14話 陰陽師の醜態
俺と百合は、不時着したヘリコプターから出てくる男たちを追い詰めていた。
前に立つのは以前、倉橋と一緒にいたいけ好かないイケメンであり、後ろには小柄な老人と黒服にサングラスといった怪しげな男が3人、ボディガードのように立っていた。
2人だけは和装をしており陰陽師っぽい服装をしている。
「土御門だっけ?倉橋の婚約者だか幼馴染だとか」
いけ好かないイケメン改め土御門晴斗は俺を睨みつつも若干腰の引けた様子を見て取れた。
実力差を理解しているからだろう。以前、会った時も俺に対して畏れを抱いていたのは明らかだった。子供の頃から俺は周りからそういう視線を向けられてきたからだ、なんとなく分かってしまう。
対する後ろの小柄な老人、妖怪のようなおぞましさを感じるあたり経験値の高い陰陽師だろう。ネットで調べたが存在は分からなかった。戦前生まれの老人といった所か、だが、俺が畏れるほどでもないだろう。
「ああ、久しいな」
「陰陽師だっけ?百合から手を引け。今なら許してやるよ」
「そっちの彼女から手を引くだけか?君もターゲットの一人だ」
「殺そうと思えばいつでも殺せる奴らを敵とは思ってない。だけど、お前達如きにリソースを割きたくないからな。倉橋は異世界でそれなりに礼があるから、滅ぼさないでやる。俺としては一度お前らを皆殺しにして今後現れるだろう似たような連中にアンタッチャブルな存在だと知らしめたいと思ったんだけど、それは勘弁してやるよ」
「やるなよ」
百合がジトリとにらんでくる。俺の脅しを真に受けたのは百合だった。
「って、百合も言うし。滅ぼすのは次の相手にするよ。魔術師集団だっけ?そもそもすでにお前らは皆殺しできる状況だし。GOを掛けてないだけだ」
「って、そんなことしてたの!?」
俺の脅しの言葉に慌てるのは百合だった。
「俺じゃねーよ。ヒヨコの方だ」
「あー、そういえばポンコツ過ぎて忘れてたけど、そういうヒヨコだったわ……」
百合は頭を抱えて項垂れる。相手が分かれば魔力を感知してピンポイントでやれる能力があるらしい。遠距離爆撃が危険すぎるからやらせないし、ヒヨコも自重しているが。
くしゃみだけで浮遊都市の街並みを吹き飛ばしたのは記憶に新しい。
どこかほっとした様子の土御門であるが、未だに緊張をしている。まだ危険を感じているのか。そこが俺にはわからなかった。倉橋がどこまで関与しているのかもわからない。だが情報不足からすると倉橋から情報は下りていない。喋れない状況、或いは連絡が取れないのかもしれない。
ともすれば倉橋は戦いたくない土御門を動かすための人質か。
内と外、両方に敵を抱えたようだな。不憫な男だ。
「言葉に甘えたい所ではあるが……これも仕事でね」
苦々しい顔をしながらも土御門は呪符を懐から取り出して構える。
「さっきから呪符を使ってる連中が全く使えてないようだが?」
「君から呪術的な力はほとんど感じない。何かしらエラーがあったのだろうが、別に式は他にも方法があるんだよ!オン・ガルダヤ・ソワカ!出でよ、迦楼羅炎!」
土御門は密教僧らの使う真言を口にし、懐から短剣を取り出し手の甲を切り裂いて血によって地面に凡字を描く。
「お、仏教の守護神、密教の術か」
梵字から吹き荒れる炎が俺達を飲み込もうと襲い掛かる。俺は木刀に手を掛けるがその前に百合が前に出る。
「はあああああああっ!」
百合が斬撃を飛ばし、炎を切り裂き掻き消す。
「しょっぱい炎ね」
「異世界の魔法の方が威力高いからなー」
もう半ば百合を守る事は諦めた。というか守る必要なくね?多分、陰陽師より強いよ。
ならば、百合に手を出すのは不可能だと思わせた方が早い。そういうフォローに入ろうと策を練り直す。
