領主と悪魔の錬金術
随分と昔に執筆した短編です。私にしては珍しく、ファンタジーです。
馴れない畑に飛び込んでみようと思って書いたものに加筆と修正をして投稿しました。昔書いた時よりは、少しはまともになっているでしょうか。宜しければ、お楽しみ下さいませ。
独立貿易都市ウィルジャーノは、汚濁と混迷を織り重ね、そうして出来た濁り色の生地に謀反と策謀を混ぜ合わせた塗料で柄を描いて出来上がった。そんな、街だ。
街から街へ、大陸風にのって行商する商人ならば誰もが知っている言葉であり、古くから謡われる童歌のように、密やかだが広く言い伝えられている、ウィルジャーノそのままの姿を形容した揶揄と嘲弄だ。
そんな商人達にとって、過去のウィルジャーノとはいつかは到達すべき理想郷であり、現在のウィルジャーノとは、気紛れであっても足の爪先をウィルジャーノを囲った高く聳える外壁へとは向けられぬ、墓場と見紛う街である。
現在のウィルジャーノには昼と夜の違いが無い。
昼も夜も、陽光をその身に受ける権利を剥奪するかのように、空には厚い粉塵が舞い上がり、休むことなく澱みながら脈打っている。その粉塵を舞い上がらせているのは、ウィルジャーノに寄り添って聳えるボルケ山。
事の発端は、三年前に遡る。
きっかけとなった日より以前。それまでのウィルジャーノは、この大陸の商業の中心であり、ウィルジャーノを管掌するメルキア帝国は他国に対し、ウィルジャーノが自国に齎した繁栄を誇らしげに自慢し、他国は揃って、自国にウィルジャーノのような街が無い事に唇と袖を噛んでは、ただただ羨望の眼差しをメルキア帝国に向けていたものだ。
その頃には、まだウィルジャーノに昼と夜の違いがあった。
朝は日の出よりも早くから、街の中心に位置するディノ広場に新鮮な野菜と果実が並び、その色の鮮やかさを競っていた。日が地平の向こうから顔を出す頃になると、そこに魚や肉が加わり、いよいよもって、広場は活気を見せ始める。
朝日が高い位置にまで昇り、その眩さが整然と並んだウィルジャーノの甍を照らし出す頃には、ディノ広場に多くの人が溢れるようになる。街に暮らす人々が目を覚まし、広場に集うのだ。
私を買ってと色を鮮やかにさせた野菜や果物、魚に肉を眺めながら、朝飯をどうしようかと幸福な悩みに頭を抱える人々。その悩みを煽り、より迷走させる店主の声と、店主の手の中で自己主張をする野菜たち。
そして、より朝日が高くなり石畳に落ちる影が短くなり始めると、屋根から突き出た煙突は空腹をなぶるように深呼吸を始めるのだ。
パンを焼く香りに、ウィルジャーノでは一般的なピゲットの燻製を炭で炙る何とも言えぬ香ばしい香りがかぶさり、生粋のウィルジャーノ生まれは、その時間になると街そのものが豪華なおかずになると自慢するほど、飯時のウィルジャーノは、その凡てが美味な香りに包まれるのだ。
腹を満たしたウィルジャーノの住人が食後の一杯を悠々堪能する頃になると、外壁に配された四カ所の大門が開かれる。ウィルジャーノでの商業取引や、営業許可の申請を取り仕切る商業組合も、その門扉に掛けた大きな鍵を外す時間だ。
いよいよもって、ウィルジャーノは貿易都市としての活気を見せ始める。
獣皮を大量に売りさばこうとする者。
金、銀、鉄や鉱物がボルケ山の恩恵により安価で仕入れられるウィルジャーノでそれらを輸出上限の一杯まで買い占め、重さのあまりに馬車の轍を深くさせ、のろのろと歩くよりも遅く街を行く者。
装飾品ばかりは、ウィルジャーノで売ろうとする馬鹿な商売人はいない。
ウィルジャーノに住まう住民は、余所の街での階級制度では一つ二つ上だ。
ウィルジャーノでの町長は余所の街では領主並みの賃金と住まいを得ている。もし仮にウィルジャーノに乞食や宿無しがいたなら、きっとその乞食宿無しは柔らかい布団に肌触りの良いシーツを掛け、豪邸は有り得なかろうが、少なくとも屋根のある家を借りられる、裕福な乞食宿無しだろう。
ウィルジャーノに住んでいるのは、他の街より格段に裕福な平民と、地位と名声を勝ち得た商売人。
そして、その地位と名声を勝ち取らんと踵をすり減らし走り回る、余所から流れてきた商売人だけ。
そんな生活水準のウィルジャーノに、余所の街や他国で作られた装飾品を持ち込んだところで、その出来栄えは比較するのも恥ずかしい程だ。
