最終章46話 帰って来たアイツ~前~
ピヨちゃんがこの世界から離れてから4年の月日がたった。
帝暦518年に国際会議が行われ、世界は平和に向かうと信じられていた。しかし、世の中はそう簡単に出来てはいない。
コロニア大陸中南地方では泥沼の紛争が各地で勃発してしまった。
中南地方とは、ローゼンブルク帝国首都ローゼンシュタットの西部に存在する草原地帯であり、遊牧民たちが住む場所だった。現在のローゼンブルク帝国は無用な争いを好まないが、かつては領土侵略を繰り返しており、彼ら遊牧民は帝国や魔神の侵攻を阻むために作った組織が中南連合であった。
その歴史は帝国とほぼ同程度の古さがある。南部の大森林に樹竜王という魔神の眷属が住まうダンジョンが存在しており樹竜王対策は大森林のダークエルフ氏族、遊牧民達、帝国の三つの勢力が囲むように守りを固めていた。
但し、遊牧民もやがて有力氏族が巨大な集落をいくつもつくり、国というよりは氏族単位でまとまりつつあり、国の連合というより組織連合というのが正しい。大北海大陸にある白秋連邦と似たような組織ともいえる。
そのせいで、隣国との国境は確かにあっても、集落の領地の区分けが一切なかった。
氏族主義集団が内乱になる事は珍しい。
内も外もない場所、大地に根付きにくい人々が住む土地だったからだ。氏族が負ければ逃亡し新しく街をつくる、そういう歴史があった。根付いて土地を占有しているのは基本的に十数家の有力氏族位だけで、基本的には未だに民は遊牧生活をしているものが多い。
中南地方における連鎖する大紛争は、ローゼンブルク帝国の技術革命に起因するものだった。
ローゼンブルク帝国を中心に大陸縦断鉄道と大陸横断鉄道を作るプロジェクトが出来た。前者は既に出来上がっており、昔から友好的な付き合いのあるギレネ王国を経由し、鬼人領の本拠地ダエモニウムに繋がる鉄道だ。ダエモニウムのゴブリン達の中でも特殊な進化個体ゴブリンスミスなる者たちは技術が大好きで帝国からやってきた技術に夢中になった。
彼らは長年の友好国である獣王国からも通そうと動きがあり、本格的な動きとなった。
大陸縦断鉄道は輸送に革命を起こし、ゴブリス連合王国も連邦獣王国もギレネも商業が一気に潤った。勿論、連邦獣王国の元属国であるマーレ共和国も大北海王国との海運で右肩上がり、大陸東部の景気はすさまじいものがあった。
そんな時代背景の中、花国と帝国の間を大陸横断鉄道によって繋ぐことで世界を小さくしようとしたのだが、その間にある草原が広く野生の魔物がいる中南地方での管理が厳しいものとなった。
元々遊牧民だった事が原因なのか理由は不明だけど、こういった地に足をつけて管理をするという事を好まない気質の者も多く、氏族主義集団だから国として決めても従わない者が多かったのだ。
結果として花国とローゼンブルク帝国の両国は大陸横断鉄道計画は頓挫した。
そこで、各国の海上輸送路をより増やす事で対応した。実際、重量物を運ぶときは巨大海洋運搬船を使った方がコストが安い。逆に内陸にある獣王国は鉄道や河川運輸の為の河川で船が通れるように大きい工事が始まる事になる。
だが、いずれにしても花国は輸送速度の遅さが難点だった。
連邦獣王国は鉄道沿いや街道沿いはかなり整備ができており、魔物の生息マップまで作り、魔物使いがそれらを上手く管理し安全に過ごせるようになっていた。
この生息マップを作ったのは獣王妃様、つまり従魔士の頂点に立つミーシャ様だ。
それを機に爆発的に人口が増え始め獣王国はもはや森と山の中に引きこもっている種族ではなく、大陸の第4勢力と言える地位にまで駆け登り、連邦獣王国は獣人国家の代表的な存在になっていた。
鬼人領もざっくりとした連邦国家的な形だったのだが、ゴブリス連合王国と名を変えて世界第二の規模の国として存在している。
それが必要なほど、領地を跨ぐ輸送方法が出来た為に取り決める国の代表者が必要になったという事だ。
だが、そうすると中南連合だけが、他国から取り残されてしまう。大陸第4勢力と言われていたのは昔の話、経済力も文明も獣王国に抜かれ、鬼人領や獣王国よりも国の形が成されていない集団だと言われてしまう。
しかも、陸で孤立してしまっている状況で、大陸横断鉄道案が草原ではなく南部の大森林を通した方が良いという話しが出てしまうほどだった。
今の帝国にはそれが出来るほどの莫大な金があった。
南部の大森林の開拓は連邦獣王国の悪魔の森ほど魔物が多いわけではない。寒冷対策は必要だが、森を切り開き鉄道を通すというノウハウを、もっと険しい畝った山道を持つ獣王国で手に入れている。
実際、帝国と連邦獣王国の間に出来た合弁鉄道会社が「やるなら自分たちが」とアピールしてきたほどだ。
中南地方は花国とローゼンブルクに無視されてしまうという状況に拙いと感じた氏族が出てくるのは当然の流れだった。
つまり中南連合を『国としてまとまるべき』『古い考えは悪だ』『このままだと周りに認められなくなる』など、それぞれの氏族や国への想いがぶつかり合った結果、内乱が発生した。
帝国のサミットに参加したリハヴァイネン氏族は中南連合を変えようと動きだした。
彼らは帝国の大きさと技術力の高さを目の当たりにしていたからだ。
今の皇帝も次の皇太子も友和路線であるが、何の間違いで皇帝が領土拡張路線を打ち出したら、中南地方の遊牧民はなすすべもないからだ。
帝国が動けば花国も危険を感じて動くだろう。二国間で切り崩される中南地方の未来図を想像するのは易かった。
帝国の差配一つで簡単につぶれる国で良いのか!?