迦楼羅炎、それなりに驚異的な炎だったが、やはり魔術構成のレベルが低い。異世界の術理よりレベルが低いのだ。だって横山如きが使ったファイアボール以下なんだもの。
「オン・アプロクシャ・プトロ・サハ・ソワカ」
土御門は手で印を組み、凄まじい速度で走り出す。
「って式神じゃないの?」
百合は魔法のステッキから光の刃を出して構えながら困惑する。
「毘沙門天の真言だ!恐らく武神の能力を借りるような呪術の類だろ」
「へえ、なら、ド素人が私に勝てるわけないでしょうが!」
土御門により繰り出されるのは、人知を超えた速度と力による正拳突きから回し蹴りのコンビネーション。
百合はこぶしを軽くいなし、蹴りを見切って避ける。土御門の戦闘能力は高いし、運動能力はかなり極まっていた。だが、動きは直線的で高くなった運動能力を自身で制御しきれていない。対して百合は、それ以上の力と速度を持つ相手との対戦経験があった。しかも有り余る力を制御できている本物の英雄級の戦士との死線に勝利した過去がある。
土御門の攻撃はすさまじく速いが、百合は事前動作で予測し、攻撃の来る場所を簡単に避けていた。
元々、剣道で鍛えていた百合は異世界での鍛錬はこの地球で右に並ぶ者が困難な実力者となっていた。
力なら勝てると考えて体をつかみにタックルを仕掛ける土御門だが、百合はカウンターで膝蹴りを仕掛けて土御門は思い切り顔面を蹴られて膝をつく。
「そこそこやってるみたいだけど、私ほどじゃないかな?」
百合は距離を取り剣を構える。
「レベル1程度の英霊だと勝手に推測していたのが大きい間違いだったか」
「倉橋から聞かなかったのか?」
俺は半眼で土御門を見る。
「真奈美から?僕と真奈美のやり取りを盗み見て、勝手に知った気になっていたのは上の方だ。ガキの頃からの付き合いだからな。最初から僕は君たちに勝てるとは思ってないからね」
「ほう」
土御門は本音をぶっちゃける。これは俺にではなく後ろにいる老人に聞かせているのだろう。
「真奈美は徹底して学校の友人たちが我らに狙われないように二重にも三重にも情報操作していた事くらい分かっている。君の彼女に対しては英霊である事実を完全に抜けていたっぽいけどね」
「……お前、実はいい奴か!?」
思わぬ言葉に感涙しそうになる俺は思わず口元を手で覆う。こいつには百合と俺が恋人同士に見えるというのか。お駄賃をあげたくなりそうなセリフはやめて欲しい。
「誰がお前の彼女か!?」
百合は勝手に彼女扱いされて憤慨していた。肯定してくれても良いのに。
「もはやこちらが追い詰められています。幸徳井老、どうしますか?」
ふらつきながら後ろに下がる土御門に、後ろにいる老人は鼻で笑う。
「甘い。甘いなぁ、所詮は才に恵まれただけの若造か。策とは二重三重に練って置くもの。まして敵は現人神よ」
「おや?自殺志願者がいたのかい?それともお爺ちゃん、ぼけちゃったのかい?」
俺の言葉に突っ込む百合が半眼で俺を睨んでいた。挑発するなっていう意思が込められていた。でもしちゃう。
「幸徳井老!今生かされてるのは彼らが真奈美と友誼を結んでいる、ただそれだけですよ!?」
土御門は顔を引きつらせて歯噛みする。
おびえているのは俺の存在に対してで、そして百合にも厄介さを感じている。
こいつの表情の動きを見て分かった。最初から適当に負けて、上を怒らせずに手を引かせてもらうための策だったんだ。なまじ力があるから、俺の力も百合の力も分かってしまうのだろう。
陰陽師の中でも別格の力を感じる。倉橋と比べ物にならないほどの力だ。勇者でも賢者でもないが、間違いなく高い霊格を持っていると想像できる。