片や、職人がその辣腕さを見せ付けるように、自らの腕に宿された技巧の凡てを一心に込めた見目煌びやかな装飾品。片や、子供が暇つぶしに泥に水を混ぜ込み、染料で塗り絵をした紛い物。
ウィルジャーノ製の装飾品とそうでない装飾品には、それ程の価値の違いがある。だからこそ、商人はウィルジャーノで装飾品を売らない。ウィルジャーノでは、装飾品とは買うものだ。売るのは職人だけでいい。
そんな一日が続くウィルジャーノは、メルキア帝国に於いてもメルキア帝国以外の国に於いても、その名前は成功の象徴だった。
そう、
象徴だった。
ウィルジャーノの繁栄を語る時、今やその語尾は必ず過去形となる。
発端は三年前。
ウィルジャーノに寄り添う、壮大な頂を誇ったボルケ山の火口が、咳払いを始めた。
そして、その咳払いの度に火口は硫黄臭を含んだ粉塵を舞い上がらせ、その灰色で空を覆い隠し、見えなくさせた。
三年前を境にして、ウィルジャーノは毎日が夜。
それも深淵な、闇のような夜だ。
時の領主、アレキシア・ダンドゥージャは、メルキア帝国からの実質的な独立を掲げ、ウィルジャーノの政策にあたっていた。
だが、メルキア帝国皇帝、ゾルフ・メルキアはアレキシアが要請した完全独立を断固として拒否した。
メルキア帝国は自国の自慢。そして、懐刀でもある。そんなウィルジャーノの巣立ちを、ゾルフ・メルキアは寛大な対応で容認する程に間抜けではなかった。
事実、広大な大陸に統治を広めたメルキアの財源の内、ウィルジャーノの収益が占める割合は、二割だ。
独立貿易都市を名乗っている以上、全収益に関与した税金の納税ではなく、全収益の内からメルキアに対しての土地の賃料として、ウィルジャーノの収益の一割を支払っているかたちだったが、ウィルジャーノの月当たりの収益の一割が、メルキアの月当たりの収益の二割なのだ。
そんな貴重な財源を手放すまいとするゾルフ・メルキアと、無駄な賃料を未来永劫に支払い続ける事を愚の骨頂と叫び、街にとっては不要な後ろ盾でしかないメルキア帝国からの独立を目論むアレキシア・ダンドゥージャ。
睨み合いの末、先手を打ったのはゾルフ・メルキアだった。
帝国はウィルジャーノの商業組合に対し、その門扉の閉鎖を命令した。
先手は経済的な制裁であり、商業を生業としてきたウィルジャーノの生命線を断絶される強烈な一打であった。
ウィルジャーノは、右上がりだった繁栄を停滞させた。
そして、それまでとは逆の方向へ繁栄は転がって行く。
協会が封鎖され、商いは滞り、物と金貨の交換や流通は消えた。
表通りから、賑わいが消えてゆく。
ディノ広場に立ち並ぶ露天は屋根を畳んだ。
収穫したばかりの新鮮で色鮮やかな野菜と果実は、見る事がなくなった。
整然と並ぶ甍から突き出た屋根は煙すら吐き出さなくなり、煤をこびり付かせた筒は永年の汚れを異臭として撒き散らし始めた。
地位と名声を得ていた商売人は街での看板を捨て、己の名前だけを頼りに新たな街を目指した。
こうして、ウィルジャーノに空き家が増え、それらはやがて、廃屋となった。
ウィルジャーノにもついに、居なかった筈の乞食と宿無しが現れ始める。
道端で息絶えた野犬の姿も増えた。
ウィルジャーノは、永久監獄として不名誉に名高いアルカスの牢獄と同じ風景を街中に描くようになってしまっていた。
商業の営みを欠落させたウィルジャーノは、階級制度で他国より幾つも上だとしていた優劣の関係が一変した。その名前が記されるのは、階級制度の一番下。ウィルジャーノとは、惨めで無残な都市として蔑まれる蔑称となってしまった。
このままでは、ウィルジャーノは死んでしまう。
そんな窮地に、アレキシアは英断した。
彼は声高に叫んだ。
メルキア帝国に対し、反旗を翻す、と。
しかし、その声明は高らかにウィルジャーノに響き木霊するだけであった。
その頃には、ウィルジャーノの自警団は既に街の治安の下降線をどうにかしてなだらかにする事に死力を賭しており、アレキシアの言葉に片耳だけでも貸せる状態ではなかった。肩耳すら貸せないのなら、その声に賛同して掲げる肩腕などある筈がない。
