3章11話 ソファーが何かを思い出したような気がするらしい
前半部はエリアス皇子視点で、後半部はステラ視点です。
魔物レースで俺の所有している魔物が観客席に<咆哮砲>を叩き込み多数の負傷者を出したという知らせが届いたのはその日のレース結果を聞いた時だった。
俺のキメラを養うべく厩舎に預けているが、その厩舎を構える従魔士を雇っている責任者マルコ・フォン・ライツィンガーを即座に呼び出した。
「どういうことだ!ライツィンガー卿!」
「も、申し訳ございません」
俺の怒声に対して肥え太った男が床にひれ伏して謝罪を告げる。
「貴様は皇家の顔に泥を叩きつける趣味でもあるのか?答えよ!」
ライツィンガー男爵はヒッと悲鳴を上げて小さくなる。
「で、殿下もご存じの通りあのキメラ達はさほどいう事を聞きませぬ。レース出発時には牢屋で運んでいるのはご存じかと。ゴールを目指すこと、目の前を邪魔する魔物を殺すことを命令しているのは殿下のご命令でもありますし」
「無論だ。私は今のような魔物レースでは強き魔物は作れぬと考えている。そのためにもキメラには強さを見せるべきだと考えている。事実、この1年以上を我が研究してきたキメラには目の前の敵を排除する命令するように貴様に伝えた」
「そして今回、アインホルンを誅するためにアインホルンの魔物を殺せと命じました」
「それで?」
「アインホルンの魔物は1着でゴールを切りそのまま観客席付近まで近寄ったのです。従魔士であるアインホルンの近くへ寄ったのでしょう。キメラはそこに<咆哮砲>を撃ち込んでしまったのです」
「なっ」
つまりは俺の命令が問題だったというのか?
ちっ…まさかアインホルンがキメラより速い魔物を手に入れていたとは想定外だ。とりあえず叩き殺して絶望に落とせばいいと思っていただけなのに。
俺の思うように魔物レースを変えるにはやはり邪魔な家だ、アインホルンは。
跡取りがいたのは知っていたが、どうやらもっと徹底的に叩き潰さねばならぬようだな。
「おそらくは噂にもなるでしょうが、キメラの背に乗って途中まで2着にいたのですが、ゴール手前でキメラから降りてそのまま1着でゴールをしてしまい………」
「そのまま追いかけて観客ごと…………か。ちっ……せこい真似を。実力で勝てぬからと姑息な。そんなゴールで勝利など認めて良いものか!どうにかできなかったのか!」
「……一度始まってしまえばどうにも。キメラは制御が難しゅうございますから」
申し訳なさそうに肩を落とすライツィンガー男爵は頭を地に付けて恐れ震えていた。
一度着順が決まってしまえばこのレースは簡単に覆らない。少なくとも公式記録はともかく賭博として払い戻しになることになるのだけは避けたいからだ。
払ってしまったものを取り戻す事が不可能なのだから仕方ない事だ。
黒星がつくのは仕方ないが、このままこちらに何もかも押し付けられるのは腹立たしい。
キメラが民衆へ攻撃してしまったのはアインホルンの魔物が逃げたせいだ。悪いのは全てアインホルンなのは明白だからな。俺は一切悪くないのに責任を取らされるなどふざけた真似を。
「……レース中にその魔物に挑発され、制御が利かなくなっていた。その魔物のせいで暴れることになったのだと言えばよかろう」
「それも考えましたが、仮にも私の従魔です。協会長の権力を使って、自分で自分を庇えば、ほかの従魔士達が騒ぐ可能性も出ますゆえ。」
「ならば従魔士の命令によって、魔物がキメラを煽り、民衆へ攻撃するようにけしかけたという詮議を司法から手を回そう。そうよな、アインホルンを逮捕すれば良かろう。犯罪者として捕らえるよう言っておこう」
「お手を煩わせてしまい、申し訳ございません」
「ふん、こうなっては一蓮托生だからな。仕方あるまい」
面倒だがバルツァー法務大臣を使うか。
「それはそうと、一体、その魔物は何の種族だ?」
「わかりません。人間大の巨大なヒヨコだったと聞いております。ただ……少々お耳に入れたいこともありますれば」
「何だ?」
「そのヒヨコが観客の前で何やら踊りを踊っていたようなのですが、その時に幼竜も一緒にいたという話が」
「幼竜だと!?」
以前、マイヤーを伝手に手に入れようとしていたドラゴンがここにいると?