だが、経験値や知略でいえば倉橋や背後にいる爺の方が上だろうな。
異世界云々とは関係なく、逆境に生き続けてきた倉橋と、あるがまま順当に育った土御門では違うのだ。お坊ちゃんだって事だろう。
勿体ないな。どこか西条に似た雰囲気を感じる。一皮むければ巨大な才能を開かせるような雰囲気だ。
幸徳井は懐より護符を取り出し自分の周りにばらまいて手を合わせる。
護符が幸徳井の周りを回りながら護符から次々と魔方陣のような術式が展開されていく。
「我、幸徳井智徳は謹んで泰山府君・冥道諸神に申し上げます。その信心が高きに至れば天の神々はこれを憐れみ、その慎みが深みに至れば地の神々は此れを護ります。我は…」
呪文を唱え始める。呪文というよりは祝詞か。泰山府君祭の祝詞に似ている。
「駿介!?何かやばくない!?」
「泰山府君祭か……。俺達の魂を縛る攻撃として最適か」
「大丈夫なの?」
「まー、多分」
俺の適当な返しに百合はジト目で俺を見る。恐らくは問題ないだろう。
「……祈りを捧げ、魂を捧げることを謹んで申し上げます」
幸徳井の呪いの言葉が放たれる。
黒い闇が顕現し巨大な手が俺と百合へと迫る。
「やばい感じがするんだけど!?」
百合が光の剣で闇を払おうとするが、その手はすり抜けて俺たちの魂を摘み取ろうとする。
「百合、気合入れろ!」
「き、気合って…………っ!」
顔を青ざめさせて意識が離れようとする境界を必死にこらえている百合。
「真の勇者になった時を思い出せ」
「ぐっ……くぅ…………ぬぅ………うあああああああああっ!」
百合は叫んでこらえる。黒い巨大な手は魂を抜き取ろうとするがそれ以上動かなくなる。魂を抜き取れず、黒い巨大な手は百合の魂を包んだままノイズが走る。
「なめんなーっ!」
百合は気合を入れて叫ぶと、黒い手が砕け散る。
「おー、凄い」
思わず俺は拍手してしまう。
「ば、馬鹿な!」
顔を引きつらせて呻く幸徳井だった。対して眉間を抑え首を横に振るのは土御門だ。土御門はこの結末を予測していたのだろうな。力量を正しく見切れていたのはこいつだけだった。
「何よ、その何事もなさそうなあんたの態度は」
「いや、多分、大丈夫だと思ってたけど、大したもんだなと思って。俺は…元々魂の強さを買われて異世界に行く羽目になったからな。泰山府君如きに俺をどうにかできると思って無かったし」
「そもそも泰山府君って何?」
「閻魔の従属神だったかな?」
「閻魔って閻魔大王の?」
「ああ。だが、生を司るイナンナの原典が暁の女神だ。あの女神が死を予測して乗り越えたのが俺達、真の勇者だろ?イナンナってのはイシュタルの原典でもある。シュメール神話は多くの神話の原典にもなっていて、イナンナは最高神格だ。日本神話の原典に使われているものもあるな。たかだか閻魔の従属神に、俺たちの生死を決められるとは思えない」
俺はこの世界の神話の話を加える。
だが、女神の世界で培った英霊の力は恐らく俺が想定していたものよりはるかに強い。逆に陰陽師達の想定はかなり低いはずだ。
「……くっ………よもや英霊のレベルが1どころかレベル5を超えているだと!?」
ついに奥にいた幸徳井は顔色を変える。少なくとも百合は簡単に殺せるとでも思っていたのだろう。俺もヤバいかなって思っていた。だが、あれが奥の手の一つならそこまで怖いとは思えない。
「 舐め過ぎだ。お前たちは俺たちがどれほどの偉業をなしていたか知らない。倉橋からちゃんと事情聴取をしておけばよかったな。絶対に手を出すなとしか言われないだろうけど」
「ちっ……なめられたものだな。この日本で我らに勝てると思っているのか?」
幸徳井は悔し気に俺を睨む。
まだ付け入るスキがあるとでも思っているのだろうか?
