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AVENGER / MESSIAH 〜少年が全てを救うまで〜  作者: ガチ抹茶
プロローグ
1/5

灰の少年が迷宮に潜る理由

初投稿!!よろしくお願いします!!

 人は、15歳になると大人になるらしい。


 少なくともこの世界ではそう、決められている。

 王都ソルテーラで儀式を受け、創世神様からの祝福を授かり、その結果により、己の価値を知るーーーそれが大人の証明だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《身体能力》

lv.Ⅰ


《スキル》

剣術Ⅰ

敏捷Ⅱ

暗視Ⅱ

不眠Ⅲ


《魔法》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ああ、不眠?……普通?だな坊主。まぁ、気にすんな、只人ヒューマンは大体こんなもんだからな。魔法なんて発現する方が珍しい」


 世間一般の評価からして、俺は使えないというわけではないがありふれているぐらい。いわゆる普通の人だったらしい。


 儀式の後、王都の教会のおっさんに慰められた。しかし、こんなものは俺にとって、どうでもよかった。


 大人になったところで借金が消えるわけでも家族が戻ってくるわけでも無いのだと。


「………はあ」


 朝焼けの小迷宮入り口前。石畳の上に座り、干し肉を齧りながら、俺ーーーユーリ・シズナリカは何度目かも分からないため息を吐いた。


「………なんでこんなことになってんだっけ?」



 成人式(王都で行った儀式)が終わり、数日。今日も今日とて鉱山でのお仕事に勤めようとボロ小屋を出た時だった。


「おいクソガキ、ちょいと頼み事があるんだけどよぉ?」

「………」


 11歳で親が死んでから付き合いが長い借金取りが小声で話しかけてきた。


「なんだ?今日も鉱石採掘で忙しいのだが?」

「それなんだけどよぉ?……いやぁ、お前が勤めてた坑道、【小迷宮】になっちまったんだわ」


「……………は?」


 こんなかんじで、俺は無職になった。しかし、ならなぜ迷宮入りを果たしているのか?


「なあ、クソガキ。お前確か儀式は済ませてるんだよな?」

「ああ。つい4日前だが?」

「俺、坑道の奥に大金へそくり置いてきてるんだわ。とってきてくれない?」

「嫌だが?それになぜ俺?」

「疑惑がかかんないから^_^頼むよぉ。借金減らすから!!」


 つまり、そういうことであった。へそくりを隠しておいたはいいが、隠し場所が迷宮になったのでとってきて欲しい。でも依頼出すには色々バレたくないから自分たちへの借金まみれのカスに取って来させる。ということらしい。

 【迷宮】というのは、大小問わず一定の金になる。それは迷宮で獲得できる都市運営に必要なエネルギー源、【魔石】が取れるからである。そんな金になる木には命知らずのバカアホがよく集まるらしい。俺はその中の1人になれと言われているのだ。


 言うまでもないが、迷宮の魔物退治は危険極まりない。

 

 魔物退治専門の冒険者ほんしょくでさえ、

人を揃え、装備を揃え、道具を揃え、対象の情報を頭に叩き込んでから、安全に倒せる魔物を選び狩るのが普通なのだ。しかし、借金漬けの貧乏にまともな装備などあるはずがない。


 だけど、仕方ないだろう?誰のせいでもない。


 親が普通を五段くらい超えるレベルのお人好しで、借金にまみれたのも。


 病で死んでったのも。


 俺が1人残され聞くのも億劫になるレベルの借金を負わされたのも。


 全部、誰のせいでもない。誰かのせいにしたって現状が変わるわけではない。


 きっとそういう運命だったと信じるしかないのだ。

 強いて言うならば自分次第。


 人生は自己責任なのだ。


 でも、これだけは聞いておかなければ。


「…………武器とかある?」



 返答はイエスだった。あの後倉庫に案内された俺は長めの片刃剣、たしか、遠い東の都市のカタナ?とかいった種類の武器を手に取った。


 少し長めのカタナに少し短めのカタナ。長い方は主武器。短い方は狭いところや予備用。どちらも碌な手入れもされていないせいか錆まみれでボロボロだったが、ないよりはマシだろう。文句は言えない。防具は軽装備に収めた。慣れないうちにフルプレートアーマーとかつけたら動けなくなる気しかしない。


