表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
301/327

最終章40話 引っ掛かりの覚える大団円~前~

 大北海大陸の星の裏側にあるはるか遠きコロニア大陸にある大国ローゼンブルク帝国は混乱していた。

「一体、何だったんだ……」

 帝国皇帝アルトゥルは玉座に座ったまま顔を歪めて呟く。

「闇竜神ノクティスを奉らなければいけないような気がしてしまった。一体、何が起きていたんだ?闇竜神って確か……」

 アルトゥルの側近であるギュンター・フォン・グロスクロイツと相談役のスヴェン・フォン・リューネブルクは首を捻る。同様についさっきまで熱狂的にノクティス信者になっていたのだ。


「竜王イグニスによって駆逐された存在だと思っていたが……まさか魔法による洗脳か?」

「でしょうな。しかもかなり強力な奴だ。だが……イグニス様が気付いて原因を取り除きに行ったかもしれません」

 イグニスが北の方へ飛び立ったという報告は確かに受けていた。

 このドラゴンの存在とは支配帝時代より友好的であり、先代は人権宣言に加わってもらった事さえあった。

 それでもイグニスの一存で軽く国が吹き飛ぶ程度には危険性があるので常に山の監視はつけている。


「世界は滅んでないが?」

「さあ、何が起こっていたのかは、我々には分かるまい」

「後で聞きましょうか。シュテファンなら何が起こっていたか分かるだろう。もう1月も待てば帰ってくるはずだ。異世界人達を送り出すタイミングがそろそろだし、そこからすぐに帰るだろう」

「案外、アイツも洗脳されていたんじゃないんですか?」

 ギュンターは親同士が友人だった事もあり、貴族同士のつながりが大きく領地も隣なのでフランクな付き合いをしていた。勿論、彼の息子と自分の娘の仲が良いというのもある。

「それはそれで、見てみたかったがな!あのシュテファンが洗脳されるのを」

 笑いあうローゼンブルク帝国の重鎮たちだった。

 相も変わらず平和だった。




***




 ヒヨコ達は取り敢えずの解決をした事で何が何だか分からない感じで落ち着いていた。


「一体この数か月、我々は何をしていたんだ!?」

「国を亡ぼすところだったぞ!」

 ニクス竜王国の貴族達は混乱から取り戻されており、余りの惨劇に動揺は隠せなかった。

 多くの民も何故で恩あるドラゴン達やニクス様達を敵として盛り上がっていたか理解できなかった。

 まさに現在作ろうとしていた光十字教の教会を速攻で討ち捨てていた。

 余りにも酷い洗脳だった事が伺える。


 闇ナグール君との戦いで本来の姿でいたトルテとグラキエス君も、今は平和なので幼竜姿になってパタパタと空を飛んでいた。今はナヨリ城の城内で穏やかに過ごしていた。


 ヒヨコは何をしているのかって?


 今日も朝からヒヨコ体操。小さい子供たちはヒヨコ信者として大きく育つと良いぞ?皆で広場に集まってフルシュドルフダンスを踊っていた。

 色々と大変だったが、こっちは元々光十字教じゃないから大きい影響はなかったようだ。


 だが、光十字教圏は大変らしい。光十字教国の首都アサヒカワがヘドロの中に沈んじゃったし、闇精霊の影響から解除させたけど、沈んだ人間は沈んだままだ。


 アレクサンドロ帝国皇帝を含めて光十字教圏の王達は長期間重度の洗脳を受けていた為、頭が壊れて廃人になってしまったらしい。

 暫く、北海王国の女王さんや黒髪のお兄さんとその部下達、金の優等生君、レイスの爺ちゃんらがこっちに滞在していたが、その情報を聞いて北海王国の女王さん以外慌てて帰っていった。


 国の中で内乱があちこちで起こり、戦乱の機運はさらに高まっていたそうだ。


 北海王国の王女さんは父親が廃人になっている訳ではない事が分かり失望したような顔で『あれが素だったんですか……へー』とかなり冷たい口調で残念そうな顔をしていた。

 異世界人達を送るまではここにいるそうだ。

 ところでお腹が膨れているのだが太ったのだろうか?ローゼンブルクの食事は美味いからな。大北海大陸の食事は美味しくないのだ。

 異世界人達もローゼンブルクの食事を知ったらこっちの食事は食えないとぼやいていた。だが、こっちはこっちで趣があって美味しいものもあるんだがな?