それに、ウィルジャーノが抱えた兵力とは、自警団のみである。そんな微力風情が、幾度もの国取り合戦によって練磨された屈強な筋肉と、その筋肉の隆起を覆う鋼の鎧衣を持つメルキア帝国の軍勢に対抗して勝利を掴める筈がない。アレキシアの言葉を聞いていたとしても、その言葉に賛同して刀を抜く、死にたがりはいなかったであろう。
ウィルジャーノに残った数少ない人間は、アレキシアが考えを改めるだろうと考えた。
そうでなくとも、何か別の策を練るだろうと。
屈辱、或いは凌辱に近しかろうが、このままウィルジャーノを朽ちた街並みに変えてしまうより、メルキア帝国の一部としてこれまで通りの日々の営みを取り戻す事を、アレキシアは決断してくれる。
ウィルジャーノの人間はそのように考え、そして切に祈った。
しかし、アレキシアはその切願を反故にした。
ゾルフ・メルキアの喉に短剣を深々と突き立て、メルキア帝国からの独立を目指す姿勢を変えようとしなかった。
アレキシア一人だけであっても、独立へ向かう反乱と抵抗は続けられた。
そして、アレキシアの高らかな声明の翌週、彼は単独で帝国の首都を目指した。
街を出るアレキシアを最後に見た衛兵は、アレキシアが黒馬ジュリエットに跨りウィルジャーノの北の大門を抜ける時、愛馬の後ろに年端もいかぬ少女を乗せていたと語る。夕焼けの空のように鮮やかな茜色の髪を長く伸ばした少女だったそうだ。
だが、当時伴侶の居なかったアレキシアに子供がいる筈もなく、その夕焼け空の髪を長く伸ばした少女が何者であったのかは誰にも判らなかった。
また、アレキシアの姿はそれを最後に消えてしまった。
その後の行方は、誰にも判らない。
生死も判っていない。
首都に到着した事を確認した者もいない。
彼は消えてしまった。
そして、ボルケ山が数百年振りの咳払いを始めたのだ。
ウィルジャーノの民は、口々にアレキシアの謀反が神の怒りに触れ、ボルケ山を目覚めさせたと悲鳴し、次々と硫黄臭の粉塵の降る暗闇と化したウィルジャーノから脱出した。
ボルケ山噴火の原因を、ある者はアレキシアが招いた自業だと言った。アレキシアは、悪魔契約でメルキアの滅亡を企てたというのだ
だが、血肉にさえ金貨が流れているかのように貪欲なアレキシアだ。彼が対価を支払う筈がなく、それに憤怒した悪魔が、贖罪としてボルケを目覚めさせ、ウィルジャーノから陽光を奪ったと言った。
こうして、ウィルジャーノからは全てが消える。
地位と名声。
協会と、それに伴う繁栄。
他国からの羨望。
太陽と空。
そして、領主。
今やウィルジャーノは乞食宿無しの理想郷だ。
此処に来れば広く贅沢な廃墟が溢れ、寝床には困らない。
外を出歩く際に布切れ一枚口に巻けば、粉塵を吸い込み喉や肺に重い病を患う事はない。
ウィルジャーノは、汚濁と混迷を織り重ね、そうして出来た濁り色の生地に謀反と策謀を混ぜ合わせた塗料で柄を描いて出来上がった。
そんな、街だ。
その日もウィルジャーノは、朝から元気な咳払いを続けるボルケ山が澱んだ粉塵を吐き出し、他国より何倍も暗い日の出を迎えた。
そんなウィルジャーノの荒れ果てた大通りを転がるように駆ける一人の男は、死を目前に控えた険しい顔をしていた。
「はっ、はっ、はっ……!」
繰り返す呼吸の間隔は短く、忙しない。
もっと早く走ろうとしているのに、足元の瓦礫や露店の残骸が絡み付き、それを許さない。
何度も転びかけ、その都度手を前に出してどうにか疾走を続けてはいるが、その様は人間らしく二本足で走ると形容するより、動物のように這い回っていると言い表した方が適当な醜態だ。
麻の生地で誂えた服から覗く褐色の肌には、幾筋もの赤い負傷の引っ掻き傷が走見えている。
口に布切れを巻いていないからだろう。ボルケ山の粉塵は荒い呼吸をする度に喉にへばり付き、息をすると切られたように痛んだ。
咳をすると込み上げてくるものがあるが、吐き出したなら、それはきっと自分の血であろう。
「はっ、はっ、はっ……あ――っ!」
男が不意に何かを見つけると、その表情は絶望に変わる。
男の前には、ウィルジャーノの空より何倍も深い黒い色の外套を纏った男が佇んでいた。
髪まで漆黒である。目をこらさなくては闇と同化してしまいそうな出で立ちの男は、ゆっくりと外套を揺らした。
「もう、終わりでよいか」囁くように放たれた男の声は、湿っているような響きがした。
「いい加減、疲れただろう」