「どうもアインホルンの牧場にいるらしいと聞いております」
「く、クハハハハ。なんと、それならばアインホルンを逮捕させると同時に、ドラゴンをそのまま研究所へ運び込めばいいだろう。ドラゴンの細胞を使えばキメラの性能は格段に上がるはずだ!それをもってすれば帝国のすべての者どもが私の有能さにひれ伏すだろう」
あまりにも上手くいきすぎて笑いが止まらぬ。
やっとドラゴンを手に入れることができる。
解剖してキメラ細胞に組み込めば最強の魔物が誕生するだろう。
最強の魔物を生み出したこの功績をもってすれば父も私を認め皇帝として心おきなく皇太子に任命できるというもの。
「少々問題はあったがライツィンガー男爵よ。よくぞ知らせた。ククク、ドラゴンをついに手に入れることができるか!何とも待ち遠しい事よ!」
「はっ………殿下にご迷惑をおかけしてしまうことを考えればこの程度で少しでも償いになれば光栄でございます」
ひれ伏すライツィンガー男爵をよそに、俺は窓に覗く月を見上げ高笑いするのだった。
***
レースが無事終わり私、ステラ・ノーランドはテオバルト・フォン・アインホルンさんの牧場沿いにある民家へとやってきていた。
貴族の屋敷とは思っていたが、普通の民家だった。
話を聞けば祖父から家督を継ぐ前に自立用の家として貰っただけらしい。従魔士は大半が厩舎で過ごすので、ちっぽけなのは仕方ないらしい。
実際、祖父の屋敷は両親が暮らしているらしく、祖父は厩舎にずっと詰めていたとか。
それが嫌で自身の父や叔父などは従魔士へと進まなかったらしい。もっぱら商人として商売をしているとか。走らないユニコーンやスレイプニルでも、一般的な馬よりもはるかに性能が高く、高値で売れるからそちら側を商売にしているらしい。
私はと言えば本を買ってアインホルンの客間でくつろいでいた。
「きゅう」
「ピヨ」
「ヒヒーン」
何だろうこの魔物たちが集まる場所は。
とはいえ従魔士のテオバルトさんよりも、私の方が魔物をたくさん連れているので文句も言えない。いや、厳密にはトルテは魔物じゃないから居候だからセーフ?一応、馬小屋もあるらしいが、好きに出入りさせているらしい。
「ピヨ(あのー、ステちゃん。俺はソファーとかじゃないんだけど)」
と私に訴えるのは、私が所有していることになっているヒヨコであった。
「うーん、お爺ちゃんの家にいる頃から思ってたのよね。背もたれに丁度よさそうだと」
「ピヨッ!?」
そう、私は本を読むのに部屋の中央に座るヒヨコを背もたれにしていた。ふかふか感といい、暖かい日でも暑苦しくない羽毛といい、まさにソファーベッドになるべくして生まれたヒヨコだと今になって気付くのだった。
「きゅきゅう(ステラ。そんな事より次のページをめくってほしいのよね。捕らわれのお姫様はどうなっちゃうのか気になるのよね)」
ヒヨコの上に乗るようにしてトルテとキーラが私の読んでいる本を私の肩口から顔を出して読んでいた。
「ヒヒーン(絵がきれいだねー)」
キ-ラは文字が読めないらしい。まあ、普通の魔物は文字なんて読めないのだけれど。さすが賢さの高いドラゴンは3歳児でも文字を読めるようだ。竜王の娘ならばなおさらである。
この辺、ステータスが圧倒的なのだ。
ヒヨコは幼児に毛が生えた程度の賢さしかないが、トルテは大人の魔法使いより賢い。
