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私に来世があるのなら

作者の21グラムは、ダークな作品が大好物です。


ダークな作品が苦手な方は、ブラウザバックすることをおすすめします!



「ダークな作品、大好きだよ!」「ダークな作品は親友です」という方、ようこそおいでくださいました!

これから、よろしくお願いしますm(_ _)m


この作品は、別サイトの方にも投稿しているので、その投稿している分は、小説家になろうの方にも、できる限り早めに投稿します(◜ᴗ◝ )


それでは、本編どうぞ!


夢のような現実の中で、いつも君は隣にいてくれた。



ふと、10年前大好きだった小説の一文が脳裏をよぎる。


それは、自分の絞首刑が執行されることになり、名前をよく知らない死刑のための部屋に続く冷えきった廊下を、看守長と共に歩いている途中のことだった。






私は一年前、魔術学院の院生時代に同じ学院の同じ教室で、共に学んだクラスメイト28人と、その他十数人の院生を殺めて死刑が決まった。





だって、仕方ないじゃない。


根も葉もない噂を立てられて、言葉の暴力に怯えながら大勢の院生がいる廊下を歩いて、隙あらば男女問わずクラスメイトから暴力を振るわれていたんだから。


極めつけは、お気に入りの、大好きだったSF小説達をボロボロにされて、どの作品の世界にも逃げられなくなったことだけどね。


でも、そんな私にも、誰かそばで、悪夢のような現実を一緒に歩んでくれる存在がいればよかったのに。



涙をぐっと堪えたくて、唇を強く噛む。



悔しい。

もっと上手くやれば、誰にも証拠を掴まれなかったかもしれないことが。



憎たらしい。

いじめの主犯格の斉膳(ざいぜん) 信明(のぶあき)は、親の加護の下でぬくぬくと生きていることが。


大嫌い。

弱くて惨めで、同情も哀れみさえも、誰にも向けてもらえない自分が。



ごめんなさい。

” ダルク ”のみんな、せっかく協力してくれたのに、何もしてあげられなくて。

私には、「全部1人でやりました」って言うことしか出来なかったよ。



「止まれ」


後悔と憎悪と嫌悪、それと罪悪感で頭がいっぱいになっていると、看守長が私に命令した。

あぁ、なんだ、私はもう死ぬのか。


「……はい」



ぎぃいい。

私の目の前にある、端の部分が少し錆びた重さのありそうな鉄の扉が、看守長が手をかざして魔力を込めたことで開く。


どんどん開いていく扉の隙間から、中の様子が見えた。


最初に見えたのは、ピラニアや鮫の泳いでいる、水族館を連想させる巨大な水槽。

次に、巨大水槽の横に設置された階段。



やっと上を見上げる勇気が出てきて、巨大水槽のてっぺんを見ると、巨大水槽に蓋をしているような位置に、階段の踊り場があった。

踊り場の真ん中には、絞首刑用のものと思われるロープが垂れ下がっている。


あぁ、これは確実に私を殺したいんだ。



とっくに死を覚悟していたのに、背中に幽霊が張り付いているんじゃないかと疑う程の悪寒が走る。


「説明の義務というものがあるから、念の為、説明する。まず、罪人は1人で階段を上って、踊り場ーー、水槽の上の、ステージになっている場所に行きなさい。」


「……はい」


「そうしたら、天井から垂れ下がっている紐の、輪になっている部分に首をかけなさい。」


「……はい」


「その後は、死刑執行人がボタンを押すと、罪人の足元にあるステージが半分に割れて、罪人の首が絞まる。安心しろ、お前がなかなか死なないようなら、紐を切って、魚の餌にするだけだ。」


「……っ……は……い……」


怖い。


どうしようもなく、怖い。


「さっさと歩け」


「は……い……」


ここから死刑台までには、100メートルくらい距離がある。

少しでも時間稼ぎがしたくて、1歩1歩、ゆっくりと鉄の床を踏みしめるように歩く。


こつり、こつり。


こつり、こつり。



自分の歩く足音が聞こえた分だけ、死刑台に近づいている。

それは紛れもない事実で、(くつがえ)しようがない。




階段のすぐ手前に着いたのは、あっという間だった。



〝楽しい時間もあっという間だけど、嫌な時間がくるのも、あっという間だよね〟




魔術学院の同級生で、唯一、私に暴力を振るうことも、暴言を吐くこともなかった男子生徒の言葉と笑顔を、何故か鮮明に思い出す。



〝僕はね、君と話をしている時が、1番楽しいんだ。〟


私が敬愛してやまない小説家の、雨宮(あめみや) 角楼(かくろう)の長男で、私が殺さなかったただ一人の男、雨宮(あめみや) 卯月(うづき)


なんでかは分かんないけど……学生の時……雨宮くんは私によく本を貸してくれたな


〝騒がしい教室から離れて、あまり人気(ひとけ)のない図書室でこうして話していると、心が落ち着くんだよ。〟


思い出すのは、太陽が沈みかけの時間の、夕日に照らされた図書室の隅でのこと。


私を守る壁のように立ち並ぶ本棚だらけの世界で、私の隣に座って微笑む雨宮くん。


ほんの少しだけオレンジ色の輝きを放つ夕日に照らされていた彼は、この世の何よりも綺麗に思えた。






でも、私はそんな雨宮くんを突き放した。


私はその日、魔法警察に手錠をかけられて、稀代の大量殺人犯としてカメラマン達に写真を撮られていた時、パーカーのフードを深く被って、自宅マンションの玄関から護送車へと移動していた。


