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カナみんクエスト ~魔王を倒せ!?……イヤだよ、めんどくさい~  作者: Red/春日玲音


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ボク、悪いスライムじゃないよ?  信じられるかぁっ!!

「ふぅ……。」

ちゃぷん、っとお湯が落ちる音を聞きながら私はため息をつく。


この村では、贅沢の部類に入る湯浴みの部屋。

何故かコミィの家には設置されていて、私は今、そこを使わせてもらっている。


「くすくす。じゃぁ、身体で払ってもらうわね。」

私が帰ってきて、お金がない事を話すと、コミィが楽しげに笑ってそう言ったの……私は逆らうことはできなかったのよ。


それで、「体で払ってもらう」から、と身を清めてくるように言われ、今こうして湯浴みをしているんだけど……。


「くすん……ごめんねセンパイ。でも、女の子同士だから許してくれるよね?」


……せめてもの救いは、ファーストキスがセンパイだったって事。


センパイがいなくなる1週間前、私は冗談めかしてセンパイにキスをした。

終始冗談だという雰囲気でいたけど、本当は私の本気……。


それが伝わったのかどうかわからないけど、あの日センパイは告白してくれた……。


「まぁ、答えを言う前に居なくなっちゃったのは許せないけどねぇ。」

思い出したら涙が出てきそうだったので私は顔を洗って湯から上がる。


「出たよ……。」

私はしっかりと衣服を整えて、コミィの部屋に行く。

どうせ脱がされるのだろうけど、せめてもの抵抗だ。


「あ、待ってたよぉ。じゃぁ、これ。」

そう言ってコミィはすり鉢と摺り棒を手渡してきた。


「えっ?」


「あ、場所はその片隅を使ってね。イヤぁ……人手が欲しかったから助かったよぉ。」

どうやら、私はこれから薬草をすりつぶす作業をさせられるらしい。


……身体で払えって、こういう事ね……うん、わかってましたとも。


私は無心になって、一晩中薬草をすりつぶしたの……腕が痛いわ。



バシュッ!

バチュッ!

バシュッ!

ブチュッ!

ベチュッ!

『あのぁ……姐さん?』


私がひたすらスライムを叩き通していると、頭の中に声が響く。


「誰?」


『ボクですよぉ。悪いスラムじゃないボクですぅ!』


「昨日の盗人スライム?」


『盗人じゃないですぅ。姐さんの為に頑張ったのにぃ……。』


「いいから出てきなさいよっ!昨日のアイテム返しなさいっ!」


『そうは言われてもぉ……。そんな殺気立ってスライムたちをブチブチ潰してる前に姿を現したら潰されそうで……。』


「……はぁ。これでいい?」

最期のスライムを潰して、私はこん棒を仕舞う。


『ふぅ……約束ですよぉ。ブチッとしないでくださいねぇ。』

その声が頭の中に響くとともに、目の前に昨日見た薄桃色のスライムが姿を現す。


『はい、お土産です。』

そう言って、ぺいっと何かを吐き出す薄桃色のスライム。


「これは?」


『スライムの表体で作った「スラマント」です。装備者の身を軽くし、認識率を下げる効果がありますよぉ。』


……なるほど。ゲーム風に言うなら。プレイヤーの機敏をプラスして、且つ、隠蔽効果を向上させる機能があるって事ね。


私は早速そのマントを身に纏う。


『おぉ……すごいっす、姐さん素敵っす!』

薄桃色のスライムが絶賛してくれる。


『ところで姐さん?』


「何?」

アンタまだいたの?という感情をこめて聞き返す。


『こう言っては何ですが、その装備呪われているとか疑わなかったっすか?』


「……それはアンタを信じていたからね。」

……嘘です。マジ気が回って無かったです。


よかったぁぁぁぁ…………呪われてなくて。


『姐さん……感動したっす!』

目の前のスライムが感激に打ち震えていた。


『スライムというだけで、侮られ、敵視され、問答無用で追い回されていたあの日々……。でも姐さんはあったばかりなのに信じてくれたっす……一生ついていくっす!!』


「えぇえ……。」

スライムについてこられても……


『もう決めたっすっ!姐さん、名前を付けて欲しいっす!』


「はぁ……。」

ついてこられても、と思うけど、この手のは適当にあしらってもダメなタイプ。だとするなら、放置より、要望を叶えてあげた方が後々助かるかも。

そう思い、私は名前を付けることに同意する。


「じゃぁ、モモ。」

薄桃色だからモモでいいでしょ?