俺はこっちの世界における俺の力は強すぎるようだ。まさかあれが奥の手の全てでもあるまい。まだあるんじゃないか?百合の魂を握って人質、ああ、それが奥の手か。
「力が違い過ぎる。お前は蟻に殺されると思ったことがあるのか?不快にさせることが出来るし、俺の大事なものに手を出すこともできるだろう。だが、俺に何かするのは無理だ。俺の大事なものに手を出さなければ見逃してやるっていった意味分からないかな?」
俺は半眼で幸徳井を睨み脅す。
「神に至ったからと、我らに勝てると思っているなら大間違いだ。我らはこの日本にある龍脈の7割を独占し、数多の神と英霊、悪鬼を従属させている。それとも貴様は蟻に群がられて生きていけるか?」
幸徳井は両手で印を結ぶ。
「オン・キリク・ギャク・ウン・ソワカ」
真言は密教僧集団の使う魔法の類だと思っていたが、どうやら陰陽師達も平気で使ってくるようだ。
幸徳井の口にした真言は歓喜天のもの、つまりヒンドゥー教のガネーシャに相当する神。ガネーシャは群衆の主、つまり…
空間転移のように大量の陰陽師達が正装でこの場に現れる。その数はこっちに来ていた2~30人ではなく、時空の穴をゆがめて100人以上もの人海戦術を打ってくる。
集団戦闘をするための術式か。空間魔術みたいなものまで持っていたのか。
「さて、蟻に殺される想像はつかぬというが、蟻が軍勢となって生物を食い散らかすことがあるという事を神の身に知らせて見せようぞ」
俺は首を傾げる。
あくまでも物の例えなんだが。RPGでダメージを与えられないキャラが何人いても戦力にならないって言ってやった方がよかっただろうか?イメージでいうとこんな感じ。
~~~
デス●サロは冷たく輝く息を吐いた。
駿介は0ポイントのダメージを受けた。
爆●岩はメガンテを唱えた。
駿介は0ポイントのダメージを受けた。
ミルド●ースは灼熱の炎を吐いた。
駿介は0ポイントのダメージを受けた。
破壊神ラプ●ーンは杖の先のタマを投げつけてきた。
駿介は0ポイントのダメージを受けた。
ウル●ーガは全ての魔力を解き放った!クロス●ダンテ!
駿介は0ポイントのダメージを受けた。
~~~
こんな感じだからなぁ。
強くなりすぎて色々と覚めるよ。
「結局は物量作戦?まあ、これじゃ消化不足だったから丁度良いわ」
百合は剣を構えながらにやりと笑う。
「出でよ!茨木童子!」
「出でよ、酒呑童子!」
「出でよ、騰蛇!」
「急急如律令!貴人よ、敵を滅せよ!」
「出でよ!鬼道丸!」
「青龍よ、わが前に顕現せよ!」
それぞれが口々に式神を取り出して陰陽術を行使する。
だが何も出てこない。
呼ばれて出てきたのに誰も式神が使えない。あれ?って感じで誰もが困り果てる。
何か居たたまれない空気が流れる。100人以上の陰陽師集団が誰も彼も式神の術を失敗する。
「何故だ!?何が起きている!?何故、式神がでない!?」
「今までのように術式を使った時の繋がりが感じない!」
「幸徳井殿!?これは一体?」
「馬鹿な!」
「何が起こって……貴様、何をした!」
全員が呼び出されたものの何もできない男たちは動揺する。
「くっ、何が………!?急急如律令!出でよ、朱雀!敵を滅せよ!」
幸徳井が式神を投げるが何も起こらない。
「出でよ!酒呑童子!鬼道丸!大嶽丸!何故だ!何故発動しない!完全に繋がりが切れている!?」
幸徳井も必死に式神を投げて叫ぶが、やはり何も起こらなかった。良い大人が陰陽師ごっこをしているようにしか見えなかった。
だがそれと同時に異変が起きる。
突然、青空が太陽が置いたかのように雲に覆われて黒く染まる。雨も降らずに雷が鳴り響き、稲光だけが世界を照らす。
地面が見えなくなるほどの黒い瘴気が足元に漂い始める。
「何が起きてるの?あんた、また何かやったんじゃないの?」
「俺は何もしてないけど………」
ヒヨコからの続報待ちなんだよな。あいつ、何かやらかしたんじゃねーのか?