護送車に乗る直前、車内に1歩踏み入れた時、誰かが、大声で私の名前を呼んだ。


雨宮くんだった。

卒業式で卒業生代表の答辞を読んで、大企業への就職が決まり、輝かしい未来が約束されていた雨宮 卯月だった。


フラッシュの嵐の中にいる大量殺人犯に、雨宮くんは堂々と声をかける。


〝なんで僕を殺さなかったの!?僕は、君をあいつらから救えなかったのに!どうして!?〟


メディアから”化け狐”とまで言われて、「心がない」「凶悪犯」と散々ボロくそに言われていた私を、誰がどう見ても「救いたかった」ととれるニュアンスで言った雨宮くんを、マスコミが逃すわけがなかった。


すぐさま、カメラマンが私ではなく雨宮くんにフラッシュをたいて、彼はマスコミの餌食になる。


私は幸せな未来が用意されていて、出世街道が確定している彼の今後を守りたかった。


地獄のような日々の中で、拠り所になってくれた恩を返したかった。


私が悪者になるしかないと思った後、その言葉は、あっさりと口から出る。



〝勘違いしないでよ。あんたが ”雨宮じゃなかったら” 殺してた。〟



魔術学院を卒業して、数ヶ月後のことだった。



「おい!早くしろ!!」


看守長の言葉で、回想が終わり、私の意識が冷たい現実に引き戻される。


「すみません……すぐにのぼります」


かつり。

階段に片足を乗せる。


かつり。

もう片方の足を、上の段に乗せる。


今度はもう、時間稼ぎをする気にはなれなかった。


雨宮くんを傷つけたこと、恩を仇で返したことを償う方法は、私のちっぽけな命が消えるしかないと思ったから。


ごめんね、雨宮くん。私ね、ひとりの人として、あなたが大好きだったんだよ。



「私の……拠り所になってくれて……ありがとう……」


ぽつり。

雨宮くんの名前を出さずに、感謝を述べる。


「あの日……本を貸してくれて……ありがとう……」


一度口に出したら、言葉は止まらない。



「私を……汚物扱いしないでくれて……ありがとう……」


雨宮くんから本を受け取った時、彼の手に、私の手が少し触れてしまったことがある。

他のクラスメイトだったら、「消毒しないと」と呟くのに、雨宮くんはそんなことを言わなかった。


「私に……笑いかけてくれて……ありがとう……」


人気のない図書室で話している時、いつも雨宮くんは笑顔でいてくれた。


「私の……大切な存在になってくれて……ありがとう……」


雨宮くんにとっては、ただの読書仲間かもしれないけど、それでも、それだけでも、私は嬉しかったんだよ。


雨宮くんに感謝を告げる度に、彼に対する罪悪感は大きくなる。


そして、


「突き放すようなこと言って……ごめんなさい……もうすぐ……ちゃんと……償うから……」


罪悪感が、私の背中を後押しする。




雨宮くんだけにむけた言葉が終わったのは、踊り場に1歩踏み込んだ時のことだった。




天井から垂れ下がっている縄に近づく。

私は一分一秒が惜しくて、早足で、縄の、輪になっている部分に近づいた。




夢のような現実の中で、いつも君は隣にいてくれた。


敬愛してやまない憧れの作家、雨宮角楼先生の小説の一文が、再び脳裏を過ぎる。



悪夢のような現実でもいいから、誰か一人の人がずっと傍に寄り添っていてくれたら、それでいい。


来世の、さらに来世に期待しよう。



もし、私に来世があるのなら。






目をつぶって、縄の輪になっている部分に、首をかけた。




別サイトの方でもお話してる事なのですが……みなさん、この夏はどう過ごしていますか?


「外で運動してる!」「部活があります(白目)」「家でゆっくりしてます」「リモートワークやってます」などなど、時間の過ごし方は色々だと思います。


私が気になったのは、みなさんの暑さ対策のことです。

お節介でしたら本当にすみません。


実は、本当にうろ覚えのあやふやな記憶なのですが、私が中学生くらいの頃、友達から「保健室に熱中症で運ばれた子がいるみたい。私、ちょっと見たんだけど、顔真っ赤だった」という話を聞いたことがあったんです。


最近は暑い日が続いてるので、マジで本当に水分と塩分をしっかり補給してください。

塩分は、タブレッツや飴でもとることが出来るし、塩分を含んでいる飲み物でもとれます。

リア友は、「梅ジュースも熱中症の対策になって、おいしいよ!」と教えてくれました。

私は、食わず嫌いして梅ジュースが飲めないタイプの人なので、麦茶をたくさん飲んでます。(おいコラ)


「用事があって、外に行くことあるんだよね……」「仕事で外まわりがあります……(白目)」という方、水分と塩分をしっかりとってください。

時間がなければ、ポケットに塩分をとることの出来るタブレッツか飴をしのばせて、何かの合間に口に放り込んでください。それも立派な対策です。



「家にいるから、大丈夫だよ〜」「室内で仕事してるけど、今のところは平気です。」という方……ニュースとかで見たことあるかもですが、室内でも熱中症になる可能性はあるんですよ……

室内の温度を調節して、水分と塩分をしっかり補給してください。

出来れば、小腹がすいた時に、何か軽食を食べてエネルギー補給してください。


「職場のエアコン、いじっていいのか分かんない……ちょっと遠慮しちゃう……」という方、「無理してでも職場のエアコンを操作して!」とは言いません。休憩時間に、水分をしっかりとって、塩分補給できる飴やタブレッツを口に放り込んで塩分をとってください。


似たり寄ったりなことしか言えなくて本当にすみません。私の語彙力はだいぶ昔に家出したので……(遠い目)




ここまで読んでくれてありがとうございました。

また次回、お会いしましょう!

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