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【実は狐の眷属です!真白と紡の神社日誌】眷属と主神様が織りなす物語  作者: 稲荷寿司
【実は狐の眷属です真白と紡の神社日誌】        ―神無月/合同任務―【偵察編】

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澪斗の心模様は、だいぶ荒れ模様

今回もお読みいただき、ありがとうございます。

(*´∀`)


物語は少しだけ賑やかで、 少しだけ空模様が荒れるお話になりました。


眷属たちの関係性や感情を、 楽しんでいただけていたら嬉しいです。


どうぞ、最後までお付き合いください。




各神社の眷属たちが、

今後どう動くかを話し合っていた、その最中――


場違いなほど騒がしい、

パタパタという足音が響いた。


「真白様! 優羽さん!

 お帰りなさいませ! ご無事で良かったですー!」


ぱたぱたと駆け寄りながら、

ほっとしたように声を弾ませた。


「ユッキーちゃんは、

 無事にご主人の元へ帰れたようですね!」


一人でも境内の業務をこなせたことが嬉しかった紡は、

ぱっと顔を明るくして真白を見上げ、


嬉しさを隠しきれない様子で、

身振り手振りを交えながら、

また勢いよく続けた。


「僕、今日はすごく頑張ったんです!

 境内も忙しくなかったので

 大丈夫だったんですけど、

 途中からえにし様も

 いなくなっちゃって……って」


一気に話し続けていた紡は、

ふと視線の先に広がる光景に気づき、


社殿の中に集まる

他の眷属たちの存在を認めて、

ぴたりと動きを止めた。


「……あっ。

 ご来客でしたか。

 申し訳ございません……!」


そう口にしたものの、

今さら気づいたことが恥ずかしくなったのか、


どうしていいか分からず、

その場で固まってしまう。


その様子に、

優羽がくすっと笑って声をかけた。


優羽

「紡、今日は一日お留守番ありがとうね。

 ユッキーちゃんは、

 無事に笑成えなさんのもとへ帰れたよ!」


その言葉に、

紡の表情がぱっと和らぐ。


真白は穏やかに微笑み、

そっと紡の頭に手を置いて、

やさしく撫でた。


真白

「えぇ。

 あなたが留守を守っていてくれた

 おかげですね。


 ユッキーさんからも、

 紡に“ありがとう”と

 伝えてほしいと言われていますよ」


照れたまま一瞬視線を伏せてから、

紡はそっと真白を見上げた。


「そんな、

 真白様の日頃の指導のおかげです…」


澪斗

(はぁっ!?えっ?なに?なに?なに?

……え、誰、この子?えっ…今頭撫でてなかった?)


澪斗の視線が、

真白と紡に釘付けになっていることに気づき、


火の童子は、

わずかに眉をひそめた。


次の瞬間、

澪斗の気配がじわりと重くなるのを感じ取り、


内心で(これはあかん…!)と呟く。


慌てて、

爪が食い込むほど強く

澪斗の肩を掴み、


ぐっと顔を近づけた。


火の童子

「おい、澪斗。ストップや。

 今、考えすぎると

 ロクなことにならん」


「縁ん所に最近入った、

 新米眷属の紡や。


 それ以上でも

 以下でもあらへん!」


大和

(さすが澪斗様……

 あの火の童子を焦らすなんて……

 心中お察しします……)


火の童子は素早く

縁の耳元へ身を寄せ、

そっと耳打ちした。


火の童子

「おい、縁。

 なにのほほんと見とんねん!


 澪斗は蛇の眷属やぞ!

 嫉妬深さは、

 眷属の中で一等やぞ!」


眉をひそめて、

声を低くする。


「はよう紡に自己紹介させぇー!

