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第154話 スキル解放事情。

 〜天王洲アイル〜


 倒した悪夢の重装騎士(ナイトメア・アーマー)の体からレベルポイントの光が溢れて、私のスマホに吸収された。


『レベルポイントを1300pt獲得しました』


「嘘! 1300ptも入っちゃった!』


「ダメージ1番与えたのアイルだったからな。それぐらい行くだろ」


 461さんがスマホを見せてくれる。461さんは700pt、ミナセさんが600ptにあの場にいたジークとナーゴにも100ptずつ。アイツ、罠にかけたから簡単に倒せたけど2800ptもあったのね。


 スマホのメニュー画面からスキルツリーを開く。今3600ptあるから何を解放しようかなぁ。


 スキルツリーで解放できる物を見ていく。上げられるのはステータス系と……各属性は派生魔法と上級魔法は解放できる。けど、最上級魔法まで一気に育てるのは流石に無理ね。他には……あ、投擲(とうてき)補助がある。これもいいわね。


「う〜ん……」


 悩む。ここは温存しておいていざとなった時に解放する方が……でも戦闘中に解放する暇無いし……どうしよう。


 そうだ。歩きながらみんなにスキル解放はどうしてるか聞いて回ろうかな。



◇◇◇


 〜ミナセの場合〜


 え? 私は遮断魔法(バリエル)で結構ポイント使っちゃったからなぁ……ここは温存かな。


 それより聞いて! 遮断魔法の面白い使い方見つけたの! 鎧さんと相談してたらね、すごい事教えて貰ったんだ!


 遮断魔法はそのサイズを自由に変えられて、小さくするほど障壁の密度が濃くなるの!


 え? 何に使うかって?


 んふふ〜! 私って結構格闘も得意なんだ〜! だからね、拳に遮断魔法を使ったら攻撃に使えると思わない? どう? すごいでしょ!?


 あ、疑ってる!? 見ててそこの壁を……え? 魔力がもったいない? 分かったよぉ……。



 ミナセさん、すっかり元気になってたな。思い付いた方法で壁壊そうとするくらいだったし。ちょっと安心したかも。というか、むしろ元気過ぎない……? ストレスから解放された反動かなぁ。




◇◇◇


 〜ジークリードの場合〜


 どんなスキルを解放するか?


 俺はもうポイントを全て使ってしまったな。鎧とも相談してな、攻撃とスタミナと速度上昇のステータスアップを解放した。それぞれ5%ずつだ。


 (スキル)? 俺には波動斬がある。今はとにかく閃光と基礎技術での応用を磨きたい。新技は基礎が納得いってからだな。


 なんだ? なぜニヤついている!? 俺は変な事を言ったか?


 い、いや俺は鎧に影響を受けている訳ではなくてだな、己の道として学べる物は学ぼうと……わ、笑うな! おい! ミナセまでなぜニヤついているんだ!?



 ジークって結構ヨロイさんのこと好きよね。このダンジョンに入ってからもよく質問してるし。ふふっ、ちょっと嬉しいかも。




◇◇◇


 〜ナーゴの場合〜


 にゃ? スキル? ナーゴは攻撃と防御のステータスアップと調合スキル取ったにゃ。戦うタイミングも来るかもしれないから用意しておくにゃ!


 調合は素材と素材を組み合わせることで回復効果を上げたり特別な効果を生み出したりできるにゃ。


 ヨロさんに相談したら、昔はそういう調合専門の探索者がいたらしいにゃ。今は戦闘系のスキルばっか流行ったみたいだけどにゃ〜。


 料理でも調合効果使えるみたいだから楽しみにしててにゃ〜!



 ナーゴは調合取ったのかぁ。きっとサポートのこと考えてくれたのよね。料理でも効果あるって言ってたし、楽しみね。





◇◇◇


 地下街(サブナード)を抜けて新宿駅地下に続く登り階段まで来た時、一旦休憩することになった。


 休憩を利用してヨロイさんにもスキル解放について聞いてみる。ヨロイさんは今のポイントだと解放できるスキルが無いらしい。


 せっかく沢山強いモンスター倒したのに……ヨロイさんのスキルツリーって消費ポイント高いんだな。それだけ育て上げてるってことかも。


 それもあって、逆に私がスキル解放の相談をしているみたいになってしまった。


 ヨロイさんと2人でスマホを覗き込む。顔が近くて恥ずかしいけど、自分から相談したのに他のことに気を取られるのもダメよね。頭を振って余計な考えを追い出した。



「魔力最大値上昇を2段階上げるのはどう? 合計で10%上がるから今回の探索にも有効だと思うの」


「いいと思うぜ。上級魔法はどうなんだ? 今のポイント保有量ならそっちも合わせて取れるだろ?」


 ヨロイさんが炎と氷の上級魔法を指す。うぅん……どっちも1200ptか。中級から一気に消費ポイントが増えるわね。それに、魔力の消費も激しい。どうしようかな……。


 しばらく悩んだ結果、気になっていた別のスキルを取得することにした。


「投擲補助を2段階上げることにするわ。461さんのナイフも活用したいしね」


「投擲補助か。速雷魔法(ラピッド・ショック)とも相性良さそうだな」


「うん、どうかな?」


「……確かに、消費魔力もその方が低い。よく考えてるな」


 ヨロイさんにそう言って貰えて嬉しい。速雷魔法の帯電と電撃魔法の組み合わせは魔力消費を抑えて高威力を出せる。だからそれの補助は取っておきたいから。



「解放するわね」


 スマホを操作してスキルを解放する。合計3000ptを使って魔力最大値上昇を2段階と投擲補助を2段階取得した。


 すごい。このダンジョンに入ってからもうこんなにスキル解放しちゃった!


「ヨロさ〜ん、この調合なんだけど見てくれないかにゃ〜?」


 ナーゴがヨロイさんを呼ぶ。なんだか自分がヨロイさんを独り占めしていたような気分になって、ヨロイさんにもう大丈夫だと伝えた。


「ありがとね」


「ああ」


 奥でヨロイさんとナーゴが何かを話してる。ジークとミナセさんもそれを覗き込んで……ホント、ヨロイさんってすごい。ヨロイさんのおかげであんな厄介なボスもすぐ倒せたし、みんな無事だもんね。


 みんなが頼ってるのも分かるし……。


 いつの間にか遠巻きにヨロイさんのことを見ていた。私のことをチラリと見たヨロイさんが手を上げる。


「アイルも来いよ。これ終わったらその辺の敵で投擲スキル試してみようぜ」


「うん!」



 私のことを気にしてくれていたことがすごく嬉しい。私も駆け寄って輪の中に入った。



 ヨロイさん。私もっともっと強くなるからね!





 次回からはシン視点の「地上」のお話。何だか追い詰められてる様子のシンとタルパマスター。果たして彼らは……?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 個人的に気になったのはミナセの遮断魔法ですかね。昔のエヴ○弐号機のA○フィールド投げみたく、壁を攻撃に転用するのもアリですが…格闘と組み合わせるなら格ゲーの壁ハメみた…
[良い点] ぼっちだったヨロイさんだったけど、みんなから頼りにされて、愛されてるなぁ……   (*´∀`)ほっこり [一言] 目立つスキルも無く、たいした戦力も無いのに『探索者』という肩書きにしがみつ…
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