追い出された守り星
本日もお読みいただきありがとうございます。(*´∀`*)
今回は、以前「小さな守り星」で登場した
あのユッキーが、再び帰ってきます!
ご主人を大切に思うユッキーの小さな想いが、
今回また新たな物語を動かしていきます。
いつも応援してくださる皆さま、
本当にありがとうございます。
どうか今回も、最後まで温かく見守っていただけたら嬉しいです。
こんにちは、みなさん!
お久しぶりです。覚えていてくれてるかしら?
そう、わたし——ハムスターのユッキーです!
真白様たちのおかげで、
わたしのご主人はすっかり元気になって……
それからずっと、この子の中でのんびり見守っていたんだけどね。
……最近、どうも様子がおかしいの。
前みたいに笑わないし、
夜になるとぼーっとしたまま動かないことが増えて……
かと思えば、急にイライラしたりして、
胸のあたりがずっと、きゅーっと痛そうなの。
「なんかもう、胸がイヤ〜な感じで……
あれは絶対“ただの疲れ”とかじゃありません!
とにかく様子がおかしいんです!」
そう思っていた矢先——
ある日、ご主人の胸の中心に、
黒いモヤモヤが “ぼうっ” って現れたの!
わたしが近づこうとした瞬間——
バチンッ!!
って音がして、
そのまま“弾き飛ばされる”ように体の外へ出されちゃったの!
戻ろうとしても、またバチンッ!
入れない、近づけない……!
(ちょ、ちょっと!? なにこれ!?
ご主人の中に入れないってどういうことよ!?
あの黒いモヤ、絶対普通じゃないわ!!)
もうどうしたらいいのか分からなくて、
ぐるぐる走り回ってたその時——
はっ! 思い出したの。
——そうよ、こんな時に頼れるのは、あの白い眷属様しかいないじゃない!
「真白様なら……真白様なら助けてくれるはず!!」
勢いよく方向転換し、神社へ向かって走り出した。
(ご主人を助けられるのは……きっと真白様だけ!!)
---
そして、数刻前——。
「えぇっと、確かこの辺に朱い鳥居が……
あっ!! あった!! ここだわ!!」
勢いよく鳥居をくぐろうとしたユッキーは——
ゴンッ!!
掃き掃除をしていた紡のおでこに激突した。
「いっ……!? 痛っ……! えっ!? なに……!?」
紡は涙目になりながらユッキーを見る。
「えっ、ユッキーちゃん?! なんでここに——」
ユッキーはその声を遮り、
紡の目の前まで一気に詰め寄った。
「真白様はどこなの!? とにかく大変なの!! 今すぐ会わせて!!」
紡は完全に押され気味で、おでこを押さえながら後ずさる。
「ちょっ、ユッキーちゃん……す、少し落ち着いてください……!
と、とにかくちゃんと案内しますから……!」
その騒がしさに気づいた真白が近づいてきた。
「紡、どうかしたのですか? 何やら賑やかな……。
おや、あなたはユッ——」
真白が名前を言い終える前に——
「真白様!! ご主人が、あの子が変なの!! 大変なのよ!!!」
ユッキーは勢いよく真白に詰め寄り、
ほとんど泣き叫ぶように訴えた。
興奮でうまく言葉にならず——
真白はそっと指先をかざし、光をふわりとまとわせる。
「ユッキーさん、落ち着いてください。大丈夫……ちゃんとお聞きしますから。」
光が触れた瞬間、ユッキーの勢いがすっと和らぐ。
---
真白と紡は、鳥居の前では目立つため少し場所を移し、
ユッキーの話を聞いていた。
(……というわけなんです……)
真白は静かに頷く。
「なるほど。
ご主人の胸に急に黒いモヤが現れ、ユッキーさんは体の外へ弾き出されてしまった……というわけですね。」
そう言ってから、紡へ向き直った。
「紡、縁様を呼んできてもらえますか?」
「はい! すぐお呼びします!」
紡が駆けていく後ろで、
ユッキーは真白の袖をぎゅっとつまむ。
「わ、わたし……もうご主人の中に戻れないんでしょうか……?」
真白はそっと指先を重ねて答える。
「大丈夫ですよ、ユッキーさん。
一緒に原因を調べましょう。
必ず……あなたのご主人を助けます。」
ユッキーの目に、不安と少しの希望が揺れた。
---
——そのころ。
紡は社務所で日誌を書いている縁を見つけた。
「縁様! 真白様が呼んでます!」
縁は立ち上がろうとし——
紡の真っ赤なおでこに目を留めた。
「ちょっと、紡くん。そのおでこ……どうしたんですか?」
「え、えっと……ちょっと精霊がぶつかってきて……」
「精霊が? いったい何したんですか、紡くん?」
「し、してませんよ!
ただ掃き掃除してただけですってば〜……!」
縁はじとっとした目を向けつつも肩をすくめる。
「ふぅ〜ん……まぁいいけど。
で、真白くんはどこにいるの?」
「参拝時間も終わって境内も静かなので、縁側でお待ちです!」
「なるほどね。じゃあ行きましょうか。」
二人は並んで縁側へ向かった。
---
真白のもとへ到着すると——
ちょこんと座ったユッキーが待っていた。
縁はしゃがみ込み、にこっと微笑む。
「はじめまして。私は縁と言います。真白君たちと同じ眷属です。」
ユッキーもぺこっと頭を下げる。
「は、はい! あのっ、私はハムスターのユッキーです! はじめまして!」
真白がそっと説明する。
「ユッキーさんは、以前ご主人を浄化した際に霊格が上がり……
精霊として“形”を得たのです。」
縁は驚き、そして優しく微笑む。
「それは……素晴らしいことですね。
ユッキーちゃん、よほどご主人を想っていたのですね。」
ユッキーはちょこんと胸を張り、どこか誇らしげだった。
「えへへ! もちろんです!
でもね、ご主人もずーっとわたしを大事にしてくれたの!
だから精霊になれたのは……むしろ“ご主人のおかげ”なんです!」
その横で紡が真白の袖を引っ張ってくる。
「真白さま……おでこが……痛いです……。
その……琥珀糖、もらえたり……」
真白は苦笑した。
「残念ですが、紡。
琥珀糖は“心の痛みや穢れ”に作用するものなので……
身体の痛みには効かないのですよ。」
「えぇぇぇ……」
紡の肩がしょんぼり落ちる。
「優羽さんに手当てしてもらった方が早いですよ。」
紡は涙目でうなずく。
ユッキーは手をぱたぱたさせて謝った。
「ご、ごめんなさい……!
わたし、急いでて……前が見えてなかったの……!」
紡は涙目になりながらも笑顔を作る。
「つ、次からは……できれば……
ゆっくり気をつけて来てくださいね……」
「うぅ……気をつけます……!」
二人の様子に縁はくすっと笑った。
「ふふ……ユッキーちゃん、よくやりましたね。」
紡・ユッキー「えっ!?……」
縁は軽く肩を揺らしながら微笑む。
「冗談ですよ。紡くんの“いい反応”が見られて、つい。」
そして真白の方へ向き直り、表情を引き締めた。
「さて……ここに来るまでに、紡くんから大体の事情は聞きました。
真白くん、改めて状況を整理しましょうか。」
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
ユッキーの再登場、いかがでしたでしょうか?
小さな守り星が見せる“新たな兆し”が、
真白たちをどこへ導いていくのか——。
黒いモヤとはなんなのか?
もし続きが気になる!と思っていただけましたら嬉しいです(。>﹏<。)
それでは、次話もどうぞよろしくお願いいたします。
稲荷寿司