 ヒヨコの野生の舌と人間の舌は違うのだろうか?ルークだった頃ならどう思ったのだろう。ヒヨコは鼻があまりよくないから風味に鈍感な点はあるかもだが……。


 話は戻って、光十字教国圏内の国々は悲惨なようだ。

 洗脳から解放されても、哀れだった。

 だが、七光剣や四聖にまともな人がいたのだ。

 ならばどこかにいて機会を狙っていた人もいるだろう。良い方向に変わる事を祈りたい所だ。


 光十字教圏内の混乱のお陰でニクス竜王国は自国内をまとめるだけの猶予を貰えたし、セントランド共和国や白秋連邦などは内側だけでなく外にも目を向けるようになっていた。


 ニクス竜王国ナヨリにある外交客が泊まる立派なおうちにヒヨコはやって来ていた。

 そこでは膨れっ面のフェルナント君がいた。

「それにしても酷いよね、父上は。僕らを牢獄に入れてさ」

 腹黒公爵さんがフェルナント君とヴァーミリオン君を捕らえて解放しなかったらしい。

「つーか、オッサンもまんまと洗脳されてんじゃん」

「はははは。それは申し訳ないね。でも仕方なかったんだよって説明しただろう?そもそも皆洗脳されていたんだし」

 ヴァーミリオン君も責めるような視線で腹黒公爵さんを睨み、腹黒公爵さんは苦笑して肩を竦める。


「あーあ、俺も闇竜神と戦いたかったぜ」

「だよね。世界中に洗脳の力が届いていたなんて恐るべしだよ。っていうか牢獄の中でうっかり僕まで闇竜神教に入った方が良いのではないかと思ってしまったほどだから」

「確かに……お前、変だったよな」

 うーんとフェルナント君とヴァーミリオン君はそんなことボぼやく。

 最後は誰もが洗脳されていたので、多分彼らもそういう状況だったのだろう。ヴァーミリオン君は洗脳されなかったのか?

 魔神アドモスの影響恐るべし。奴は神か!?


 ………あ、神だった。


「いや、今回の戦いはちょっと強いとかそういうレベルは役に立たねーから。新米勇者なら無茶しすぎて直に死ぬんじゃね?」

 駿介はバッサリと二人を切り落とす。

「そんな事ないもん」

「光十字教側でも、ヒヨコの火精霊加護を受けて火魔法最強状態だったリシャール・ヴェルマンドワって奴と、アレンと肩を並べて戦えるオーギュスト・デュラン、不死王と同格の魔法を使えてボーンドラゴンを使役するフィリップ・モンタニエとかかなりやる奴らもいた。普通なら世界の歴史に名を残しうる英雄だったけど、正直俺らのつなぎ位にしか役に立たなかったしな」


「ピヨピヨ【光十字教はろくでもない奴らばかりだったが、彼らが頑張るだろう。洗脳も解けて普通の国になるだろうから】」

「そうだな。命懸けで守りたいものの為に戦っていたんだ。真の敵が消えたんだし、上手くいくだろ、今度こそ。ま、お前らの国からすれば手ごわいライバルが出来たって感じか?」

 駿介は腹黒公爵さんを見る。


「さあ、彼らが我々に追いつくのにどれほど掛かるかでしょうね。ビジネスパートナーとしてはウチの儲けの種になるだけなのでそこまで危惧はしてませんよ。彼らに色々と武器を貢いで死の商人にならないように気を付けるだけですね。後世に悪名は残したくないですから」

「でもよ、光十字教国は滅茶苦茶になったみたいだし、もうヤバいんじゃねーの?」

 腹黒公爵さんの言葉を否定するように、ヴァーミリオン君は光十字教圏内が大混乱すると推測していた。

「あそこはアサヒカワの隣にタキガワっていう副都心みたいな都市があったからそこから立て直すんじゃない?」

「ピヨピヨ【金の優等生君はそう言ってたぞ?光十字教でも最上位の大貴族デュラン公爵の後継らしいから、上手くやるんじゃないか?師匠も暫く金の優等生君と一緒に行動するらしい。育て甲斐のある若者だと喜んでいたぞ。強くして戦うんだと言っていた】」


