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最凶ヒヨコ伝説 ~裏切られた勇者はヒヨコに生まれ変わったので鳥生を謳歌します~  作者:
第1部3章 帝国首都ローゼンシュタット 走れ!ヒヨコ
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3章1話 ヒヨコ、新たなる旅の始まり

 お祭りが成功し、ヒヨコとトルテが師匠の下宿先の軒下に住みつくようになってから1月が経つ。

 概ね平和に過ごしていた。

 この桃色の羽毛を持つ、成人男性の胸元位まである背の高いヒヨコがヒヨコのピヨちゃんである。

 ヒヨコたちの住むフルシュドルフの町の公式マスコットとして人気者なのだ。


 朝、目を覚ますと既に日も登り、登校中の子供達が見える。これから学校に行くのだろう。今日はお寝坊さんである。


「ピヨだー」

「ピヨちゃんだ」

「おはよー、ピヨちゃん」

 バシバシバシバシと子供たちがヒヨコをタッチしてする。

 おおう、手荒な真似はおやめください。ヒヨコボディはやわっこいので壊れちゃうよ?


「きゅう」


 丸まって寝ているトルテは賑やかな子供たちの声に目を覚ましたようで、チラリと半眼でこちらを見る。

 奴は何かと適度にやり過ごすのがうまくて羨ましい限りである。黄金色のうろこを持つ幼いドラゴンはクワッと大きな口を開けてあくびをする。体長はヒヨコの足の長さくらい。3頭身くらいの頭の大きなゆるキャラっぽい感じのドラゴンである。


 今日も今日とて一日が始まる。


 ガラガラと店の入口が開く。

 軒下を使わせてもらっている家は、雑貨屋をやっている。

 お店を開くのは子供たちが学校へと出かける頃だ。大人達は子供を送り出してから仕事に行くのが常だからである。

 今日は下宿先のお婆ちゃんが店を開けていた。ヒヨコを見るとにこりと笑ってくれる。


「おはよう、ピヨちゃん。今日はスーちゃんと一緒に洗濯にはいかなかったの?」

「ピヨ?」

 はて、そういえばいつもなら足音で目を覚まして一緒に師匠と洗濯に行くのに、今日はどうして起きなかったんだろう。

 まさかこっそり出て行ったのか?となると、まさか、………………男か?


「きゅきゅきゅう」

 するとトルテがにんまり笑顔で反応する。


 おお、お前も分かるか。こっそり出かける、つまりこれだよこれ。

 ヒヨコはグイッと小器用に右脚で親指(?)を立ててニヤリと笑う。

「きゅきゅう」

 それにトルテも下衆な笑顔できゅうきゅう頷く。


 お互いの意思疎通は完璧といった感じでトルテはトテトテと歩いてクイックイッと裏の川辺の方を指さす。

「ピヨッ」

 ヒヨコはトルテの誘いに乗ってピヨピヨと付いていく。


「うふふふ、朝から元気ねぇ」

 お婆ちゃんはヒラヒラとヒヨコ達に手を振って見送る。

 ヒヨコは右の翼をトルテは右手を振ってお出かけに行くのだった。




***




 いつもの洗濯場所に行くが、師匠はいなかった。

 他のおばちゃんたちが洗濯をしている。

「ピヨピヨー」

「きゅきゅう」

 ヒヨコとトルテがおばちゃんたちに挨拶をする。

「あーら、ピヨちゃんとドラちゃん。おはよう」


「キュキュキュキューッ」

「ピヨピヨー」

 トルテはドラちゃんと呼ばれて若干ショックを受けた様子だった。がっくりしたように膝をつくものだから、音楽(ベートーベン作『運命』)に合わせてうっかりピヨピヨと鳴いてしまった。

 あたかも運命に打ちのめされたかの如くトルテはショックだったようだ。


「ピヨ?」

「?………ああ、ステラちゃんを探しているの?」

「ピヨッ!」

 ビシッと翼を小母ちゃんに向けて正解というように頷く。

「さっき丁度洗濯を終えて街の方へ帰っていったわよ?すれ違っちゃったのかしら?」

「ピヨヨ~?」

 あれれー、おかしいぞー?

