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覚めた夢の続き  作者: 神無
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金の鳥

「旅に出る!?それまたどうして!?」



「うーんそれは聞かないでほしいんだよねあはは」



只今私は、友人であるアキの家にお邪魔してとあるお願いをしている。理由は1つで、いちいちおじいちゃんの目を盗んで森に侵入するのがダルいからだ。そこでアキに頼んで話を合わせてもらいたくてお願いをしている。


それは、「アキの家にしばらくお泊りしている」ということにしたいからだ。もちろんそのつもりはなく、実際は森に行く。森に行くことがバレたら大変なので、おじいちゃんには、お泊りしてくるといってある。



不審がってアキの家に行かれるとマズイので今説得中というわけだ。



「で?どこに行くの?」


「森!」


「はあぁあ!?なんで!?あんたは都会からこっち来て間もないし、あまり実感ないと思うけど、あそこには妖怪がいるって伝説が……」


「知ってる!!でも行かないと私!ってなわけで、おじいちゃんが来たらよろしくね!」



「はあ……すぐ戻ってきてよね…。」




しぶしぶ短期間ならと了承してくれたアキに礼を言うと、そのまま大荷物を抱えて森に直行した。



森に入ると、すぐに這うような音とともに白蛇がやってくる。最初は吃驚していたが、早くも慣れてきたので元気に巻きついてくる白蛇をなでながら歩き出す。



行きは目的地の桜の一部がすでにこの位置から見えているだけあって迷いようがない。それを分かっている白蛇はすっかり服の中にもぐりこんで体に巻きついてくれちゃうので肺が圧迫されている。つまり超息苦しい


こんなので街中歩こうものなら、服がボコボコと膨れ上がってどんな肥満症だよと怪しまれそうだ。突然袖や、襟元からひょこり蛇がでてきたらもう大騒ぎ。もれなく噛まれたら即死だよ!なんて誰も笑ってくれない。

森から出ようとはしない白蛇さんに感謝した。




「はぁ…。よっこらしょーいち~。」



早速ついた桜によじ登り寝心地のいい体制になってすやすやと眠ることにした。時々、二足歩行の獣が離れたところで覗いてたり見たこと無い獣がこちらを凝視してくるが、何故か近寄ろうとはしない。


ただ、背後霊のように、木陰に潜んでこちらをじぃっとみているだけ。もしかして森に住む幽霊なんじゃ……。背後られてるのがまさかこんな気持ち悪い妖怪なんてやめてほしい。せめて超美人な天使みたいなのがいい…ふふふ。




「うわ…相変わらず男のように気持ち悪い妄想癖があるんだなお前は…。」



「へ?」



うっそ!声に出てたの!?ていうかこの声どこから…



ふと上を見上げてみると、満開の濃い淡紅の桜の花びらにまぎれて、純白で透き通るほどの羽がひらひらと落ちてきた。


聞こえてきた声も、凛とした美しい女性の声。頬にふわりと落ちてきた羽を手で取ってみると、その羽は静かに手元から消えてしまう。



なんとも脆く美しい羽。ああ、本当に天使が来てしまったのか。羽の降ってくる空をじぃっと見つめていると、バサリという羽ばたきの音とともに、彼女は現れた。




「天使!!!!」



「……ありがとう。でも本当久しぶりだ巳弥。500年ぶりに動いてるのを見た。」



「え、今の再会を喜んでくれたの?」



この森の人の姿をしている妖怪達は、なんでこんなに無駄に美人がたくさんいるんだろう。どうせ人に会うこともなくこの森で数百年もいるのに、何故こんなに綺麗な顔?うらやましいわけてほしい。


長も、翠も葵も美形で言うなれば無駄美形。これじゃあ人間が誘惑されて森に入ってしまってもおかしくない。神隠しとか普通にありそう。




その中でも、この天使さんは本当に仙界に住んでてもおかしくないほど輝いてるし羽生えてるからたぶん天使。羽さわさわしたい。髪の毛触りたい。



「……別にいいけど、巳弥……。」


「え!?また聞こえてた!な、なんでしょう。」



「よだれ出てる……。」



「す、すみません。」


天使の表情が曇ってる。それはもう可哀想な子を見るような目でこちらを蔑んだ目でみてくるから心がイタイ。



それはさておき、彼女はやっぱり私のことを知っていた。ここにどんだけ知り合いいるんだよ。と記憶がなくなったのが悔やまれる。


今にも消えそうな雪のような羽をさわさわ撫で回…触ってから、髪の毛をさらさらさせてもらった。黄金に光る髪の毛が一本一本風にさらわれる。今は昼時、陽の光りが直下で当たり、光りを取り込んでしまいそうなほど、輝いている。



龍華サマも美しいけど、この人のは天使!!


「…天使!!」



「……あ、ありがとう。一応、鳥なんだけどね……。」



生憎と、記憶がないことを天使さんに話したら、既に聞いたのか以外にもすんなりと納得した。「記憶がなくなっても、中身は変わらないものなんだな。」としみじみといわれたがどういう意味だろう。



「私は、千世ちせだ。翠の記憶操作の妖術はまだ未完成だからそのうちすぐ思い出すだろう。お前ならおそらく、木から飛び降りて頭でも打ったら思い出しそうだな。」



「え、そんなまぬけな思い出し方するの私!?」



「……ん、巳弥。そういえば、この大きな荷物はなんだ?」



「あ!そうだ。私、しばらくここに住もうと思って。」



「あぁ、そういうことか。この時代には森の外にお前の家があるんだな。まあ、昔も今もここが危険なのには変わりないが、長の家にいれば安全だろう。」



「お、長!?何故にあそこに泊まるの!?」



驚いた顔をしてみせると、千世さんは全く同じように、何を言ってるんだという表情をしてみせた。


しかし、すぐに「ああ、記憶ないんだったな」というと、納得したように教えてくれた。


私がかつて住んでたのは長の家だったのだと。言われてみれば、どおりで長の家に不法侵入してしまったときも、怒らなかったしむしろ「家に帰る」という言葉に対してやけに反応していたような気がする。



「え、ってことは私あそこで寝てても長怒らない!?殺されない!?」



「ああ、まあ相当吃驚するとは思うがな。」



「ありがとう千世さん!!じゃあさっそく行って来る!」



「さっそく行くのか…。またな巳弥。」



フフッと呆れたように綺麗な表情を崩して微笑む千世さんと別れて、大荷物をかかえると、白蛇を服の中から取り出し、「家へ」と言い、歩き出した。




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