強い想いを抱いて動き出した。
3大派閥の一翼リハヴァイネン氏族が改革派として勢力を広げようとした。
だが、リハヴァイネン氏族は帝国を理由に中南連合を支配しようとしているのではないかと勘繰る氏族も多く出て来る。
サミットから1年後、リハヴァイネン氏族が一定の集まりを作って中南連合から中南連合国としての共同宣言を出そうとした日、公然とリハヴァイネン氏族代表が暗殺されたのだった。
この世界では暗殺で世の中は動かないと言われている。
民主主義国家ではなくとも、世論がある以上、国の方針を打ち出すものが誰に変わろうと国際情勢が大きく変わる事がないからだ。
だが、中南連合はそれぞれ国の為に意見を言い合いぶつかり合い殺し合いを始めてしまい、氏族内だけでも纏まらなくなってしまった。暗殺で国が動いてしまった初めての例と言えるかもしれない。
結果的には暗殺は今の中南連合の国際情勢に対して国の在り方そのものを世論を形成する氏族たちが考える羽目になった。
氏族内だけにとどまらず、氏族対氏族でも暗殺と内乱の泥沼化した紛争が始まってしまった。
同じ志があっても憎しみ合う氏族もあれば、白黒はっきりしないで内部でぶつかり合う氏族もある。
中途半端な氏族の集まりが足かせとなって、しかも巨大な草原に1000以上の氏族があり、1000以上もの思いがある。
それぞれが友好的だったり、敵対していたり、仲間の敵は敵なら良いが、仲間の敵なのに仲間、みたいな関係性もあちこちにあり、二つの勢力に分かれて7つの氏族がぶつかり合っても、最終的に敵対しているはずの2氏族が何故か勝利するという意味の分からない結果もあった。
話を聞いても理解の出来ないものが多かった。
同じ志なのに気に入らないから戦争で後ろから刺すなんてのも多い。
こんな土地の内乱が終わる訳がない。外側から見ている人間たちの多くがさじを投げた。
ローゼンブルク帝国でもこの戦争への介入が声高に叫ばれるようになった。
だが帝国皇帝は手を出すなとストップをかけた。この暗殺劇が帝都まで持ち出されてしまったら、もはや世界が混乱する。当然の判断だった。
だが、250年前の支配帝時代にローゼンブルクは元中南連合のヴィフレア王国の姫を妃にし、属国にしている。そして彼らは中南連合の戦争に巻き込まれてしまっていた。
訪問した際に外交官が殺されたり、訪問した氏族が暗殺されたり、責任問題を持ち出されたり責めて責められてとぐちゃぐちゃの内乱に巻き込まれていた。
皇帝が関わるなと言わなければヴィフレア王国は混乱の真っただ中だっただろう。彼らは皇帝に従い、中南連合の氏族たちと距離を取る事を選択した。ヴィフレア王家はローゼンシュタットの別邸に本拠を移すほど危険になっていたのは事実であった。
だが、帝国皇帝がストップをかけた中、帝国貴族が堂々と介入を宣言した。
帝国皇帝の血筋も中南連合の氏族の血筋に行き当たるという理論展開からだ。
中南連合において最も尊いと呼ばれた英雄が400年前に存在していた。巨大コミュニティをつくる氏族は大体この英雄を祖としている。
歴史をさかのぼれば、邪神大戦の有った頃、その中南地方の裏側で大森林にダンジョンを作った樹竜王へリスの侵攻があった。それをダンジョンから出ないように封じ込めたのがルミヤルヴィ氏族であり、かの血は中南連合の大氏族の祖なっている。
そして、実はその本流は帝国の辺境伯になっていた。
この辺境伯家が帝国皇家にとっても非常に重要な血筋と言われている。
支配帝以前の帝国は暗殺が激しく何度も本家筋が途絶えて分家筋に移譲されることが多かった。その情勢を変えてフェルトシュタットからローゼンシュタットに遷都したのが支配帝であり、支配帝が多く残した子孫の中でも皇家の血筋となったのがルミヤルヴィ女辺境伯だった。
正しくは皇族がルミヤルヴィ辺境伯の婿になる予定だったのだが、辺境伯の婿が内乱に荒れる帝国を平定し、侵攻してきたアルブム地方との戦争に勝利し、多くの土地を支配する事になった。
故に支配帝と呼ばれるようになったのである。
そして、フレデリクの正妃アレクサンドラこそが帝国皇帝の嫡流と呼ばれるようになったのだが、このアレクサンドラはギレネ王族の姫と中南連合の末裔ルミヤルヴィ辺境伯の娘なのである。