 雑貨屋からここまでは一本道なのに、どうしてすれ違わなかったんだろう?

「きゅきゅきゅう(やっぱり男の影が見えるのよ、ヒヨコ)」

「ピヨッ」

 と、トルテはにやにやと笑う。ヒヨコはトルテの言葉を首肯し、一緒に歩いて街へと向かう。好奇心でいっぱいである。

 師匠はどこかな?


 ヒヨコセンサー発動!ピヨヨヨーン!


 ヒヨコは魔力の薄い膜を放射状に発動する。もやっとした感じが街をスキャニングして、色んな人の魔力にぶつかり反響することでヒヨコに戻ってくる。


 ピヨピヨッピヨ~

 師匠の魔力を察知。行くぜトルテ。


「きゅうきゅう(アイサー、ヒヨコ!なのよね)」


 そんな感じでヒヨコを先頭に今度はトルテがついてくる感じで街を歩く。


 ピヨピヨトテトテ


 やがてヒヨコ達が辿り着いた場所は貴族の屋敷だった。

 ヒヨコが何度も踊りの稽古をしに行った町長さんの家だ。大きな庭、芝生がはってあり夏場なのでタンポポなんかも咲いていたりして蝶が舞っている。


「きゅう?」

「ピヨ」


 ヒヨコとトルテがのぞき込むと、町長さんと師匠の2人が真面目な顔して立ち話をしていた。


「きゅっ(これは不倫なのよね)」

「ピヨヨッ!?」


 マジデスカ、トルテ先生。フリン、それは大人の世界。

 ピヨピヨのヒヨコなピヨちゃんがそんな現場を覗き見てもよろしいのでしょうか?


(父ちゃんが近所のお姉ちゃんに声を掛ける時はあんな感じなのよ)

 なんと、竜王はそんなモテ男なのか。

(でも、母ちゃんにすぐにばれて折檻されるのよ)

 なんと、竜王はそんなに尻に敷かれているのか。

(500年前の勇者が言っていたらしいのよ。不倫をするとセンテンススプリング砲に撃たれると言っていたらしいのね)

 センテンススプリング?意味が分からない。

 勇者ってのはアホなのかな?生まれ変わったらヒヨコのように賢いヒヨコになれるよう祈ってあげよう。ピヨピヨリ。


()()ヒヨコには生まれ変われませんでした。


「ところで、何を隠れてみているのかな?」

「ピヨッ!?」

「きゅう!?」

 ヒヨコとトルテはいつの間にか師匠に背後を回られてびっくりする。

「ちょっと洗濯の帰りにヒューゲル様にに頼まれごとがあって話を聞いていただけだよ!誰が不倫か、誰が!」

 師匠はヒヨコの両足を持つとグルグルとジャイアントスイングで振り回されてポイッと投げつけられる。芝生をゴロゴロヒヨコが転がる。略してヒヨコロがる。


「あと、僕は独身だから不倫ってのも間違いだと思うんだけど」

 さらに倒れているヒヨコを見下ろすように町長さんが歩いてやってくる。

「ピヨッ!?」

「きゅう」

 トルテは慌ててヒヨコの背後に回って被害を最小限にとどめようとしていた。

 何でヒヨコだけやられるの?ずるくない?

 そもそも不倫を言い出したのはトルテなのに。


 それにしても町長さん、いい年してるのにまだ独身だったのか。これが本当の独身貴族。奥さんはいらっしゃらない?

