にして頂いて……凜子様は凜子様です!」
あたしには少々単純なところがある。
人に頼られるのは嫌いじゃないし、こうやって懐かれると……単純に可愛いって思っちゃうのよね……。それに、詮索はしないって約束だったし、そう、乗りかかった船よ!
「分かったわよ。もう、色々好きにしてちょうだい!」
「はい!凜子様!」
リフレがあたしに笑顔を見せた。
最初は、眉毛が太くてパッとしない子だなって思ったけど……良く見ると可愛いのね。胸も大きいし。
……もしかして、友城はこの子の事が好きになっちゃったの……かしら。