そんな遠い血縁を持ち出して、ローゼンブルクは中南地方を支配しても一向にかまわないという超理論を持ち出したとんでもないバカがいた。
僕、フェルナント・フォン・ヴァイスフェルト子爵である。
僕の参入によって、氏族間の紛争の形が変わった。
ぐちゃぐちゃに入り乱れて誰もが終わりさえ見えなかった泥沼の内乱が、フェルナント派閥かそれ以外の派閥かの二択になり、白と黒とに塗り分けた。
とびっきりの外圧を前に敵か味方になるかの二択の選択肢しか、僕が相手に与えなかったからでもある。
大きい声と強引かつ分かり易い政策を無理やり推し進め、はっきりしない灰色同志の泥沼戦争を白と黒とに分けてしまったのだ。帝国の利になるかならないかを明確にさせたからだ。
非道な手だと分かっているし、厳しいやり方でもある。
そして今、白を示す名を持つのに黒派閥とも言われるヴァイスフェルトと、白派閥である様々な色を持って真っ黒な派閥連合との対戦が勃発した。
後にハルマーの合戦と呼ばれる戦争は、実に10万というこの国の人口ではありえない程の大軍勢が集まり中南連合の先行きを決するために集まり戦いが行われてしまう。
「リオン。右翼任せていい?そっちが決着が付けばほぼ勝利は確定だ。僕は中央で指揮を執るからさ」
共にユニコーンに乗って隣に並び立つのは赤髪の鬼人に問う。
「おう?俺に美味しい所を全部譲るってか?良い心がけだな、フェルナント」
「向こうにはインディゴ共和国勢力の氏族のトップがいる。そいつは絶対に殺すなよ」
「俺の軍を引っ張っていくけど大丈夫か?」
「問題ありませんわ。殿下には私がいますので」
楽し気に鬼人の青年が訊ねると、紅の騎士の後ろに控えているこの場に不似合いなメイド服を着ている褐色の肌をした女性が軽くスカートを摘まんで礼をする。
「だってさ。ベアーチェが残るから問題ないよ」
肩を竦めるフェルナントにヴァーミリオンは苦笑する。
「よく言う。よしっ!いくぞ、セレスト!俺について来い!」
「ゴブリス部隊!ヴァーミリオン様に続け!後れを取るなよ!」
赤髪の鬼人が語ると同じく青髪の鬼人が周りのゴブリン部隊に指示を出す。ゴブリンウォリアー達が武器を空に持ち上げて大きく声を張り上げる。
「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」」」」
ゴブリン軍団が右翼から迫る中南連合の敵対氏族達を追い立てる。
人数は少ないが一騎10人分以上の活躍をする進化したゴブリンの集団だ。
しかもヴァーミリオンは3年前の帝国で行われた武闘大会で、老竜に進化したグラキエス君と10分も殴り合い続けた猛者だ。流石にグラキエス君の頑丈さを突破する事は出来なかったが人類のレベルではない。
対する僕はというと、4年前とは異なり、ずいぶんと落ち着いていた……と思う。
昔と違って押しとどめてくれた親友がいないからか、少しだけ大人になっていた。何より、自分以上に無茶をしたがる親友がいるからだ。
僕は、顔だちこそは母親似だけど、頭の出来は明らかに父親似だった。無茶な事を推し進め、何度となく軍を率いる事で父同様に人をまとめる事に慣れて来ていた。
副官として一緒にいるのはダニーこと従弟のダニエルだ。数少ない友人であるダニーは僕の抑え役だ。数少ない常識人である。
周りの貴族達は平民のくせにと妬んでいたが、だったらこの年齢で学校を卒業してきてもらいたい。ダニーは父上や陛下たちの英才教育で皇族並の教育がなされた。実際、皇族を名乗れないだけで血としては皇族だ。
陛下曰く、『若き日に俺の補佐をしていたギュンターと似た役割だな』などと笑われていた。
陛下は弟の子供だからダニーが可愛くてしょうがないらしい。その弟があちこちに子供を作っていて皇族として認められない血になっているから、可愛がれる甥っ子と姪っ子が少ないそうだ。20年前の内乱で先帝陛下の弟が皇族を殺しまくったせいだと聞いている。
陛下は家族とは亡くなった弟も含めて皆と仲良かったらしい。乱暴者の問題児だった母が陛下に懐いていたという程度には陛下の懐の大きさを物語らせる話でもあった。
「殿下は行かないの?」
ダニーの声に僕は現実に戻ってくる。ちょっと考え事が深かったかな?
