閃き
掲載日:2026/05/23
綺麗にすると逃げていく
その背がゆらりと光った瞬間に
両の手ではしと掴んでしまわなければならない
頭も口も同じ流動性
流るる水の如く
目は時に役立つ、それよりもまず感覚を澄ませ
サイレンは、母の声は、テレビの笑い声は
空気を掻き乱す
一人でどこかに行かなければならない
緑の痛い木々の中か、光を知らない水の中か、浅瀬なのか?
目は要らない、手と足と、鼻の向かう先迄
足が冷え、手が痺れ、頬は焼け、腸は出、
それでも尚進み、物音がしなくなった頃にやっと
背が光るものが見える、掴む
掴むことは易しい、逃げる尾ひれの端を掴んでもいい
その先はもう厭わない
サイレンが鳴こうが、母が名前を呼ぼうが、テレビでいくら怒声が聞こえようが
その尾ひれが瑞々しく艶やかな光の道を
私を連れて行く、どこまでも、どこまでも
そうして満足した頃にぱっと手を離す
光に炙れた尾ひれが顔に飛沫をはたく
目を開く
鏡の反射が私を襲い、
よければまた、見に来てくださいね。