「源氏物語の剣士版か!?………アイツ、本当に妥協しねえな」

 駿介は頭を抱えてうなる。

 聞けば師匠は駿介と本気で戦う為に、最初は洗脳された振りをしたらしい。

 だが、駿介に軽くあしらわれて負けたそうだ。

 ポンコツ駿介侮りがたし。


「アレンは一番質が悪いからな。だが、政治家としては俺以上に経験豊富だし、良いアドバイザーになれるだろ。アイツらは厳しい状況を必死に覆そうと敵の中で動いていたような奴らだ。アドモスと戦っていた頃の仲間達を思い出したよ」

 駿介は何か思い出すように空を見上げる。

「ご先祖様方ですか?」

 腹黒公爵さんからするとご先祖だろう。フェルナント君やモニちゃんもそうだろう。あの家ってまだ存続してたのかよと駿介がぼやいていたくらいだからな。


「あの頃はアドモスにバレないように反逆の意志を持ちながらも、アドモスの命令に逆らわないようこそこそ動いて、作戦を敢行してたからなぁ。500年前の仲間の子孫たちは発展して、俺のいる世界にかなり近づいていて面白かった。だが、むしろこの世界で敵対する奴らの中に、500年前の仲間達に似た奴らと出会えるとは思わなかったな」

 駿介は過去の事を思い出し、老人が過去を懐かしむような顔でうんうんとうなづいていた。というか、コイツ、見た目は子供だが中身は老人だった。

 なるほど言われてみれば光の精霊にバレないように反撃ののろしを上げる準備を一人ずつが何も言わずにしていたという話だ。敵が分からない状況で必死に抗う姿は似ているのかもしれない。


「四聖と七光剣の生き残りですか。彼らが旗を振って大陸を変えていくのでしょうね」

 苦笑気味にうなずいて笑う腹黒公爵さんだった。


「ピヨヨ~【しかし隕石が降って来た時は驚いたぞ?腹黒公爵さんはいつも頼りになるのに、今回ばかりは最悪だったぞ】」

「というか、ここの連中何か月も会議会議で大変な感じだったが大丈夫なのかよ?つーかあの後、貴族達をまとめて話し合い状態だったじゃん。まあ、こっちとしては後ろから戦力が追いかけてきたら困っていた所だが………」

 駿介がそんな事を言う。

 確かに異様なほど会議時間が長かった。


「ああ、結論を先延ばしするために色々と保留させていたんですよ」

「ピヨピヨ【腹黒公爵さんなら結論ありきでガンガン話を進めて論理で押し通すと思っていたぞ?ヒヨコはらしくないと思っていたのだ】」

「そ、それは僕もちょっと思ったけど」

 ヒヨコの言葉にフェルナント君はうんうんと頷く。


「いや、何でヒヨコ君達や駿介殿達は光十字教の素晴らしさを理解できないのか本気で頭悪いんじゃないかとは思っていたんだけどね。皆が光十字教に協力すべきだと思っているのに、空気も読まず変な意見を出すしさ」

「お父さんがおかしいから!」

「だから、話を先延ばしにしたんだよ」

「「「え?」」」

 全員が首を傾げる。

 腹黒公爵さんは苦笑して説明する。


「ヒヨコ君やドラゴン達、フェルナントやヴァーミリオン殿達が突然おかしくなった…という認識ではあったんだけど、普通に考えて色んなものの耐性が強いドラゴンやヒヨコ君や勇者たちが突然おかしなことを考え出すとは思わないでしょう?『あ、多分、彼らじゃなく僕がおかしい事になっているな』と気付いて、保留させるために会議を混乱させようと色んな問題を噛ませたんだ。まあ、本格的に戦いになったら、うちの子やヴァーミリオン殿を前面に出すのは危ないから隕石落として足止めして二人は僕が確保しようと思っただけだね。セシル殿に頼まれているのに死地に送る訳にもいかないからね」

「隕石はやり過ぎだよ!」

「ヒヨコ君はやられたら常に対策を練って次はやらせないようする、見た目や行動とは反して凄く真面目な子だからね。一度悪神にやられている以上対策くらいは練っているだろうし、ステラ君が近くにいれば僕の隕石なんて、察知して直に回避できるでしょ」