「僕は軍を指揮する仕事があるし……流石に突撃力はリオンに勝てないよ」
「昔は競っていたよね?」
おや?とダニーは首を捻る。
「そ、そうでもないよ?」
「3年前、武闘大会にどっちが上に行くか勝負だって二人で試合に出たのに、お互い準決勝でトニトルテちゃんとグラキエス君にぼろくそに負けて泣いて以来、大人しくなったよね」
わざと昔のやんちゃ話を持ち出す。
「思い出させないでよ!?ダニー、酷い!」
「勇者でもドラゴンには勝てないんだなぁって見てて思ったよ」
「人化の法を使っていてもあの二人、なり立てでも老竜だったからね。世界に二桁といない竜の頂点に最も近い存在、老竜を相手に勝てるわけないじゃん」
「そこを譲らずにトルテちゃんに降参せずきゅうきゅう齧られてたんじゃなかったっけ」
当時は死に物狂いで勝ちに来ていた癖に何を言うのかとダニーは呆れていた。
ええ、そうですとも。
ちなみに、トニトルテちゃんもグラキエス君も流石に殺すのは拙いと手加減していたというのだからとんでもない。
神話の神と戦った幼い竜王の末裔は確実に成長していたようだ。僕は未だにピヨちゃん達の領域には踏み込めていないのがあからさまに示されたようで悔しかった。
「若かったんだよぉ」
「頭蓋骨をカチ割られてフリュガ様とエレオノーラ様にストップが掛けられたんだっけ」
「壊れないリオンがおかしいんだよ。僕は普通の人間だから」
ちなみに、3年前の武闘大会はグラキエス君とトニトルテちゃんのドラゴン頂上決戦となりトニトルテちゃんの反則負けで終わった。むきになってトニトルテちゃんが電撃ブレスを吐いたからである。フリュガ様がいなかったら帝都で千を越える死者が出る所だった程だ。
昨年からドラゴン出場禁止になったのは仕方ない事だろう。今や帝国最強とゴブリス連合王国最強と名高い僕らが、ドラゴン兄妹にガチで手も足も出ずに負けたのだからショッキングな光景でもあった。
「ドラゴンと渡り合える人間なんているんだっけ?」
「ダニエル様。我が主が人間だと言えば、人間でなくても人間なんですよ」
「ベアーチェ!そのフォローは僕が人間じゃないみたいなフォローだからやめてよ!?」
「え、お兄ちゃん、人間だったの?」
「セイラ、僕は人間だからね?」
メイド服に身を包むベアトリスの横にいるのは、水で出来た馬に乗っている少女だった。少女は驚いた様子で僕を見上げていた。
9歳になる少女セイラは少し大人になっていた。水を自在に操る力を身に着けて、日増しに強く美しく育っていた。ちなみに、モニカに続き、僕の婚約者に収まっている。
7歳位の少女に『フェルナントのお嫁さんになりたい?良いよ、一緒に頑張ろう』とモニカが無理やり引き込んだのだ。流石にセイラに駄目ともいえずなし崩し的に彼女も婚約者になった。
部外者の安全には気を遣う僕の両親だけど、セイラが僕と一緒に戦いに行きたいと訴えた時、『まあ、セイラがついて行くなら良いけど、モニカやベアトリスは厳しいんじゃないか?』と他二名にストップをかけた。
今のセイラは何の力を持たない少女ではなく、水の大精霊の力を100%発揮させる水使いに育っていたようだ。ただ、僕の近くで戦況を見ているだけなのでその力を使う事はなかったし、使うのは非常に拙い。
精々、戦争時の水補給で使ってもらっているくらいだろうか?水を運ばなくて良いだけでかなり手軽に動けるから助かる。雨の少ない草原地方であるこの国ならば尚更だ。
セイラの中で生きている母親代わりのイヴ曰く、ティグリスのように精霊に使わせてもらうのとは異なるし、イフリートやソリスのように無理やり従えていたのと違って、一緒に戦うような形だから彼らよりも強いらしい。セイラがティグリスより強いと言われてもピンとこないのだが……。
