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聖女なんて、ぜっったいにお断りです!!〜転生した元聖女は自由に暮らしたい〜  作者: 霜月 アカリ
第二話 其処に眠るは・・・・・
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ファウナを呼ぶもの

「【転移テルト】」



 意識を集中させ、指を鳴らす。

 視界が真っ白になり、瞬きにも満たない間で、私たちは【書庫】の地下一階にたどり着いていた。



「ここが、【書庫】の地下……………」



 ミアが呆然としたように呟く。


 そこには灯りがなかった。

 薄暗い、広く大きい空間に、見上げるほどの大きな本棚が所狭ところせましと並んでいる。

 外界と繋がる窓がないため、空気はよどんでほこりっぽい。


 そして勿論もちろんのこと、人の気配は全く無かった。



「ここの結界やトラップ、作動しませんね……………何故でしょう?」

「さっき地図を見た感じ、ここは『空間』ではなく『書類』にトラップが配置されているみたいだったわ。一応対策は考えてあるけど、本棚には触らないほうがいいわね」

「触ったら『ぺしゃっ』ですよね……………気をつけます」



 青ざめた顔になったミアが静かに本棚から離れる。


 …………………『ぺしゃっ』?


 あれ、さっき私が言ったのは『ドォン』だったはずなんだけどな。心なしか酷くなってない?潰れてない?


 私の混乱を知ってか知らずか(いや絶対知らないと思うけど)、ミアは何事もなかったかのように口を開いた。



「それにしても………肝心の記録はどこでしょうね?こんなにも数が多いとは思いませんでした」



 やっぱり、『ぺしゃっ』の件はスルーなのね、ミア。



「そうねぇ…………それは――――――――――」



 言いかけて、何か、違和感を感じた。


 何か、そう、『何か』がある。


 私はそれを知ってる?…………………………知ってる。



 呼んでる、私を。






 行かなきゃ。






「ファウナ様?」



 気がつけば、私はふらりと歩きだしていた。

 どこに向かっているのかは、私自身にも分からない。でも、行った先に私を呼ぶ『何か』があるのは分かった。

 一歩、二歩。『それ』に誘われるままに歩を進める。


 足を止めたところにあったのは、一冊の本だった。


 本棚に収まった状態では、白い背表紙しか見えない。新しくも、古くも見える奇妙な本。

 しかし、何より奇妙なのは――――――――その本から、『神の力』を感じたことだった。


 この国で『神の力』を扱えるのは、歴史を振り返っても二人だけ。


 この私、ファウナ・ノア・シュヴァーベルと、百年前を生きた『聖女』、エレノア・クーベルタンのみ。


 この本からは、エレノアの力を感じる。


 それが、私を呼んでいる。



「っ、ファウナ様!?」



 ミアが声を上げる中、私はその本に手を伸ばす。


 トラップは―――――――――――――――作動、しなかった。




 出てきたのは、汚れ一つない白い本。真っ白な表紙に、金の線でささやかな装飾が施されている。


 …………?……………どこかで、見たような………………


 本にかかっていた『奇跡』は、術者と持ち主以外がこの本を認識できなくなる【認識阻害レコニング・キャンセル】。それとは別に、無属性魔術の【状態維持】もかかっている。


 この、魔力…………………







『エレノア!聞いてくれ、実験に成功したんだ!』







「オーヴィット…………………?」

次回の更新は5月13日の予定です。『聖女』エレノアの過去に迫る!お楽しみに!

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