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最凶ヒヨコ伝説 ~裏切られた勇者はヒヨコに生まれ変わったので鳥生を謳歌します~  作者:
第1部5章 帝国首都ローゼンシュタット 燃えよヒヨコ
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5章2話 ヒヨコは見た!ステちゃんの神降ろし

 ヒヨコとトルテを連れてステちゃんは馬車に乗って帝城ローゼンブルクへとやってきていた。

 ちなみにここはローゼンブルク帝国皇帝直轄領ローゼンシュタット市である。

 帝国は大陸最大の国家で侯爵領や辺境伯領どころか小領の国も含まれているらしい。ここに匹敵するのは大陸の北東にあり、数多の種族が暮らす大都市ダエモニウムだけだとか。


 通された執務室には新しい皇帝陛下であるアルトゥル・K・ローゼンブルクがそこにいた。

 見た目は種馬皇子さんやエリアス某といった皇子さん達と似て銀髪青眼で顔立ちは優れていた。

 だが種馬皇子さんのような甘いマスクの軟派男とは異なり、顎髭を生やし風貌は皇帝陛下というよりは山賊の親分といった雰囲気があった。マントについているファーが山賊の毛皮に見えるのはヒヨコだけではあるまい。

 今日からヒヨコは山賊皇帝さんと呼ぼう。

 そんな主がいる執務室に獣人宰相さんと元町長さんと共にステちゃんが通される。ヒヨコとトルテも一緒に入って行く。

 衛兵さん達はヒヨコ達を通していいものか困った様子であったが知ったこっちゃないのだ。


「貴殿が巫女姫の娘か」

「お初にお目に掛かります、皇帝陛下。フローラ・ノーランドの娘ステラと申します」

 ステちゃんは膝を付こうとして

「膝をつく必要はない。貴殿がその手の礼儀をまともに習っていない事も知っているし、それに獣人族の象徴である貴殿に膝など付かせたと知られたら、獣人族達に殺されかねないからな。そのままで構わん」

「は、はあ……」


「きゅうきゅう(狐はビビりすぎなのよね。アタシのように王者の風格を見せるのよね)」

 胸を張ってヒヨコの頭の上で偉そうにするトルテ。

「ピヨピヨ(ヒヨコなど頭にキンキラキンのドラゴンクラウンを付けて偉そうになっているのだぞ)」

「きゅうっ!?(誰がクラウンなのよね!?)」

 ヒヨコは頭に立つトルテを冠に見立てて偉そうに振舞い、トルテは自分を冠扱いされておかんむりであった。

 だが、ヒヨコは一切気にしない。何故ならヒヨコは存在そのものが王にも等しきピヨちゃんだからだ。帝都の人気者。レース場の人気者。もはや皇帝やステちゃんよりもピヨちゃんの方が有名に違いない。


「まあ、ここまで来てもらってすまんな。ステラ殿に願いがあってきてもらったのだ。」

「願い……ですか?」

 ステちゃんはコテンと首を傾げる。ヒヨコもコテンと首を傾げる。トルテはヒヨコの頭から滑り落ちてコテンと落ちる。

 トルテがヒヨコから落ちて悔し気に脚に噛みついてくるが無視の構えである。そういう空気ではないからだ。


「ヒューゲル卿、説明してくれ」

「はい。外で説明できなかった事ではあるけど、我々は今回、連邦獣王国は近隣諸国と本格的な戦争になる事を危惧している」

「戦争?……もしかしてベルグスランドですか?」

「アルブム・ベルグスランド連合軍とだ」

「連合軍?何故、かの2国が?」

 ステちゃんは不思議そうに首を傾げていた。

「アルブムはオロールと戦争し、首都レザンを陥落した。我々が北国で遊んでいたあの1月弱の間に全て蹴りがついていたらしい。あの国にそんな戦力があったというのは驚きなのだが……」

 元町長さんもまた戦争があっさりと終っている事に驚きを隠せないようだ。

 それくらい拮抗していた国力だったのだろうか?よく分からん。


「あのー、よく分からないんですけど、他国に諜報部隊とかそんな感じの人達が出ていたんじゃないですか?」

 ステちゃんは不思議そうに元町長さんに問う。そんな事を問われる元町長さんはちらりと山賊皇帝さんを見る。

 山賊皇帝さんは獣人宰相さんへと視線を向けると、獣人宰相さんは即座に答える。

「先帝陛下の諜報部隊は帰らぬ者となっております」

「え?」

 獣人宰相さんの言葉にステちゃんは驚きの声を上げる。

「恐らくかなり高度な頭の中を読むスキル、或いは魅了スキルの持ち主がいるのでしょう」

「俺もケンプフェルト辺境伯領にいた頃に放っていたが、魅了を受けていた。精神耐性の強い者や精神耐性を向上する防具を装備したままで、俺の首を狙ってきたぞ?どうも恐らく頭の中を読むのではなく、魅了でベラベラ喋らされたのだろうな。とはいえ、シュテファン。貴殿はもう少し情報を得ているのではないか?」