イヴが言うには現存する精霊使いの中では、ピヨちゃんを除けば最も精霊への干渉力が高いらしい。身を守る事なら問題ないそうだ。実際、5年前に彼女は大北海大陸をまるっと大津波から守っている。
とはいえ、僕が変な女に引っ掛からないようベアトリスはお目付け役として僕に付き従う事となった。ギリギリまでラカトシュさんに仕上げられたうえでの帯同だ。求められる実力が高すぎるような気がしなくも無い。
皇族の護衛という意味では、ラカトシュさんの配下の最強格が皆についているからベアーチェだと格落ちなのだそうだ。厳しいお爺ちゃんである。
とはいえ、僕も夜中に忍び込もうとする女性が出て来ており、ベアトリクスは僕の寝室での護衛となる。
「まあ、良い。右翼が崩れて中央が空くぞ。魔導杖を持て!魔導杖特戦部隊全員前進!」
中央の部隊が一気に駆け上がる。
「あーあ、魔導戦車を持って来れたらなぁ。もっと楽だったのに」
「アレを出したら帝国が本気で中南地方を取りに来たと思われて、二つに分かれるどころか、中南連合と帝国の戦争になると言ったのは殿下でしょ」
「そうだけどさ」
ダニーは呆れたように僕に突っ込んで来る。
魔導杖部隊は帝国だけの専売特許ではなくなっていた。魔導杖は中南連合内でもあっという間に行き渡り戦争に使われている。数は少ないし、作るのが大変なものであっても、あっという間に作れるようになってしまう。
帝国のような量産化はまだだが、職人が何本も作れるようにはなっているから侮れない。
4人が中央で雑談をしていると、そこに馬に乗ってやってくる二人の男女がいた。
どちらも褐色の肌をしており黒髪に黒い瞳をした少年少女だ。二人とも中南連合と同じ服装をしているように、僕の側に立った中南連合の人間である。
男の子は僕と同じ年のラウリ・リハヴァイネン、妹は僕とセイラの間位の年頃でシルッカ・リハヴァイネン。
彼らはこの内乱の原因となったリハヴァイネン氏族の王の末の子である。
殺し殺される危険な状況を危惧し、戦争そのものを止めようとフェルナントについた少年たちだ。
逆に言えば彼らは一応王子という立場にもあるが、多くの息子がいる氏族の長だったので王子同士の殺し合いが激化している状況でもある。
「フェルナント。叔父上たちが迂回して草原の草の多い死角を使って5000の軍勢を動かしているぞ」
「婿殿、叔父上たちへの復讐は我々にお任せを!」
「だから、殺すなって言ってんだろが。あのオッサンたちを生かして捕らえる。これは今後の展開で必要だ。中央で全体の戦争をコントロールしているのは、その為だって言ってんのに……。あと婿殿とか言うな!僕はまだOKとは言って無いからね」
「ハハハハ、何をいまさら。モニカが良いというなら構わないと言ったから、ちゃんとモニカ様より許可をもらって来たじゃないですか」
笑い飛ばすラウリに、頬を染めるシルッカだった。
「あの女、遠慮がなくなって来てないか?」
僕は幼馴染を思い出して溜息を吐く。まだ婚約者で結婚もしてないのに愛人を公認する女主人っての波動なのだろうと考えてしまう。
僕としてはモニカを防壁として期待していた。
しかし、モニカが婚約者として正妻として振る舞うや否や、女避けと言って姉貴分のベアトリクスを付け、夜の監視役にしてしまう。
セイラもお兄ちゃんと結婚したいと言えば一つ返事で許可を出しやがる。
ラウリとシルッカを引き入れた際にシルッカが婿殿とか言い出し始めて、モニカを理由に拒絶したのだがモニカはあっさりと許可を出して、婚約者3名(モニカ、セイラ、シルッカ)に愛人1名と明らかに増えている。
モニカと婚約したのは内乱介入の2年前の話だったのに何故!?