 おかしな行動をする腹黒公爵さんが何か腹の奥で企んでいるのではないかと思っていたが、実はそのおかしな行動理由が、理解した上で洗脳されつつ上手くヒヨコ達をバックアップできるように動いていたとは………相も変わらず敵にはしたくない男だ。


「アレンの馬鹿は効いたふりして俺に本気の戦いを狙って戦いに来るし、お前は洗脳されているのに妙に落ち着いているし、おかしいだろ!」


「いや、僕の頭の中ではエルネスト様を世界の覇者にするにはどうすべきかという道筋が完全に見えていたんだけどね。でも多分自分がおかしいんだろうな、拙い事になりそうだな。僕は多分敵の味方になるだろうな。じゃあ、何もかも保留させて子供たちの安全だけは確保しよう……というのが僕の選べる最大の譲歩だったんだよ」

 だが、算段はついていたんだな。

 ……やめてくれよ?それだけはな。


「ピヨヨ~【腹黒公爵さんがケルナグール君の洗脳に対しても冷静に対処していて驚きだぞ。でも腹黒公爵さんの動きが変だった理由がやっと理解出来たぞ】」

「だよねぇ。でも、何で最後は皆洗脳されちゃってたんだろ?最後の洗脳は凄かったよね。トニトルテとグラキエス君、ヒヨコと勇者様だけしかまともな人がいなかったですから」

 ステちゃんが首を捻っていた。


「多分だが、親から神格の一端を引き継いで生まれているヒヨコやドラゴンやステラ、それに神格を自力で獲得した俺だけが洗脳を受けてなかったんだ。最後は勇者とかじゃなく、神の戦いだったからな。シュテファンの判断は正しかったよ。あのレベルになってしまったら、勇者も達人も凡人も運だけの世界になるからな。この世界で最も神に近いドライアドまで洗脳されていたんだから、最後は戦いにもならなかったぜ」

 肩を竦める駿介だった。

 確かに、ヒヨコ以外は眠くなっていたようだ。ヒヨコは眠いのに眠れなかったが。闇ナグール君はもう少しまじめにやって欲しいぞ。

 もしかして悪神に続き、今回もヒヨコにはお前達のケンノーとやらは効いてなかったのか?


「結局、我が世界最強の破壊神、イグッちゃんが首を突っ込んで闇竜神が逃げて終わりだ。ヒヨコがこの世界の闇精霊を駆逐してくれなかったら、この世界が終わっていた所だしな」

「ピヨヨ~【派手な活躍が出来なくて悲しいぞ。皆に褒め称えられる仕事をしたのに地味で誰にも気づかれていないのだ。ヒヨコは光十字教をピヨピヨしてレベルを上げる予定だったのに……無念だぞ】」

「きゅうきゅう【そこそこ戦ったからレベルが上がったのよね。やはり無駄な10年を寝て過ごすよりも強者との戦いが良い事なのよね?】」

『僕もレベルが上がったのだ。老竜が見えてきたのだ』

 トニトルテとグラキエス君はヒヨコの頭ではなく、人間姿のイグッちゃんの両肩の上に乗っており、イグッちゃんはどことなくうれしそうだ。

 いっその事、引き取ってくれて構わんぞ?


「ピヨヨ~【ヒヨコは女神サービス終了のお知らせ以降、レベルアップの音が聞こえてこないぞ?】」

『ピヨちゃんはアレクサンドロ帝国の軍人さんに力を貸し過ぎて活躍が薄かったのだ』

「ピヨピヨ【仕方ないのだ。ヒヨコの引いたイベントでは無いからな。黒髪のお兄さんが主人公君だったのだろう。ヒヨコが彼のフラグを奪ってラスボスイベントをクリアするのは何か違うと思ったのだ。今回のヒヨコの役割はフと現れて、力を見せつけて去っていく。そう、陰の実力者ムーブに徹していたのだ!】」

「なろうじゃねえよ!?」


「ピヨピヨ~ヨ ピヨピヨ~ヨ ピヨピヨ~ヨ ピヨピヨ~ヨ~ ピ~ヨ~ヨ~ピヨピ~ヨ~【このひよこ今駆けて キメラ君に届くまで 足を伸ばして】ピヨッピヨピヨ ピッヨ ピッヨ ピヨッピヨピヨ ピッヨ ピッヨ ピッヨピッヨヨ ピッヨピッヨヨ ピッヨピッヨヨ ピヨピヨヨ~♪」