 今度は山賊皇帝さんがジロリと半眼で元町長さんを睨む。


「所詮は冒険者の横のつながりによる情報なので嘘か本当か怪しいのですけど。王国の王太子が秘術により強力な力を手に入れたようです。その為、国王は宮殿にこもり、現在は聖女と王太子が国を支配しているらしいですね。聖女は自国を破門にした上、自身を聖女として認めなかった為、レザンと女神教会の本拠を滅ぼしたと。ベルグスランドにて聖女の認定を受け聖光教会こそが真なる女神の教えを説く教会だと広めているようです」

「……王太子と聖女か。アルブムとはあまりつながりがないから分からないが、確か2~3年前に悪魔王討伐時に勇者と共に来ていたと思うが……」

「王太子と聖女は勇者の魔王討伐時に共に帝国に来ておりましたが、外面はまともでしたね」

 山賊皇帝さんに問われて宰相さんが身も蓋もない事を言う。

「外面は?中身は違うと?」

「他人を見下すような視線はごまかせませんし、帝国に対する敵意も隠せてはいませんでした。聖女が勇者を誑かしていたのも見れば分かります。王太子と密通していたのも下の者が確認しておりましたし、愚かな連中だと侮っていたのは確かです」

 獣人宰相さんはアルブム王国の聖女と王太子をそんな感じで評していた。


「宰相から見れば大半が愚かであろう」

 山賊皇帝さんは呆れるようにぼやく。

「ヴァッサラントにいた時にモーガンから聞いたのだが、どうも王国は生贄を使った儀式によって超常の力を召喚しようとしていたとか。オーク達を捕縛した連中は、奴隷に使うつもりがなかったようで、捕えたオークたちの腱を片っ端から切り落としていたらしい」

 元町長さんが新しい情報を出す。


「……全員を癒す程の使い手を確保する事は困難、なるほど生贄に使う予定というのは可能性が高いですね。400年前の邪神大戦の例もあるが…そんなものを再現するとも思えぬし、再現する方法をかの国が知っている筈もない。400年前、徹底的にその痕跡を消した筈だが」

 山賊皇帝さんは腕を組んで唸る。


「うむ。それは帝国がよく知っている。平民さえ歴史の授業で習う一般教養だ」

 元町長さんの言葉に宰相さんと皇帝さんは頷く。

「悪魔王の居城を制圧した時に、真っ先に乗っ取ったのはアルブム王国軍でしたからね。そこで手に入れていた可能性があります」

「悪魔王か。魔神の残滓は死んでも尚祟るか」

 宰相さんも皇帝さんも盛大に溜息を吐く。

「獣王国への侵攻は生贄を欲するアルブムと獣王国の資源を欲したベルクスランドの思惑が一致したという事か」

「とはいえ、400年前、ミロンから聞いていますけど、邪神召喚は世界中が気づいたと言います。呼び出したのは邪神とは違うかと」

 皇帝さんと宰相さんと元町長さんが話し合っていると


『それはまだおのれの力をすべてこの地に降ろせるほどの穴をあけられなかったからです』


 すると、突然、全く口調の異なるステちゃんの声がそこに小さく響く。


「「「え?」」」

「きゅう?」

 皇帝さん、宰相さん、元町長さん、そしてトルテは驚いた表情でステちゃんを見る。

「ピヨッ!(誰だ!ステちゃんの体を使って勝手にステちゃんを動かす奴は!)」

 ヒヨコは即座に怪しげな様子のステちゃんに襲い掛かる。

『すわりなさい』

「ピヨッ?」

 ペチャンとヒヨコはステちゃんの前で不可視の力で叩き落される。

 どういうことだ。ステちゃんの様子が明らかにおかしい。瞳が神々しく光り、ステちゃんとは思えない圧倒的な力を感じる。ステちゃんは後光を放ってまるで何事も無かったかのように静かに語る。