「――ふざけるな!」静かな口調の漆黒の男の言葉に、駆けていた男は激高する。「俺が何をした!」
漆黒の男は嘲笑する。
「家主でないのに他人の屋敷に居座り、その屋敷の財産たる食い物と葡萄酒を食い漁った」
「それだけの事で……!」
「それだけ? それだけで済まないだろう」
「他に、なんだ!」
「お前は、その屋敷の銀食器や陶磁器をメルキアに送り、金に換金した」
「だから……何だよ」
漆黒の男は、どこか謳うように語る。
「ウィルジャーノの協会が定めた行商法違反だ。ウィルジャーノ内、及びウィルジャーノの財源に関わる物資、金銭の商業的取引には、協会が定めた規定に従い、その許可を得られた者しか行ってはならない。また、その許可された権限はいかなる場合でも他者へ譲渡する事を禁ずる」
その言葉に対し、男は馬鹿馬鹿しいという言葉と粉塵と血の混じった唾を、地面へ向けて吐き出した。
「なにが行商法だ! ウィルジャーノじゃあ、今や略奪強奪が商いの基本だ! そんなもんは、な、アレキシアが消えた日に奴と一緒に消えちまったよ!」
「しかしウィルジャーノはまだ生きている。ならば、ウィルジャーノの法は遵守せねばなるまい」
「だからって、いきなり……殺そうとするかよ! てめえは何者だ!」
男は擦り傷だらけの手で腰に隠していた銀色の刀身の短剣を引き抜く。
「突然現れたかと思ったら、首を切ろうとしやがって。この野郎……畜生め。その上、しつこく追い回す。もう限界だ。許せねえ。てめえは何様のつもりだよ」
男の抜いた短剣が、その刀身をギラリと輝かせる。
その刀身にも、柄にも、そして鋭い刃を内包する鞘にも細かな装飾が施された短剣だった。
よせ、と、漆黒の男。
男は、自分へ向けられている刃を見つめながら言った。
「これ以上抗っても苦しむだけだ」
「はっ。その口振りじゃあ、この短剣がただの短剣だと思っていやがるな」
顔立ちも見えぬ暗闇だが、漆黒の男がその言葉にぴくりと反応したのが判る。
しばし、沈黙が流れた。
やがて、男は呻くように言う。
「妖刀。……いや、魔刀か」
その通りと、構えた短剣を強く握りながら言った。
「古美術商の屋敷で見付けた逸品さ。厳重に保管されていたから、俺みたいな人間にだって本物だって判る。これは悪魔の力を柄に閉じ込めた正真正銘の魔刀だ」
漆黒の男はまた沈黙する。
次に彼は小さな溜息をこぼし、よせ、と、再び男の行為を咎めた。
「悪魔契約は行商法だけでなく大陸法に於いても禁忌大罪。そうなると、罰はお前の命だけでは足りなくなるぞ」
「馬鹿言え。だからって、てめえに殺されるなんてごめんだ」
「よせと言っている。お前は契約を理解していない」
「うるせえ」
男は自分の手に短剣の刃を滑らせた。
ぷつり、と、血が浮き上がる。
血は刀身全体に広がってゆく。
広がり、そして吸い込まれるように、血が刃に染み込む。
銀色だった刃の色が、完全に血の赤色に変わった。
漆黒の男は、苦渋の表情を浮かべた。
「――愚かな」
ただ一言、そう呟いた。
そして、風が溢れた。
ごう と世界を吹き飛ばすような風。
風は、逃亡者の男を中心に巻き起こった。
漆黒の男を吹き飛ばすかのようだった。
外套がはためく。
瓦礫が転がる。
朽廃した木片が折れ、彼方へ飛んでいく。
漆黒の男は腕を前に出し、視界を保った。
男には、男の短剣が捩れる瞬間が見えた。
「ひ――!」
悲鳴のようなものが聞こえた。
だが、手遅れだった。
捩れる魔刀。
火にくべたかのように、ぐにゃり、と捻れる。
沸騰したように脈を打つ。
それらを繰り返しながら、肥大化してゆく。
脈打つ柄が、コウモリの羽に変貌した。
刀身が裂けた。
鞘が伸びた。
刀身は口となり、牙を並べる。
鞘は滑らかにしなる尾となり、柄と繋がった。
そして、肥大化した魔刀は男を喰った。
短剣を握っていた手が、肥大化した刃に呑み込まれる。
「な……なんだ、こりゃあっ!」
肥大化した魔刀は、男を呑み込もうと、尚も大きくなる。
そうして顕現したその姿は、コウモリそのものだった。
羽をはばたかせる。
耳障りな声で鳴く。
そして、おぞましい輝きを放つ双眸で男を見た。
その眼差しは空腹を訴えている。
男は恐怖の中でそれを理解した。
魔刀は男の半身を飲み込んだ。
それでも、まだ大きくなる。