経験値が低いのでまだまだ低いがポテンシャルはもっとありそうだ。竜王様の賢さの高さを考慮するにかなりのものになるだろう。
キーラはユニコーンなので人並み以上に賢くはなるだろうが、未だ1歳なのでむしろこれだけ流暢に人間言語を操れる方がすごいのだが。
とはいえ、馬のような野生で生きる草食動物は生まれてすぐ肉食動物から逃げる賢さと肉体が必要になる。最初から賢さが高いのだろう。
「きゅきゅう(白馬の王子様に救われるお姫様という設定は良いのよね。お姫様仲間としては)」
「ヒヒーン(僕、皇子様を連れてお姫様を助けに行くのー)?」
そういえばここのユニコーンは白馬だった。
「ピヨッ(それよりも俺は白馬に乗られているのだけれど)?」
「……仕方ないんじゃない?そういえば……ヒヨコ、いつの間にか念話レベルが3に上がってるね」
「ピヨッ?(そうなの?)ピヨピヨッ(ステちゃん、聞いて聞いて)。ピヨ(なんと俺は思い出したのだ。記憶を)!」
「え?………本当だ!ステータス欄に記憶喪失がなくなってる!ってことは思い出したの!?」
「ピヨピヨッ(そう、ヒヨコは前世の記憶を思い出したのだ)!」
「きゅきゅきゅきゅ~(嘘くさ~)」
なんとこのヒヨコ、前世の記憶を思い出したというのだった。
トニトルテは訝し気な目でヒヨコを見ているが、確かにあり得る話だった。
拾った時から様々なスキルや魔法を持っていた。あまたの称号もだ。0歳でとれるものではない。
しかしそんなことがあり得るのか?
「ピヨ(そう、ヒヨコはかつて…………そう、勇者っぽい何かだったのだ!)」
「勇者~?」
私はふと思い出すのはエミリオ様を殺した勇者の事だ。とはいえ生きてる時代が近すぎてどう考えてもそこから転生したとは思いにくかったが。
「ピヨ(かつて俺は聖剣を咥え、並み居る敵をバッタバッタと倒して……いたような気がする?)」
「いや、聖剣を口に咥えて戦う人間はいないから」
「ピヨ?(おかしいな?でも何かこう、たくさんの人間と戦ったような。そう、しかし最後には火に焼かれローストチキンにされたような)」
「それもう完全に鳥じゃん!」
「ピヨピヨ(そんな燃え盛るヒヨコはやがてバーニングファイティングファイターと呼ばれていたような気がする。そう、前世はドラゴン最後の生き残りだったのだ。必殺技の名前は確かフェイトダークブラックなんとかだった気がする)」
「きゅう(勝手にドラゴン最後の生き残りになるんじゃないのよね。一体いつの時代の前世なのよね。ドラゴンは山に軽く1000匹くらいいるのよね)」
「ピヨッ(おかしいな、そんな感じの記憶が)?」
「何か全然関係ない物語と混同してない?」
※勇者シュンスケ・オキタは『俺の幼●染と彼女が修●場すぎる』を愛読していた件について
「ピヨ(でもなぁ。ヒヨコは覚えているぞ。そう、必殺ピヨスパイラルアタックによって竜王を悶絶させたような気がする)」
「いや、それ現世だから。ちょっと待て、ヒヨコ。あなた、賢さが低い低いと思っていたら、まさか現世と物語で記憶がごちゃごちゃしてない?」
「ピヨピヨピヨ(そ、そんなはずはない。ちゃんと神眼の使い方も思い出したし、五属性魔法も雷魔法も神聖魔法もすべて思い出したし。そう、ヒヨコは…………悪い人間をやっつけたり鳥の丸焼きにされたりした記憶があるんだよ。子供が泣いていれば癒しに走り、悪者がいれば嘴でつつきに行ったり、それはもう立派な人間の勇者だったんだよ)」
