願い事レース
山奥にある小さな村のお話。
その村には4人の子どもがいました。
村には学校がなく、子ども達は勉強、運動、遊び、自分で自由に時間使うことが出来ました。
1人目の子は勉強も運動もしません。毎日遊びダラダラ過ごす、ぐうたら君です。
2人目の子は勉強しかしません。毎日家の中で勉強ばかり。きんべん君です。
3人目の子は運動しかしません。お外で運動元気ハツラツ。まっちょ君です。
4人目の子は勉強も運動も遊びも何でもしました。何でも楽しく頑張ります。えんじょい君です。
4人はお互いに関わることなく、すくすく育ちました。
そんなある日のことです。
村長が朝早くに4人の子ども集めて言いました。
「今から願い事レースを始める」
聞きなれない言葉に4人は顔を見合せ首をかしげます。
「願い事レースとは皆が大人になった事を祝うレースじゃ」
ざわつく4人をよそに村長は続けます
「今日の夜に流れ星が流れる。一番高いところで願い事をした方が願いが叶うと言われておる。村の近くの山の頂上が一番高いところじゃ」
そう説明をすると村長はいなくなりました。
突然のことに戸惑う子ども達でしたが、4人はすぐに動き出します。
まっちょ君とぐうたら君はすぐに山に向かって走り出し、きんべん君とえんじょい君は準備に取りかかります。
先頭はまっちょ君です。まっちょ君はすごい速さで山に続く村道を駆けていきます。
続くはぐうたら君です。ぐうたら君は運動してないので体力がなく、すぐに疲れて道の端で休んでいました。
するとそこに、準備を終えて車で山に向かうきんべん君とえんじょい君が通りかかります。
ぐうたら君は「僕を山まで乗せてくれ」と頼みました。
しかし、きんべん君もえんじょい君も車には乗せませんでした。
「ケチだな。いいよ。ここでも流れ星は見えるし。どこで願っても同じさ」
ぶつくさと文句を言い拗ねるぐうたら君をその場に残し、きんべん君とえんじょい君は車を走らせます。
まっちょ君は速いですが車には勝てず、きんべん君とえんじょい君はまっちょ君を抜き去り山の麓に到着しました。
準備した道具を詰めたリュックを背負い、山登りを始めるきんべん君とえんじょい君。遅れてまっちょ君も到着しすぐに山を登り始めました。
山道はなだらかな坂が続く道で、身軽なまっちょ君はすいすい登り、あっという間にきんべん君とえんじょい君を抜き去ります。
2人を追い抜きどんどんリードを作るまっちょ君。懸命に追いかけるえんじょい君。どんどん遅れ始めるきんべん君。
そのまま先頭を行くまっちょ君が1番に山の中腹にたどり着きました。
スタートから走り続けるまっちょ君はだいぶ疲れてました。山の中腹には休憩できるお店があります。しかし、1番になりたいまっちょ君は休みたい気持ちを我慢し、休まず頂上を目指します。
続くえんじょい君は中腹で休憩し、息を整え、景色を楽しみ、また頂上を目指しました。
大きく遅れ到着したきんべん君はその場に倒れ混み「もう無理」「頭を使うことなら一番なのに」そんなぼやきを口にしながら休憩所で休み諦めました。
山頂への道は険しくなっています。ゴツゴツした岩や石が飛び出る道は歩きづらく、山頂に近づくほどに坂もキツくなっています。
いち早く山頂を目指したまっちょ君でしたが、坂がキツい道を歩くのは大変で思うように進めません。ゴツゴツした道は歩くだけでも足を痛めてしまいます。
えんじょい君は準備していた山登り用の靴に履き替え、山登り道具を使い、ゴツゴツ道もキツい坂もなんのその。
2人は一生懸命に登りました。
日が落ち夕日が山を照す。それは夜が近づいた知らせ。
暗い山道は危険です。まっちょ君は頂上の近くまで来てましたが引き返しました。その顔は悔しそうではありましたが、どこか晴れやかです。
星の光が山を照し始めたとき、山頂で星を眺めてるえんじょい君。
えんじょい君は見事登りきったのです。
4人がそれぞれの場所で夜空を眺めます。星空に流れ星がいくつも流れていきました。
みんなどんな願い事をしてるのでしょうか。
みんなはどこで願いを叶えたいでしょうか。
みんなは自分で願いを叶える努力が出来るでしょうか。