第5話 1日目生存成功
立ち上がって周囲を見回す。
結構な惨状だ。
巨大な木が3本折れて倒れている。
そしてタイタロスの巨大な下半身が横たわっている。
上半身はなくなっている。
あの爆裂球で吹き飛ばされたんだろう。
小さいのに、威力は絶大だな。
さすが神様製だ。
…でもね。神様。
ちょっとひどいんじゃないですかい。
こんな威力の爆弾なら、いくら木の陰に隠れたって、LV1の自分は絶対死んでるよね。
生き残ったってことは。
爆発の瞬間、タイタロスが死んで、その瞬間にレベルアップしたとしか考えられないよ。
…てことは。
タイタロスが死ぬのがちょっとおくれたり。
タイタロスと関係なく爆発が起きたりしたら。
自分は死んじゃってたよね。
神様、お仕事が雑ですよ。
一つの星に一人だけなんて言ってたけど、他の星の転生者さんたちは、結構始めのうちに死んじゃってるんじゃないの?
それとも、俺だけこんな危険なスタートなんですかい。
…まあいいか。
生き残ったし。レベルアップしたからね。
魔法の消費MPが多い気がするけど、その辺の調査はまたいずれ。
改めて周りを見てみると、赤い球が転がっていた。
鑑定する。
魔石 タイタロス
へえ。魔石ってあるんだ。
よくゲームででてきたりするよね。
収納しておく。何かに使えるだろう。
ついでに倒れた木も収納しておく。収納スキルは大きさに関係なく収納できるからとても便利だ。
まだ日が暮れていないが、夕暮れっぽい。寝床を作らなきゃ。
他の魔物が寄ってくるかもしれないから、タイタロスの死体から離れる。
がんばって斜面を登る。だいぶ離れた。
木の隙間から景色が少し見えるが、夕暮れではっきりしない。
創造スキルで、シェルターを作ろう。MPが足りるといいんだが。
収納していた木を使えば、MPが少なくてすむかも。
木を取り出す。木も巨大だ。
その木の一部を使って創造スキルで強くイメージする。
内径2メートル四方くらいの、小さな小屋だ。
窓は必要ない。魔物から身を守るためのシェルターだからな。
壁を分厚く。衝撃に耐えられるようにイメージする。空気穴を開けて。
木が変形していって、イメージ通り出来上がった。
一旦収納して、生えている木の傍に移動して再び取り出す。
よっこらしょ。
木の根本に設置が完了した。これで少しは魔物の注意をそらせるといいんだが。
ふう、お腹すいた。
MPも体力も沢山使ったからお腹ぺこぺこだよ。
貴重なMPを使用しておにぎりを創造してたべる。
おにぎりおいしい。
もそもそとシェルターの中に入って、入口を創造スキルでふさいだ。真っ暗で狭いけど、寝るだけだ。
ふとんはないけど、ごろんと横になる。
今日は疲れた。
転生初日。なんとか生き残った。
異世界っていうのは恐ろしいところなんだな。イメージとだいぶ違ったぞ。
爆裂球がなかったらぺちゃんこにされて終わってた。
いろいろ考えるのも疲れた。
明日、今後のことを考えよう。
ねむい。
おやすみ。