『なんか安直っす。』

どうやら気に入らなかったらしい。


「じゃぁ、もも子。イヤなら帰れば?」


『うぅ……あまり変わってないっすよ……でもいいっす。これが惚れた弱みってやつですかねぇ。』

スライム改め、モモコが名前を受け入れると、全体が金色に光輝き、収束していく。


『姐さん、モモコは姐さんの、盾となり、矛となり、癒しになることを誓うっすよ!』

手のひらサイズになったモモコが、ぴょんっと肩に乗る。


「で、モモコは何が出来るの?」

このままでも可愛いから、別に何も出来なくてもいいけど……と思いながら訊ねてみる。


『んー、ボクが説明するより、姐さんの力を使った方がはやいっす。』


「私の力?」

そう問いかけながら思い出す。あぁ、手帳ね。


私は「ブック」と唱えて手帳を取り出す。


「モモコは……と……。」

肩にいるモモコを思いながらページを開く。


「モモコ」

種族:ナロゥスライム (変異種)

スライムの上位種であるエルダースライムの変異種

 特性

 物理無効 変化 捕食 融解 解析 再構築

 カナミの従者 女神の加護(微小)

 


……うん、エルダースライムなんて種類があるんだね。

出てきたのはそんな感想……っていうか、他に何言えって言うのよ?


とりあえず、モモコと話しながら理解できたことは、モモコはスライムの中でも非常に珍しい存在だという事。

そして、その特性も珍しいものであり、自分を従者に出来てお得だと、主張するモモコ。


「捕食」したものを「解析」することで、そのアイテムの事が分かるだけでなく、「再構築」で、そのアイテムの質をあげたり、他のアイテムと合成したりすることもできるらしい。

いま身に着けている「スラマント」も。スラクレイを再構築して作成したモノだという。


「ふぅん……じゃぁ、これで何か出来る?」

私はモモコにこん棒とヒノキの棒、お鍋のフタと、折れたナイフの刃先、スラクレイ、そして、薬草と黒パン一つをモモコに「捕食」させる。……ぶっちゃけ、持ち物全部だ。


『……………』

「………。」


しばらく沈黙が続く。


『……いきなりすぎるっすよ。』

ようやくモモコが応える。


「それで?どうなの?」

『これとこれは使えないっす。価値もないので薪にした方がいいっす。』

そう言ってペイッと吐き出したのは、ヒノキの棒とお鍋のふた。


勇者セットが役立たずって……。

私はその二つを革袋にしまう……もう二度と引き出すことはないだろうなと、おもいながら。


『それで、残りので出来るのが『スラナイフ』と「劣化ポーション」「回復丸薬」ですけどどうするっす?』


「……創ってもらえる?」


『了解っす。……だけど、スラナイフ創るなら、出来れば金属が欲しいっす。』


「金属ねぇ……。」

とはいっても、もう他のアイテムなど持っていない。どこかに落ちていないかなぁと辺りを見回しながらふと気づく。


「一応、これも金属だよね?」

私はなけなしの銅貨2枚をモモコに捕食させる。


しばらく待つと、モモコがペイッとアイテムを吐き出した。


刃先の欠片とこん棒、スラクレイ、そして銅貨を元に創り出された「スラナイフ」

普段は小さなペーパーナイフ程度で、切れ味もよくないけど、魔力を通すことで、小刀から短槍にまで変化させることが出来る。これなら戦う時は短槍、普段使いはナイフとして使えそう。銅貨2枚で買ったと思えば安いモノね。


それから、劣化ポーションと回復丸薬。

劣化ポーションは薬草を再構築したもので、回復丸薬は黒パンと薬草を再構築したという。

回復量は回復丸薬の方が高いけど、ポーションは傷口に振りかけるという使い方が出来る。

モモコに聞くと、レベルが上がれば回復量も増え、作成できるものも増えていくという。


「うーん、結構役立つんじゃない?」


『やっとわかったっすか?』


「うんうん、キミの事見直した。」


『わかってくれて嬉しいっす!』


「だからね……。」

私は、先程拾い集めた、薬草や毒草に雑草、そこらに転がっている石など、大量のアイテムを見せる。


『無理っすぅ!許容量現界っす!!!』


「……役立たず」

私は拾い集めたアイテム?を道端に捨てる。


『そりゃぁないっすよぉ……。』

モモコの情けない声が頭の中に響くけど、新しいアイテムが創れないんじゃね……。


結局、時間をかけて、ポーションを3つ創る頃には、日が暮れかけるのだった。


便利なアイテム製造機を手に入れたカナミです。

これで、バーサクベア討伐の芽が出てきた……のかな?


今作では、主人公が女の子ですので、ヒロインはそれほど出てこない……筈。



4話目でありますが、予想していたとはいえ、PVがないですぅ><

少ないのは仕方がないですが、すでに簡潔済……しかも一年半以上も前に……のノクターン作品の1日分にも満たないというのは……

これはノクターンを書けって言う事ですかねぇ?

……更新が滞ったら、心が折れかけているのかもしれません……みんなの応援だけが頼りなのですよ。


ご意見、ご感想等お待ちしております。

良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。

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