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カナみんクエスト ~魔王を倒せ!?……イヤだよ、めんどくさい~  作者: Red/春日玲音


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魔王様と転移者 おまけ

「ぐすっ……もぅお嫁に行けない……。」

そんな事を言いながら、ぐすぐすと泣きじゃくるセシル。

まぁ、望まぬご奉仕をさせられたのだから無理もないが……。


「嫁になんかやらんぞ。っていうか、もう俺のもんだからな。」

とりあえずそれだけはいっておく。


「グスッ……私、魔王様のお嫁さん?」

セシルが泣きじゃくりながら顔を上げて聞いてくる。

「あぁ。」

「……じゃぁ、これからも可愛がってくれる?……エレナより……。」

「ちょぉぉぉっと待ったぁぁぁっ!!!」

セシルとの間にエレナが割り込んでくる。


「セシルっ、どさくさに紛れて何言っちゃってるのっ!おにぃちゃんは、私のっ!!アナタは愛人枠かペット枠よっ!!!」

「グスッ……私初めてを奪われたんだよ。それくらいの権利はあるはず……」

「私も同じだからねっ!おにぃちゃんの愛は私のなのっ!!」


二人して、やいのやいのと騒ぎ始める。


魔王の拠点としてダンジョンを稼働させたとき、いくつかの条件設定をする必要があった。

そのうちの一つに敗北者に対するルールと言うものがあった。

即死の場合は別として、降参するなど負けを認めた場合の身の振り方をどうするかというもの。

これは多少の融通は可能だが、基本的に敵味方関係なく適用されるものなので、下手な条件をつけることができなかった。

例えば「負けたら即死亡」なんて条件をつけたら、コッチが負けた場合も死ぬことになる。さすがにそういう状況は避けたかった。

かと言って、「敗北時ダンジョンから強制排出」なんてヌルいものにするのも違う気がしたので、色々考えた末、「敗北時は相手の捕虜となる」ことに決めた。……のだが、この条件設定をした頃は心が荒んでいた。その為、「女の子の場合は、性奴隷として絶対服従」という条件をつけてしまったのだ。


もちろん、拒否することもできる。

しかし、条件を拒否した場合、ダンジョンにとりこまれてしまう。

とりこまれたあとどうなるかはその時の状況次第。

単なる養分として吸収されるか、人形としてダンジョンの警備をさせられるか……。

女の子の場合、大抵は魔物の仔を産む苗床として生かされることが多いらしいが……。


セシルにそう説明したら、彼女は泣き喚いたうえで抱かれることを受け入れたという訳だ。


まぁ、あの頃はどうかしていたという反省もあり、条件の変更をしている最中ではあるのだが、変更が終わる前にここに来たエレナとセシルは運が悪かった、と諦めて貰うしかない。


それでも、少しは罪悪感があったのだが……意外と元気なようで安心だよ。

女の子は、意外としたたかなのかも知れない………などと思うレイフォードだった。



「落ち着いたか?だったら少し聞きたいことがあるんだが?」

レイフォードはそう言って、2人が持っていた道具を広げる。


元々カミラが呼び出したのは、エレナ達が、この世界では見たことがない道具を使っていたからなのだ。


「あぁ、これね、便利だよねぇ、チ○ッ◯マン」

エレナがニンマリとしながら言う。

そう、手軽に火が付く魔道具。まるで前世にあったチャ○カ◯ンそのものだ。


「あとコッチは………わかるでしょ?」

エレナが筒状のもののスイッチを入れる。

すると、その筒状の片側から暖かな風が吹き出てくる。

「これは、ドライヤーかっ!」

「そうだよぉ。女の子の必須アイテムさっ!この世界では手に入らないってあきらめていたから、見つけたときは、思わず踊りだしたくなるくらいだったよぉ。」

「というか、エレナ、あなた実際に踊ってましたわよ?」

その時のことを思い出したのか、セシルが少しだけ呆れた声を出す。


「なるほどなぁ……っていうか、エレナ、セシルは知っているのか?」

何を、とは言わないが、これだけでエレナには伝わるはずだ。

「あ、うん、一応話したことはあるんだけど、信じてくれていない、私の「設定」だと思ってる感じ?」

「………ま、いっか。」

レイフォードは深く考えることをやめた。

話はしてあるみたいだし、それを信じるか信じないかは自由だ。それに、無理に信じてもらう必要もない。


「しかしドライヤーなぁ。……エレナ、余分は持っていないか?」

「あ、うん、それしかないけど……いいよ、使うときは貸してあげるから。カミラさんや、シェラちゃん用……だよね?」

「話が早くて助かる。……一応な、俺も作ろうとは思ったんだよ。」

そう言ってレイフォードが取り出したものは、エレナがよく知る「ドライヤー」そのものだった。

「すごいっ!、ちゃんとしたドライヤーじゃないっ!!」

「まぁ、見た目はな。」

レイフォードが苦笑する。

そして、メモリを最弱にして誰もいない壁にドライヤーを向け、スイッチを入れる。


ゴゥッ!