 師匠、通訳をば。ヒヨコの質問が町長さんに届いていないんですけど。


「ところでステラ君。さっきの話だけど良いかな?」

「突然言われましても……。………そんないきなり」


「きゅうきゅう(求婚、求婚されてるのよね。ヒヨコ、これが男と女の情事なのよね)」

 ヒヨコの翼をぐいぐい引っ張って目を輝かすトルテ。


「ピヨ。おやりなさい」

「ピヨピヨピヨーッ」

 ヒヨコは手羽で敬礼してから、トルテの背後に回り込み、師匠の命令に沿ってバックドロップを仕掛ける。

 トルテはキュウと悲鳴を上げて頭を地面に打ち付けて倒れる。


「きゅきゅきゅう(何するのよね、裏切者)!」

「ピヨッ」

 ヒヨコはそっぽ向いて知らんぷりをする。


 トルテはヒヨコにきゅうきゅう抗議をするが、師匠の命令は絶対なのだ。

 何故ならお爺ちゃんの酒の肴であるマトンジャーキーをヒヨコに一本分けるかどうかの差配は師匠に握られているのだ。ジャーキーの為ならヒヨコは悪魔にだって魂を売るぞ


 ところで師匠、町長さんと何を話してたの?

「ん?ああ、帝都に一緒に来て欲しいって話だったんだけどね。急な話だったから。ヒヨコ君とトニトルテ君も一緒に」

「きゅきゅう(帝都!賑やかな所に行ってみたいのよね?)」

「ピヨッ」

 都ですか?ついにピヨちゃんの全国デビューですか?

 ヒヨコとトルテは立ち上がって両手を上げて喜ぶ。


「実は今回のトニトルテ君を誘拐した商人が北の太守であるマイヤー侯爵は共謀していた可能性が高いんだ。そもそもマイヤー侯爵が手配しなければ北の要塞の城門を通る事は出来ないしドラゴンを運ぶなんてできやしない。だけど、奴らは私が糸を引いたからこんなことになったのだと言い訳をはじめやがってね。帝都に行かねばならなくなったんだよ」

「ピヨッ」

 それはたいへん。犯人にされちゃうの?

「きゅう(それは困った事なのよね)」)

「ピヨピヨ」

 つまり、ヒヨコ達に証言してほしいって事だな?ヒヨコの武勇伝を聞きたいと。ヒヨコがスパイラルアタックで竜王を撃破したあらましとか。

「きゅきゅきゅきゅう(あまりに可愛すぎて人間にさえ捕まっちゃう女竜の美しさについてたっぷり語れば良いって事なのよね)」

 トルテは何故か照れた様子できゅうきゅうと鳴いていた。


「あの、あまり証言者として適切ではないと思うんですが?」

「あの商人が私に損害賠償を訴えて来た事を証言して貰えれば、共謀の疑いは晴れると思うんだよね」

「ああ」

「彼らはステラ君の管理下にあるし、帝都に来てくれるのは君だけでも大丈夫かもしれないが、どちらにせよ彼らも連れて行かねば色々と問題だろう?」

「えー」

「勿論、宿泊費や食費の諸々はこちらが出そう」

「ピヨッピヨピヨ」

「きゅうきゅう(さすが人間の偉い人は太っ腹なのよね)」

 ヒヨコとトルテは二人の周りをピョコタンピョコタンと喜びの舞を踊る。


「良いんですか?こんなのがついて来て」

 何気に師匠が酷いことを言う。ヒヨコを指差して蔑む目で見ないでもらいたい。


「いずれは帝都でお披露目する予定でしたし、良いんじゃないんでしょうか?アンジェラ殿も帝都に戻ってしまったし、ヒヨコ君と会えることを喜ぶだろう」

「ピヨ」

 いえ、別に会えなくても構わないので。むしろ合わない方が良いかと。


「普通にダンスの練習の時は仲良くしてたと思ったのに、二人の距離は縮まってなかったのか」

「ピヨ」

 男と仲良くする趣味は無いので。

「きゅう(男に嫌われそうな雄鳥なのね)」

「ピヨッ」

 リア充を目指すイケヒヨコとしてはフェニミストらしく振舞う必要があるのだよ、蜥蜴君。

「きゅうきゅきゅきゅうっ(誰が蜥蜴君なのよね。あとフェニミストじゃなくてフェミニストなのよね。赤っ恥の桃色ヒヨコの分際で)」

 トルテはジャンプしながら体を回転させてしっぽでバシッとヒヨコの頬をはたく。


「ピヨ!?」

 ズシャッと倒れるヒヨコ。

 新しい尻尾技にヒヨコは打ちのめされるのだった。無念である。

 いつもの角攻撃を警戒してたので想定外の攻撃にヒヨコは対応できなかった。


「どちらにせよ、下宿先のお爺ちゃんとお婆ちゃんに報告しないと。……このまま帝都に引っ越す事になるし、いつまでも家に泊めさせてもらう訳にも行かないんだよなぁ。学校やら通わせてもらった上にお仕事出来るようになるまで養ってもらったけど……」