 護衛の兵士たちは慌てて剣を取ろうとするが全く体が動かなかった。


「ま、まさか!」

 声を震わせて唸るのは宰相さん。

「ピヨピヨ!(誰だ、この野郎!ヒヨコの目は誤魔化されんぞ!ステちゃんはどこにいった!?)」

「きゅきゅう(で、でも何だか歯向かえる力が湧いてこないのよね。何事なのよね!?ステラだけどステラじゃないのは分かるのよね)」

 ヒヨコは体を地面に不可視の力で抑えられながら変な感じになっているステちゃんの中に入っているだろう何かを睨む。

 神眼には何も映らない。トルテは歯向かおうとさえしない。


「き、聞いた事が有る。巫女姫とは『神を世界に降ろせる存在』の称号だと。ま、まさか貴方様は…」

 元町長さんは驚き声を震わせえ唸る。

 その言葉に皇帝さんも椅子から立ち上がると慌てた様子で膝をつく。宰相さんも元町長さんも護衛の兵士たちも同時に平伏する。


『久しぶりですね、ピヨちゃん』

『ピヨピヨ、誰だお前は。ヒヨコは全く記憶にないが。ハッ!お前が俺の母ちゃんか!』

 ヒヨコは光ってるステちゃんの言葉に首を傾げる。

『いや、違いますから。何度もそのボケをしないでください。やはりあなたの転生先は私が管理した方が良かったかもしれません。放置したばかりに鳥頭の鳥に転生するとは。以前、魂が抜けかけていたから呼びつけて事情を説明しているのに、すっかり忘れてしまうし』


 何だかステちゃんの中の人に呆れられていた。ヒヨコの頭を鳥頭とかバカな子みたいに言わないでもらいたい。

 ヒヨコの頭は………………………………鳥の頭だった!?なんてこった!


『ピヨピヨ、ヒヨコは知らぬぞ。ピヨ!ヒヨコは昔を振り返られない男。(ヒヨコ)の中の(ヒヨコ)。そんな私私詐欺には引っ掛からない!「ほら、私よ、私。学校時代の同級だったあの。勿論覚えているよね?実は今困ってるんだけど、ここにちょっと署名してくれない?友達でしょ」とか言われてもヒヨコは決して書いたりしない!何故ならヒヨコは手がないからペンを持てない!』

『相変わらずですねぇ。とはいえ、まさかステラの下に流れ着くとは思いもしませんでしたが。いや、フローラはそこまで考えていたのかもしれませんね。あの子は予知を私以上によく使いこなしていましたから』

『ピヨ?』

『まあ、良いでしょう。今、やっと我が巫女姫の予知スキルが7へと至ったので、敵に気取られず連絡が取れました。あと、私の力で普通にしゃべれるでしょう?ピヨッとか素で喋られるとさすがに困惑します』

 ステちゃんの中の人に呆れられた様子で突っ込まれる。


『…おや、言われてみればヒヨコは普通にしゃべれるぞ!』

『きゅうきゅう。ヒヨコのくせに生意気なのよね。…って、アタシも喋れるのよね!?』

 驚きのヒヨコ&トルテは互いに目を見合わせてびっくりする。


「もしかして、我らが女神様なのでしょうか?」

 宰相さんが頭を下げた状態でピカピカ光ってる光ステちゃんに訊ねる。


『貴方達が言う女神という存在である事は確かです。ステラではまだ体に負担がかかるので手早く話をしましょう。アルブム王国はこの世界の結界に穴をあけ異世界の神を喚起しました。神の力はまだ十分の1程度もありませんが、この世界の魂を食い散らかす事で我が力を超えて世界を奪うつもりでしょう。異世界の神が魔神などと呼ばれている理由はそこです』

「管理する神の世界を乗っ取る為に、その世界の人間の魂を食い散らかして神の力を削ぎ、自分の力を増すという事でしょうか?」

『そう受け取ってもらって構いません。従来、世界の結界は外からの侵攻に強いのですが、中からの攻撃には弱いのです。王国は中から破壊し、この世界に悪神を喚起し、レオナルドという人間に憑依させました。悪神はレイアに従う振りをして着実に力を手に入れています。力を手に入れてしまった場合、この世界は多くの命を失うでしょう』

「世界を滅ぼされると?」

『その心配は薄いとは思います。ですが、世界の調停者たる竜王イグニスらが全力で戦う必要が出ます。そうなれば被害はあなた方が望まぬモノとなるでしょう。魔神や邪神との戦いでの被害の記録を思えば分かるでしょうが。今回の神は魔神や魔神の遺志を継いだ邪神よりも頭が良いようです。真っ先に女神教会と聖光教会を乗っ取り、信仰の力を奪っているのですから』


 信仰の力?よく分からんがそれを奪うと女神様から世界を奪いやすくなると言う事?


