表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【実は狐の眷属です!真白と紡ぎの神社日誌】  作者: 稲荷寿司
【豊穣の舞に遺された想い】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/52

【エピローグ】・真白――白き願い、未来へ

いつもお読みいただき、本当にありがとうございます。


今回は真白目線でのエピローグになります。


切ない展開が続いた巫女編ですが、

このエピローグ〈真白編〉では、少しでも温かく、

そして未来へつながる光を感じていただければ幸いです。(*´∀`*)


どうぞ、最後までゆっくりとお楽しみください!







二人がようやく想いを伝え合い、

語り合い、涙を分かち合っていたその少し離れた場所で——。


純白の光を纏った小さな影が、

静かに二人の再会を見守っていた。


秋穂の「願い」から生まれた眷属——真白である。


 


そのそばで女神は、

まるで幼い子をあやすように笑みを浮かべた。


「真白、母となった魂を取られたようで……寂しいのですか?」


 


真白は小さく首を振った。


「いいえ、主神様。

 我が母なる魂が……ようやく願いを叶え、

 幸せそうにしておられるのを見て……胸のあたりが、ぽかぽかするのです」


 


「ほう……それは人の世で言う“幸せ”や“嬉しい”という感情ですよ。

 嫌いですか?」


 


「いいえ……むしろ、とても心地よいです。

 ですが——あの二人がやっと想いを伝え合えたのに、

 共にいられるのは……ほんの少しだけ。


 そう思うと……胸のあたりが、ぎゅっと痛むのです」


 


女神は細めた瞳で真白を見た。


「それは“哀しみ”や“寂しさ”というものです。

 ……好きですか?」


 


「いいえ……とても苦しいので……なくしてしまいたいです……」


 


「ふふ……真白なら、簡単に出来るはずですよ。

 その苦しみを、何か別の“形”に変えてごらんなさい」


 


真白は胸の奥に生まれた黒い痛みを見つめ、

意識を集中させた。


 


「主神様! 黒い……もやもやした影のようなものが現れました!」


 


「では真白、その黒いもやを……

 そなたの白い光で包んでみなさい」


 


「はい!」


 


真白は白光を広げ、黒い影を包み込む。


 


「主神様……包みました!」


 


「では、そのまま——

 黒い影が消えるほどの光で包み、祓いなさい」


 


真白は白い光を中心に収束させる。


——瞬く間に、黒い影は霧散した。


 


「主神様! 黒いもやが消えました!

 胸の苦しみも……なくなりました!」


 


女神は静かに頷く。


「それが浄化です、真白。

 そなたは人の魂の“願い”から生まれた唯一の眷属。

 ゆえに——人の心の穢れを祓い、感情に寄り添える力を持っているのです」


 


真白は胸に手を当て、そっと息を整えた。


「……人とは、こんな苦しいものを抱えて生きていたのですね。

 その想いを……抱え続けるのは、きっと辛いのでしょう……」


 


「だからこそ、そなたが救ってやりなさい。

 それが眷属として生まれた使命」


 


「はい。

 人が穏やかに生きられるよう……この力で必ず救ってみせます」


 


女神は優しく微笑む。


「頼もしいですね、真白。

 いずれ現世へ降りるその日まで……ここで、ゆっくり力を育てなさい」


 


真白は再び、寄り添う秋穂と稲人へ目を向けた。


 


「主神様……

 我が母なる魂の秋穂様は、もうこの空間に留まる理由がなくなりました。

 再会できたそのすぐあとに離れさせてしまうのは……

 あまりにも可哀想ではありませんか……?」


 


女神は慈しむ眼差しで応えた。


「心配はいりません。

 二人の語らいが終われば——


 来世では必ず結ばれるよう、転生が定まっています」


 


「来世で……結ばれる……」


 


「ええ。

 今世では悪鬼が強く、あまりにも辛い道を歩んでしまいましたからね。

 せめて来世では——平穏な世に生まれ、

 幸せな夫婦として生を始められるよう取り計らっておきましょう」


 


真白の瞳に光が灯る。


「主神様……ありがとうございます……!」


 


胸の奥がふわりと温かく満たされた。


母なる魂・秋穂が、来世でようやく稲人と幸せになれる——

その事実が、たまらなく嬉しかった。


 


(……これが“嬉しい”というものか。

 いいものだな……)


 


真白は胸に手を当て、そっと目を閉じた。


そして、ゆっくりと瞼を開く。


 


寄り添い語り合う秋穂と稲人の姿が、

優しい光に包まれていた。


真白はその光景を、

まるで宝物を見守るように静かに見つめていた。




いつもお読みいただき、本当にありがとうございます。


このエピローグ〈真白編〉をもちまして、

真白が誕生するまでの物語を無事に完結させることができました。


ここまで読んでくださる皆さまの存在が、何よりの励みでした。

心より感謝申し上げます。


切ない展開が続いた巫女編でしたが、

このエピローグ〈真白編〉で少しでも温かな気持ちになっていただけたら嬉しいです。


もし「真白シリーズ、好きだな」と思っていただけましたら、

ブックマークやいいねで応援していただけると、次の物語づくりの大きな力になります(*´∀`*)


これからも、真白たちの物語をどうぞよろしくお願いいたします。


稲荷寿司


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