「何かアニソンみたいな音楽流されてもなぁ」

「ピヨ?【お前の電波じゃないのか!?】」

「何でもかんでも俺のせいにするな!」

「ピヨピヨ【ついに…ついにヒヨコはオリジナルを手に入れたのか?】


※駿介は最後の平成の夏前に異世界に飛び、令和元年の冬に修学旅行中に異世界人達はこの世界に来ているので、アニメ化された某なろう系作品のアニソンを知りません。


「女神の奴が何か知ってそうだし、帰る時にはまた話せるからキリキリ吐かさねえとな」

「ピヨピヨ【しかし、釈然としない大団円だぞ。ヒヨコ三部できっと闇ナグール君が暗躍してくるに違いない。第3クールのヒヨコはきっと闇ナグール君との決着だ】」

「あ、俺帰るんで、そういうの適当にやっておいてな」

「「「思い切り見捨てやがった」」」

 人型のイグッちゃん、腹黒公爵さん、ステちゃんの三人が駿介の言葉に呆れるようにぼやくのだった。

「ピヨピヨ【そういえば魔法少女ルシフェルあさかはどうしたんだ?】」

「ん?精神的に不安定な子供たちのメンタルケアで忙しそうだ。最後は俺以外全員洗脳されたしな。まあ、それだけじゃなくても色々と学校内で派閥争いに裏切り合い、寝取りとかいろいろあってぐちゃぐちゃだったんだとさ。最後は鉱山奴隷や娼婦行きとか酷いもんだ。普通に暮らしていても死んだりしたらしい。先生達もロクでもない方向に流されて信用できないとな」

「ピヨヨ~【ご町内の平和の為に、るしふぇるマジカル頑張ったのだな?】」


「まあ、こっちの世界の闇竜神は完全にお前らに任せちゃうことになって申し訳ないけど…」

「ふん、そもそもあれは700年前の俺の過ちと失敗の過去だ。次は絶対に逃がさず殺す」

「はは、そうだったな。アレは俺のやるべき仕事じゃないか。俺の仕事はもう終わってたし」

 駿介はイグッちゃんに申し訳なさそうにするが、イグッちゃんは誰のやり残しか勘違いするなと指摘する。

 そういえば駿介の仕事はアドモス退治だった。そしてアドモスを倒し、逃げた魔神の残滓を自分の魂のコピーによって駆逐する。

 おや、そうするとヒヨコの仕事ももう終わっているではないか。

 だがそれとは別で、闇竜神君はヒヨコを怒らせた。いつかピヨピヨしてやるリストの最上段に名を連ねてしまったのだ。

 きっといつかピヨピヨしてやる。これは絶対だ。

 ピヨピヨだけではない。ピヨリとしてピヨッピヨにして、ピヨヨンチョまでしてやる。絶対だ。

 もちろん、ヒヨコも鬼ではない。ピヨヨンチョは一度きりと決めているからな。二回ピヨヨンチョをやってしまったら、最悪だからな。

 ピヨリックスは封印してやろうじゃないか。なんて寛大なヒヨコだろうと涙を流してヒヨコに感謝するだろう。

 ピ~ヨピヨピヨ


「きゅうきゅう【あいつは腹立つのよね?やるならあたしも参加するのよね!母ちゃんもきっと参加希望するのよね?】」

『父ちゃんだけだと心配なのだ。それに仲間の心を操るなんて許せないのだ。僕も参加するのだ。母ちゃんも僕の話を聞いたら父ちゃんが無理しないよう抑え役として仲間になると思うのだ』

「お前達…」


 ジーンとしているイグッちゃん。子供達が闇ナグール君への怒りを持っている事で共に戦ってくれるという言葉に感動していた。確かに最後に洗脳されてなかったので、きっと2羽は戦力になるだろう。

 もちろん、もっと強くならない2羽では敵にさえならない気もするが。

 闇ナグール君はそれほど手ごわかった。


「ピヨピヨ【まあ、でも……ヒヨコの勘が言っている。何となくだが、二度と会う事は無いような気がするぞ】」

 ヒヨコはそんな気がするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