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【実は狐の眷属です!真白と紡の神社日誌】眷属と主神様が織りなす物語  作者: 稲荷寿司
【実は狐の眷属です真白と紡の神社日誌】        ―神無月/合同任務―【偵察編】

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小さな守り星は恩返しがしたいんです!

今回もお読みいただき、ありがとうございます。

(*´∀`)

火の童子かのこどうじは、

ユッキーの気配を追って、

ひと足先に天然石売り場へとたどり着いた。


売り場に立つ笑成えなのもとへ近づき、

声を張る。



火の童子

「ユッキー!

 あたいやで!火の童子や!

 元気にしとるか?」



笑成は一瞬、

はっとしたように動きを止めたが、

すぐに何事もなかったかのように、

ガラスケースの清掃へと戻る。


すると――

その胸元から、ふわりと光が溢れ、


笑成の中から、

小さな精霊が飛び出してきた。



ユッキー

「火の童子様!!

 こんなに早く、

 また会えるなんて……

 嬉しいです!!」



ユッキーは、

会えた喜びを隠しきれない様子で、

小さな手足をぱたぱたと動かす。



火の童子

「ちょっとやぼようでな!

 けどユッキーも元気そうで

 なによりや!


 ちゃんと主人のことも

 守っとるみたいやしな!」



ユッキーは、

ぱたぱたしていた手足をぴたりと止めると、

少し気恥ずかしそうに身をすくめた。



ユッキー

「そ、そんな……

 ちゃんとできてるかは

 分かりませんけど……」



小さな手を胸の前でぎゅっと握りしめたあと、

照れながら頬のあたりを小さくかいた。


そして、

話題を変えるように顔を上げる。


「それより……

 火の童子様、

 今日はお一人ですか?」



火の童子

「ちゃうちゃう!」



二人が楽しげに言葉を交わしていると――




真白

「僕たちも一緒ですよ。

 ユッキーさん、

 お元気そうですね」



真白はそう言って、

ユッキーへやさしく微笑みかけた。



大和

「小さな精霊様、

 お久しぶりです」



ユッキー

「真白様!大和さん!


 えっ……

 皆さんに会えたのは

 嬉しいですけど……

 また何か、

 良くないことですか?」



少し不安そうに、

ユッキーは三人の顔を見回す。



真白は、不安そうなユッキーに穏やかな笑みを向けてから、口を開く。



真白

「そうではないのですが、少し

 調べたいことがありまして。


 その後、

 笑成さんや、

 あの店長さんの様子は

 どうですか?」



ユッキー

「えっと……

 あの嫌な気配や、

 黒いモヤモヤは

 最近、薄れてきて……


 笑成の中には、

 もう現れなくなりました!


 ……それと……」



言い淀んだユッキーは、

少し考えたあと、



ユッキー

「ちょっと……

 待っててください」



そう一言残すと、

笑成のもとへ飛んでいき、

そのまま彼女の中へと戻った。


その様子を見守っていると、

笑成がこちらへ歩み寄ってきて、

真白と大和に声をかける。



笑成

「真白さん、

 お久しぶりですね。


 あの時は……

 本当にありがとうございました」



真白

「いえ。

 たまたま居合わせただけですので」



笑成は真白に先日のお礼を言うと、

そのまま隣にいる大和へと視線を移した。


真白

「こちらは僕の友人の大和さんと言います。」



大和

「はじめまして、大和です。」



笑成

「はじめまして、笑成です!」



「それでなんですけど……なんて言ったらいいか……あの、このあと私、休憩に入るんですけど少しお時間ってありますか?」



真白と大和は、

顔を見合わせ、

少しだけ不思議そうにしながらも――



真白

「大丈夫ですよ」



笑成

「良かった!