「…………ワンチャン、ツルハシとかのほうが強いのでは?」


 いや、多分そんなことはない………はずだ。何とも言えない感情のまま俺は石畳から立ち上がり、腰にぶら下げたカタナを撫でながら小迷宮の前に立つ。


「ーーーすう、はあ」


 深呼吸を一回、二回、三回と続ける。心がざわつく。落ち着かない。怖い。いろんな感情が溢れ出た。


「人生は自己責任。死ぬも生きるも自分次第。ーーーーよし!」


 頬を叩き、気を引き締める。この石造りの入り口の向こうは暗闇。

 発生したばかりでまだ名前もついていない小迷宮。


 俺は躊躇いなく暗闇に足を踏み入れた。


 冷気が肌に触れ、空気が重くなり、光が消える。いくつかの視線を感じた。


 暗闇は急速に薄れ、うっすら見えるようになる。おそらく暗視Ⅱの効果だろう。それ以外考えられない。


「ーーーっ!?」

『ギャギャギャ!!』


 緑色の肌に醜い顔。子供体型の魔物、小鬼ゴブリンがバタバタと音を立てて迫り来る。

 後に2体続いている。合計3体の小鬼が襲ってきた。


 それぞれが棍棒を持っている。しかし、こちらだって得物は持っているのだ。幼少に少しだけ振っていたくらいだが。


「たしか………ーーーっは!!」

『ーーッグギャ!?』


 カタナを構え、横薙ぎに振るう。しかし、やはり切れ味は最悪だったようで長い棒でぶん殴ったかのような、そんな音が鳴り小鬼が横に吹っ飛んだ。首に命中したから、おそらく絶命は果たせるだろう。サラサラとその身体は灰へと変わっていく。その手に掴んでいた棍棒は離れて飛んでいった。


『『グギゲゲ!!』』


 同族意識でもあるのだろうか?すこしだけ残り二体の小鬼の顔が歪んだ気がする。少し前傾姿勢を取り、奴らは更に加速した。

 ユーリから少し離れた距離で左右で分かれ、挟み撃ちのような形で襲いかかる。


『ーーーッギャァ!!』

『ーーーッグギャ!!』

「ーーーっく!?」


 なんとか転がりながら回避する。そして、転がった先では先ほど落とさせた棍棒があった。それを迷わず手に取る。


 こちらが回避に労したのを見て余裕が湧いたのだろう。興奮しているのかもしれないが、先ほどより激しさを増した小鬼たちは猛攻を途切れさせまいとこちらに走り寄る。


(さっきは対応が間に合わなかっただけだ。二体ではなく、一体ずつなら)

「ーーーっらぁ!!」

『グッ!?』


 1体の小鬼に棍棒を投げつけ,怯ませる。強制的に一対一を作る作戦だ。即興だが。

 今のうちにこちらから接近する。カタナを構え斜め上からその刃を斜めに振り下ろす。そしてこれでは傷が浅いのもわかっている。


「っだあ!!」

『ギッ………」


 腰に差していた短い方を抜き首に突き刺す。少し抵抗を感じたが、何とか刃が入ったようでズルズルと根元まで入って行った。小鬼が口から赤が混ざった泡を吐きその身体の痙攣を止めた。絶命したようだ。灰になり始めた。


『…………』


 ユーリの背後から、残った1体が忍び寄る。ズルズルと音を立てずに近づいている。しかし、ここは迷宮。そこら中に小石は転がっている。カランと音が鳴った。


「ーーーーっまだもう一体いた!!」

『ーーーっギッ!?』


 振り向くと同時に剣を振る。近くまで来ていたのもあって頭に命中した一撃は小鬼の脳を揺らし、倒れさせた。


「はあ、はあ」

『グ………ギ………』


 足で押さえつけ、その首にカタナを突き立て押し込んでいく。小鬼の足が、腕が、バタバタと暴れる。そして、カタナの先端が首に入り込み、貫通した。ゴボゴボと赤い泡を吐く。そして痙攣を止め絶命した小鬼は最後までこちらを睨むのをやめなかった。その様は人類の敵対種という呼び名に遜色ない命の散り際だっただろう。


「はあ、はあ、たお……した」


 コロコロと転がる三つの紫色の石、魔石を拾い迷宮の奥へとユーリは灰色の髪を揺らして、歩み出した。






 

 


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