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第16話 マザースパイダー戦 【配信回】

「アイル! 本体に向かって火炎魔法(ブレイズ)を撃て!! 飛び込む隙を作りたい!」


「分かったわ! みんなにもあのデカグモにも新魔法見せてあげる!」


 アイルが背中に背負っていた杖を構え、先端の水晶をマザースパイダーへと向ける。


 彼女の中で魔力の流れが生まれ、杖の先端に炎が灯る。


〈新装備!?〉

〈チャージ早っ!?〉

〈ホーラの杖か:wotaku〉

〈ウォタクくん解説よろ〉

〈ホーラの杖は魔法発動時間を3%短縮する装備:wotaku〉

〈それでか〜〉


火炎魔法(ブレイズ)!!」


 アイルの杖から炎が放たれ、マザースパイダー本体へと直撃する。


「ギッ!?」



 よし。ヤツが怯んだ。



 生まれた隙をついてヤツへと走り抜ける。よし。頭部に当たった影響で完全に怯んだ。



 走る速度を上げる。もう少しだ。もう少しでヤツのもとに辿り着く。



「ギイイイィィィィィ!!」



 突然、マザースパイダーが高速で飛びかかってきた。


「うぉ!?」


 咄嗟にローリングで避ける。


「もう一発! 火炎魔法(ブレイズ)!!」


 アイルが2発目の火炎魔法を放つ。しかし、マザースパイダーは俊敏な動きで後ろへと飛び退いてしまった。


「くっ! 警戒されてる……っ!」


〈速えぇ!?〉

〈あの図体で俊敏すぎんだろ〉

〈ん?:wotaku〉

〈攻撃当たるかこれ?〉

〈キッツイな〜〉

〈クモの動きが……:wotaku〉


 クモ型モンスターは反射と予測によって攻撃を避ける種がいる。ヤツもその(たぐい)か。


 なら。アレ使うか。


 この日の為に用意した「リフレクションソード」を構える。


〈なんか刀身光ってるな〜〉

〈リフレクションソード。ショートソードの一種:wotaku〉

〈効果なに?〉

〈魔法を反射する剣:wotaku〉

〈は?〉

〈なんじゃそら〉

〈防御用じゃね?〉


「アイル! 俺が合図したらもう一度だ!」


「任せて!!」


 アイルが杖をマザースパイダーへと向けた。それを確認してもう一度ヤツへと向かって突撃する。


「うおおおおおおお!!!」


「ギイイイ!!」


 大蜘蛛の3本の脚がほぼ同時に俺へと突き出される。3本の脚の隙間を見つけ、そこにスライディングで飛び込む。マザースパイダーの懐へ飛び込み走りながら一本の脚を斬りつけた。



「ギィア!?」



「今だアイル!!」


「うん!」

 


 アイルが3度目の火炎魔法を放つ。


「ギ?」


 それを察知したマザースパイダーが横へと飛び退き火炎を避けた。



〈ああああ〜〉

〈ダメだって!〉

〈相手の動き予測しないと!〉

〈火炎魔法は直進的すぎるんじゃない?〉

〈いや……:wotaku〉


 避けられた火炎魔法は、マザースパイダーの後方にいた俺の下へと飛んでくる。


 リフレクションソードを構える。マザースパイダーは回避直後で完全に隙が出来ている状態。今なら魔法が当てられる(・・・・・・・・)


「オラァ!!」


 リフレクションソードで火炎魔法を打ち返す(・・・・)


《!!?!??!?》

《魔法の軌道変わった!?》

《野球かよ!?》

《リフレクションソードをそうやって使うか:wotaku》

《軌道変えられるとか盛り上がってきましたw》


 跳ね返された火炎がマザースパイダー本体へと直撃する。大蜘蛛は、その威力にバランスを崩し大地へと倒れ込んだ。


「ギィエエエアアアア!!?」


《喰らってる!》

《早く攻撃しろ!》

《急げ!!!》

《畳みかけろ!》


「アイル!! このまま決めるぞ! 攻撃の手を緩めるな!」


「分かってるって! 火炎魔法(ブレイズ)!」




 起きあがろうとしているマザースパイダーが火炎に飲み込まれた。そこへと突撃し、リフレクションソードで連撃を浴びせる。5度目の斬撃で、大蜘蛛は断末魔の悲鳴を上げた。



「ギイアアアァアァァアァアア!?」



〈うおおおおおお!!〉

〈倒した!?〉

〈速えええええ!〉

〈アイルちゃん……こんなに成長して……〉

〈泣ける……見守ってきて良かった〉

〈まだ最上階にボス残ってんぞ〉

〈ジークリード達に倒されちゃう〉

〈んん?:wotaku〉



「やったぁ〜! ソッコー倒せたわねヨロイさん!」


 アイルがそのツインテールを(なびか)せて駆け寄ってくる。それを横目にマザースパイダーの亡骸(なきがら)を足で押す。


 ……死んだのは間違いない、か。


「みんなありがと〜! このままがんばるわよ〜!」


〈応援してるよ〜!〉

〈アイルちゃんがんばれ!〉

〈461さんもな〜〉

〈早よ行け〉


「早く行きましょ? ジークリード達に差をつけられちゃう」


「あ、ああ」


 ……おかしい。俺はこのボスと戦うのは初めてだが……クモ型のモンスターは雌なら倒した後に子グモが出現するはずだ。


 しかも「マザー」なんて名前に付いているボスクラスだぞ? 倒した後何も無いなんておかしすぎる。


「どうしたの?」


 不思議そうに首を傾げるアイル。それを見た瞬間迷いが消えた。


 ここで考えていても仕方ないな。今はとにかく先に進もう。


「いや、何でもない」


 俺とアイルは、亡骸となった大蜘蛛を横目に六本木ヒルズの正面玄関から中へ侵入した──。





 次回、ジークリード、ミナセ視点でお送りします。

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