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覚めた夢の続き  作者: 神無
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やり返す

頭がガンガンする。そう思ったのは、意識が戻りかけていたときだった。目が覚めたのに、なぜか暗闇……ならぬ、肌色の世界が広がっている。


まだ夢の世界にいるのだろうかとも思ったが、頭がぼうっとしているので考えるのも面倒だった。寝ていたはずなのに、何故か騒々しかったような記憶がある。具体的に何をしたかとか、何があったのかは覚えていない。


しかし、この疲労感は確かに何かがあったといっている。夢遊病かな……。



肌色の世界から抜け出そうと、顔を上に上げてみる。手をピクリと動かしてみると私は、何かに巻きついていたらしい。



まだ眠い目を薄く開いて上をみると、そこには共に横になっている乙鬼サマの顔がこちらを疲れきった顔で見下ろしていた。




「…うわあっ!!」




肘をついた手で頭を支えて横になっている乙鬼サマ、何故そんな疲れた顔をしてるのだろう。そんなことを思ったのも束の間、目が覚めたときにあった肌色の世界というのは彼の胸板だったのか。


布団に巻きつくようなノリで、乙鬼サマを抱き枕にして寝てしまっていたのだ。普段からきっちりと着物を着ているのに何故そんなに着物がはだけてしまっているのか、かなり珍しい。そんなところに私は顔をうめてぐっすりと張り付いて眠っていた。



うっわ…すごく鬱陶しい……。



よくよく思い出してみれば、ガキンチョに対抗しようと酒を勢いよく飲んでぶっ倒れたんだった。


なのに何故ガキンチョがいなくて、乙鬼サマがここにいるんだろう。いつの間に家に戻ってきたんだ。


疑問がどんどんと湧いてくるが、それよりも自分も肩が見えてしまうほどに着崩れて、ギョッとした。反射で乙鬼サマから手を離して起き上がるが、再び彼の元に引き戻された。



「えっ…ちょッ!?」



腕を引かれたと思ったら今度は自分の胸倉をグイッと掴まれて勢いのまま自分の顔が向かう先は、引き寄せる乙鬼サマの顔面。



「!!!!」



ぶつかると思って間一髪で彼の顔の両サイドに手をついて激突を回避したが、互いの鼻の頭が触れてしまうほどのギリギリの距離だった。


こ、これってもうちょいで口が……き、キスするところだったじゃん…。



ボッと顔が熱くなるのを感じて、恥ずかしさのあまり退避しようとしたが、頭が動かなかった。がっちりと後頭部を抑えられてしまっているので起き上がれない。かといってこのまま動くと唇が触れてしまいそうだった。




「ぐぬぬ…っ乙、鬼サマ…いったいなんのいやがらせですか…!!!」



横たわる彼に覆いかぶさっている状態で、体勢を支えているのは、乙鬼サマの顔の両サイドに置いている手だけ。


腕立て伏せでそろそろ限界がきたときのように、だんだんと腕がぷるぷるとしてくる。なのに、追い詰めるように乙鬼サマの左手は、私の後頭部を引き寄せている。




「……おい…。」



「…ちょっ…ま、待って」



腕のを支えなくせばそのまま顔面激突ならぬ、口付けが待っている。逃げられないように右手は私の腰に巻きついているし、足も絡められていた。




な、何だ何なんだいったいこの状況。私乙鬼サマに絶対何かしたんだ。絶対そうだ。だから仕返しにこんな…。

恥ずかしい仕返しをしようとしてるに違いない。




だいたい「……おい…」ってなによ!!寸前で耐えるとは思っていなかったらしく、えらく不機嫌になっていらっしゃる。勘弁してほんと……。



堪えること数秒後、ついに痺れをきらした乙鬼サマは、自らの顔を私に近づけた。そのままお互いの唇が触れ合う。


せっかく耐えていた腕もそれと同時に限界がきてガクガクと震えだした。


「んんっ…!」



両手を掴まれてそのまま形勢逆転され、次は私が下敷きにになるばんだった。酸欠で口をひらいて酸素を吸い込むと、それと同時に彼の舌が入ってくる。



「ひゃっ…んん…」




口内を貪るように舌で絡めとられて、頭が真白になり酸欠どころではなくなってくると、ようやく解放された。



肩で息をしながら、やっと上からどいてくれた彼のほうを、おそるおそる見上げた。




「あの……今のは…いったいなんの真似ですか…。」



少し酒のにおいがしたので、乙鬼サマも酔ってたのだろうか。ということは、酔うとキス魔になる…!!?うっそ!!



「それはお前だ馬鹿。」



「えっ心の声が漏れてた!?…じゃなくて、私じゃないでしょ!?今完全に私が襲われた側ですよね!?完全に酔ってるの乙鬼サマですよね!!」




「やはり覚えてないか…。」



「な、なにを…?」




はあ…とため息をつく彼に、何があったのかを説明してもらった。何故私が乙鬼サマを抱き枕にしていたのか。何故こんなにお互い疲れていたのかを。




「酒を飲んだお前は、そのまま暴れだし襲い掛かってきた。それは妖怪のようにな…。食事を持ってきた葵や、たまたま通りがかった翠に所構わず飛びついては暴れまわっていた。あいつらは早々におまえの鬱陶しさに逃げていったが。」



「………。なんかすみません」



それで残った乙鬼サマに飛びついては抱き枕のように胸板にすりすりしてたのね。やばいこれもう女捨ててる。




「だが、酔っ払ってる奴を襲うわけにもいかないからな。お前の目が覚めるのをまっていた。」




「いやいやなんで襲うの前提なのよ!」




「問題ないだろ。先に誘ってきたのはお前だ。」



「誘…っ!?してない!!」













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