『で、ヒヨコは何をすればいいの?』

『貴方は転生前に覚えた火魔法LV10<地獄業火(ダークフレイム)>、その姿になって覚えた神聖魔法LV10<聖滅(ホーリーイレイス)>などの魔法スキルを持っているはず。あれらは不死スキル持ちだけでなく、神の魂をも砕けます。今から神滅撃を覚えるには時間が足りないでしょう。シュンスケに渡した神の魂を砕ける聖剣は敵の手の中。貴方の力で悪神を滅ぼしなさい。この世界でそれが可能なのは貴方を含めて多くはいません。神殺しの方法はダンジョン攻略者が知っているはずです』

 光ステちゃんはちらりと元町長さんを一瞥してから、再びヒヨコを見る。

『マジか!?ヒヨコはやはりヒヨコブレイバーとして生まれていたのか!?』

 何という事だ。ヒヨコの体がわなわなと震えてくる。


『まあ、別にピヨもステラも寿命が永遠に等しいので、イタチごっこに付き合えるからそこまで気張る必要はないのですよ。実際、フローラは魔神騒動のすべてを片付けるまで付き合ってくれました。今生きている人間からすれば取り敢えずその体を殺してしまえば暫くは転生に時間が掛かるので平気なのですよね。まあ、転生先が皇族の子供なんて事になったら大問題でしょうが。そろそろ限界の様ですしこの辺で去りましょう。後は貴方たちの判断に任せます』

 すると、世界から光が失われ元の空間に戻る。ステちゃんはそのまま倒れそうになるのでヒヨコが慌てて体で支えてクッションになる。

「きゅうきゅう……きゅっ!?(はっ、また喋れなくなったのよね!もっと喋ればよかったのよね!)」

「ピヨッ!?(本当だ!?)」

「……あ、あれ、私、何を……」

 ステちゃんは目を覚まし周りを見て慌てて立ち上がろうとする。だがそこで眩暈でもしたのかふらついて倒れそうになる。

「おっと、危ない。ステラ君、今はヒヨコ君にもたれていると良い。皇帝陛下の前でも気にする事は無い」


 元町長さんはステちゃんの背を支えながら、ステちゃんは目の前で跪いている皇帝陛下を見て何が起こっていたか理解できない様子だった。

 ヒヨコはそそくさとステちゃんの背後に歩いてヒヨコソファーになってステちゃんを休ませる。

「フローラ様は女神様を己に降臨させて話の内容を覚えていたというから、女神様の言葉からもまだステラ様はスキルレベルが低いのだろう。今のステラ様では降ろすだけで精いっぱいだっただけなのでしょうね」

 腹黒宰相さんがそんな事をぼやく。

「???」

「ピヨピヨ(ステちゃん覚えてないのか?今、怪しい自称女神がステちゃんの体を乗っ取っていたのだ)」

「いや、ヒヨコ君。怪しい自称女神ではなく、普通にこの世界を管理する唯一神様だと思うよ。間違いなくね。巫女姫の称号を持つ方は予知スキルと並びそういう力があるんだ」

 元町長さんはヒヨコを否定する。自称女神様が本物だと誰が決めたのか。ヒヨコは認めないぞ。ステちゃんも何か言うと良い。


「え、今、女神様が私に降りていたんですか?……うーん、お母さんに降りたのを見たことはあるけど、お母さん、偶に一人でピカピカ輝いて女神様と雑談してたりするのを見た事が有ったから、そう言うものだと思ってたんですけど……女神様と会話するどころか私、全く覚えてないんですけど」

 ステちゃんは困惑気味だ。

 というかステちゃんのお母さん、女神様と雑談しているってなんか凄いな。


「女神様曰く、まだステラ君では降臨するにはスキルレベルが低く体が耐えられないような口ぶりだったからね。とはいえ、伝説の女神降臨をまさか私が目の前で見るとは…」

 元町長さんは自分でも起こったことに驚いている様子だった。


「まさか繰り上がりで仕方なく父上から託されたばかりの皇帝だってのに、初代皇帝以来、神からの言葉を受ける皇帝になるとはな」

「わ、私も人生でこのような栄誉を与えられるとは…」

 山賊皇帝さんも腹黒宰相さんも驚き戸惑っていた。


「ピヨピヨ(神託って『ピヨはレベルが上った』ってやつじゃないのか?)」

「神託は確かにヒヨコが言うように『ピヨはレベルが上った』ってやつで間違いないよ。巫女姫の称号を持たないと神様は降りられないらしいみたい。お母さんが言うには巫女の尾が多いほど女神様が降りやすいって聞いていたけど」

 尻尾は女神様を呼び寄せるアンテナなのだろうか?4~5本立っているくらいでは感度が少ないが6本も立てば女神が降りれるみたいな?

 そう言えばいつの間にステちゃんの尻尾が6本に。ヒヨコが知る限りではまだ5本だった筈だが。やはりステちゃんはちっちゃいから成長期なのだろうか?

 おっぱいは成長してないけど、出会った頃は3本の尻尾だったのに今は6本になっている。アンテナの数が倍だ!


