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第3話 タイタロスLV568

 この森は杉のように真っ直ぐ伸びた木が生えている。

 ただ、一本一本が太さ2メートルくらい太い。

 地面は草はなく、湿った葉が積もっていて、足音がしにくい。


 薄暗いから、遠くは見通せない。

 唸り声が聞こえてきた方をじっと見るが、暗くて見えない。



 木が揺れる音が聞こえてきた。

 この大きな木が揺れるって、相当な力なんだが。


 木の後ろにしゃがんで隠れて、そっと待ち構える。


 100メートル先くらいだろうか、灰色の立ち上がった丸太が動いてきた。

 丸太???


 いや、丸太と思ったものは、足だ!

 巨人だ。

 すぐに鑑定する。


  タイタロス LV568

  MP 1274


 LV568!!

 ちょっとまて!

 勝てるわけないだろ!!!


 驚いている間にも近づいてくる。

 全貌が見えた。身長20メートルくらい。

 全身が灰色、右手に棍棒を持ってる。時々木に手をかけてこちらに歩いて来ている。

 こちらは見つかっているっぽい。


 ちょっと神様! 話が違うんじゃないの!?

 始まりの村くらい弱い魔物でいいじゃない!

 なんだよLV568って! 俺はLV1だよ!

 スキルなんか意味ないじゃん!! MPもないよ!

 おにぎり食べちゃったからね!


 くそ~騙された! この転生、ハズレだろ! 長生きどころじゃないじゃん!


 戦いなんかすっぱり諦めて、すぐに逃げ出す。

 するとすぐにタイタロスは追いかけてきた。


 速い!

 巨体なのに木を器用によけて追ってくる。

 足の長さで、じきに追いつかれそうだ。

 木があるせいで、棍棒は振り回さない。


 棍棒を持たない方向、左に逃げる。

 やばいやばいやばいやばい!

 とにかく逃げる!

 少しだけ、引き離しに成功。


 途中で、

    もしかしてお話できるかも?

    意外と話せばわかる?

 とか思ったけど、一瞬でその考えを捨てた。

 タイタロスは大声で吠えたからだ。


 あれは言葉なんか通じない。獣と同じだ。

 握りつぶすか、たたきつぶすかされるだけだ。


 必死に逃げる。このエルフの体は意外と結構頑張れるのが幸いだ。

 それでも、疲労がたまって、動けなくなってきた。


「うららららーーーーー!」

 叫び声をあげてなんとか頑張る。


 上り斜面になった。死に物狂いで駆け上がる。

 結構急勾配になってきた。足がもつれだす。

 

 もう限界。

 よだれダラダラ。鼻水びしゃびしゃ。

 自転車ロードレースのゴール直前の選手みたいだ。

 こんなエルフに誰がした…。


 もう。覚悟を決める。

 ここで戦うしかない。


 タイタロスも斜面を登ってきている。

 上背のせいで、近くに見える。

 感情のない顔がよく見えて、恐怖でいっぱいになる。


 ここで収納から爆裂球を一つ取り出す。

 斜面の下から登ってくるタイタロスは、もう50メートルも離れていない。

 走って逃げ回ったせいで足はガタガタ。でも腕はなんとかまだ元気だ。

 

 鼻水を豪快に流しながら、息を整え、よく狙って、タイタロスの胸に向けて爆裂球を投げつけた。


 投げると同時に木の後ろに隠れる。

 小さな球だ。爆発の威力はわからない。


 なんとか驚かせて追い返すくらいできるといいんだが。なにせ相手はLV568だ。

 防御力はとてつもないはずだ。傷一つつかないかもしれない。

 爆裂球はいくつ必要だろうか。



 爆裂球はタイタロスの胸に直撃した。


 ズドオオーーーン!!!


 予想外に大きな地響きを立てて爆発し、自分も吹き飛ばされた。

 

 そのまま意識を失った。

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