澪斗の発言、火気厳禁
本日もお読みいただき、ありがとうございます。
今回は調査に向けた準備回……のはずが、
少し(?)賑やかな一幕となっております。
楽しんでいただけましたら幸いです。(*´∀`*)
各神社への主神様への報告と増員要請がひと通り終わり、
調査隊を編成するため、再び豊穣神社に皆が集まっていた。
紡
「あの、どうしてうちの神社で集まるんですか?」
真白
「それはね紡。あの施設の影響は、龍神神社や焔神社にも及んでいたからなんだ」
紡
「なるほど…って!み、澪斗さん!こ、こんにちはです!」
優羽
「ちょっと澪斗いちいち紡に嫉妬しないでくれる?」
澪斗
「いや、別に嫉妬してるわけじゃ…」
火の童子
「いや!しとるやろ!目つき怖いねん
紡が気の毒や!」
紡
「あっ、あの……真白様が素敵なのは、僕もよく分かります。
でも僕は……
真白様のように、立派な眷属になりたいだけなんです」
少し照れたように言葉を区切り、紡は続けた。
「だから……澪斗さんが心配するような気持ちは、
真白様には抱いていません」
そして、少しだけ間を置いてから。
「どちらかと言うと……
僕は、優羽さんの事が…その…
だから、安心してください!」
紡はぱっと輝く笑顔で告げた。
その場に、ふっと小さな沈黙が落ちた。
澪斗
「へぇ……君、真白様の立派さが分かるなんて、
なかなか見る目あるね」
少しだけ間を置き、口の端を上げる。
「でも、優羽の方がいいなんて……
変わってるね」
縁
(こりゃ驚いた、紡と澪斗君のやり取りで少し真白君がしゅんとしてしまうなんて…ダメな子程可愛いってやつなの?!)
火の童子
「その発言は大和には酷や…」
蒼
「大和大丈夫?…優羽は大和のこと大好きだよきっと…ねっ?優羽」
優羽
「えぇもちろんです!大和君も紡もみーんな大好きですよ!」
澪斗
(うわぁ…大和君かわいそー相変わらず鈍感なんだよな…)
大和
「…………ありがとうございます……紡様、
僕は……諦めませんから……」
穏やかな声とは裏腹に、
その言葉には確かな意思が宿っていた。
少し照れたように優羽を見つめ、
大和は小さく息をつく。
「……っと、すみません。
ご紹介が遅れましたね」
大和は場の空気を切り替えるように、背筋を正した。
「こちらは、火の童子と同じ――
火の眷属の蒼です」
「今回、皆さんと一緒に調査班に入ることになりました」
「すでに面識のある方もいらっしゃいますが、
初めての方もいますので……」
そう言って、蒼の方へ視線を向けた。
「蒼、挨拶をお願いしてもいいかな」
蒼はその語り口調と同じようにふわふわしながら少し前に出て、
蒼
「…うん、えっと火の童子と同じ火の眷属の蒼と申します、以後お見知りおきを…」
澪斗
「へぇ…君、火の眷属なのに凄く礼儀正しいんだね…」
澪斗は蒼に向けていた視線をチラリと火の童子に向けてから、
「火の童子様とは全然違うと言うか、上品ですね。凄くいいと思いますよ!」
火の童子
「澪斗、あたいのげんこつが恋しいみたいやなぁ…」
澪斗
「えっ!ちょっと素直に思ったこと言っただけじゃないですか?!」
優羽
(うわぁ…あいからわずデリカシーないやつなんだよね…)
縁
「まぁまぁ火の童子落ち着いて、澪斗君へのげんこつは後にして、調査について話し合いを先にしようよ」
火の童子
「せやな…話し合い終わったら待っとれよ澪斗…」
澪斗
(…すぐ帰ろう…あの目は本気だ…)
真白
「所で澪斗さん、今日は静音様は一緒ではなかったのですか?」
澪斗
「あぁそれが、留守居役がまだ現世に降りてきていなくて、すみません僕だけになります。」
火の童子
「珍しいな!龍神の眷属は皆優等生やのに、眷属の数が足りんわけでもないやろ?」
澪斗
「もちろんですよ!ただ、丁度龍神祭のお焚き上げと時期が被ってしまっただけですよ!」
火の童子
「あぁそうか、確かにそんな時期やったな。すまんすまん」
澪斗
「もう、忘れないでくださいよ!火の童子様もお年のようですし、蒼さんに継承して、天界に戻ったらどうですか?」
境内の空気が、少しだけざわついた。
火の童子
「…………澪斗。
話し合いの前に、一緒に表に行こか……」
その瞬間、火の童子の周囲で、
感情に煽られるように火の粉がぱちぱちと宙を舞った。
火の童子の様子に、
蒼と大和の表情にも、はっきりと焦りが浮かんだ。
大和
(まずい……まずい……まずいよ……!
久しぶりに、めちゃくちゃ怒ってるじゃん……!
ど、どうしよう……
爆発なんかされたら、ほんとにまずいって……!)
澪斗
(えっ?!なんでめっちゃくちゃ怒ってんの?!えっ!怖すぎなんだけど!!)
大和
「だ、駄目だよ!火の童子はまだまだ現役で居てもらわないと僕が困っちゃうからねっ!」
蒼
「……蒼も、困る」
縁
「ほら!火の童子、大和君も蒼もこう言ってるし、それに僕だって火の童子が天界に戻っちゃったら寂しいからねっ!だからさ機嫌なおしてねっ!」
真白
「僕も寂しいです。
火の童子さま……少し、お疲れなのかもしれませんね。
こちらを、どうぞ」
そう優しく語りかけながら宙に浮かぶ火の童子の目線に合わせるよう、
真白は静かに視線を落とした。
それから、
特製の琥珀糖をそっと差し出す。
白く淡い光を帯びたその飴からは、
穏やかな神気が、静かに滲んでいた。
火の童子はしばらくのあいだ無言のまま、
澪斗を真顔で睨みつけていたが――
やがて、そのまま琥珀糖を口の中へ放り込んだ。
火の童子
「真白のこの飴玉は相変わらずうまいのぅ…それになんか落ち着くねんな。」
真白の琥珀糖と、
大和、蒼、縁の必死のご機嫌取りのおかげで、
チリチリと舞っていた火の粉は、やがて静かに消えていった。
張りつめていた空気がふっと緩み、
境内には、いつもの穏やかな風が戻ってくる。
そして——
澪斗の背後に、
いつの間にか静かに立っていた縁が、
にこやかに肩へ手を置いた。
「澪斗くん。少し、いいかな?」
——口元はにこやかなのに、
縁の目だけが、静かに澪斗を捉えていた。
こうして澪斗は、
縁から人生初のお説教を受けることになるのだが、
それは、また別のお話。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
澪斗の一言が引き起こした、ちょっとした騒動回でした。(*´艸`*)
次回はいよいよ調査が本格的に動き出します。
引き続き、お付き合いいただけましたら嬉しいです。