まだまだ大きくなろうとしている。
男を喰い尽くそうとしている。
その姿は、まさしく悪魔だった。
「愚か者」
漆黒の男が憐憫の言葉を吐く。
「悪魔契約に必要なのは処女の生き血。もしくは、契約者が持つ全ての血と、魂だ」
声に反応をして、悪魔がこちらを睨んだ。
男はその醜悪な外見を嘲笑し、続ける。
「処女の生き血が無ければ、悪魔契約とは死後も悪魔に飼われ続けるという意味だ。浅学が仇となったようだな」
「たっ……!」
悲鳴の隙間で、男は叫ぶ。
だが、悲鳴が上回り言葉は途切れる。
痛いと例えるより、熱い。
焼いた石を肌に押し付けられているかのようだ。
あまりの熱さで、息もまともに出来ない。
立っている事さえ出来なくなる。
男は崩れるように膝を折った。
魔刀は、尚も悪魔の姿へと回帰を続けている。
その姿は今、男の身体より大きい。
男を覗き込むコウモリの悪魔。
男よりも巨大になったおぞましい造りの顔を近付ける。
痛みと恐怖に歪んだ男の顔を眺める。
そして、にやり、と笑んだ。
――さあ、早くお前の凡てを……。
そう言っているのだと、男には判った。
「た……たすっ、たす……っ!」
助けて。
そう言おうとした。
漆黒の男は首を横に振った。
「無理だ」
ただ、そう言った。
冷たい言葉だった。
「悪魔契約は対象が悪魔であれ、契約は契約だ。途中で破棄して白紙にするなど許されない。もしも救われたいのならば、お前の魂諸共、悪魔を殲滅するより他に策は無い」
その言葉に男は絶望した。
「だが……救われたいのならば、手を貸そう」
その言葉は、死を目前に控えた男にとって、神託のようであった。
激しい痛みの中で、男は目の前の漆黒に見蕩れてしまった。
そんな時、彼は自分の後ろに気配を感じた。
後ろで小さな足音がした。
足音は軽かった。
成人した男の足音ではない。
例えば、まだ年端もゆかぬ少女の足音だ。
朦朧とした意識の中で、男はそんな風に考えた。
振り返ると、そこにはウィルジャーノにある筈の無い夕焼けがあった。
いや――夕焼けの空と見紛う髪の色をした、少女。
「一度、問う」
漆黒の男は言う。
コウモリの悪魔は、男の頭以外の凡てを飲み込んでいた。
いつしか痛みもなくなっていた。
痛みだけでなく、意識さえ消えそうになっていた。
「救われたいか」
完全に消えてしまいそうな意識で、男は首肯した。
壊れたゼンマイ仕掛けの人形のように、何度も。
「対価は」
漆黒の男は問うた。
死を目前にした男は、雑音のような声で答えた。
「おれの……す、べ……でっ――!」
そして、次の瞬間、男に残されていた人間の部分は消えた。
悪魔は男の全てを喰らい尽くした。
男が消えた後、その場にいたのは巨大なコウモリの悪魔だった。
満腹を得た悪魔は天に向かって叫ぶ。
地を揺らし大気を引き裂かんばかりの咆哮。
そして、次の獲物を見据えた。
次の獲物は、漆黒の男。
悪魔は醜く笑んだ。
「オ前ノ魂ヲヨコセ」
その声は、鏡面に針を押し付けて引っ掻いたような、酷い声。
漆黒の男は顔をゆがめる。
同時に、驚いた。
「言葉が判るのか」
男は悪魔を褒める。
だが、仕組みをすぐに理解した。
前言を撤回した。
「いや……違うな。今喰った男の意識を元に、少しの知能を付けただけか」
「オ前ノ魂……タ、タマシイ、ヲ、ヨコセ」
オウムのように同じ単語を繰り返すコウモリの悪魔。
男はその姿を侮蔑する。
「馬鹿の一つ覚えだ。同じ言葉を何度も何度も。コウモリなのか、オウムなのか、はっきりしろ」
その時、悪魔は激しく羽をはためかせた。
巻き起こる旋風。
悪魔の巨大な身体が宙に舞う。
遥か上空まで上昇。
地上の男からは、その巨躯は指先より小さく見える。
歪な灰褐色の腕を広げる。
悪魔は吠えた。
大気が激しく揺さぶられた。
肌が裂かれそうになる。
鼓膜が悲鳴を上げる。
ボルケ山が噴火したかと錯覚した。
「耳障りな声じゃ」
男が顔をしかめていると、声を掛けられた。
振り返ると、夕焼け空と同じ色の髪をした少女。
鈴を鳴らしたように高い音色の声。
その表情は、どこか冷徹である。
悪魔の咆哮に、眉も瞳の端も歪んでいない。
その顔には、僅かな不快さも浮かんでいない。
少女は何でもないかのように、言った。
「どうする。低級とは言え契約者を完食して完全に顕現した悪魔は厄介だぞ。私と違って」
