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【461さんバズり録】〜ダンジョンオタクの無能力者、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまうw〜  作者: 三丈夕六


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第224話 最大同時接続数

 〜タルパマスター〜


 海底ダンジョンも中盤まで差し掛かった場所で、私は461さんとアイルちゃんの戦闘を見ていた。


 魔力回復薬を飲む。エグくて苦くて変な匂いの嫌な味。だけど、全身にまた力が湧き上がるような感覚がする。


 これまでの戦闘で空想魔法(ハイレヴァリエ)を使ったのは2回。初回戦と、ボスレベルの敵が出て来た時。その戦闘以外でも通常の夢想魔法で2人をサポートしていたけど、そろそろ休むように言われてこうして2人の戦闘を眺めている。


 ……このダンジョン、今まで攻略が避けられているのも分かる。単純な構造なのに、出てくる敵が強い。強すぎるくらい。461さんとアイルさんの2人だから安心して見ていられるけど、普通の探索者なら数回戦闘をこなしただけで諦めてしまうだろう。


「アイル!」


「うん!」


 461さんが大きな蛇のようなモンスター、シードラゴンへ飛びかかる。彼が聖剣を引き抜いた瞬間、アイルさんが氷結魔法を放った。ビシリと凍り付くシードラゴン。鎧さんがアスカルオで一閃すると、大蛇の体は粉々に砕け散った。



「ジャアアアアア!?」



〈やっぱりコンビネーションすごいわね!〉

〈息が合ってるんだ!〉

〈アスカルお!〉

〈は?〉

〈ごめんお……〉

〈ええんやで〉

〈草w〉

〈中身オッサンか?〉

〈違うんだお!出来心だお!〉



 461さんが着地する。その間もアイルさんはシードラゴンを警戒していて、砕け散った体からレベルポイントが溢れ出してやっと2人は気を緩めたようだった。


『レベルポイントを1000pt獲得しました』


「2000pt級が続くわね」


 アイルさんがキョロキョロとあたりを見渡す。空中に流れたコメントは、2人の強さに驚いているものばかりだ。私もビックリしてる。新宿の時でも2人の息が合ってると思ったけど、それがレベルアップしてる。2人が同じ物を見て、お互いをカバーして、一心同体っていうのかな? もう言葉すらいらないみたい。


 461さんがアイルさんへ簡潔に指示を出して、アイルさんが461さんの指示に150%の答えを出す。相棒ってこんな感じなんだ……!


 2人の戦いを見てるだけで勉強になる。


 私も、シンくんとあんなパーティになれたらなぁ……。


 ボーっと考えながらその様子をみていたら、コメントがドンドン増えてすごい事になっていた。



〈倒すの早っ!?〉

〈さすがやな〉

〈この安定感よ〉

〈初見です〉

〈え? 何ここ!?〉

〈海の中!?〉

〈海ほたる海底ダンジョンなんだ!〉

〈今は海底にいるんだお!〉

〈ヤバ!!?〉

〈こんなダンジョン初めてなんだけど!?〉

〈ゆっくりしていきなさいよね〉

〈ゆっくりしていってねw〉

〈ネキがなんで仕切ってんねんwww〉

〈最初から見たかったなぁ〉

〈もっと景色見たかった〉



 コメントを見たアイルさんがドローンの操作を切り替える。設定が変わったドローンは、ダンジョン入り口の方へ向かって行った。


「ん? 良かったのかよ?」


「途中から来た人向けに景色が見れるパノラマモードにしたの。ドローンが戻って来るまで休憩ね」


「アイルさん、新型ドローン買ったんですね」


「そうなの! せっかく海底ダンジョン来る訳だし、画質もカメラも良くしたいな〜って思って!」


 パノラマモードができるって事は360度カメラ搭載型のドローンを買ったのか……なんだか自分の為にお金使わせたみたいで申し訳無いな……。


「あ! 申し訳ないって顔してるでしょ!?」


「え、えと……すみません」


 謝ると、アイルさんは真剣な顔で私の手を取った。


「タルパちゃん。これは私が自分で使いたいって思ったから買っただけよ? 自分がやりたいからやった……それだけ。だから気にしないで?」


 自分が……やりたいから?


 不思議に思っていると、461さんがアスカルオを鞘に戻しながら歩いて来る。


「ん? なんか暗い顔してるな」


「タルパちゃん、今回のこと悪いなって思ってるらしいの」


「悪い? なんでだ?」


「だ、だって……私の為に色々して貰ってるし……みんなに呼びかけて貰ったり、アイルさんはドローンまで……」


 461さんは、ふぅと息を吐くと腕を組んだ。


「あのな。タルパもシンも新宿を一緒に攻略した仲間だろ? 仲間の為に何かしてやりてぇって思うのは普通だと俺は思うぜ?」


「仲間……」


「タルパはシンとパーティを組みたい。俺達はそれを手伝いたい。いいか? 「これをしたい」って言うのは全部俺達の意思だぜ? やりたいからやってる……それだけだ。気にする必要はねぇよ」


「そ! だからタルパちゃんも自分がやりたいことだけに集中して?」


 フィリナさんやパララもんもそう思ってくれたのかな? だとしたら嬉しいな。


 ドローンがコチラに戻って来る。私も、私のやりたい事に集中しよう。




◇◇◇


 ドローンが合流してから私達はさらにダンジョンを進んだ。石舞台を進み、現れるモンスターを倒す。それを繰り返した。景色は神秘的だけど構造は単純。モンスターが強くて大変だけど、461さんやアイルさんと一緒なら無理なく突破できる。


 私達は、最後のピラミッドのような場所の階段を登る。長い階段。ふと見ると、またコメントが盛り上がっていた。


「ここの頂上にボスがいそうだな。気合い入れていけよ、2人とも」


「タルパちゃんは魔力は大丈夫?」


「はい! 2人に温存して貰えたのでバッチリです! いつでも空想魔法(ハイレヴァリエ)で戦えます!」



〈階段長え〜〉

〈ここのボス……他のモンスターがあの強さだと考えると1万ptはありそうだな:wotaku〉

〈マジ?〉

〈推定するとそれくらい:wotaku〉

〈ヤバババババババ!?〉

〈池袋の時と同じくらいの強敵だお!?〉

〈今回3人で行けるんかよ!?〉

〈この3人なら大丈夫なんだ!〉

〈そうよ!エキスパートパーティよ!〉

〈そう聞くといける気がするな〉

〈3人とも……死なないでぇ……〉

〈初めて戦闘生で見る!〉

〈楽しみ!〉

〈タルパちゃんの活躍期待〉

〈新規多そうやね今回〉

〈鯱女王まで配信拡散してたしなぁ〉

〈同接数100万人超えてるぞ!?〉

〈マジ!?〉

〈どう考えてもBクラスパーティの同接数じゃないwww〉



 コメントは進むたびにどんどん増えて同時接続数も増えていく。色んな人に協力して貰って多くの人に見て貰ってる。


 階段を登る。ボスはもう目の前だ。1万ptクラスのボス……ここでボスを倒せないと、私のやりたいことができないから。



 絶対ボスを倒して……私は絶対届けるんだ。シン君に。







 次回ボス戦です。強敵を前にタルパマスターは何を召喚するのか……意外なヤツです。お楽しみに。

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