「きゅうう(人間の勇者は嘴なんてないのよね)」
「ピヨッ!?(言われてみれば!?)」
「ほかに覚えてることはないの?」
私はもはやヒヨコは元の記憶もINTが低い事で覚えていないと感じつつある。
「ピヨ……(そう、光に向かって体を伸ばしたら卵の殻だった。周りには誰もおらず、腹をすかしたヒヨコは旅に出た。時にヘビに食べられそうになったら返り討ちにし、カマキリに食べられそうになったら返り討ちにし、やがて迷子の迷子の子猫ちゃんと出会い犬のおまわりさんに連れられて集落へと辿り着くのだった)」
「きゅきゅう(なんか作ってるっぽいのよね)」
「ピヨッ(失敬な。そこで子猫ちゃんに、そうピヨちゃんと名付けられた気がする)」
「まあ、どこ行ってもピヨピヨ鳴いてりゃピヨちゃんよね」
「ピヨッ(お、なんかちらっと思い出したぞ。そこでなんだかんだあってヒヨコは何故か覚えている神聖魔法を使って子猫ちゃんのお母さんを病気から助けたんだ。そしたら気が遠くなって………)」
「ふむふむ」
意外と記憶があるのかな?
一応フィクションではなさそう。ただ、神聖魔法を覚えている理由とかが全然ないし。これはやっぱり、アレだろうなぁ。
「ピヨッ(体が小さくなっていたんだ。子供になってしまったヒヨコは黒の組織を追うべくピヨマグナスと名前を変えて探偵の…………なんか違くね?)」
※勇者シュンスケ・オキタが『名●偵コ●ン』を愛読していた件について
「そんなの私が知るはずないでしょ!自分の記憶!自分の記憶だから」
私は思い切り背中に体重をかけてヒヨコを圧迫する。押すとピヨーピヨーと苦しそうな呻き声が聞こえる。実はコレ、ピヨピヨクッションなのかもしれない。
「ピヨッ(そうだ、目を覚ましたらそこには白い翼をはやした綺麗な女の人………多分、翼が生えてるから俺の死んだ母ちゃんに違いない)」
「それ違うと思うなぁ」
ヒヨコはまだ念話のレベル3なので具体的に念話スキルを持つ相手ならば具体的な言葉で伝えられるが、イメージもぼんやりこちらに伝わっている。
そう、かなりぼんやりしているから全く伝わっていないのだ。
「(そう、ヒヨコは年増の母ちゃんに言われたのだ。悪い人間が獣人をたくさん誘拐して何か良からぬことを企んでいる。だからたくさん集められる前に獣人を根絶やしにするか、悪い人間をやっつけるかどうにかせよと)」
「それ、邪神じゃないの?」
※邪神でも年増でも母ちゃんでもありません。
「ピヨ(そんなヒヨコであるが迷える獣人たちを救うべく立ち上がったのだ。迫りくる人間を相手にヒヨコの嘴がうなる。人間の持つ聖剣を奪い返し、聖剣を我が手に………ではなく我が口にしたヒヨコはバッサバッサと切り飛ばし。何故か鳥なのにバッサバッサと飛べないことに嘆きつつ。漢ヒヨコは、一羽で人間の軍と戦い、最後は力尽きて、動けなくなったところを大量の攻撃魔法を食らい、谷底へと………そう、そこで俺はステちゃんに拾われたのだ!)」
何となく合っているような気がしなくもないが、ヒヨコのイメージ頭脳は薄ぼんやりしすぎていた。
ただ、獣人族が王国と戦争をして、謎のヒヨコが聖剣を咥えて戦ったという嘘か本当か眉唾な噂を耳にした。
そのヒヨコの特徴が合致しているし、間違いはないだろう。
このヒヨコ、まったり暮らしているが戦闘能力だけはかなりの武闘派だ。