 ………!?アンテナってなんだ!?

 ピヨピヨリ。ヒヨコは何か変なものを受信したのだろうか?


「お母さんは9本も尾があったから。そっか、私にも降りてたんだぁ。言われてみればいつの間にか尾が6本になってる。予知スキルが上がったからかな?予知スキルのレベルアップの神託が聞こえたと同時になんか意識が遠くなってしまって」

 ステちゃんも困った様子でヒヨコクッションに持たれつつ神託の説明をしてくれる。

 そうか予知スキルとは女神様から直接予知をくれるという意味なのか。未来が見えるのはその一端でしかないのかもしれない。いや、むしろ……受信機を殺させないための生命維持装置的なものなのかな?

 よく分からん。ヒヨコの頭では処理できない。


「獣王国の件で話し合いをする予定だったが、これはそれ所じゃないな。まさか目の前で巫女姫様が神降ろしをしてしまうとは。とはいえ、アルブムと戦争を回避するという選択肢が消えたようにも思うが」

 山賊皇帝さんは執務室の椅子に再び座りなおしてから、頭を抱えて呻く。


「いえ、皇帝陛下。これは逆に回避するチャンスが大きくなったと言えるかもしれません」

「そうです。問題は王太子に憑依した悪神なのですから。暗殺でも何でも構わないでしょうし。向こうもそれが頼み綱ですから。殺した後にどうとでも言い訳はできる。何せ女神から官軍の言い分を手に入れているのだからな」

 クツクツと黒い笑みを漏らす獣人宰相さんと元町長さん。

 やだ、このおじさん達怖い。

 ヒヨコは若干引いていると、皇帝さんも同じように困った顔をしていた。


「ピヨピヨ(そんな事よりステちゃんをどうするつもりなのか聞きたいのだが)」

「きゅうきゅう(勝手にそっちで呼びつけておいて勝手に話を終わらされても困るのよね)」

「我らを置いてきぼりで話をされても困るぞ。まずは連邦との和議についてステラ殿に協力してもらう件を話してもらわねば困る。これまでの疑問が神降ろしにより明確になったが、それ以前の問題を放置するな、この天才バカどもが」

「きゅうきゅう(そうなのよね、この天才バカめ)」

「ピヨピヨ(そうだそうだ、これで良い訳あるか、この平成天才バカ●ンめ)」


 ピヨピヨリ。平成って何ぞや?

 まあ、よく分からないから後で考えてみようか。ヒヨコにもステちゃんと同じ変な受信機が付いているのやも知れぬ。


 ……ハッ!まさかこのアホ毛は!?

 …………まさかな。


※受信機であったとしてもそれは女神(わたし)からではなく勇者シュンスケからです。


「あの、言葉も分からないのにヒヨコ君やトニトルテ殿と意気投合したような抗議をしないでください、陛下」

「知るか。大体お前たちは常人の頭脳速度を理解してないから使える奴がいないとただの変人だという事を理解しろ、この愚か者どもが。お前らはコミュニケーション能力が低すぎるのだ。まず配慮すべきはこの世界にいる99%の凡人なのだ。それを理解できない奴が民の安寧を守る事が出来るか」


 呆れるようにぼやく山賊皇帝さんの言葉にはしみじみと苦労が込められていた。

 ステちゃんは山賊皇帝さんの言葉に目を輝かせる。それだ!みたいな顔をしていた。

 確かに未来を知らない一般多数とコミュニケーションを上手く取れないと未来を知るステちゃんの言葉はとても軽くなる。


「も、申し訳ございません、陛下」

「そうでしたね。その通りでございますれば」

 山賊皇帝さんの説教に獣人宰相さんと元町長さんは慌ててかしこまる。


「こいつらに話を任せると始まらないから、私がステラ殿に要請する。我が国の人間として獣王国との間を取り持ってもらいたい。無論、極秘裏にだ。君の知る向こうの主要メンバーに帝国の事を教えて差し上げて欲しくてな。必要ならばどんなものでも立場でも与える」

「つまり、親善大使ですか?」

 ステちゃんはその言葉を聞いてふとヒヨコを見る。ヒヨコには白いタスキがかけられていて、フルシュドルフ親善大使という言葉が書かれている。


「君の状況は把握している。獣人達にとっては信仰対象であり、そして前獣王に政治的に追われた身だ。現在、前獣王が亡くなって以降、獣王国は国家内の政治が定まっていない中で、他国と戦争になる可能性があり、彼らの一部の勢力が我らと同盟を申し込んできている」

 山賊皇帝さんは分かりやすく説明してくれる。


「ええと、国境がある訳でもない獣王国と同盟を結ぶメリットはあるのでしょうか?」

「ベルグスランドは獣王国の鉄やミスリルを暴利で儲けている。奴らは鉱山目当てで獣王国に何度も戦争を仕掛けているのだ。一国の皇帝となった私が言うのもなんだが、勇者ごっこで周りに迷惑までかけているあんな国滅んでもらって構わぬ。むしろ俺は獣人族との和議が重要だと考えている。これは帝国皇帝としての見解だけでなく、元ケンプフェルト辺境伯だった経験からも同様の意見だ」

 人間が人間の国より獣人の国との関係を重要視しているという事自体が意外だ。恐らく、誰も、それこそ獣人だって考えていなかった事じゃないか?


