守った者、守られた者
本日もお読みいただき本当にありがとうございます。
面白く読んでいただけたら幸いです!
(*´∀`*)
真白たちは、倒れている優羽のもとへと駆け寄った。
大和が、静かにその様子を見下ろす。
「……これは、なかなかの深手ですね」
その横で、火の童子が宙を滑るように優羽に近寄り、
脚をちらりと見て、眉をひそめた。
「こりゃあ……
足、折れとるね」
「このままじゃ歩けん。
運んでやらなあかんなぁ」
火の童子は、ふと顔を上げ、
少し離れた場所で倒れている笑成の方を見た。
「倒れとるんが、優羽だけやないからのぅ……
なぁ、真白。ちょい聞いてえぇか?」
そう言ってから、
ゆっくりと真白へ視線を戻す。
「あっちで倒れとるお嬢さんは、
真白と優羽の知り合いかい?」
「いえ。
僕と優羽さんの知り合い、というよりは……」
そう言って、そっとユッキーの光へと視線を向けた。
「こちらのユッキーさんの“主”になります。」
ユッキーの光が、少しだけ前に出た。
(……は、はじめまして!ユッキー、です。)
火の童子は、目を丸くする。
「ほぉ……」
大和も、穏やかに視線を向けた。
「……そういうことでしたか。
私は大和と申します。
焔神社に仕えております」
火の童子は、胸を張るようにくるりと回った。
「んで、あたいが火の童子や。
よろしくな、小さい守り星」
真白は二人に視線を向け、補足するように言った。
「大和さんは焔神社の神主様で、
こちらの火の童子様は、
大和さんの神社の主神様の眷属の方です」
そして、
真白は簡潔に、これまでの経緯を説明した。
ユッキーが精霊となったこと。
笑成のそばで、ずっと彼女を守ってきたこと。
そして――今回の出来事を。
話を聞き終えた火の童子は、
ぽん、と手を打った。
「はぁ〜……
精霊になったばっかりで、ここまでやったんかい」
その視線が、ユッキーへと向く。
「それはすごいわ」
大和も、穏やかにうなずく。
「ええ。
とてもすごいですね。」
火の童子は、にっと笑った。
「若い精霊やのに、
根性あるやないか」
「今回も、よう頑張ったんやね」
その言葉に、
ユッキーの光が、少しだけ――照れたように揺れた。
(……真白様たちが、そばにいてくれたから……
それに、火の童子様と大和さんが、
助けに来てくれたから……)
(だから……
あたし、頑張れたんです)
火の童子は、楽しそうに笑いながら
「こりゃ、素直で可愛らしい精霊やねぇ!
大概、精霊になったもんは高飛車になるもんやのに!」
そして、少しだけ声の調子を変える。
「それに――」
火の童子は、笑成の方へそっと目を向けてから、
くいっと肩をすくめた。
「――主人も、立派なもんや」
「あないに喰われかけて、
それでも戻ってきよった」
「あんたが、よっぽど大切なんや。
傷つかんように、
逃がす時間、稼ごうとしてたみたいやし」
「……根性、ある子や」
「今は……魂が休んどるだけやさかい、
すぐに目ぇ覚ますから安心しぃ」
その言葉に、
ユッキーの光が、ほっと息をつくように揺れた。
(……よかった……)
(でもそのせいで、優羽ちゃんが怪我をしちゃって…)
火の童子は、あっけらかんと言った。
「あぁ、優羽のことなら、大丈夫や!」
「うちら眷属っちゅうもんはな、
元々頑丈やし、
怪我やてすぐ治りよるもんやねん」
「優羽は今、力を使いすぎて
気ぃ失っとるだけやから心配せんでえぇ」
大和が、少し困ったように言う。
「ですが大人2人を運ぶのは骨が折れますね……
どうしたものか……」
真白は一瞬、優羽の脚へと視線を落とし――
それから、大和を見た。
「優羽さんには元の姿に戻っていただいて、
大和さんにお願いしてもいいでしょうか?」
「笑成さんは僕が背負って行きましょう」
火の童子は、ううんと唸った。
「そうしたいんはやまやまなんやけどな、
優羽、足が折れとるやろ」
「今の状態で元の姿戻ったら、
身体にだいぶ負担かかってしまうやろなぁ」
火の童子、真白、大和が
どうしたものかと相談していると――
「あぁー!やっと見つけましたよ!」
皆が一斉に、声の主を見た。
火の童子は、ぱっと顔を明るくする。
「なんや今日はついとるな!」
「あの小僧来たんなら、
運ぶ必要もないわな!」
真白も、状況を察したように言う。
「ええ、そのようです。
ですが……なぜここへ?」
大和が、静かに推測する。
「それは彼に聞かないとわかりませんが……
縁様でしょうかね?」
やって来た青年は、周囲を見回しながら言った。
「ちょっと皆さん勢ぞろいでなに事ですか?!
ものすごい悪鬼の気配と、
祓いの神気と、
火の童子様の焔の気がするから、
様子見てこいって、
うちの神主さまに言われて来てみれば」
ケラケラ笑いながら、火の童子は言う。
「相変わらず、騒がしい小僧やね」
その様子を見ていた大和も、
つられるように笑った。
「全く……
いつも元気ですね」
ユッキーの光が、そっと揺れる。
(……誰かしら?
真白様たちは、知ってる人みたいだけど……)
真白は、やわらかく微笑んだ。
「お久しぶりですね。
澪斗さん」
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(。>﹏<。)




