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閑話 天王洲アイルは褒められたい。

 ナーゴの料理配信が終わった後。


 アイルの家は料理店「冒険家B」から徒歩10分ほどの場所らしい。俺にとっても通り道だったので途中まで一緒に帰ることになった。


「ここでいいわ。ありがとう」


 京浜東北線の高架沿いを御徒町方面に歩いている途中でアイルが立ち止まる。


「いいのか?」


「大丈夫。いつも通ってる道だしね」


 そういえばこの前「家バレ」がどうのとか言ってたしな。フリューテッドアーマーの俺が一緒だと確かにマズイか。というか倫理的にもアレだな。女子高生の1人暮らしの家に俺みたいなおっさんが行くのも違うしな。


「そっか。じゃあ気をつけて帰れよ。なんかあったら連絡くれ」


 帰ろうとすると、急にアイルが俺の手を握ってきた。


「? どうした?」


「ほ……」


「ほ?」


「褒めて……ほしいな、って……六本木の時みたいに」



 褒めてほしい? ……変わった事言うな。


 

 アイルを見る。潤んだ瞳に切なそうな顔。さっきまで笑っていたのに本当にコロコロ表情が変わるヤツだな。


 褒める、か……実際今日はアイルはすごかったからな。相棒として何か言ってやるべきなのかも。俺が初心者の時はリレイラさんがすごく褒めてくれたしな。アレで俺も自分の強みとか分かった気がするし。



 ……やってみるか。



「正直驚いたぜ。敵の特性やより有利な戦闘方法を考えてのスキル解放。新魔法と魔力増加スキルとの相性も良かった。それを全部自分で考えて動いたんだ。良くやったと思う」


「うん……」


 切なそうなままのアイルの顔。おかしいな。いつもなら「当然!」とか言ってふんぞり返る気がするんだが。


「まぁ……アイルは確実に成長してる。俺も安心して背中を任せられるってもんだ」


「ホント?」


 急にアイルの表情がパッと明るくなる。かと思えば急に視線をそらしては俺の方をチラチラ見てきた。


「えへへ……うん、ありがと」


 アイルがツインテールを揺らしながら走っていく。水色の髪に紫のメッシュが入った髪が揺れる。それが空を舞う波のように見えた。周囲を明るく照らす光の波……柄にもなく詩的なことを考えたことに恥ずかしくなった。


 クルリと振り返るアイル。彼女は大袈裟なそぶりで俺に手を振った。



「次のダンジョンどうするか、また連絡するわね〜!」


「おう。気をつけてな」



 褒めてほしいって……なんか悩みでもあったんだろうか?



 ……。



 最後笑ってたから大丈夫か。







 次回、461さんの元に謎の男が……?


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