 今すぐや!」


縁は一瞬きょとんとした顔をしてから、

澪斗と真白、紡を順に見比べ、


ゆっくりと

視線を泳がせた。


その途中で、

何かに気づいたように

息を詰める。


その表情から、

穏やかさが消える。


「……まずいな」


慌てた様子を隠すように、

縁は言葉を続けた。


「そっ、そうか。

 澪斗君は後から来たから、

 紡とはまだ

 顔合わせしていなかったね」


真白は、

紡に向けていた穏やかな視線を

澪斗へ向け、


少しだけ

困ったように微笑んだ。


真白

「それは、

 僕の配慮が足らず……

 すみませんでした」


そう言ってから、

紡の背に

軽く手を添える。


「ほら、紡。

 ちゃんと、ご挨拶を」


「はっ、はい!

 ご挨拶が遅れて

 申し訳ございません!」


背筋を伸ばし、

ぴしっと頭を下げる。


「僕は、

 この豊穣神社に最近配属になりました、

 紡と申します。


 以後、

 お見知りおきをお願いします!」


澪斗は一瞬だけ言葉に詰まり、

紡を探るように、

上から下まで

静かに視線を巡らせた。


澪斗

「……へ、へぇ。

 新人眷属、ね」


「僕は龍神神社の眷属で、

 澪斗。

 よろしくね」


口調は軽い。


だが、

その奥に滲む嫉妬心は、

紡に向けられたままだった。


その直後――


火の童子が、

焦ったように天井を仰いだ。


「……あかん」


低く、

腹の底を転がるような音が、

遠くで、

確かに鳴った。


縁もそれを察し、

わずかに

表情を引き締める。


「……まずいですね……」


それから、

澪斗は視線を

真白へ戻す。


澪斗

「でも……なんで

 真白様が指導係なの?


 縁様じゃなくて?」


答えを待つ間に、

神殿の空気が

じわりと軋み、


遠くで雷鳴の予感だけが、

静かに膨らんだ。


そんな澪斗の質問に、

優羽は

ぱっと表情を明るくした。


嬉しそうに身を乗り出し、

何でもないことのように答える。


優羽

「それはねー、

 紡が

 真白様と同じ能力の持ち主だからだよ」


「だから、

 真白様と紡は

 いつも一緒なんだよねー」


にこにこと笑いながら、

無自覚に追撃する。


「真白様、

 紡のこと

 すごく可愛がってるし」


火の童子

「優羽!

 澪斗を挑発すんなや!


 大変なことになるやないか!」


「み、澪斗君。

 真白君は

 紡君のことを

 特別可愛がっているわけじゃないから、


 落ち着こうねっ!」


あまりの二人の慌てぶりに、

大和は一瞬きょとんとし――


次の瞬間、

背筋を走る違和感に、

はっと息を呑んだ。


ピカッ!!!!!!


閃光が空を引き裂き、

遅れて――


ドーン……

ゴロゴロゴロ……

ビシャーン!!!


轟音とともに雷が鳴り響き、

一気に激しい雷雨へと変わる。


雷鳴に合わせて、

神殿の窓がびりりと震え、


境内の木々も、

ざわざわと

大きく揺れ始めた。


思わず視線を上げながら、

大和は内心で

そっと呟く。


大和

(澪斗様……

 推しの隣に、

 あんなふうに懐く新人が現れたら……


 そりゃ、

 情緒も天候も

 荒れますよね……)


その直後だった。


神殿の空気が、

目に見えないほどに

重く沈み、


澪斗の足元から、

ひやりとした気配が

立ち上る。


火の童子

「……あかん。

 どうすんねんこれ…」


縁も空を仰ぎ、

珍しく

言葉を詰まらせた。


「これは……

 雷神様のご機嫌というより、


 完全に

 “眷属の感情”が

 天候に出ているね……」


雷鳴は止まず、

雨は、

まるで感情を洗い流すかのように

降り続いている。


この場に集った

龍神の眷属が、


なかなかに

“厄介な感情”を

抱えているらしいことは、


もはや

疑いようがなかった。


それは、

空模様にまで

影響を及ぼしてしまうほど――


縁と火の童子は、

顔を見合わせながら、


この厄介な事態を

どうしたものかと

頭を抱えた。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

眷属たちの感情が交錯する中で、 少し不穏で、少し賑やかな空気が流れる回となりました。


※雷は自然現象です(眷属除く)


次回もお付き合いいただけましたら幸いです。

(*´∀`*)

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