「実際問題、常人のモニカでは夜の我が主様を受け止めるのはちょっと……私でも厳しいですし」
「子供のいる前で生々しい事言わない!」
言葉の意味を理解できないセイラは首を傾げており、援軍を見るような目でベアトリクスはシルッカを見ていた。
「早くこんな戦争を終えて、婿殿に女にしてもらいたいものです」
まだ子供のシルッカは意味も分からずとんでもない発言を口にしていた。
「ラウリ!うんうんと頷かない!お前、お兄ちゃんなら止めろよ!もしもグレータに何人も女を持つような男に靡いたら絶対に止めるぞ!そんな男は許さん!」
と言っているのに、
「ハハハハ何をいまさら」
とラウリは笑い飛ばすのだった。
僕の婚姻事情はピヨちゃんと別れてから4年近くが流れ、それなりに進展があった。
こんな流されるように婚約者が増えて良いんだろうかと考えてしまうが、周りも止めてくれないのだから、仕方ない。父上からは『ミロンから聞いた支配帝のような婚姻関係だな』と笑い飛ばされた。
実際、多くの後継者を持って権利分配していかねばローゼンハイムが巨大になりすぎる。今でさえ帝国の皇帝に次ぐ勢力みたいに言われているのだから。
このままだと帝国皇帝より強くなってしまう。
まあ、それはそれとして戦争だ。この場を乗り切れば後は纏めるだけ。
この群雄割拠だった状況を2つの勢力に塗り替えるのに2年要した。だが、ここで負けてしまっては意味がない。白側が勝手に群雄割拠に戻ってしまう恐れがある。
戦場で僕は絶え間なく周りに指示を出し、戦場そのものをコントロールする。
そしてその姿を見ていたのか、ダニーは苦笑する。
「殿下はやっぱりシュテファン様の息子だよね」
やんちゃするよりも考察して動かしてしまう。
父上も若い頃は戦争に介入する前に、情報戦によって既に見えない部分で敵を倒してしまう父上と同じ資質が僕にもあったという事だろう。
僕は勇者になったものの、才覚は父親寄り、つまり賢者寄りだった事がよく分かる。
やがて、左翼の方仕込んでいた策が成功した事を示す紫色の狼煙が上がる。
「よしっ!リオンが全部叩き潰す前に決着がついてくれた!首謀者捕縛の狼煙だ!殺した訳でも取り逃した訳でもない。勝鬨を上げろ!他の介入しようとする勢力に見せつけるんだ!勝者は僕達である事を中南平原に見せつけるんだ!ラウリ!お前の仕事だぞ!」
「はっ!皆の者!真・リハヴァイネン氏族が勝利したと旗を掲げよ!」
ラウリが叫び草原の民たちがそれに倣う。
中南地方に起こった戦争が終結を迎えたのだった。
***
帝暦523年5月
僕達ローゼンハイム公爵軍はローゼンブルク帝国の帝都ローゼンシュタットに凱旋した。
ゴブリス連合王国の王子ヴァーミリオン・ゴブリスの私兵、帝国属国のヴィフレア軍、それに中南連合の覇者となったリハヴァイネン氏族軍が、魔導車に乗ってゆったりと動きその姿を見せていた。
多くの民が黄色い声を上げて英雄をたたえていた。
僕は今でも次期皇帝候補というものを突きつけられてしまう。
現皇太子のカール兄ちゃんは、実際には優秀で着実に仕事をこなしていたのだが、地味で活躍が分かりにくいのが問題だ。
対して、僕の活躍は誰の目からも分かり易いのが問題だった。
僕はこそこそと話をして悪だくみする貴族を一瞥してから、
(今度はどこに行こうかなぁ)
と帝国に居つくと余計な虫が寄って来るから居つけないでいた。
幼い頃、親に離されてピヨちゃんが付いて来てくれるならと泣く泣く他大陸に留学したが、今思えば英断だったと理解する。
余りにも面倒な上に狡猾な貴族達に僕は帝都ではかなり疲れていた。すり寄るだけなら良いが、娘を押し付けようとする人間が非常に多い。婚約者?その座はモニカがいるから簡単に拒めるが、「ならばどのようにでもお使いください、それが出来ないなら捨てるまでです」と人身売買に近い形で押し付けようとしてくるから質が悪い。
だが、この頃には目立たないようにするのも面倒になってきた。何をやっても目立つし、隠れるのも逃げ回るのも面倒だからだ。
面倒な連中の為だけに何で自分が抑えなければならないのかと腹も立っていた。
何よりいいアイデアがあり、皇太子向きではない案件でも、フリーな自分ならどうにかできる案件があって、皆の困りごとを自分が解決できるのに、それを見て見ぬふりをするのが嫌だった。
だから目立たないようにするのはもうあきらめた。バカな連中の為に自分を抑える事をやめてしまった。
陛下や父上には迷惑をかけている自覚はある。
カール兄ちゃんも、ややこしいのは部外者だというのも分かっている。帝国にいる親族は非常に少ないし、カール兄ちゃんと互いに分かり合っていればあとは速かった。
その替わり、僕の婚約者であるグロスクロイツ家とフェルナントの生家ローゼンハイム家は露骨に皇太子派閥に属すことにした。
正確には帝国御三家と呼ばれるグロスクロイツ家、バイマール家、旧ヴァイスフェルト家が皇太子派閥に入ったのだ。