少女の口振りは大人びている。
鋭く上につり上がった瞳はつまらなそうに空の悪魔を見詰めている。
ふん、と鼻を鳴らして腕組みをした。
視線を漆黒の男へと戻した。
「どうする」
そのように問うた後、言葉を変えた。
「貴様は、どうしたい」
少女は威圧的な言葉で、そう聞いた。
「何をしたい。貴様は今、何を願う」
「願い」男は囁く「俺の願い、か」
男は俯いた。
悪魔に喰われた男の遺言を頭の中で反芻した。
ふふ、と、微風を浴びたかのような笑みを浮かべた。
「凡て、か。契約としては釣り合いもよいだろう」
男は髪を掻き上げた。
不敵な笑みで黒色の空を睨んだ。
射抜くように、悪魔を見据えた。
「契約成立だ」
男は、そう言った
「その取引、承諾した」
「では、あの悪魔を」
少女が聞く。
男は頷く。
「殺す。始めるぞ、ルゥ・ルー」
身構える男。
ルゥ・ルーと呼ばれた、夕焼け空と同じ髪の色をした少女。
辟易の面で息を吐く。
独り言のように、面倒くさい奴だと、男を叱咤した。
「だが、そう言うと思うた」
少女は笑った。
「対価として、何を差し出す」
少女は問う。
「クロム鋼を一欠片。銀貨を四枚」
男は答えた。
「クロム鋼と銀貨四枚」
少女は言葉を繰り返す。
ふむ、と頷く。
「聞き入れた」
少女は、にやり、と笑った。
その口元には、鋭い牙が生えていた。
男は懐をまさぐる。
クロム鋼と、銀貨を四枚取り出す。
暗闇でも輝くクロム鋼と銀貨。
少女へ向けて放り投げた。
受け取った少女は、それらを握り締めて瞳を閉じた。
息を吸い込む。
上空では、悪魔が旋回をやめる。
男に狙いを定め、滑空を始めた。
鋭利な牙が並ぶ口を開く。
男を丸呑みにしようと、その巨体が迫りくる。
少女は謡うように言葉を紡ぐ。
その唇は、美しい旋律で詠唱を奏でた。
『疾く、疾く、疾く
風のごとく、水のごとく
説く、説く、説く
火のごとく、土のごとく
求み、求み、求み
与え、与え、与え
差し出したる物、我の右手に
与えられたる物、彼の右手に
等しく
等価でもって
我は求む
空焼く業火』
ごう、と風がうねる。
瓦礫や砂塵が吹き飛んで行く。
瓦が剥がれる。
男の周りにある物が凡て、男から遠ざかる。
その代わりに、男に集うものを彼は感じる。
それは、とても熱い。
そして、世界の色を塗り替えるほどに鮮やかな茜色。
男は腕を天高く掲げた。
その腕が指し示す先には、迫りくる悪魔の姿。
悪魔は再び吠えた。
悪魔を指差した。
指差している先端に熱と茜色が集まる。
風は、激しさを増した。
少女は目蓋を開く。
「契約は成立だ」
開いた掌から、鉱石と銀貨は消えていた。
「よし」
男は力強く頷いた。
息を吸う。
そして、声高に叫ぶ。
「錬成!」
指先に集中していた熱が放たれる。
茜色は、そのまま業火に変わる。
大気を焼く音が悪魔の咆哮を掻き消す。
生まれたのは、小さな太陽。
馬車ほどの大きさをした太陽は、真っ直ぐに悪魔へ突進した。
悪魔は叫ぶ。
その声は男には届かない。
圧縮されていた熱が爆発をした。
悪魔は太陽に飲み込まれた。
膨大な熱が地上を焼く。
崩れかけた家屋も、地の石畳も平等に焼かれた。
焦げ臭さが鼻を刺す。
異臭に顔をしかめた。
悪魔は、灰すら残さず業火に焼かれ、消滅した。
男も少女も、そう思った。
だが、違った。
街が震える。
耳障りな、あの咆哮が再びウィルジャーノを揺らした。
灼熱の業火を掻き消すように羽ばたく悪魔は、己を焦がした炎に憤怒し、その炎を放った男を憎悪していた。
その巨躯のどこか一ヶ所にでも、負傷の跡は見えない。
「馬鹿な!」
男は驚愕した。
「どういう事だ、ルゥ・ルー!」
「ど、どう、と、問われても、だな」
少女は狼狽しているようだ。
「こうなったのなら、そうなのだろう」
「馬鹿な事を言うな!」
少女の言い分を男は一蹴した。
「前は今と同じ対価で、湖を蒸発させた筈なのに、今のでは小火じゃないか! 契約の不成立か!」
少女は顔を赤くして反論した。
「馬鹿を言うな! 私が契約を失敗? そんな事、あるものか!」
悪魔は咆哮し、二人の頭上すれすれの位置を滑空した。
衝撃が二人を襲う。
舞い上がる髪を手で押さえ、少女は叫んだ。
「とにかく、私はこれまでに一度としてミスをした事なんてないのだ!」