大きな炎がドライヤーの口から吐き出され、壁を一気に終えあがらせた。

「アイスウォール!」

そばに控えていたシェラが、魔法でその炎を消し去る。


「……ってわけだ。最大にすれば、ワイバーンのブレス程度の威力は出るぞ?」

「長い綺麗な金髪が自慢で、他の女の子を見下していた女神騎士団のおひとりが、その「どらいやー」によって、一瞬にして真っ黒なアフロヘアーになりました。彼女はそのまま騎士団をやめ、修道院で引きこもりになっています。」

控えていたシェラが、レイフォードのドライヤーについて補足を加える。

「いやいやいや、よくアフロで済んだよねっ!」

思わず突っ込んでしまうエレナだった。


その後、魔道具について色々と話をするエレナとレイフォード。

結果、レイフォードは、地球の家電を基にした魔道具が、イーリシアという街を拠点に広がっていることを知る。


「なるほどなぁ。ってことは、とりあえず、その街に行くことが当面の目標かな?」

「目標って、大げさだよぉ。ダンジョンそばの街から、数日で行けるんだよ?そもそも、私とセシルはその街を目指してたんだし。」

エレナが笑いながら言うが、その後のレイフォードの言葉を聞いて顔を青ざめさせることになる。


「あー、ひょっとして知らないのか?t便だが、ここはお前らがいた街からかなり離れているぞ?」

「えっ?……どういうこと?」

「ちょっと待ってくれ……。」

レイフォードの言葉が終わらないうちに、扉が開いてカミラが入ってくる。

「レイ、あいつ等が来た場所がわかったわよ。」

「ちょうどよかった。今その話をしてたところだ。」

カミラがレイフォードの前に地図を広げる。


「すごい……こんな詳細な地図、初めて見ますわ。」

セシルが地図を見て驚く。

この世界では、地図というものがあまり広まっていない。

というのも、地理がわかってしまえば、敵国の侵入をやすやすと許してしまうからだ。

だから、基本街道以外の道を通らないはずの行商人や冒険者たちは、彼ら独自で調べ上げたルートというものを持っていたりする。それが命を救うことになったり、お金になったりするのだ。


「エレナ、お前が最後に立ち寄った街というのが、このフォーデンという街で間違いないか?」

レイフォードが、カミラがあの男たちから聞き出した街の名前を挙げ、地図の端を指さす。

「間違いないけど……ここがフォーデンなの?」

「あぁ。そして今いるダンジョンは、大体このあたりになるな。」

地図全体の中央からやや上のあたりを指さすレイフォード。

周りは険しい山脈に囲われていて、その山を越えれば平野が広がっているものの、レイフォードが指示したフォーデンとの間には海が広がっている。


「どういうこと?」

「まぁ、簡単に言えば、エレナたちが入ってきたダンジョンとここが転移陣でつながっているってことだ。どうして、とか、誰が、とか聞くなよ。俺だって知らないんだから。ただその転移陣が一方通行だってことだけはわかっている。」

「……えっと、じゃぁ、私たちは閉じ込められたてことですか?」

「おぃおぃ、人聞きが悪いこと言うなよ。お前たちが望むなら解放してやるよ。このダンジョンから出て、三日も歩けば、このフォーラスって街に出る。……まぁ、魔族の街だけどな?」

レイフォードの言葉に、エレナがジト目になる。

「あのね、レイさん。私、そういう言い方をする人、よく知ってるんだよ。詳細を言わず、表面的な事実だけ言って嵌める人……。」

……どうやら、エレナは、甘えるとき以外は「おにぃちゃん」とは呼んでくれないらしい。

「……嵌める気はないんだけどな。お察しの通り、周りの樹海は、相当の手練れじゃない限り生きて抜けることはできない。あのミノちゃんだって、単独では無傷で抜けるのは不可能だ。そして、運よくフォーラスの街にたどり着いたとしても、人族はあっという間につかまって奴隷にされるのがオチだろうな。後、俺と敵対しているから、このダンジョンのある樹海から来たってだけで、スパイとして扱われるだろう。」

「つまり?」

「身の安全を考えるなら、大人しくここで俺に従っておいた方がいいってことだな。無理にとは言わないけどな。」

レイフォードはニヤッと笑う。

「……私たちイ選択肢なんてないじゃないっ……おにぃちゃんのバカぁぁぁ!私のこと可愛がってくれなきゃ嫌だからねっ!」

拗ねた表情を見せながら、寄り添ってくるエレナ。

「不束者ですが、末永くかわいがってくださいませ」

諦めたような表情で、三つ指をついてお辞儀をするセシル。

強要したつもりはないが、結果として、ハーレム要因が増えた、と思うレイフォードだった。


そして、その様子を呆れた目で見ていたカミラだったが、ふと何かを感じレイフォードに警告をする。


「レイ、またよ。しかも、今度のは……クソ女神の気配があるわっ!!!」

カミラはそう言うや否や、部屋を飛び出していくのだった。



お待たせしました。

魔王サイドのお話です。

自壊へ続く伏線を引いておきましたが、次回はまた別の視点に飛ぶか、このまま魔王サイドで行くかを検討中です。


本業が忙しい時期になってきましたので、なかなか執筆時間が取れません。

でも、そういう時に限って、ネタが浮かんだりするんですよねぇ。

仕事中にプロットを考え、休日にまとめて執筆……そんな日々が年末まで続きそうです。

なお、他サイトの作品と、少しだけクロスオーバーさせる予定ですが、知らなくても楽しめるようにしますのでご安心ください。

というか、知らなければそういうもんかとスルーされる程度のモノですけどね(><



ご意見、ご感想等お待ちしております。

良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。

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