本人たちは皇太子派とかフェルナント派とか関係なく、皇帝直属だ。故にその手の派閥に参加する事も嫌だったが、皇太子派の過激派側に属する事で、徹底的に僕を担ごうとするような連中を攻撃する事にした。僕を担ごうなんて思わせない位に徹底していた。
プライドの有る(ウチにあるかは疑問だけど)大貴族が皇帝直属を離れて皇太子派閥に属するなんてありえない事だが仕方なかった。
帝国は成熟期に入っており目立つ皇帝より、地味でも国民を育てて導ける指導者を求めているのは、良識者たちなら分かっている。
分かってない連中が僕にすり寄ってくるのが問題だった。
故に僕や皇太子の未来の為に、邪魔な貴族は切り捨ててしまおうと舵を切ったのだ。皇帝も周りの相談役も大鉈を振る覚悟でそれを支持したように見える。
我慢が爆発したのは僕だけではなかったのかもしれない。
ただ、父上もこれ以上僕やカール兄ちゃんの才能を蓋にするのは帝国の損失と考えたらしい。
何が起こっても自分たちで二人の意志を守ると決めたそうだ。父上の周りの大人達が決めたのであれば、それはもう国策だ。帝国の全重鎮が意思統一をしたと言って良い。
実際、中南連合の内乱は帝国でも頭を抱えてしまった難問だった。
他国だからこそ口出ししにくく、そのせいで属国の中南地方にあるヴィフレア王国は乱れに乱れて、帝国も他人事じゃなくなった。
過去の帝国内乱を知る人達はその頃の二の舞になり自国の貴族も巻き込んで一緒に乱れるのではないかと不安を持っていたらしい。
だが、僕が出兵して2年、あっさりと解決した。そう、皇太子やローゼンハイム公爵でも手を出しにくい案件だが、僕なら問題ない案件でもあった。
皇族だけど責任感の低い立場、武力があり護衛を必要としない強さもある人間であり、現場で暗殺だろうと戦争だろうと指揮して物事を動かせる才能のある人物。
父なら僕より上手く動かせたかもしれないけど、父には皇族の血筋が無い。ヴァイスフェルトだからあると言えばあるが、元子爵の血筋が中南連合のトップになれるほどの格は無かった。
カール兄ちゃんや陛下では武力が無い。暗殺を守り切るだけの戦闘力が無い。
今回の案件は単に僕が誰よりも向いていたというだけだ。
中南連合始まって以来、初めての全氏族会議が僕の名の下で開催された。僕が初代議長を務め、新しい議長を指名して、混乱していた国をまとめ上げさせたのだ。
氏族の上位者を殺さずに捕まえたのはこの為だ。殺して、恨み辛みが連なってしまう。それが泥船の内乱の正体だ。僕は仲間達の憎しみを抑えて、混乱を紐解いて解決に導いた。
最悪自分が悪者になって皆が打倒フェルナントで集まってくれてもいいと狙ったのだが、戦争の中で多くの氏族が何故か僕に心酔してしまい、意外な決着を見せたというのが真実だった。
リハヴァイネン氏族の後継者、ラウリたちにとっては兄にあたる人物、が二代目議長となり僕を名誉議長に就任させた。何故!?と思ったが、それを知ったのが二代目議長の就任式だったので止められるはずもなく。
そして末弟のラウリを僕の配下に、末妹のシルッカを婚約者として、他国まで巻き込んで面倒な事になっていた中南連合がやっと一つの落としどころを見つけたのだった。
皇帝陛下の謁見で話を聞いてフェルナントは首を傾げていた。
「その為にシルを僕の婚約者にしたのを認めたの?」
目を丸くして唸るフェルナントにお前は知らなかったのに婚約者にされてたのかよ、と皇帝陛下は呆れていた。
「いや、だってさぁ。モニカに断ってよって裏で連絡しながら、モニカに聞いて駄目なら諦めてねって言ったのに、モニカが良いよって勝手にOK出しちゃって今更引けなくてさぁ」
「まあ、モニカもこっちで仕事をしてくれてるけど、アイツは飛び切り優秀だからなぁ。男だったらカールの側近に欲しかった。俺はやりたい事のアイデアが出せても実務的には能力低いから、ギュンターが大忙しだ。その点カールは実務能力高いしな」
陛下は苦笑して肩を竦める。
でも、皇帝は実務をする必要はないと思うけどね。確かに皇帝が直接実務に関われば問題ごとは解決しやすい。厄介な貴族の調整は一声で済むから。
「ちっちゃい頃から言ってたよね、それ。だったらカール兄ちゃんの側妃にでもすればよかったじゃん」
「俺がそれを口にしたら、お前、帝国が割れるぞ?お前の祖母さんの元友人達とか、俺でもちょっと文句の言いにくい相手だからな。俺に何が出来るって言うんだ!」
そういえばその祖母達に無理やりくっつけられた婚約だったと思い出す。
モニカはどこか諦めた様子で『殿下の婚約者ですね。かしこまりー』と投げやり強制お見合い後の返事だった。僕とモニカの関係なんてそんなもんだ。親友だとは思っている。ダニエルより仲良いし。男女の仲という訳ではないが、素で何でも話せる親友は誰かと聞かれたらモニカだと言い切れる。
しかし、中南連合に行く前に婚約式を上げてから、2年会っていない。