 それじゃあ……

 あの公園で、

 お話ししてもいいですか?」



真白

「えぇ。

 では、あの公園で

 お待ちしていますね」



そうして、

真白、大和、火の童子の三人は、

先に公園へ向かい、

笑成を待つことになった。



火の童子

「なんやろなぁ……


 ユッキーの宿主が

 話したい言うなんて。


 ユッキーも、

 あの子の中に戻ってから

 出てこんしな」



真白

「あの施設を出てから、

 ということは……


 なにか、

 穢れに関する

 相談事かもしれませんね」



大和

「あの……

 僕、少し気になったんですが」



火の童子

「なんや?」



大和

「もしかしたら……

 あの笑成さん、

 火の童子が

 見えているかもしれません」



火の童子

「ほんまか!?」



真白

「大和さん、

 どうしてそう思われたのですか?」



大和

「火の童子が

 ユッキーさんと

 会話していた時……


 彼女の視線が、

 火の童子と

 ユッキーさんを

 しっかり追っていて、


 とても微笑ましい表情を

 していたんです。


 だから……

 もしかしたら、と」



火の童子

「たしかに……


 最初にユッキーのこと

 呼んだ時も、

 ちょっと驚いた顔

 しとった気がするなぁ」



そんな話をしていると――



向こうから、

笑成がこちらへ歩いてくるのが見えた。


その隣には、

ユッキーが

ふわふわと寄り添うように、

浮かんでいる。


三人は、

その姿を見て、

静かに言葉を止めた。



ユッキー

「真白様! 火の童子様! 大和さん!

 お待たせしました!」



ユッキー

「さぁ!

 笑成、真白様にお話するのよ!」



ユッキーと笑成のやり取りを見ていた大和は、

優しく笑成に告げた。



大和

「やはり、

 見えていらっしゃったのですね」



真白

「大和さんの予想通りでしたね」



火の童子

「こりゃ驚いたなぁ。

 お嬢さん、

 あたいが見えとるんか?」



笑成

「はい!

 ユッキーのことを

 大きな声で呼んでいたので、

 びっくりしました!


 なぜかは分からないんですけど……

 あの真白さんと

 優羽さんに家まで送ってもらった

 日から、


 ユッキーが

 見えるようになって。


 そのうち、

 ユッキーが話していることも

 分かるようになって……。


 最初は

 すごく驚いたんですけど、

 今は

 ユッキーと話せるのが

 嬉しくて」



火の童子

「せやったら、

 さっき言ってくれたら

 よかったやん!」



大和

「火の童子。

 そんなに簡単なことじゃないよ。


 他の人には見えないものが

 見えているってことを、

 受け入れてくれる人ばかりじゃないからね」



笑成

「……全くそのとおりです。


 怖がる人もいますし……。

 だから普段は、

 見えないふりをして

 過ごしています」



火の童子

「人の子の世の中は、

 相変わらず面倒やなぁ」



大和

「まぁ、

 まだましには

 なってきてるけどね。


 ところで、

 笑成さん。

 お話したいことって?」



笑成

「私が……というより、

 ユッキーが……」



ユッキー

「真白様たち、

 笑成の会社を

 調べに来たんですよね?」



ユッキー

「笑成の会社は、

 真白様たちが

 笑成を助けてくれた後、

 すごく過ごしやすくなったんです!


 でも……。

 あの黒いモヤモヤ、

 他の場所からも

 感じるようになって。


 だから、

 あたしと笑成も、

 なにかお手伝いできないかと

 思って!」



突然のユッキーからの提案に、

真白と火の童子と大和は、

思わず顔を見合わせた。



大和

「……いえ。

 一般の方に、

 そんなことは

 させられませんよ」



ユッキー

「でも!

 あたしも笑成も、

 皆さんに助けていただいたので、

 恩返しがしたいんです!」



ユッキーが必死に訴える横で、

笑成も、

こくこくと大きく頷いている。



笑成

「あの日、

 真白さんと優羽さんに、

 ブレスレットを外して

 自宅で過ごすように

 教えてもらったから……


 また、

 ユッキーと過ごせるように

 なったんです。


 だから……

 わたしも、

 その恩返しが

 したいんです!!」

 


大和

(えっ……絶対、駄目だよ。


 しかもこの人、

 なんでこんなに

 すんなり適応してるの……?