「我が国の5%ほどの人口がベルグスランドやアルブムから逃亡した獣人奴隷の血筋だという事実を鑑みても、奴らとの和平は困難だが、獣王国と和議を結べば奴らは動きにくくなり、結果として大陸西部は平和になる。奴らは獣王国相手なら戦が広がらないと侮っているが、我が国と事を構えたくないとも思っている。大陸西部の安寧や我が国の民の為には利益がある。あと上手くやれば商売的にも大きい利益があるな。獣王国は資源が豊富だからだ。我が国はこれから鉄や軽銀(アルミニウム)、ミスリルといった資源が必要になる。我が国の鉱山だけで賄えるものでもあるが、土地面積に対して獣王国の方が膨大な量が眠っているとも言われている故に獣王国との友好は将来を鑑みても必要な事だ」

「帝国ならその資源も奪える力があるように思いますが」

「そもそも、戦争などというものは最終手段だ。アレは食っていけないからよそから奪うしかない、縄張りを増やしてもっと利益を上げようという山賊やギャングと同じ発想だ。我が国は勢力を伸ばさなくても巨大な土地と資源、そして民の高い技術力を持っている。他所から奪う必要など一切ない。むしろ戦争など重要な技術の損失や流出につながる。戦争などそもそも程度の低い愚か者が利益を求めてやる事だ。帝国にとって戦争など百害あって一利なし。多少投資として他国に金をばらまいて取り込んだ方がよほど利になる。奪った所で、教育の行き届いていない貧民を抱え込むみ内乱の種ができるだけだからな。戦争なんぞバカのやる事だ。それが貧しい国には分からんのだ。まあ、分からない貧民が君主なのだから仕方ないがな」

 なんか山賊皇帝さんが、かなりまともな事を言って、他国を嘲る様に笑う。

 山賊皇帝さんが山賊行為を愚かというのはいかほどか!?

 まあ、実際には見た目はともかく中身は山賊じゃあないしなぁ。

 とはいえ、ヒヨコの知る権力者の多くはおバカさんだったのに、これはどういう事だ!?


「ピヨピヨ(どういう事だ、元町長さん。おかしい、見た目や口調が山賊の親分だが、こんなまともな考えをした権力者なんている筈がない!)」

(さらっと失礼なことをいうな。確かに君の見てきた権力者はまともな人がいなかったかもしれないが、帝国皇帝はまともに決まってんだろ!)

「ピヨッ!(前の次期皇帝さんとか頭おかしかったじゃないか!)」

(気持ちは分かるがそれは一応義理の弟なのでオブラートに包んでくれ!)

 ヒヨコは元町長さんに対してまともな皇帝がいる事に抗議して、元町長さんも念話でフォローする。そう言えば剣聖皇女さんと籍を入れて元町長さんは現皇帝の兄弟姉妹が義理の家族になってしまったのだ。だからここにいたのか。

 あそこにいる山賊の親分さんみたいな人と義兄弟の盃でも交わしたのだろうか?


