~ニコール公女の思い出~
「お嬢様はそれでよろしいので?」
自身が赤ん坊の頃から、もしかしたらお母様よりも長い時間、自分の傍にいてくれているダリアがそう言った
「仕方ないわ、あまりにも馬鹿な伴侶だと領民も認めない。この先、彼がもう一度候補に挙がる事などないでしょ、、、出会った時は、昔は、あんな風ではなかったわ…」
ニコールはそう言って、ふぅーとため息をつき、窓の外から見える新緑の景色に思いを馳せる
「ぼくね大きくなったら、少しでもあにうえのおやくにたてるようにべんきょうもがんばるんだ!」
そう言って、金の髪にサファイアブルーの瞳の彼は満面の笑顔で誇らしげにそう言った
それが私とシオンとの出会いだった。
4歳の私の誕生日会、同年代の子供を招いてのガーデンパーティだった。
ニコールはまだまだ甘えたい盛りだったが、段々と始まり始めてた公女としての教育に言い様のない不安とプレッシャーを感じていた。
そんな中での誕生日パーティ、初めての同年代の子達と出会うのにとてもドキドキとしていた。
(おはなしできるかしら、、、)
だけど、実際には子どもたちは親から粗相が無いように、もしくは公女様の近侍になれるように気に入られなさいと言われているのか、ニコールには一線を画している様で、話しかけてきてもその内容は何が得意だとか、領地の特産とかそうゆう話だった(実際子供達は親からその様に言われていた)
ニコールは、同い年の子供と普通におしゃべりがしたかったのでだんだんとかなしくなってきていた。そんな時だった、明るい声でそんな事を言う声が聞こえ、思わず振り返った。
何人かの子どもたちがわいわいとおしゃべりしていた、その中にシオンが居た
私は太陽の様だと思った。この北の地を照らす太陽の様だと、、、私は自分のやるべき事に重圧を感じていたのに、同い年であんな風にお兄様を支える為に頑張るって、笑顔で言っていたシオンに惹かれた。彼が傍に居てくれたら私も頑張れる気がした、いやそんな風に言ってくれる人が出来るように頑張らなきゃ、頑張りたい、そう思えた瞬間だった。
だから、あの後、パーティが終わった後にお母様から「どうだった?お友達は出来たかしら?」と言われた時に、シオンの事をお話した、「あんな風に言ってもらえる人になりたい!公女のお勉強頑張ります。」お母様は私がそう言うと、「まぁ!ふふふ」とても嬉しそうに誇らしげに笑ってくれて、頭を撫でてくれた。
普段のお母様は微笑んではくれるけど、滅多に声を出されて笑う所を見た事がなかったし、撫でてくれる手がとても優しく感じたのでますます嬉しかった。
それから緩やかに変化が起きていく。
シオンはグリーンベリー侯爵家の次男だった。グリーンベリー侯爵家は代々北の大公を支えてきた由緒ある家系だった。
その為、当初はニコールのシオンに対する印象が好印象なのは両家にとっても喜ばしい事だった。
シオンにしても、ニコールの事を「妖精かと思うくらい綺麗な女の子がいた」と両親に話していたらしく、誰しもが出だしは順調に思えた。
アングレカム大公家は代々女系で、大公の伴侶は女大公を支えてくれるとても大事な位置づけの為、子供の頃は婚約者候補を複数名挙げて、実際の婚約者の発表は学園時代、13歳の公女の誕生日に発表する。
その為、あくまでもシオンは候補としての位置づけだった。ただ、2人の仲が良好だった為、大公も敢えて他の候補は挙げてはいなかった。
大公の任務は大変な為、好き会う者同士で支え合えたらそれが1番だからだ。
ただ、当初は公女の教育や勉強をするニコールにシオンが自主的に「自分も一緒に勉強してもいい?」と、聞いてきたため、ニコールは喜んで大公の許可を得て、2人で勉強していた。
