「遊び人」
魔女になるため、ヴィタと共に暮らし始めたユリア。一方その頃遊び人はーー。
ーー称号機構、それはこの世界を維持するために必要なものだった。
人々は称号をもち、それに殉ずることがこの世界の人々の使命だった。
人が死んでも称号はなくなることはない。循環し、新たに生まれくる子供に受け渡される。この世界と称号とは切り離せないものであった。
だが、称号『0』の人間が生まれてしまったことで一つ目のバグが世界に生じる。
「なんだ、様子がおかしい……」
男は三つの称号を持っていた。一つ目は『遊び人』、二つ目は『大盗賊』、三つ目は『勇者』である。
人から奪った勇者の称号は彼の身体に馴染まず、異変を起こしていた。遊び人の素養【成長が早い】と勇者の素養【成長が遅い】の相反する二つの素養が彼の体を内から痛めつけていたのである。
『大盗賊』が盗賊の最上位称号であり、今まで総数が少なかったことと、人が人の称号を奪ったという実例がなかったことから、男はこの結果を予想することはできなかった。「クソッ」と悪態を垂れた男の左目から目玉が飛び出て地面に落ちる。
解決策はある。身体の成長そのものを止めて仕舞えばよいのだ。
「医療魔法を使える者を呼べ、今すぐだ!」
命からがら、戦士に指示を出す。彼女は服を着ると、隠れ家と思しき建物から飛び出していった。
「そうか、時間を奪えばいいのか」
かけてみる価値はあるな、と男は横になって体を休め、ゆっくりとだが確実に自分の時間を奪った。
その時、傍で賢者は見ているだけだったが、一抹の疑念が彼女の頭の中に生じる。「あれ?どうして私、こんなところにーー」
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