今はリディア同様に手紙だけのやり取りだった。帰って会いに行ったが忙しくて不在だった。むしろ中南地方は花国に近くリディアより会っていない程だ。
「結果としてはモニカの策、フェルナントを英雄に仕立て上げて中南連合のトップは帝国ではなくローゼンハイム公爵家が後ろ盾になるという形にしたわけだ。ローゼンハイムは帝国とは独立した巨大公爵家みたいな立ち位置になりつつあるし、俺もシュテファンも色々と喧嘩の振りをしたり楽しく貴族を振り回しているしな。何で俺らがアイツらの目を気にして気を遣わなきゃなんねえんだって話だな」
「そこら辺、僕は帝国にあまりいないからよく分からないんだけど、大丈夫なの?」
「駄目だったら止めるに決まってんだろ?安心しろ、今までが優しくし過ぎてたんだな。お前達が思う存分やりたいように出来ないような状況で、何で俺達がそんな連中を守ってやらにゃならんのだと諦めた。カールも好きにやり始めたし、お前も好きにやると良い。お陰で泥沼の内乱に巻き込まれて困っていた未来がうざったい貴族を道連れに片付いた。一石二鳥だろ?」
割と真面目に気を遣う皇帝だったとフェルナントは伯父を見上げるが、伯父も自分同様面倒くさく成った様子だった。
「あ、帝国も色々とあったんだ、僕のいない場所で」
「いない人間を担ぎ上げるとか馬鹿じゃねーかって思ったけど、それが貴族だからなぁ。俺だって息子が出来るだけ派手で耳障りの良さそうな提案とか嫌々ながら積極的にするのを見てたからよ。逆にお前は目立たないように立ちまわって、何で息子たちが自分の向いてない方向に全振りで才能に蓋して頑張らなきゃいけないんだって腹立ってきて、もうやめないかってシュテファンと話したんだよ。息子たちが才能を振るって好きな方向に伸びて良し、いらない奴らが片付いて良し。あれ、俺らがちょっと嫌な思いをするだけでまるっと解決しない?みたいな感じだったな」
「それで皇帝陛下や父上が問題になってもこまるんだけど」
帝国の最大権力者の皇帝や最大貴族のローゼンハイムに悪いうわさが付いたり、変に恐れられるのも問題だと思う。
そんな風になるのが嫌だから、僕もカール兄ちゃんも色々と泥をかぶって苦手分野に取り組んでいた訳だ。
「こっちはもう長く政治に関わってるし、お前達に心配されるほどヤワじゃないから安心しろ」
皇帝はからからと笑っていた。まあ、彼が大丈夫というなら大丈夫だろう。
陛下の豪胆さは僕もちょっと真似できそうにない。頭が良くても尊敬できる政治家たちはやはり一味も二味も違うのだ。
すると、そんな中で一人の部下が飛び込んできた。
「大変です、陛下。例の先遣隊が帰ってきました!」
「魔大陸か?どうなった?」
「それが……」
部下の一人が側近に耳打ちし、側近は陛下へと話す。
何が起きたのだろうかと僕はピクリと反応してしまう。口の動きが全滅と動いていた事に気付いたからだ。
「何があったんですか?」
そんな僕に対し、陛下は口にする。
「少々問題が起こった。なあ、フェルナント。行ってみたくないか?」
「どこにですか?」
「5年前、突如現れた津波の原因、異世界から大陸ごとやって来た来訪者、魔大陸だ」
アルトゥルの言葉にフェルナントは目を輝かせる。
5年前から興味はあった。圧倒的な未知の世界だ。
様々な国の者たちが探検に向かい大した成果もなく帰って来た。
帝国はずっと行きたかったが、他国は帝国が行ったら彼らに全て占領されるのではないかと危惧してサミットの時に帝国は周りにくぎを刺されていた。
予想以上に他国が難航している事で、フェルナントが中南内乱に介入している間に帝国にお鉢が回って来たようだ。
だが、その調査は失敗に終わってしまったというのが今回の報告だ。
帝国が第一度目の調査隊派遣時に失敗の報告をする事で、世界中が魔大陸に恐れおののいた。
***
魔大陸問題に対して、ついに世界が本気になった。
中立な立場として陛下が他国に先んじて提案したのは僕だった。
ローゼンブルク帝位継承権第5位のフェルナント・フォン・ローゼンハイム公爵令息。この名前はローゼンハイムの後継者としてではなく、中南紛争を収めた初代議長として大陸中に駆け巡っていた。
それに対抗するようゴブリス連合王国が推薦したのは僕と似た立場の先王セシルの後継者ヴァーミリオンだった。
当然、先の紛争で僕の配下になった現中南連合国議長の弟ラウリが付いてくる。
その3人とその配下で乗り込むという話しでまとまったのだが、そこにドワーフ王国が待ったをかけた。ドワーフ王国は中南連合と花国に囲まれた国でエルフ領の隣でもある。
そこにドワーフ王国の王子クリスハルトが加わり、コロニア大陸の若き英雄たちが花国のボハーチュ領を経由して魔大陸に渡り本格的に魔大陸の調査をすることになった。
今回は世界最大クラスのプロジェクトと言えるだろう。
若い世代のサミットがあれば、確実に参加しそうな武闘派メンバーがこぞって集まり、魔大陸に殴り込みをかけるのだ。