 普通、

 もっと驚くでしょ……!?)


(……でも今回は、

 真白様も一緒だ。


 きっと真白様なら、

 ちゃんと断ってくれるはず。


 良かった……

 一番常識的な眷属と

 同じ班で……)


 大和は、

 真白なら

 うまく断ってくれるだろうと、


 そう信じて、

 事の行く末を

 見守っていた。


――その時だった。




火の童子

「そりゃあ助かるわ!

 なぁ真白!


 あの建物、

 詳しい仲間おったほうが

 やりやすいやろ!」



大和

(えっ!何言い出してんの?!)



真白

「……確かにそうですが、

 笑成さんに

 まったく危険が無いわけでは

 ありませんから。


 それは、

 少し考えさせてください……」



その言葉に、

大和は思わず息を吐いた。


張りつめていた肩の力が、

ふっと抜ける。


(……よかった。

 ちゃんと止めてくれた……)


大和は火の童子を

じっと見つめる。


――頼むから、

 余計なことは言わないで。


大和がそう思っていることなど、

火の童子が知る由もなく。



火の童子

(確かに真白の言う通りやな……

 いくら精霊持ち言うても、

 普通の人の子やさかい

 何かあったら――


 ……ってなんや?

 大和がめちゃくちゃ

 必死にうったえとるな。


 はぁ~ん。

 やっぱ中に詳しい仲間が

 欲しい思ってんのやな。


 よっしゃ、任せときぃー!)



火の童子は大和の力強い視線に、

「分かっとる!安心せい!」

 と言う思いを込めて

 強く頷いた。



大和

(良かった!火の童子も僕の視線に気付いて察してくれたっぽい!)



大和も、

火の童子が自分の意図に

気づいてくれたのだと信じ、


ほっと胸をなで下ろした。


――これで大丈夫。

 この話は、ここで終わる。


そう思い、

次の話題へ移ろうとした、

その時だった。



大和

「では――」



火の童子

「真白!

 心配なんは分かるけどな!


 やっぱり建物の中を調べるんなら、

 中に詳しい人がおった方が

 やりやすいやろ!」


「あたいと蒼が

 常に一緒におれば、

 危険なことなんて

 あるわけないしな!


 むしろ――

 その方が安全や!」



大和

(えっ……)



突然の火の童子の発言に、

大和の思考は完全に停止した。



真白

「……それも、そうですね。


 中で迷って

 気取られるくらいなら、

 案内役がいたほうが

 いいかもしれません」


「それに――

 おっしゃる通り、

 火の童子様と蒼さんのそばにいるのなら、

 一番安全と言えますね」



自分の意図とは

真逆の展開に、


大和の頭は

真っ白になった。



大和

「えっ!? 

 なんで!! 


 そんなこと、

 駄目に決まって……っ!

 聞いてない……!」



しかし――

時すでに遅しだった。



真白と火の童子の言葉に、

ユッキーと笑成は

顔を見合わせ、


そして――



ユッキー

「はい! 

 お任せください!」



笑成も、

にこりと微笑みながら、

大きく頷く。



その様子を見て、

火の童子は満足そうに、

どや顔で大和へと視線を送った。



すべてが決まり、

場の空気が落ち着いた頃――



真白は、

ほっと胸をなで下ろすように

穏やかな笑みを浮かべて、


大和へと告げる。



真白

「では――

 この面々で、

 頑張りましょう」



その言葉は、

あまりにもやさしくて。



大和

(真白様……

 その微笑みは、

 さすがに……ずるいですよ……)



抗議の声は、

胸の奥に飲み込まれたまま――


大和は、

楽しそうに頷き合う

ユッキーと笑成を見つめ、

小さく息を吐いた。


(……仕方ないな)


そんな気持ちが、

ほんの少しだけ、

胸の中でやわらいでいた。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回もお付き合いいただけましたら幸いです。

(*´∀`*)

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