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こんな幼馴染は嫌だ  作者: バネ屋
娼婦の娘 ラナ編
1/18

#01 酒と女と暴力の町で



 このグレイズカノン王国の王都グレイズは、何重もの城壁に囲まれている。


 その中心には王様やその一族が住む城があり、その城の城壁の外には貴族様が住んでいる。

 更に次の城壁の外には、下級貴族や学者先生、騎士様、更にその次の城壁の外には、商人や職人たち、と、城壁によって身分や職業も区別されている。


 そして俺が住むこの地区は、王都でももっとも外の城壁の更に外。

 酒と女と暴力が溢れ、住んでる人間も、娼婦やゴロツキ、お尋ね者に病人。

 要は、まともな人間なんて居やしない、そんな地区だ。



 俺のかーちゃんは、小さい飲み屋をやっている。

 毎晩酔っ払いに安い酒出して、少ない稼ぎで俺を育ててくれている。


 この町では、まともな方だと思う。

 女が体を売らずに貧しいながらも生活出来ているんだから。



 俺の朝は、井戸から水を運ぶ作業から始まる。

 飲み水や水浴びをする訳じゃない。


 ゲ○やしょんべんで臭くなった店先を綺麗に掃除する為だ。

 


「カカ、おはよう」


 俺が店先の掃除をしていると、声をかけてきたコイツはラナ。

 俺の1つ年下で、毎朝ウチに来る。


『先に喰ってろ』


「うん」


 ラナの母親は娼婦。 

 ラナはまだ自分で稼げる歳じゃないから家では朝飯を食べられず、可愛そうに思ったウチのかーちゃんが「ウチに食べにおいで」と声をかけて、それ以来毎日来るようになった。

 今ではウチでメシを食べさせてもらう代わりに、かーちゃんの仕事を昼と夜と手伝っている。




 店先の掃除を終わらせ店に入ると、かーちゃんが作ったスープをラナがテーブルに並べているところだった。

『先に喰ってろ』と言っても、毎回俺が来るまで待っている。


 俺がテーブルに座ると、ラナが二人分のパンを持って来て俺の隣に座る。

 二人で硬いパンをかじりながらスープを啜る。


 かーちゃんはそんな俺たちを余所に、店の仕込みの仕事をしている。

 昼間は食堂もやってるから、朝から忙しい。


 俺もラナも父親は居ない。

 この町じゃ珍しくない。




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