轟音を立てて次元が揺らぐ。突然虚空に穴が開いて、巨大な赤い指が次元をこじ開けようと現れる。
「あ………あああっ」
誰の声だったが、悲鳴を上げる。
金属が拉げるような音と共に、目の前の空間を引き裂いて、巨大な瞳がこちらを覗く。
それこそ、世界が引きちぎられるのではないかと思うような轟音が次々と鳴り響く。見えているあちこちの空間が揺らぎ、次元の亀裂が走る。目だけではなく巨大な手が空間から現れて、そこから何者かが出てこようとするかのように、引きちぎってその姿を現そうとしていた。
膨大な瘴気は空間からあふれ出て、世界を滅ぼすほどに溢れ出した。
そこから現れたのは伸張メートルを超える巨大な鬼の群れだった。
掠れたような声がつぶやかれる。
「しゅ、酒呑童子…」
「両面宿儺だと……」
「あれは大嶽丸………」
「まさか…我らによって封じられていた鬼達が、次元の牢獄から解放されたというのか!?」
「何という事だ」
「世界が終わる……」
愕然とする陰陽師達は膝をついて絶望の色に染まる。
天変地異と怪異の襲来。瘴気のあふれる世界がこの地に顕現する。
「貴様!何をしたか分かっているのか!この地を、この日ノ本を滅ぼす気か!これだけの鬼神を同時に顕現すれば間違いなく滅びる!どうしてくれる!」
半狂乱になり幸徳井は全く余裕のない姿で禿頭をかき毟って叫ぶ。
「いや、知らねーし。お前らの管理が失敗しただけじゃないの。何度も言うが俺は魔法には疎いんだ」
そんなことが出来る訳でもない。魔力を見ることが出来ないが、そこにあると仮定して想像して対応はできる。だが、構造を把握できる訳じゃない。
「その割には随分とシンゴン?だかマントラ?とかに詳しそうだったけど」
百合はジトリと俺を見る。
「あれ、仏教用語だから、調べりゃ百合でもネットで知ることが出来るよ」
マントラってのは特別な言葉じゃなく、大乗仏教で普通に用いられる言葉だ。密教僧に狙われていたから、仏教関連の話を一通り覚えていただけだった。密教僧の連中が使っていたのも見たからだ。
それを唱えれば、神の力を借りて力を増せる程度のものだと認識していた。だから何の加護をもつ神なのかさえ知っていれば対処できると思って覚えていただけだ。
魔法なんて知る由もない。
怯え切った陰陽師集団、この場にあふれる鬼の群れ。鬼だけでなく天狗や幻獣の類が歪み空間をゆがめて次々とあふれるように現れる。
出て来る度に足元には真っ黒い瘴気が漂っていた。有名人のゲストがテレビ番組に出て来る時の足元に漂うドライアイスの煙の如くである。まあ、実際、有名な魔神や悪鬼の類であるが。
「妖怪大戦争でも行われるのかな?」
中々に豪勢な面々である。俺でも分かる位有名な悪鬼の類がぞろぞろと現れていた。
「そうさせない為にも力を貸してほしい」
ゆっくりと立ち上がるのは土御門だった。
「ほう?やれるのか?」
「やるしかないでしょう。理由は分からないが……陰陽師達がアクセスしていた呪力による牢獄が破られたと想定される。歴代の祖先達が抑え込んだ神々を再封印するまでだ。それが俺の存在価値でもある」
土御門は腰に差さった短剣を取り出す。
その目は覚悟をした男の目だった。俺が異世界で見てきた英雄たちと同じ目だった。悪くはない。
まさかと思うがヒヨコの奴、何かうっかりやらかしたのか?俺は溜息を吐きながら空を見上げる。
女神「クソガキの時間となりました。あとがき担当の女神です」
ピヨ「ゲストのヒヨコだぞって………クソガキの時間!?」
女神「間違えました。勿論ですが、決してピヨちゃんの時間じゃないですよ」