「陛下の用命であるならば、親善大使を承りますが、一体何をすればよいのか…」

 ステちゃんはヒヨコから寄りかかるのを辞めてどうにか自分の足で立ち山賊皇帝さんに訊ねる。


「実は向こうの帝国との同盟を提案していた部族だけでなく、獣王を選べる部族や獣王候補全員がこちらに来る予定だ」

「獣王を選ぶ立場がいるのに、獣王になれないというのは獣人国家にいた身としては不思議なのですが」

「それが少々複雑な状況だ。3年前、勇者と戦った際に唯一亡くなった三勇士がいるだろう?」

「それは……知っています。勇者に殺められたエミリオ様は幼い頃に母に拾われ、私にとっては兄も同然だった人ですから」

 ステちゃんのお兄ちゃんが三勇士だったのか。元々お偉いさんだとは聞いていたがステちゃんは偉い人は知っていたのだろう。

 すると元町長さんが口にする。

「元三勇士と猫姫様の勢力は帝国との協力を取り付けたいらしい。まあ、これは俺がモーガンに言い、モーガンが元三勇士と懇意にしていた事でそう言う方向に流れたのだが」

「モーガンさんが………」

 ステちゃんは思い出す様に視線を上へと持ち上げる。イケメンオークさんの事を思い出しているのだろう。

「だが、そもそも次の獣王候補がそれを望むか分からない。で、互いに見合いをしてみたらどうかという事だ。獣王候補と帝国首脳がね」


 お見合い?お見合いというと……

「ピヨヨ?(病気でもしたのだろうか?)」

「きゅうきゅう(それはお見舞いなのよね。相変わらずヒヨコはバカなのよね~)」

「ピヨッ(なんと!?)」

 ウッカリ念話で思ってしまったが故に、トルテにバカにされてしまった。ショックである。


「帝国側から誰々を獣王にしろ、みたいな形ではないんですね?」

「そりゃそうだ。結局のところ属国にしたい訳じゃない。獣王国のパワーバランスというものがある。我々の介入は国のバランスを崩すだろう。我々はいずれの獣王候補ともそれなりに友好を築ければと思っている。勿論、獣王選定の手伝いはするがな。獣王候補全員が帝国との同盟を是としてくれれば我々にとってはありがたいんだ。実際に嫌がってる候補はいても交流してみて気が変わるかもしれないだろう?」

 なるほど、獣王候補の皆々様と会って、仲良くして行こうと言う事か。誰が獣王になっても問題ないように手を回そうという話なのだろう?

 山賊皇帝さんは意外とやり手である。或いは誰かの意見から来ているのか?


「まあ、ステラ君は切り札みたいなものさ。そんな大事な札を切るつもりはない」

「切るつもりはない?」

「君がこの国で楽しく暮らしていると分かれば、好感を持ってくれるだろう?そういう意図はあるけどね。君に何かを決めてもらおうとは思ってない。言っただろう?親善大使だと」

 元町長さんはそんな事を軽々しく言う。

「ただ、それは少々劇薬なのではないかと私は言っているのだが」

 腹黒宰相さんはオロオロしながら口にする。

「ヒューゲルは巫女姫という存在をそこまで重く見ておらず、クラウスは重く見ている。実際に獣人であるクラウスの思いも分かるが、ステラ殿は獣王国に追放されている身。どういう扱いなのか我々もよく分かっていないのだ」

「まあ、私もあまり自分がどういう扱いなのかよくわかってないのですけど」

 山賊皇帝さんは首を捻り、ステちゃんも同様に首を捻る。

「そういう訳で、獣王国の大使として来てくれる代表であるマーサ殿が、巫女姫様を知る人を口止めしてから来るという話だ」

「マーサさんかぁ。懐かしいなぁ」

 ステちゃんは懐かしそうに顔をほころばせる。古い知り合いなのだろうか?

「ピヨピヨ(知り合いなのか?)」

「私にはお兄ちゃんがいてね。幼い頃にお母さんが拾った孤児らしいんだけど、お兄ちゃんと結婚したのがマーサさんなんだよ。リンクスターっていう死んだ獣王様が統治する前は獣王国で一番勢力を誇った家なんだよ」

「ピヨヨ~」

「……?ステラ殿。少々聞きたいが、獣王国は家柄というのは余りないと聞いたのだが、勢力を持っている家というのはあるのか?」

「うーん、大体、強い親から強い子が生まれるから勢力を持つ家って言うのはあります。でも世代世代で変わる事も多いって話です。例えば獅子王家のカッチェスター家は獣王をよく排出する家で首都名でもあるんですけどオラシオ様が現れるまで50年くらい三勇士が出てなかったくらい衰退していたとも聞いてますし、強い個が現れると権勢が強くなるという仕組みなので」

「なるほど。有力な家としては存在していても、個によって趨勢が変わると言う事か」

「ただ、リンクスターというのは別で、従魔士一族なので、弱くなるという事がほとんどないんです。一時期は獣王をも好きに決められるような権力を持っていた一族なんですよ」

「……そう言う厄介な家もあるのか」

 山賊皇帝さんは顎に手を当てて考え込む。


「そこら辺、宰相閣下は役に立たんからな。向こうの政治をよく知らない。むしろステラ君が多少知っているのは助かる。モーガンも政治に関しては詳しくないからな。マーサ殿というのはどのような御仁なのかな?」

「あ、でもマーサさんはそういうタイプじゃないんですけど。実家はそう言う家だって事で。マーサさんは従魔士の才能が無かったから家を出て、見返そうと腕力で三勇士候補に成り上がった人なんです。おっとりしている人ですけど、獣王国の武人としては模範のような人で、実家とも折り合いが悪かったそうです。それに前獣王陛下とお兄ちゃんはリンクスターの勢力を意に介さない位強かったので」