男は衝撃で転倒していた。
「何事にも初めてはある!」
立ち上がりながら、上空の悪魔を睨む。
悪魔はボルケ山が吐き出した噴煙を掻き混ぜるように旋回。
再びこちらへ迫ろうとしていた。
少女は、悪魔を見ようともしない。
ただ、男の言葉が気に入らなかった様子で、今も反論を繰り返している。
「私はミスなどしておらん!」
牙を剥き出しにして不快を顕わにする。
「私は特級の悪魔なのだぞ!」
男は舌打ち。
口惜しげに呟く。
「魔界で換金率が変動したか……」
「そ、そうだろうな」
少女は頷く。
「どうだ。私の責任ではないだろう! 謝れ! 私のせいだと一瞬でも思ってしまった事に対して謝れ! ひたすら謝れ! とにかく謝れ! そして崇めろ!」
「言っている場合か!」
鼓膜が破れそうな雄叫び。
悪魔は急降下。
翳した両手の爪が風を凪ぐ。
ぎらりと光る爪が狙うのは、少女。
男は少女に飛びついた。
弓矢より速い速度で降って来た悪魔。
衝撃が再び地面を弄った。
廃屋の屋根が壊れ、砕けた煉瓦が雨のように降り注ぐ。
立ち上がる男は、自分の懐の内側を確認した。
頭を抱えて丸くなった少女の姿が、そこにあった。
「無事か」
問うと、少女ははっとした。
「と、当然じゃ。誰だと思っている」
男は少女に手を差し出した。
少女はその手を掴み、立ち上がる。
悪魔は、旋回。再びこちらを目指そうとしている。
地面には深々と抉られたひっかき傷。
悪魔の爪が切り裂いたのだろう。
ウィルジャーノの煉瓦は上質である。密度も高く、ひじょうに硬い。そんな煉瓦を敷き詰めた道が、容 易く切られた。
ぞくり と男は震えた。
――あれが俺を捉えたなら、俺は痛みすら抱かず死ねるだろう。
その考えを振り払い、男は拳を握る。
少女を見る。
「ルゥ・ルー! 魔界で今一番換金率の高い物資はなんだ!」
「え、な、なに」
唐突な質問に、少女は慌てた。
男は少女を急かす。
「換金率の一番高いものだ! 今すぐ調べろ!」
「ちょ、ちょっと待て!」
少女は背中に背負っていた辞書のように厚い本を開いた。
中には、文字と思えぬ文字の羅列。
知らない文字ばかりだった。見ようによっては絵にも見える。
だが、それらは少女にとっては文字らしい。
少女は紙を破りかねない速さで貢を捲った。
内容を必死に確認する。
悪魔は狙いを定めた。
今度も、少女を狙った。
悪魔は吠える。
同時に、少女は見つけた。
その指先が、ぴたりと止まる。
「判ったぞ!」
歓喜と共に、少女は声を張り上げた。
「クロム鋼は今、魔界で需要が無い! 流通量が多くなっているそうだ!」
「そんな事は想像がつく!」
馬鹿、というような口調で男は叫んだ。
「それよりも、魔界で一番の換金率になっているのは何だ!」
少女は更に声を張り、答えた。
「ススだ!」
悪魔は旋回を終えた。
噴煙の雲を掻き乱すように羽ばたき、滑空。
今度は逃がさんと、咆哮。
その下降は、先程よりも速い。
少女はもう一度叫ぶ。
「ススだ! 魔界では今、ススが重宝されている! 換金率はクロム鋼の倍以上!」
「スス……」
男は一度だけ動くのを止めた。
俯く。
肩を震わせる。
肩だけではなく、全身が震えるのを我慢できない。
ついには笑いだし、震えていた肩は大きく上下に揺れた。
「ははは。はははっ! そうか、ススか! ルゥ・ルー。どうやらウィルジャーノは、まだ私を見捨ててはいなかったようだ。私を嫌ってはいなかったようだ! スス。ススとは! 魔界の民よ。欲しければ幾らでもくれてやる! このウィルジャーノの幾千もの家屋に刺さった煙突にこびり付いた大量のスス。その全てをくれてやる! ルゥ・ルー!」
呼び声に応え、ルゥ・ルーは再び瞳を閉ざした。
「わかった」
静かに答え、錬金術の詠唱を始めた。
先程と同じく、謳うように。
――錬金術。
それは、何かを差し出した見返りとして、何かを生み出し、与えられる儀式。
魔術妖術と異なり、その現象は術の使い手の力量に比例するのではなく、対価として差し出した物資の換金率に比例する、等価交換を絶対とした術式であり、その等価交換の取引先は魔界に住まう悪魔であるとする、一種の悪魔契約である。
錬金術に必要なのは魔界との契約成立を担う咏者と、契約成立によって与えられた等価の対価を操る操者。
