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【実は狐の眷属です!真白と紡の神社日誌】眷属と主神様が織りなす物語  作者: 稲荷寿司
【実は狐の眷属です真白と紡の神社日誌】        ―神無月/合同任務―【偵察編】

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豊穣神の憂い――案じながら、見送って

新年ですね☆今年もよろしくお願いいたします☆


本日も、お読みいただき、ありがとうございます。

最後までお付き合いいただければ嬉しいです(*´∀`)

---


女神

「人の中に潜む悪鬼ですか……

 そのような事象は、初めてですね……」


女神様は、ゆっくりと視線を伏せた。


天界を満たす柔らかな光が、

その長い睫毛に影を落とし、

一瞬、静寂が場を包む。


白く澄んだ空気の奥で、

風のような神気が、かすかに揺れた。


それは驚きというよりも、

慎重に事実を量ろうとする――

主神としての沈思ちんしだった。



えにし

「主神様……」



縁は一歩、静かに前へ進み出る。


普段は穏やかなその表情に、

わずかに険しさが滲んでいた。


「もうすぐ神無月。

 各地の神々が不在となるこの時期に、

 起きていることが……どうにも、気になります」


そう告げると、

縁はすっと背筋を伸ばし、

尾を静かに地へ垂らしたまま、

天を仰ぐように視線を上げる。


それは疑念ではなく、

長き時を神殿で見守ってきた者の、

経験からくる危惧だった。



真白

「それに、澪斗みなとさんの言う通り……

 精霊を取り込もうとしたことも、気になります……」


真白は言葉を選ぶように、

一拍の間を置いてから、静かに続けた。


精霊は、

人にも、悪しき者にも、

容易に触れられる存在ではない。


ましてや――

その力を取り込もうとするなど、

想像すら、したことがなかった。



女神

「悪しき者が、

 神聖なる光を取り込むことは、

 本来、不可能なはずです」


女神様の声音は、

どこまでも落ち着いていたが、

その奥には、微かな緊張が滲んでいた。


「それが出来るということは……

 考えたくはありませんが……」


言葉の途中で、

女神様はわずかに視線を伏せる。


その沈黙が、

答えを口にしないまま、

真実の重さだけを、

場に落としていった。



真白も縁も、

その続きを聞かずとも、

主神様が何を言おうとしているのか――

すでに、想像はついていた。


天界に仕える者として、

決して口にしてはならない名。


禁じられ、

封じられ、

忘れ去られるべき存在。


その気配が、

人の世の出来事と、

静かにつながっているのだとしたら――


場の空気は、

いつしか、冷えた緊張に包まれていた。



女神

「――禁忌の眷属か、

 名を失った神。

 そのどちらかが、

 悪鬼に知恵を授けているのでしょう……」



真白

「龍神の守護する土地で起きていること、

 そして焔神社に参拝している

 人の子が影響を受けている点を考えると……


 龍神様か、炎神様の

 禁忌の眷属の可能性が

 高いかもしれませんね」



「あるいは……

 たまたま、名を失った神と悪鬼が

 出会ってしまったか……」



女神

「確かに、

 精査する必要がありますね……。


 留守居役を数体、

 討伐員も送りましょう……」



女神

「真白も、縁も。

 御身を大切に、

 気をつけて調査に当たりなさい。


 そなたらは――

 愛しく、大切な、

 私の子なのですから」



真白は嬉しそうに、

「はい!」



縁も、どこか照れたように、

「かしこまりました。」



女神

「それから……

 紡と優羽にも、

 御身を大切に調査にあたるようにと、

 伝えなさい」



「はい、主神様」



女神

「それでは――

 現世へ戻る前に、

 真白、縁。

 こちらへ」



真白・縁

「……はい」



二人が歩み寄ると、

天界の光が、

そっと足元を照らした。



女神

「そなたらは、

 本当によくやっています」


その声は、

命じるものではなく、

労わるように、包み込むように響く。


「これからも……

 頼みましたよ」



女神はそう告げると、

温かな手で、

真白と縁の頭を

何度か、やさしく撫でた。


そのぬくもりに、

真白は思わず目を細め、

縁もまた、

静かに尾を揺らした。



次の瞬間――

柔らかな光が二人を包み込み、

その姿は、

静かに現世へと送り出されていった。



−−−



女神の声は、

いつもと変わらぬ穏やかさを保ちながらも、

その奥に、静かな警戒を含んでいた。



女神

菖蒲あやめ。」



主神がその名を呼ぶと、

艶やかな黒い毛並みの眷属が、

主神の前に静かに姿を現した。



主神は菖蒲に、

いつもと変わらぬ穏やかな声色で、告げた。



「急ぎ、縁のもとへ――

 留守居役を数名、

 それから、討伐員も二名、送ってあげなさい……」


その言葉は、

縁と真白からもたらされた現世の状況を踏まえた、

静かな決定だった。



菖蒲

「かしこまりました主神様」



その言葉を受け、

菖蒲と呼ばれた眷属は、

背筋を正し、

深く、静かに一礼した。



女神

「討伐員は、手練を……

 優羽が、悪鬼を殲滅の際に、

 重症を負わされてしまったので……」



菖蒲

「あの優羽が……ですか?!」



その一言が示す事実の重さを、

菖蒲は即座に理解する。


思わず漏れた声には、

驚きとともに、

事態を測りかねる緊張が滲んでいた。



女神は、ゆっくりと頷く。



女神

「えぇ。

 油断していたとはいえ、

 優羽の実力は、

 上位の討伐員に数えられる者です」


「その優羽が、

 重傷を負うほどの相手――

 決して、侮れる存在ではありません」



菖蒲は一度、目を伏せ、

胸の内で状況を整理する。


(優羽は若い眷属ではあるけれど、

 実力と頑丈さは

 上位の討伐員とさほど変わらないはず…)



菖蒲は静かに顔を上げ、

女神の前で深く一礼する。



菖蒲

「主神様。

 その命、承りました」



女神は、静かに小さく頷いた。


その仕草だけで、

命が確かに託されたことが伝わる。



女神

「……頼みましたよ、菖蒲」



その一言には、

確かな信頼が込められていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回もお付き合いいただけましたら幸いです。

(*´∀`*)

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