~プロット家、出発〜
器用な寝姿
あんじーはお母さんに買ってもらった、水色のワンピースに着替え、髪は半ポニーにし、万事屋で買ったリボンをした。
「よし!できたよ〜スカイ、行こ〜」
「いいよ〜」
スカイはそう言って、ふよふよとあんじーの頭に乗った。
乗ったと言ってもほとんど体重等は感じない、精霊だから当たり前といえば当たり前だった。
あんじー達が下に降りようとすると、1階がガヤガヤしていた。
「ニックさんが、きたのかな!」
あんじーは、早く出発出来ると、嬉しくなって下に降りていった。
「あれ?」
ニックさんと、ニックさんの奥さん、ケイトリーさんもいた。
ケイトリーさんは、明るくてキップの良いお姉さんだ。
ケイトリーさんは、あんじーに気づくと
「あんじーちゃん、おはよぉー」
「ケイトリーさん、ニックさんおはよぉーございます」
「ケイトリーさん、お見送りですか???」
「ん〜、それがね」
なんだか、珍しくケイトリーさんが歯切れが悪く苦笑いしてる。
あんじーは首を傾けた(???どうしたんだろ?)
「私達は構わないわ、ねぇオトンヌ?」
「ああ、それは良いんだが」
「ケイトリーさんも御者席じゃぁ、身体がキツくな?中は広いから中でも良いのよ?」
「いえ、あたしは御一緒に行けるのなら、ニックと同じく御者席が良いです。」
「家族旅行だと言うのは充分理解してます。突然こんな事をお願いしてすみません(>人<;)」
「あっ、ニックさん達もデート???」
「うむ!良いことじゃ。2人がそれで構わないと言うのなら良いではないか、我らも家族でお出かけ、2人もデートじゃ」
「そうね。2人がそれで良いなら。でも、ケイトさんもし途中で身体がきつくなったら、いつでも遠慮なく仰ってね」
「はい、本当にありがとうございます」
「それで、プロットさん、今日は休日特別手当という事だったのですが、今回はあたしも休日という事でお願いします」
「えっ???、、、いやいやそれはちょっとこちらに都合が良すぎるよ、手当は手当でちゃんと出すよ」
「いえいえ。ケイトリーとも話してたんでございます。私達が王都に行くとしたら乗合馬車になります。王都までの料金も2人分はけっこうかかります、更に時間もかなりかかります。また乗り心地もあまり良くないです。それが今回もし御一緒に行けるのであれば、王都でゆっくりする時間もあるかもしれないと、私どもとしては専用馬車で行けるなど、夢の様でございます。なぁ?」
ニックさんがケイトさんを振り返る
「はい。夢の様な時間を頂けるのにお金まで頂けません。2人で一緒に行けるだけで嬉しいです。それに、ニックからプロット家の馬車の御者席はとても居心地いいと聞いてます笑」
ケイトさんは、ニッコリと嬉しそうに笑った。
~~~~~
そうプロット家の馬車はとても乗り心地が良い。最初馬車に乗った時にあまりのお尻の痛さに泣きそうになったあんじーは、おばあちゃんと色々相談し、何と柔らかぷにぷにのスライムに目をつけ、討伐したスライムを加工して布袋に入れクッションとしたのである。
そのクッションを馬車の中と御者席に取り付けた。
大変居心地いい空間になっているのであります。
そのスライムクッション制作にはおばあちゃんとおばあちゃんの冒険仲間も何人か加わった為、チームで意匠登録してるとか何とか、まだまだコストが高いので王族、高位貴族にしか買えてないとか、何とかを何となく聞いている、プロット家だが、おばあちゃんの財布事情はおばあちゃんしか知らない事なのであった。
恐らくおばあちゃんはそれでたいそう良いお酒を飲んでいるのではないか?と、あんじー達は思ってる。
おばあちゃんが楽しければ、それで良し!としているプロット家であった。~~~~~
