第二話 帝王候補
聖空はメルティア城へ向かった。
昨日、メアリに朝早く来るようにと言われたからだ。そして1人で来るようにとも言われた。だから、1人でメルティア城へ向かっていた。
聖空がメルティア城に着くと門の前に誰かがいた。
「聖空くんね。メアリ様から聞いています。私は今回、案内役として抜擢されました、リシア・オルディナと言います。」
リシアは丁寧に挨拶をした。僕はその挨拶を返した。
「おはようございます。リシアさんは確か、国家法律部隊総長ですか?」
聖空は目的地へ案内してくれているリシアに話を聞いた。
「そうですね。私はその部隊の総長ですよ。聖空くんのことはメアリ様から聞いていますよ。頑張ってくださいね。私も楽しみにしていますからね。」
聖空はリシアからでた、答えについて疑問に思った
(頑張る? 楽しみにしている?
どういうことなんだろ?修行の結果を見せ合うとか?それならメアリ師匠が……)
聖空は考えた。考えた結果、結論がでた。
(そっか師匠のことだからわざと言わなかったのか。これはもともと師匠が呼び出したこと、あの人ならしそうなことだ。)
そう思っていると、目的地についた。
そこはメルティア城の庭園であった。
ここはメルティア家か神世界帝王が認めた人しか入れない場所である。
「目的地に到着しました。そのままこの場所で待っててくださいね。」
そう言うとリシアは、庭園から離れた。
庭園にはいろんな者がいた。聖空からしたら、知っている者もいれば知らない者もいた。
庭園で待っていると後ろから声が聞こえた。
「せいくん、おはよう。」
振り向くと後ろにいたのはレミアだった。
「レミア、おはよう。呼ばれてたのは、僕たちだけじゃなかったんだね。」
「そうだね。お兄様もいるしね。ほらあそこに。」
レミアは笑って答えた。指を差したほうにはレミアのお兄さんがいた。
「ノアさんも来てるんだね。」
「うん、けどお姉様は呼ばれてないんだよね。」
確かにレミアのお姉さんはいなかった。
「今日は、なにがあるんだろうね。」
「私も知らされてないから、わからないな。」
聖空とレミアが話していると城から、メアリが出てきた。
「みなさん、集まっていますね。今日お呼びしたのは、あなたたちが選ばれし者だからです。」
メアリは話を続けた。聖空たちはその話を真剣に聞いた。
「単刀直入に言いますと、みなさんを帝王候補に任命します。これが今回、帝王候補に選ばれた者の名前です。」
メアリは能力で大きな紙を出しそれを広げた。そこには帝王候補の候補生の名前が書かれていた。人数は20名だ。各世界から5名ずつ書かれていた。
「帝王候補とは、次期帝王となる資格を持つ者たちです。
血筋は問いません。必要なのは、知識、技術、そして覚悟です。」
帝王候補という言葉を聞いた聖空は体が硬直した。なにせ涼風家は今までの帝王の血筋の中に入っていなかった。そのため、聖空は心の中は動揺した。
(そんな……、僕が帝王候補だなんて、)
聖空自身、帝王候補に選ばれるなんてありえないと思っていた。理由は明白でレミアのお兄さん、ノア・メルティアがいたからだ。
ノアは次期神世界帝王になるであろうと言われた男だった。そのため、聖空は動揺と同時に帝王候補に選ばれても帝王にはなれないと思っていたのだ。
「せいくん、大丈夫? 顔色が悪いよ。」
聖空の硬直を解いたのはレミアだった。
「大丈夫だよ。少し驚いただけだから。」
「そうだね〜。特にせいくんの涼風家は帝王の血筋にはないから、大変なんじゃない?」
「そうだね。誰かからは一族の希望とか言われて、重圧に押しつぶ……されることはないか。」
聖空とレミアは話していた。
周りにいた人たちもがやがやしていた。
その声を断ち切ったのはメアリだった。
「では説明しますね。帝王候補になった者たちは各世界の帝王から試練を受け全ての試練が終われば資格をえてその中から4名を決めることになっています。
4名なので帝王の席は4つになります。早いもの勝ちではありませんので誤解がないようにお願いします。」
聖空は心の中で考えた。
(つまり試練が早く終わっても遅く終わっても選ばれるのは平等と言うことだね。)
「決まればそこで終了となります。試練中でも他の誰かが決まれば、試練は強制終了されます。
つまり早いもの勝ちではありませんがいつ次期帝王が決まるかはわからないということです。しかも、脱落者だって出てくることもありますし、死ぬ危険もある道です。」
メアリはわざと恐怖を与えるように言った。
(死ぬことはありませんが、脱落はありますでしょうね。前回はたくさん脱落して結局残ったのは20人中6名でしたね。)
メアリは心の中で思いながら、話を続けた。
「では、私の試練を発表しますね。私の試練名は『力を封じた状態で神世界にある、部隊総長の試練を受けること』です。
試練の意味は自分で考えてください。最初の部隊総長は指定します。そこへ向かってください。」
メアリは最初の部隊総長の試練場所を言った。
これから、聖空はいろんな試練を受けていく。
それが、命だけでなく「在り方」すら問われる道だということを、
この時の聖空は、まだ知らなかった。




