意地
「お前……妬いてるのか?」
「……え?」
今度は私がきょとんとする番だった。意外なものを見るような目でこちらを見つめてくるガキンチョ。目を見開いたガキンチョのほうが少年らしくて可愛いじゃんと頭の片隅で、思うが、それは一旦置いておこう。
「やいてるって何を?」
「……お前だ。嫉妬でもしてるように見える。」
「……えっ」
嫉妬って、ジェラシー?言われてみれば…どうだろう。よく分からないけど、もやもやする。でもそれは、約束断られたことにショックなのかもしれないし、乙鬼サマが最優先するほどの者がいたとは、という単なる衝撃のせいなのかもしれない。
「どうした?」
「いや、何でもない。そんなのよく分からないし~」
「……。」
頭をぽりぽりとかきながら何気なくそう答えると、今度はガキンチョが黙り込んでしまった。どうしたの、と顔を覗き込むと「つまらんな。」と言葉のままにふいっと顔ごとそらされてしまった。
何が「つまらない」だ、と頬を膨らませてみれば、「変な顔をするな」と鼻で笑われた。なんだろうイラっとした。しかもかなりの冷めた顔でだ。
そんな時、酒を配って踊りまわっている妖怪もどきのおじさんがいたので、それをもらった。
もちろん思いついたのは悪いこと。子供に酒なんてとんでもないけど、この子妖怪だし。人間じゃないし。死んだりしないさ~
「これ飲める?なんとお酒。ふっふ~んでもガキンチョにはあと百年は早いかもね~うふふ。まだまだチビッ子だもんね~。」
「酒か。よこせ。」
「え。」
えなになに?なんて?お子ちゃまのくせに、なんか爺さんみたいな返答。酒を要求されたよこれ。
私は大人なのよアピールしようとしただけというかなんというか、ちょっとムカついただけなんだけどまさか、酒好きとは。
いやでも確かにこの子一応500才以上生きてるから飲めるのも当然といえば当然か。
それにしてもジュースでも飲むような飲みっぷり。ものすごく無表情で飲んでる。正直、一口飲んで、ブーっと噴出ししてほしかった。個人的に面白いからという理由でだが。
「どうした。飲まんのか。……それとも、飲めないか?」
さきほどの私のように意地の悪い笑みを浮かべて酒をこちらに差し出してくる。うわあいい具合に黒い笑みだ。さっきの私の比ではない。し、仕返しか!!このクソガキ!!
拳を握り締めて、覚悟をきめた。大丈夫だ。み、未成年だけど……いけるもん。……多分。
なによりもここで負けてたまるもんですかっての!
「ええもっちろんよ!貸して!」
「……。」
ガキンチョから勢いよく奪い取ると、そのままゴクゴクと飲んでやった。
「ぐ……。」
「……!おい、飲めないくせに勢いよく飲む奴があるか!」
ガキンチョが少し慌てた顔をして何かを騒いでいるが、よく聞こえなかった。おまけにどんどん視界がぐらぐらしていく。
そのままガキンチョの胸に倒れこんだが、小ぶりなガキンチョは、突然のことに驚いて、そのまま私につぶされるかたちとなった。




