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【実は狐の眷属です!真白と紡ぎの神社日誌】  作者: 稲荷寿司
【小さな守り星再び!】

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36/50

守り星の違和感

今回もお読みいただき、本当にありがとうございます。

皆さまがページを開いてくださるそのひとつひとつが、

私にとって大きな励みになっています。


《小さな守り星》で登場したユッキーが、

ご主人の身に起きた異変に胸を痛め、勇気を振り絞って駆け込んできました。

ユッキーが抱えていた不安、

そして真白・縁・紡ぎの三人が、

小さな精霊の気持ちに寄り添い、そっと支え励ましていく——

そんな場面を描いています。


今回も、ゆっくりと物語をお楽しみいただけたら幸いです。

いつも本当にありがとうございます。(*´∀`*)




ユッキー・真白・縁の三人は、

ユッキーのご主人に何が起きていたのか、

黒いモヤが現れる前のことから順番に聞き取っていた。


ユッキーは胸の前で小さな手をぎゅっと握りしめながら話す。


「──普段のあの子はね、感情豊かで素直な子よ!

 怒ったり落ち込んだりすることもあったけど……

 そんな時は、あたしが“あなたはよくやってるわよ”って思いを込めると、

 次の日にはけろっと元気になってて……いつも穏やかだったの。」


縁は、その言葉のひとつひとつにそっと耳を傾けていた。


「だけど……少し前からずっと、イライラしてるみたいで……。

 悲しそうで、何をしてても楽しそうじゃなかったの。


 それでも励ませば元気になってくれてたのに……

 帰ってくる頃には、また同じ状態に戻っていて。


 だから今日も、いつものように励ましてあげようと思ったら──


 突然、あの黒いモヤが現れて……」


ユッキーの声が小さくしぼんでいった。


縁はそっとユッキーを見つめ、小さくうなずいた。


「そして、はじき出されてしまったと……なるほど。

 ユッキーちゃんは“念じることで浄化するタイプ”の精霊なんだね。」


「そ、そうなんですか!?」


ぱちぱちと瞬くユッキー。


真白はユッキーの不安を和らげるように、やわらかく微笑む。


「ええ。あなたが込めてきた強い想いが、

 ご主人の心に溜まっていた“穢れ”をそっと祓い、

 ずっと守ってきていたのでしょうね。」


その言葉にユッキーの胸がふるりと揺れた。


(……あたしの想いが……あの子を守ってた……?

 ……そんな………じゃあいつも苦しそうだったのは……

 やっぱり、あの黒いモヤに気付けなかったせい……?)


ユッキーは言葉を失い、小さな手をぎゅっと握る。


気づけば、自分を責める考えに沈み込み、

真白の問いかけにも気づかないほどだった。


「……さん。……ユッキーさん!」


「はっ! ご、ごめんなさい! な、なんでしょうか……?」


真白は心配そうに目を細める。


「大丈夫ですか? ユッキーさん」


「……あたし、あの子を守るために精霊になれたはずなのに……。

 黒いモヤが来るまで、気づいてあげられなくて……

 それに……あの黒いのに負けちゃうなんて……」


真白が口を開こうとした、その時。


「そんなことないです!!」


元気な声が割り込む。


三人が顔を上げると、

手当てを終えた紡ぎが息を弾ませて戻ってきていた。


「ユッキーちゃんは、ご主人を助けるためにここまで走ってきたじゃないですか!!

 それって……すごく勇気がいることなんですよ!!」


真白も優しく微笑む。


「ええ。すぐに僕たちへ知らせに来てくれましたね。

 遅くなんてありません。

 あなたの行動は、ご主人を救うための“最初の一歩”でした。」


しかし、ユッキーは眉尻を下げ、震える声を漏らす。


「でも……

 あたしがあの黒いモヤを消す事が出来てたのなら、

 今日ももっと強く想いを込めていれば……

 あの子をあの黒いモヤから守れたのかもしれないのに……

 あの子……大丈夫かしら……」


ユッキーの瞳に涙がにじむ。


それを見て、縁はそっと首を横に振った。


「いいえ、ユッキーちゃん。精霊の力は本来とても強いものです。

 そのあなたでさえ“弾かれた”というのなら……

 相手にしていたのは、かなり強い『穢れ』だったのでしょう。」


真白も穏やかに続ける。


「それに……もし無理に祓おうとしていたら、

 あなた自身が精霊の身では耐えきれず……

 消えてしまっていたかもしれません。」


ユッキーの小さな体がふるりと震えた。


縁は表情をゆるめ、そっと身をかがめる。


「ユッキーちゃんが消えてしまっていたら、

 ご主人は穢れに心を奪われ、戻れなくなっていたかもしれないよ。


 でもね……」


優しく微笑む。


「ユッキーちゃんがずっと寄り添ってきたから、

 今こうして“助けられる道”が残っているんだ。」


真白はそっとユッキーの手に触れる。


「それに……ご主人にとって、あなたは“唯一無二の守護精霊”です。

 必ず、あの黒いモヤから救い出せます。


 だから……自分を責める必要はありません。

 弱気になれば、その隙を“穢れ”に与えてしまいます。

 いまは、あなた自身が強くいなくてはいけません。」


ユッキーの目がうるうると揺れ、小さな胸が震えた。


紡ぎも力強く頷く。


「そうですよ!

 ユッキーさんはご主人のためにここまで走ってきた、立派で強い精霊なんです!

 穢れなんかに負けちゃダメです!!」


その言葉が、ユッキーの心に火を灯した。


(……そうよ。

 あたし、あの子を守るって決めたじゃない……!

 ぽっと出の黒いモヤになんて負けてられない……!

 あの子の笑顔を取り戻すためにも──絶対に!)


ユッキーはぎゅっと握りこぶしを作り、顔を上げた。


「み、みなさん……ありがとうございます!

 どうか、あの子を元気で優しいあの子に戻すため……

 一緒に力を貸してください!!」


真白・縁・紡

「もちろんです!!」


ユッキーの決意の光に、三人の声が重なった。



お読みいただき、ありがとうございます。

今回はユッキーの不安が少しずつ言葉になり、

真白・縁・紡ぎの三人がその想いを受け止める回となりました。


次回は、いよいよ“黒いモヤ”の正体に迫っていく展開になります。

ユッキーのご主人に何が起きているのか——

真白たちはどのように動き始めるのか。


よければ、次話もお付き合いいただければ嬉しいです。

いつも読んでくださる皆さま、本当にありがとうございます(*´∀`*)

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