ピヨ「そのタイミングでいうと、ヒヨコがクソガキみたいじゃないか!?」
天照「パンパカパーン!第3部から何と、この私がついに出場するというオファーが来ました!ヒヨコ伝説はこの天照ちゃんが乗っ取った!私の逆襲の時間が始まる!」
ピヨ(クソガキの時間がやって来たのか)
女神(これだから天照ちゃんは……)
天照「悔しい?女神ちゃんは何だかんだ言って、一度も姿かたちを本編で出したことが無いからね。もはや私がピヨドラバスターズ加盟も夢じゃないって感じだよね」
ピヨ「待て!?ピヨドラバスターズは永キュウに不滅だが、こっちの世界にはドラがいないぞ!?」
女神「本格的に青龍君や黄龍君をオファーしては?」
ピヨ「だが、こっちの青龍君は緑だぞ?青龍君なのに!?パチモン臭いのだが?中国にいるパクリモンの匂いがするぞ!?」
女神「あえて言うなら青龍君は中国産で、パクリモンどころか中国オリジナルなんですけどね」
天照「え、あれって日本産じゃないの!?」
女神「ふっふっふっ、青龍は緑色。昔の日本人は青々しいと言いつつ緑をさすのです。緑=青なんですよ」
ピヨ&天照「なんだってーっ(MMR風)」
天照「ネットで調べると青龍は真っ青なんだけど。女神ちゃん、エセ情報を流してピヨちゃんをだますのは良くないよ?」
女神「そうでしょう………愚鈍な貴方達の中だけの話ですが」
ピヨ「ディスられたぞ!?愚鈍な天照ちゃんよ!」
天照「真の愚者と公式にディスられていたピヨちゃんに言われたくないよ!?」
ピヨ「ピヨッ!?」
女神「そもそも緑色という言葉が出来たのは平安時代末期ですが、青龍達四神はそれより昔に中国から生
まれてます。そして、青龍は春を司り五行で言うと木を示します。木とは植物の意、つまり青々と茂っている植物ですよ」
天照「ウィキで調べたら青龍君の色は本来緑色を示すとあったよ!?何てこったい。つまり青龍君は緑だったの!?」
ピヨ「道理で青龍と言いながら緑色の龍が出ていたのかと思えば、青=緑だったからか!」
天照「知らんかった………。私の方がめっちゃ日本人なのに」
女神「それにしてもついに天照ちゃんがメジャーデビューだなんて」
ピヨ「おい待て。この作品がいつからメジャーデビューしたというのだ?メジャーデビューしないからこそ、作者は大胆にギリギリなラインのネタどころか、確実にアウトなネタをこの作品で展開しているというのに。商業化できると思っているのか?」
天照「そうだった。何故………、何故私は二次元の世界で活躍できないのだ!」
女神「言われてみると、どの作品にも割と出てこないですよね、天照大神」
ピヨ「アニメ化されたものあったっけ?記憶にないぞ?」
女神「一応、この国の皇統の祖ですからね。皇族関係者は迂闊に出せないのでは?」
ピヨ「地雷女ではないか!?」
天照「地雷女扱いされた……」
女神「という訳で次回予告ではないですが、第三部の多分第2章相当辺りで天照ちゃんが登場するそうです」
ピヨ「でも、今の作者の続編はオマケだからとマイペースに書いているから、間違いなく数か月先になるぞ」
女神「きっとその頃には天照ちゃんの事を皆が忘れている事でしょう」
天照「ぞんざいな扱いだよ~」
女神「果てして天照ちゃんは数か月後に本編出場出来るのか!?次回、15話 陰陽師の崩壊でお送りいたします」
ピヨ「これまた酷い予告だな」
女神「え?ピヨちゃんがそれを言うのですか?」
天照「この反応、崩壊原因が誰なのかはよく分かったよ」
ピヨ「ピヨヨーッ!?何故ヒヨコを見るのだ!?誰か助けて!」