表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女なんて、ぜっったいにお断りです!!〜転生した元聖女は自由に暮らしたい〜  作者: 霜月 アカリ
第一話  『神の愛し子』、ファウナ・ノア・シュヴァーベル
5/18

『光の神子』、もしくはマドレーヌについて。

『光の神子みこ』とは、光の魔力を持つ人のこの国での通称だ。


 いわく、【光】の力は神や精霊に通ずるからとか………由来は色々あるが、初代聖女のエレノアが強い光属性だったから、光の魔力を持つ人をありがたがろう、というのが本来の由来だろう。多分。


 ちなみに、国の聖職者や王族のほとんどがこの魔力を持っている。



「まあ、そうなりますよねぇ。この国では『光の魔力=神の愛し子』って思われているみたいですし」

「えっ?違いがあるのですか?」



 マリアの言葉に、ミアが驚いて聞き返す。



「そうですよぉ〜、【光】といえど所詮は『魔力』。『神の力』には及びもつきませんから」

「………?」



 もうちょっと丁寧に説明しなさいよ。ミアが困ってるじゃない。



「私たち『神の愛し子』が操るのは、この世界に遍在へんざいする『神の力』そのもの。で、光の魔力はただの『魔力』ってこと。精霊の力を借りたりなんかは、他の属性でもできるのよ」


「確かに、王国でも随一の魔術師の方は精霊すらも操ると聞いたことがありますが……………」

「でしょう?光属性はそれがしやすいっていうだけ。ただの『魔力』よ」



 それと比べて、『神の力』は凄まじい。

 魔法では、どんな高威力のものを使っても、せいぜい街ひとつを更地にするので精一杯。

 だが『神の力』によって起こす『奇跡』は、国ひとつ、下手をすれば大陸ひとつを簡単に焦土にしてしまう事ができる。


 だけど、『神の力』も万能じゃない。

『神の愛し子』はそれぞれ使える『奇跡』の種類が異なっており、自分とは異なる種類の『奇跡』は使えない。


 私が使えるのは【心】。

 人の精神、意識、記憶に干渉し操る力。


 なのでさっき言ったように国ひとつを焦土にとかは私にはできない。


 その代わり、今のところは存在していない精神に干渉するという術が使える。コレがなかなか便利で、記憶をのぞいたり心を読んだり………………まぁ色々できる。


 そのほかも他人の目をごま――――――――――――――――――――ん?




「んん〜!やっぱりミアのマドレーヌは美味しいですねぇ〜…………もぐもぐ」

「お褒めに預かり光栄です」


「ちょっとぉ!?なにアンタ人のモン勝手に食ってんのよ!!」




 もぐもぐとミアの特製マドレーヌ(すごく美味しい)を頬張るポンコツ(マリア)に叫ぶ。


 こいつ、いつの間に!!



「だってミアが食べていいって」

「そういう問題じゃないでしょうが!」

「えぇ〜」


 分かりやすく頬をふくらませるマリア。

 そんなのが通用するのは男だけよっ!油断も隙もない奴!



「ファウナ様、ご安心ください」

「? なぁに、ミア」



 すっ、と小さなバスケットが差し出される。

 その中には――――――――――――――――――



「ファウナ様の分は、きちんととってあります」



 ――――――――――大量のマドレーヌが入っていた。



「わぁぁあ!さすがミアね!どれも美味しそう………………!」



 バターの香るプレーン、コクのあるココア、爽やかなマーマレード………………たくさんあって迷ってしまう。



「あーっ!ファウナったらそんなにもらってぇ、ずるいです!」

「はぁ?いいじゃないアンタは先に食べてたんだから!それにミアの雇い主は私なのよ!主人を一番に優先するのは当然でしょう!」

「む〜っ!なら私は女神ですぅ!ほらっ、敬いなさい!」

「敬ってほしいなら敬おうと思えるだけの行動をすることね!」




 それからミアのマドレーヌをめぐって争いが起き、私はバスケットを抱えてマリアから逃げるハメになってしまった。


 当のミアはケンカを止めることもできずオロオロとしていて………………一番かわいそうだったかもしれない。






絶対渡さん、と断固として逃げ回る私に、頬を膨らませてダッシュしながらマリアが言う。



「そんなに独り占めしたいんですか!食べ過ぎは太りますよぉ?」




 ほんっっっっっとに失礼ね!太らないわよ!!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