「前獣王とお兄ちゃん?」

「はい。前獣王アルトリウス様は獣王になる際にリンクスターの持つ全魔物を腕力でねじ伏せてリンクスターの推していた獣王候補を黙らせたそうです。お兄ちゃんは自身の手懐けた魔物の質と数が、全リンクスターの全魔物よりも大きく、二人の台頭がリンクスター家を衰退させたと言われてます」

「その二人がいなくなったから迷走しているという訳か。はあ、勇者の奴も余計な事をしてくれる」

「ピヨピヨ(まったくだ。ダメ勇者だな!生きていたなら嘴で突いてやるところだ)」

 ヒヨコはうんうんと山賊皇帝さんの言葉に頷く。


「まあ、話が色々ととっ散らかっちまったが、俺達が願いたいってのはステラ殿に親善大使をしてほしいって話だ」

「ピヨッ!(ヒヨコを差し置いて親善大使だと!?)」

「ヒヨコ共々な」

「ピヨピヨ(仕方ないなぁ。ヒヨコもかぁ。ついにフルシュドルフ親善大使から帝国の親善大使に。ヒヨコの需要は計り知れないなぁ)」

 ヒヨコは照れ照れと器用に後頭部を掻く。

「何か念話も使えないのに普通にヒヨコとコミュニケーションとらないで欲しいんだが」

「何となく雰囲気で分かるだろ?」

 山賊皇帝さんは首を捻って元町長さんを見る。

 元町長さんは、普通分からないだろ、という顔で山賊皇帝さんを見る。

「まあ、陛下はヘギャイヤ地方の異なる言葉を使う少数部族と手振り身振りで何故か仲良くなってましたからねぇ」

「そう言えばそうだったな。しかもそんな連中にこっちの言葉や文字を教え込んで、自分の部下にした頭おかしい兄だとエレンも呆れていた」

 そんな呆れたような様子で獣人宰相さんと元町長さんが溜息を吐く。

 ヒヨコとも身振り手振りでコミュニケーションを取れる皇帝とはこれ如何に。


「まあ、話はこんなもんでいいだろ。OKって事で。細かい事はお前らに任すわ。俺は巫女姫の嬢ちゃん達を見たかっただけだしな。俺は別件があるから行くわ」

 皇帝は立ち上がるとその場から去る。


「きゅうきゅう」

「ピヨピヨ」

 トルテとヒヨコは立ち上がる山賊皇帝さんに手と手羽先を振って送り返す。


「で、日程ですが、来週の月曜からとなっておりますが宜しいでしょうか?」

「ピヨッ!(断固拒否する!その日は忙しいのだ!)」

 宰相さんが言ってくるがヒヨコは間に入る。

「あれ、何かあったっけ?」

「ピヨピヨ(その日はヒヨコが帝都にヒヨコ屋敷を手に入れている頃なのだ。世界の危機とかステちゃんの用事なんかに対応している暇はないのだ!)」

「いや、私の用事はともかく世界の危機の方は対応しようよ」

「ピヨッ(自称女神なんてヒヨコは気にしない。何故ならヒヨコは神にも届くヒヨコなのだから)」

「何だか一番ヒヨコが危ない存在に見えて来たんだけど」

「ピヨピヨッ!(新世界の神にピヨはなる!)」

 両翼を持ち上げて宣言。ドーンって感じで背景に文字が入る勢いである。


※なんか色々混ざって危険なヒヨコになってます。この世界には人の名前を書くと殺せるノートも、一つなぎの財宝もないのですが。


 何故か、さっきステちゃんに降りていた自称女神さんの突込みが入ったような気がするがヒヨコは気にしない。


「ピヨピヨ(なのでその日は手に入れた家のお手入れをするので、ヒヨコはそんな面倒くさそうな会合にステちゃんを連れて行くわけにはいかないのです)」

「何故私がヒヨコの保護下にあるように言われるのだろう?」

 ステちゃんは何故か納得いかない表情でヒヨコの頭をグリグリとこねくり回す。


「向こうの獣人側もヒヨコ君を見てみたいそうなんだけどね。我が国のパーティでは美味しいお酒もでるから、美味しい高級ジャーキー(つまみ)を準備しているとか」

「ピヨ!(レースの翌日なので超ヒマ(じん)です!行かせていただきます!)」

 ヒヨコはクルンッと元町長さんの方を向いてパーティへの出席希望を申すのだった。


「ヒューゲル様、ヒヨコの扱いが上手いなぁ」

 ステちゃんが何か言っているが、ジャーキーの為ならばヒヨコはどこにでも行く所存であります!

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