その効果は毎回同じとはならない。換金率は日々変動する。より強大な錬成を求めるのなら、男と少女が行ったように、錬金術を行う瞬間に一番換金率が高くなっている物資を調べ、それを対価として用意しなくてはならず、それは時に商いと同じ意味合いとして括られている。
数週間前までは、クロム鋼が魔界の市場では最高値であり、対価としての価値が一番高かった。
だが、今の瞬間クロム鋼は魔界での市場価格が暴落していた。
その代わりに市場を賑わしているのがスス。
男は、錬金術の対価にウィルジャーノにある凡てのススを差し出した。
少女は紡いだ。
『疾く、疾く、疾く
風のごとく、水のごとく
説く、説く、説く
火のごとく、土のごとく』
迫る悪魔。
男の周りで渦を巻く、大気。
謳う、少女。
腕を掲げる、男。
『差し出したる物、我の右手に
与えられたる物、彼の右手に
等しく
等価でもって
我は求む
神を射抜く雷』
ばちばちと閃光が迸る。
閃光は、いつしか男の指先で雷光となっていた。
雷光が先程生まれた小さな太陽の時より眩く街を照らした。
白色の光に照らされて、悪魔は危機を感じた。
本能で危機を感じた。
感じた危機から消そうとする。
狙いを少女から男へ変える。
だが、間に合わない。
「終わりだ、低級悪魔」
男が悪魔を嘲った。
悪魔の瞳に、男の冷笑が焼き付く。
「アレキシア」
少女が男を呼んだ。
「契約成立だ。やってしまえ」
その言葉を男、アレキシアは待ち望んでいた。
悪魔を、悪魔よりも悪魔的に睨んだ。
口元をつり上げ、笑み、そして、叫ぶ。
「錬成!」
凡てを飲み込まん閃光。
そして、轟音。衝撃。
その瞬間、ウィルジャーノは光と衝撃に埋め尽くされた。
魔界で最高値で取引されるスス。
ウィルジャーノに大量に溢れたスス。
今の魔界では一握りで金貨数枚に換金されるススは、その莫大な量の凡てが等価で交換され、そうして生まれた雷光はルゥ・ルーの詠唱の通り、まさしく神でさえ容易に射抜く壮絶な一撃となり、ウィルジャーノを覆う粉塵の空と、コウモリの悪魔を焼き払った。
悪魔は、最後に吠えた。
だが、雷光の音はそれを容易く掻き消した。
衝撃がアレキシアとルゥ・ルーを襲う。
その衝撃が消え、耳が轟音に伴う麻痺から回復をした後、空に悪魔の姿は無くなっていた。
蒸発でもしたのだろう。
その結果を見て、アレキシアは満足げに笑んだ。
…
降り注ぐのは、やはりボルケ山が咳払いの度に舞い上がらせる噴煙。
やがて空から、翡翠色をした宝玉が一つ、鳥の羽が舞い降るようなゆっくりとした速度で舞い降りた。
地面に触れるより先に、小さな手のひらが宝玉を優しく受け止めた。
ルゥ・ルーの手のひらだった。
宝玉は驚くほど冷たかった。
「悪魔契約によって堕ちた者、或いは悪魔を殺せば、その魂は封魔石に変化する」
握る封魔石は、時折脈を打つように明るさを変えていた。
その瞬きを、消えかけた蝋燭のようだとアレキシアは思った。
ルゥ・ルーはアレキシアに歩み寄る。
そして、翡翠色の封魔石を彼に渡す。
「封魔石に換金率の変動は無い」
ルゥ・ルーは囁くように語った。
「魔界では、いつの世も高級品だ。高値で取引される貴重な財源。しかし、アレキシア。貴様が私に望んだボルケ山の鎮火とウィルジャーノの再興、そして、独立。それらの目的と等価となるには封魔石が百と十八必要じゃ。貴様が持つ封魔石はまだ――八つ」
ルゥ・ルーは意地悪く笑った。
生えた牙が、ちらりと唇の隙間から顔を出した。
「……残りは、百と十個の封魔石じゃな。貴様の限りある寿命の内に集めきれるかな?」
アレキシアは鼻を鳴らして笑う。
「集めるさ」
翡翠色の封魔石を、空に翳す。
「集めてみせる。百十八個の封魔石を、俺は必ず集めてみせる。そして、俺はウィルジャーノに陽光を呼び戻し、そして――」
――メルキアを、滅ぼす。
それが、アレキシアが交わした悪魔契約。
ルゥ・ルーと交わした、悪魔契約。
その対価はアレキシアの凡て。
これは、領主と悪魔の錬金術の物語――。
有り難う御座いました。今後ともお付き合いいただければ幸いです。また、他作品の掲載も行っておりますので、サイトの方も合わせてご愛顧をいただければ。
この度は誠に有り難う御座いました。
西東ゆうじ