「うーん、で、何で魔法を使えるの?」
「ピヨ(そういえば何で魔法を使えるのだろう?ヒヨコの鳥生で学んだ記憶がないのだが)」
ヒヨコは不思議そうにしきりに首をかしげていた。
「ねえ、ヒヨコ。ここで重要なお知らせがあります」
「ピ、ピヨ?(い、一体なんでしょう)」
「ヒヨコ、多分もっとたくさんの何かをもって生まれてきたのかもしれないんだけど、残念なことに賢さが足りなくて色々忘れているんだと思う」
ピシャンと雷を撃たれたようなショックを受けるヒヨコ。
「ピヨヨーッ!」
「きゅきゅきゅきゅきゅーきゅー」
「ピヨヨーッ!」
「ひひーん」
…………
「ピヨッ(音楽に乗れてねえんだよ、この音痴)」
いつもの音楽(バッハ作『トッカータとフーガニ短調』)が乗って来ずにヒヨコはキーラを責める。
「きゅう(ホント、馬にはガッカリなのね)」
「ヒヒーン(えー、僕がいけないのー)?」
「きゅうきゅうきゅう(ちょっと踊れるから仲間に入れてやったのに、お前の音感のなさにはガッカリなのよね)」
この子たち、いつから音楽ユニットを組んでいたのだろうか?
そしてトニトルテがどうも音楽に関しては主導しているっぽい。
そういえばいつの間にか魔物レースの勝利後にダンスユニットを組んでいた。いつ、どこで練習していたのだろう?
まあ、それは良い。どうもボケの激しいヒヨコといると本題から外れてしまいがちだ。
「脱線しそうだから結論から言っておくけど、ヒヨコの賢さって今でさえ辛うじて人間の底辺レベルでしょう?多分、人間の軍と戦った時にたくさんレベルが上がっているっぽいんだよね。当時は赤子クラスの知能だったと思うの。色々抱えて生まれたものの所詮はそのちっぽけなヒヨコヘッドだから覚えられなかったのかもね」
「ピヨー(そんなー)」
ヒヨコは心からガッカリして肩を落とす。
ただ、このヒヨコ、前世があるなら間違いなく人間のしかも優秀な魔法職だろう。じゃないとつじつまが合わない。
偉大な大賢者が転生魔法みたいな魂を扱う究極の秘技みたいなものでも編み出し、ヒヨコに転生したけど、ボディの知力が低い為に大半を忘れてしまったというのであれば納得の出来る話である。
魔法が神聖魔法から火魔法まであらゆる魔法を使えるあたり何かを極めた賢者であっても不思議ではないのだが、真の愚者の称号を持つウッカリピヨちゃんが元賢者だとすると余りにも酷い話だ。
「でも、神眼は使えるようになったんじゃないの?使い方も忘れた?」
「ピヨ(大丈夫。ちゃんと使える。ヒヨコアイの事でしょう?フハハハハ、神眼発動。ステちゃんの本名はステラ、種族は妖狐族レベル21とヒヨコの2分の1もない低レベルですな。そしてスリーサイズは上からろくじゅ…プッ)」
スパターン
「使えるならいちいち説明しなくてもいい」
「ピヨ(しかし使えている証拠を伝えねば)。ピヨピヨ(まあ、なんだ。………………強く生きろよ。ちっぱいでもそういう需要はあるだろうし)」
「その喧嘩、買った!」
私はポンコツヒヨコをとりあえず持ち上げて窓から外へ投げつけることにするのだった。
とりあえずヒヨコの星になったようだ。
…………………
しまった。私のソファーが外へ行ってしまった。
私はがっくりと肩を落とすのだが、何故かトニトルテとキーラが私を見る目が若干恐れを抱いているように見える。
多分気のせいだろう。