表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女なんて、ぜっったいにお断りです!!〜転生した元聖女は自由に暮らしたい〜  作者: 霜月 アカリ
第二話 其処に眠るは・・・・・
18/18

『聖女』と『天才』

 ある日、国王様から手紙が来た。

 それは国中に配られた手紙で、私が今まで見たこともないような上等な紙だったのを覚えている。


『この国の中から、『神に愛された人間』を探す。もし自分がそうであるならば名乗り出よ。身分は問わない。』


 その手紙に、私は一番に食いついた。


 これだ。


 マリア様は私を『神の愛し子』だと言った。特別な人間だ、とも。

 なら、この手紙にある『神に愛された人間』に十分当てはまるんじゃないのか?


 目の前に、誰かのために生きる道と、自分のために生きる道がある。


 そのどちらを選ぶか。


 私には、選択肢はひとつしか無かった。




 そうして名乗り出て、私は『聖女』なんて肩書きで呼ばれるようになった。

 マリア様には反対されたけど、なんとか説得したし。

 もちろん王様にも最初は疑われたけど、マリア様に降りてきてもらえばすぐに信じてもらえた。


 国の各地を癒して周り、ついでに【希望】の種も撒いて、国はみるみるうちに回復をした。


 そんな中、出会ったのがオーヴィット・サージュ・シュヴァーベル様。

 魔術の天才と呼ばれている、シュヴァーベル公爵家のご子息。

 実際、彼の魔術は凄まじかった。


 ある時、国への反乱軍と戦争になりかけた事があった。

 反乱軍の規模はかなり大きくて、私でも【戦意】を喪失させるのが出来なかったくらいだ。

 私がどうもできなくて、頭を悩ませていた時に、オーヴィット様は事もなげに言った。

『なんだ、奴らの戦意を喪失させたいのかい?なら、こんなのはどうかな』

 その言葉と同時に放たれた、魔術。

 何十人も飲み込めそうなほど大きな火球が、反乱軍の頭上遥かを通り過ぎ、後ろの荒野に着弾した。


 荒野は一瞬で煉獄と化した。


 反乱軍たちは、その術に恐れおののいただろう。

 その気になれば、いつでもお前たちをこう出来る。

 そう言われたも同然だったのだから。


 結局、その魔術のおかげで戦争にはならず、国に反乱しようとする人達を捕らえられたから良かったんだけど………



 で、今の状況に戻ると。

 要するに私は、そのスーパー凄い人のとなりに座っているのだ。


「ねぇ」

「!?はっ、はい!」


 思わずビクッと反応してしまう。だって仕方ないじゃん、緊張してるんだもん。


 慌てて視線を向けると、オーヴィット様が私に本を差し出した。

 白い表紙に金の装飾。公爵家の方が持つにはいささかシンプルな気もする。


「この本、誰にも見えないように出来るかな?」

「えっ………見えなく?それは、『認識できなくなる』ということですか?」

「うん、まぁそうだね。出来そう?」

「はい」


 認識できなくするのなら、この場限りではなく永続的に効果が持続するようにしないと。

 いつもよりちょっと多めに『力』が必要かも。

 あとは………………あっ。


「あの、これ、『奇跡』をかけても私には普通に認識できてしまいますけど、いいんですか?」

「うん?別に構わないよ。他に人には分からないんだろう?ならいいさ」

「はぁ………なら、始めますね。………………我の内に眠りし力よ………」



 私と本を取り囲むように、光が輝き始める-------------


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