「それはそれで寂しがるんじゃないかな?」

「うーん、無理言って泊めさせてもらっていたし。そもそも下宿させてもらっている身でありながら、何故か私のペット面してるヒヨコが軒下に住みついちゃったし。さらにはドラゴンまで。頃合いかなぁとは思ってたんですよね」

「ピヨッ!」

 どこのヒヨコだ。ヒヨコの師匠のペット面している生意気な鳥め!焼き鳥にしてやる!

 ヒヨコは腕まくり(?)をして周りを見渡しヒヨコのポジションを奪おうとする悪い鳥を探す。

「お前だ!」

「ピヨヨッ!?」

 ペチリと師匠のチョップがヒヨコの頭に突き刺さる。

 痛い。ヒヨコは守備力が低いんだって。


「取り合えず今日はお爺ちゃんとお婆ちゃんに話してみます」

「出発は結構早いんだ。3日後だからね」

「分かりました」




***




 そんな日の夜。

 師匠は下宿先のお爺ちゃんたちに事情を話していた。

「出て行かなくてもいいのに」

「ピヨちゃん、別に食費に困る訳じゃないし、たまにお爺ちゃんのお酒の相手をしてくれるからむしろいてくれて問題ないのよ」

「……いえ、多分、………私はこのヒヨコを連れて帝都に行かないといけないんだろうな、と。このヒヨコ、どうも色んなものを背負ってるみたいなので。当人というか当鳥がその使命とか記憶とか全部忘れているっぽいんだけど」

「ピヨ?」

 そうなの?ヒヨコはフリーダムなヒヨコですが?

 ヒヨコを縛るものは何もない!


