くらげさん???
おばあちゃんが登場します。
~ふぁ~、ずいぶん すっきりしたぁ〜
窓を見ると、太陽が今日の仕事の後片付けをしてる様に日差しが柔らかくなってきていた
あたしは ゆっくりとベットから降りて、トコトコと部屋の扉を押して(まだ幼児のアンジーではノブに届かないからいつも少しだけ開いてる) 廊下に出る、1階で物音がする、おかあさんかな?
あたしは、とてとてと歩いて階段に向かう、ちょうど隣の部屋を通り過ぎた時、隣の部屋が開き中から出てきたおとうさんに、後ろから抱き上げられた!
「こらぁ!まだ、歩いたら危ないだろ?」そう言って、おとうさんは、あたしをお姫様抱っこして、ほっぺたに軽くちゅってすると、
「大丈夫かい?」と、テノールの良い声で優しくたずねた。
「うん。だいじょうぶ。したにいく」
あたしがそう言うと、おとうさんは、解ってるよ、という様に、頷いて歩き出した。
1階に降りると、夕飯の準備をしていたらしいおかあさんが、あたしをみて、
「起きたのね、アンジー。桃を食べる?」
と声をかけた
あたしは嬉しくて 「うん!」と、大きく頷いた。
~桃は、退魔の効果があるとして、この地方では病中、病後に好んで食べられた~
あたしも桃は大好きだ!ピンクの薄い皮を剥くと、中の身は瑞々しくて甘くて美味しい、皮に薄ら付いてる実もなめたくなるほどだった(行儀悪いと注意されるけど)
リビングにある家族用の少し大きめのテーブルの、あたしのいつもの定位置(幼児用の高めの椅子がある)に、座らせて貰うと、もぅすでに剥いて準備してくれていたらしく、デザート用の丸い小皿に食べやすく小さく切られた桃を出してくれた。
あたしがさっそく食べだすと(うん!すっごく甘くて美味しい♡♡)、おとうさんとおかあさんも向かいの椅子に座り、食べだした(2人とも頬が緩んで美味しそうな顔をしてる)
ん?「おばあちゃんは?」あたしが尋ねると、おかあさんはにっこり笑って 「まだ、お昼寝かな?」といった
「そっかぁーこんなに美味しいから、おばあちゃんも一緒に食べれたら良かったなぁ〜」あたしが言うと、おかあさんもおとうさんも優しく頷いた。
~~~
あたし達が桃を食べ終わる頃、カコンカコンと控えめに玄関のドアベルが鳴らされた
おとうさんが、席を立ち、玄関を開けると、そこには大きな身体を小さく縮こまって、茶色の短髪で青い目のこの街の衛兵さんの1人、エド・バンダさんが立っていた。
エドさんは、おとうさんとその後ろの椅子に座っているあたしを見ると、
「すみませんでした!!!俺がが ちょっと催して、北門から離れたばかりに、アンジーちゃんを危険な目に合わせてしまって」と、身体を誤字から90度曲げて頭を下げた。
お父さんは慌てた様子で、「エドさんのせいではないですよ、門を開けて離れたわけではないのでしょ?」
「確かに 鍵は特に触った覚えはなかったのですが、ですが、実際に外に出れたという事ですから、鍵が緩くなってたのかもしれません、どっちみち俺の落ち度です!」
~この街には、南西門と南東門と北門があり、大きなアーチ型の門で 普段は鍵をかけてなく、衛兵さんが立って護ってるだけなんだけど、北門から延びる街道の左手には深い森があって、魔物もでる。
そうはいっても街には結界がはられてるから、街の中には入って来れず、念の為北門には門扉を閉めて鍵をかけてる。
そこで、冒険者とか許可証を持ってる強者が門に立ってる衛兵さんに見せて通って行く様になっている。
だから、はっきりいって、あたしが北門から出たのは有り得ないことなのだった。
お父さんが困った様な顔で
「そうはいってもね、私も門扉を確かめましたが鍵も緩くなってなかったんですよ。
だから、アンジーが目を覚ましたら 聞いてみようと思ってたところなんです。エドさん、わざわざお越しいただきありがとうございます。」
それまで黙ってことの成り行きを見守っていたお母さんが、
「エドさんも、どうぞおかけ下さい。ハーブティーでも飲みませんか?」
エドさんは 恐縮しながらも、2人の態度に安心したのかホッとした様子で、勧められた椅子に座った。
真ん中の所謂お誕生席、主役席だ。
そして、お母さんは、エドさんと自分達用にハーブティーを用意した。
「どうぞ、カモミールティーです。」そう言ってエドさんの前に置いた。
そして、4人で1口飲み、誰とはなしにホッと一息ついた時に、お父さんが私に言った
「アンジー、覚えていたらで良いんだよ。どうやって門から出たの?開いてたの?」
あたしは一生懸命に、その時の事を思い出そうとする。
その日は、我が家が管理している、北門近くの薬草園で薬草を摘みに行くお母さんに付いて行ったのだった。
そうだ、お母さんが薬草を摘んでる間、いつもの様にあたしは、しゃがんで薬草を見てた。
そして、そーだ!!!
「クラゲさん!!!」
「「「クラゲ???」」」 3人ともあたしを見る!6つの目だ、ちょっとこわい(笑)
「えっとね。門を見たら 開いててね。それでね、門の少し外側に 透明の綺麗なクラゲさんみたいのがぷかぷか浮かんでるのがみえてね、それをもっと近くで見ようと思ったら 門から出てたみたいなの」
あたしは、そこまでいっきに話したら
「ごめんなしゃい!!!」あっ、噛んだ、そう言って謝った。
「「クラゲ、、、」」
「やっぱり開いてたんだ、、、」
«それは、妖精のいたずらじゃな»
いつの間にか起きてたのか、ヘーゼルの髪と瞳の小さくてにこにこ顔のおばあちゃんがいた。
おばあちゃんが定位置に座ると、お母さんがすぐにカモミールティーを出した。
「お母さん、妖精のいたずらですか?」お母さんは困った様な顔でおばあちゃんに問いかけた。
おばあちゃん、エテ・プロットは偶に頭が若返りあたしと同レベル?で遊んでくれるが、薬草の知識もだがいろいろ博学だった。
「そうじゃ、まずクラゲは空には浮かんでいないし、この森の魔物にはそういった種類はおらん。
おそらく何がしたかったのか解らんが、アンジーに何か伝えたかったかもしれないし。
結界が貼られてる門に作用できるなら、悪いものではないじゃろ」
そう言って、カモミールティーを飲んだ。
「そぅですね、原因は解りませんが。とにかくアンジーも今は回復してきてますし、エドさんもお気になさらずに これからもこの街の護りをお願いします。」
そう言って、お母さんがにっこり笑う。
整いすぎて神秘的なとよく表現されるお母さんのにっこりは効果抜群で
エドさんは、顔を赤らめて
「ありがとうございます。そう言って頂けるとすごく心苦しいのですが、これからも精一杯頑張ります」
エドさんは、椅子から立ち上がり、また90度腰を曲げて頭を下げると、帰っていった。
次はやっとアレができます(笑)