「まぁ、ニックさん達がそれで良いと言ってるのであればそれで良いではないかの。確かにわしらの馬車はお尻も痛くならないしの〜」
「はい!」
「では、良いのかしら?」
「そうだね。ニック達がそれで良いのであれば、そうしようか?では、そろそろ出発しようか?みんな準備は大丈夫かい?」
「大丈夫〜」
「うむ。いつでも大丈夫じゃ。」
「ええ大丈夫よ。」
「では王都に向けて、ニック安全運転で頼む笑」
「かしこまりました。」
「出発〜!」
あたし達は馬車に乗り込んだ。
~まだ薄暗い中、ファレノプシス街の門からあんじー達の馬車が静かに出ていく~
広々として馬車の中、あんじーはいつもはしない様な、靴を脱いで座席に足を乗せ、窓正面に座る。
「どうしたの?まだ暗いから何も見えないでしょ?」
「そうなんだけど、いつも王都には転移がほとんどだから、こんな風に馬車に乗って出た事ないし、、、」
「それに、家族だけだからそんなに行儀よくしなくても良いもんな?」
あんじー、クルっと振り返った
「そうなの、そうなの、おばあちゃん!」
「あんじーはいつも馬車で大人しいもんなぁ〜」
「本当は、窓から景色みたいけど、横向きだとちょっと馬車酔いしそうであんまり出来なくて、、、へへへ〜」
あんじーはにへら〜と笑い、また窓の外を眺める。
その子供らしい姿を保護者3人は見つめていた。
特にイヴェールとオトンヌの2人はまだ間に合って良かった、まだこの子と一緒に遊べると安堵した。
国民へのお披露目の時のあんじーも、修行の旅に出ていくあんじーも2人の子供なのに、立派なガーディアンとして成長している様子は誇らしさよりも、どこか遠くの存在になった様で少しばかり以上の寂しさを感じていた。
しばらく馬車は順調に進んでいた。
「少しづつ明るくなってきたね〜、、、朝って感じで綺麗だね〜」
「そうねぇ。けっこう走ってるけど、魔物とか全然出ないわね〜。」
「この辺りはシュガーステッキの植樹も進んでいる様だし、平和なもんなんじゃろうて」
《そうだね〜、とても陽の気が満ちてるから魔物には居心地悪いんじゃないかなぁ〜》
「……すぅーすぅー」
「あらあら、まぁまぁ」
あんじーは、窓におでこをつけて寝ていた。
嬉しすぎて早起きしたのは良いが、ニックの安全運転による心地よい揺れと窓から流れる綺麗な景色を眺めていると、とても心地よい眠気に誘われて抗うこと無く意識を手放してしまった、あんじーだった。
「そんな格好で寝たら、起きた時に体がカチンコチンになってしまうよ笑」
そう言って、オトンヌはあんじーを抱き上げると、イヴェールの膝にあんじーの頭を乗せて自分の膝には足を乗せ、少し大きめのタオルを被せた。
「安心しきっておるの〜。こんな姿は修行の旅では見たことないさのぉ〜」
「そうですか。それは良かった。本当に、、、、」
イヴェールはそう言うと、優しくあんじーの髪を梳く。
「私はどこかでこの子はたしかにあたし達の子供なのに、国に捧げてしまったような、そんな思いがどこかにあって、なんて言って良いのかわからないのですが、やるせなさと寂しさがありました…」
「イヴェール、、、俺もだよ、、、」
そう言って、オトンヌはイヴェールの肩を抱く。
「うむ。おぬし達でもそうなのだから、あんじーは本当はもっと思うものがあってもおかしくない、、、じゃから1番手の空いているわしが少しでも傍に居れたらと思ったのじゃ」
そう言って、エテさんはニッカリと笑った。
「えぇ、えぇ、本当にお母さんには感謝してます。お母さんが居なければこの子はもっと早くプレッシャーで潰れていたかも知れません。私も心配で今の様に穏やかな気持ちで、修行の旅の帰りなど待ってられなかったと思います」
~馬車の中を穏やかな時が流れる~
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