でも、1年を経つ頃、シオンが「明日は予定があって来れないよ、ごめんね」と言い、2日に1回はだんだんと来なくなり、更に1年後には「僕には他にもやる事があるから、あまり来れなくなる。来れる時に連絡するね。」と言った為、ニコールは一緒に勉強出来なくて、残念だったけど、シオンには他にも学んでいる事があるんだと思うと、自分も頑張んなきゃ、と思い「解ったわ、頑張ってね」
と言ったのである。
更に1年を過ぎた頃、久しぶりの家族揃っての夕食の時に、お母様から
「最近、シオン君を見かけないわね?一緒に勉強してないの?」
と、尋ねられた
「うん。シオンは他にもやる事があるので普段は別々です。」
「そう、、、そうなのね」
お父様とお母様が顔を見合わせる。
「何かありましたか?」
「いえ、何もないわよ、それよりもニコールは勉強頑張ってるみたいね、何か問題とかある?」
「問題は、特にはないです。先生方はとても良い先生で大変だけど、楽しいです。(シオンが一緒だったらもっと楽しいけど)」
「そう。あまり無理しないでね。今度の夏のバケーションには湖畔の避暑地に行きましょうか?」
「えっ???お母様、お父様も一緒に?」
ニコールは、父と母の顔を交互に見
「そうよ笑」
「嬉しいです!」
家族で出かけられるのは1年にあるかないかだった、ニコールはとても楽しみだった。
夏の避暑地に家族で行ける為、それを目標にいつもの厳しい教育を頑張って過ごしていたニコールの元へ久しぶりにシオンが来た。
ニコールはちょうど紅茶を飲んで居たため、シオンにも勧めるとシオンは喜んでお茶の席に着いた。
「久しぶりだね、元気だったかい?」
そう言って、ニコールの大好きな太陽の様に笑った
「ええ、シオンが居ないのは寂しいけど、頑張ってるわ笑」ニコールはそう答えて、今度家族で避暑地に行く話をした。それを聞いていたシオンは何か考えがる様にしていたが、ニコールが「シオン?どうしたの?」とたずねると
少し哀しそうに笑った
「いや、なんでもないよ、、、ニコールは良いね、家族でお出かけ出来て、、、」
「シオン、、、」
(シオンの家はお母様は社交、お父様はお仕事で忙しくしてらっしゃると聞くわ)
「ねぇ、ニコール、、、僕はいつまで婚約者候補なのかな?しきたりだとは聞いているけど、実際には僕以外に候補は居ないんだろ?それなら候補ではなくて婚約者になっても良いと思うんだ、、、そうしたら僕も、もっとニコールと一緒に居られるだろ?」
「そうよね、、、」
ニコールは、いつまでも候補のままのシオンに申し訳なく思ってた。
「大公様に聞いて貰えないかな?聞けたらで良いんだけど、、、僕はニコールの気持ちが他にいってしまわないか、、、心配だよ」
シオンはそう言って、悲しげに笑って、ニコールを見つめた
「そんなこと!!!」
ニコールは咄嗟にそう言ったが、シオンは
「でも、今の状況は2人ともに何が起きてもおかしくはないだろ?、、、僕も今はニコールが好きだよ?だけど、ニコールも僕もこの先に何があるか解らないだろ?、、、不安なんだ」
そう言って、俯いた、ニコールはこんなに寂しげなシオンを初めてみて驚いた、、、私がシオンをこんなに不安にさせてる???
「お母様に聞いてみるね、、、私とシオンの気持ちは変わらないからって、、、」
シオンは顔を挙げて、ニコールの手を握り
「ニコール、ありがとう」
そう言って、
「無理はしないでね」と言ってくれた。
「また明日来るね」
「うん。解ったわ。」
シオンはそう言って、帰っていった。
ニコールはシオンが出ていった扉を見つめながら決心したのだった。
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