「きゅうきゅきゅきゅう(何物にもとらわれない。それが我ら)」

「きゅきゅきゅ「ピヨピーヨ」(ピヨドラバスターズ)!」


 シャキーンとヒヨコとトルテは二体でなんとなく格好いい感じのポージングする。


 決まった。

 ヒヨコ達の雄姿にお爺ちゃんとお婆ちゃんもニコニコと笑っていた。


「こんなんだけど神の使徒や聖鳥、勇者みたいな称号がついているんだよ。多分、このヒヨコはちゃんと正しい場所に連れて行かないといけないと思うんだ」

「ピヨピヨ」

 そうか、ヒヨコはやはり立派なヒヨコブレイバーになる事が約束されていたのか。

「きゅう(というか、狐のいう事には既にヒヨコブレイバーになっているみたいだけど)」

「ピヨピヨーッ!」

「きゅきゅきゅきゅー」

 ヒヨコはあまりの事に手羽で頭を抱え、運命に打ちひしがれたように項垂れる。ヒヨコの声に合わせてトルテも何故か音楽(ベートーベン作『運命』)を重ねる。


「最近、それ、流行りなの?」

 師匠は呆れたような視線をヒヨコ達に向けてくる。

 師匠は2匹で音楽を奏でているのが気になる様だ。そう、我らピヨドラバスターズはお祭り以来、音楽に目覚めてしまったのだった。

 お祭りに来ていた楽団曰く、かつて帝国に召喚された勇者が作曲した音楽だとか。


※勇者が地球のクラシック音楽をこの地で広めただけです。作ってはいません。


「きゅうきゅう(その前の祭りの時、楽団が流してたから気に入ったのよね)」

 ヒヨコとトルテはハイタッチをしてピヨピヨきゅうきゅうと小躍りする。


「やっぱり巫女姫様として生きてしまうんだねぇ」

 お爺ちゃんはどこか寂し気に微笑み、お婆ちゃんは師匠の頭を撫でる。

「え?」

 すると師匠はビクッと反応して驚いた様子でおじちゃん達を見る。


「………い、いつから?」

 師匠は驚いた様子でお爺ちゃんとお婆ちゃんに尋ねる。

 いや、お爺ちゃんもお婆ちゃんもなんか師匠の素性はご存じだったようですけど。


「獣人は媛巫女様を信仰しているんだから、分かるよぉ」

「獣王様から各地に連絡も来ていたしねぇ」

「え?獣王様から?」

「『勇者の侵攻があり媛巫女様の御子を国外に逃がす』と。『子供故にフローラ様のような重責を背負わすような真似をせず、普通の子供として接するように、保護してほしい』と獣王様から各地に触れが回っていたのよ。金毛の狐人の子供が獣人領に近いこの町にくれば嫌でも気づきますよ」

「じゅ、獣王様が?」

「はい。三勇士エミリオ様の従魔たちがあちこちに触れを届けに来ていたので」

「うそ、だって、私……追放されて………」

 師匠は驚いた様子で体を震わせていた。

 今にも泣きそうな顔をしていた。嫌われているのだとずっと思っていたそうだ。


「そうでもしないと獣王様が戦死した後、責任を背負わされて王国に巫女姫様が討たれる可能性があったからでしょう。この長い歴史の中、王国の横暴に対して獣人族を守ってきたのは巫女姫様ですから。王国にとっては子供であっても殺したい怨敵だからねぇ」

「で、でも、私はそんな予知は……」

「獣王様は媛巫女という存在をあまりよく思っていないのは皆知ってたよ。それは嫌いという訳でじゃなくて、強い能力を当たり前のように獣人族のために使い、全ての責を負わせるというのが嫌だったと聞いている。スーちゃんも分かっていると思うけど巫女姫は予知能力以外はただのか弱い女性だから」

「でも………勇者には勝てないって…私……言ったのに」

 師匠は言葉少なに抗議するようにお爺ちゃんとお婆ちゃんに口にする。


「真の勇者とは……予知されたあるべき未来を覆す者。真の勇者とは予知を超える者。だから……、獣王様が勇者に立ち向かったのでしょう。獣人族の未来と誇りを守るために。巫女姫様が我々のために一人で命運を背負い続けなくてもよくなるために」

「ぐすっ…私………もういらないのかと思って……。私が止めなかったからエミリオお兄ちゃんが死んじゃって………」

 お爺ちゃんとお婆ちゃんが優しく諭し、師匠はぽろぽろと涙する。

「スーちゃんはまだ子供なんだから何もかも背負わんで良いのよ」

 お婆ちゃんは師匠を抱きしめて背中を撫でてあやす。


 ふむ、よくわからないけど師匠はこのヒヨコの師匠らしく実は良い所のお嬢ちゃんだったのかな?

「きゅう(アンタ、まさか巫女姫を知らないのよね?)」

「ピヨ」

 知らないのよね。

 って、口癖が移っちゃったじゃないか。ミコヒメ、つまり巫女さんのお姫様?伝説のヒヨコブレイバーとどっちが上なの?


「きゅう(少なくともどこの伝説にもなっていないヒヨコブレイバーよりは偉いのよね。人族の教皇とかエルフ族のハイエルフ、竜族の竜王的な感じなのよね。つまり竜王の娘とである私と同格って事なのよね。まあ、ドラゴンの方が偉いから私の方が偉いのよね)」

「ピヨ」

 つまりヒヨコに落とされた竜王の子供とそれ以下の狐巫女、ヒヨコが一番偉いという事でOK?

「きゅう!(何でそうなるのよね)」

「ピヨッ」

 ヒヨコとトルテは再び嘴と角を突き合わせる。


「でも、寂しくなっちゃうねぇ」

「また、ここに帰って来ても良いですか?」

「勿論だよ」

 2人の老夫婦は優しい笑顔で師匠の頭を撫でる。


 なんだかヒヨコ達はお邪魔みたいなので家の外に出ようと移動する。

 ヒヨコはピヨピヨと外に出ようとすると、トルテも空気を読んで、ヒヨコの頭に乗って一緒に移動する。


 家族水入らずにヒヨコは邪魔のようだ。


 こうして、ヒヨコ達の新たなる旅が始まる。

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