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最凶ヒヨコ伝説 ~裏切られた勇者はヒヨコに生まれ変わったので鳥生を謳歌します~  作者:
第2部1章 ヒヨコ・ミーツ・ガールズ in 大北海大陸
174/327

1章21話 ヒヨコの世界征服近し

 和風なお城でお出迎えするのは師匠だった。

「ようこそ、ニクス竜王国へ。ヘクター様もお変わりないようで何よりです」

「いやはや、ヴィンセント様にお出迎えされるとは光栄ですな」

「申し訳ない。三大貴族の連中は権力争いでもめていてな。情けない話だが私が対応しよう。今は、ニクス様もいらっしゃっているので話は直に済むだろう」

「それはありがたい。ですがその場合ニクス様を動かしてしまうのではないかと懸念していますが…」

「いやはや、情けない話です。権力争いしている各貴族家よりもニクス陛下の方が民に慈悲を与えとてもよく働きになられるので。確か塩を欲しいと聞きましたが?」

「はい」

「すでに海に行って傘下のドラゴン達を使って大量の塩を結晶化して持ってきています」

 城の裏手に案内する師匠に、使節団の皆さんはついていく。そこにはドーンと家より大きい塩の塊がそびえたっていた。

「きゅうきゅう(さすがニクス母ちゃんなのよね。これを持って帰るのは骨なのよね~)」

 一つの家屋より大きい巨大な塩の塊がそびえたつ。

「お幾らで譲っていただけるか交渉をお願いいたします」

「そうですね。でも……国庫に収めるのではなく、竜社への寄付という形で受け取りましょう。コスト交渉はクライヴ・クロムウェル子爵に相談してもらえると助かります」

 クライヴ・クロムウェルというと確か竜社の管理局の人だな。ヒヨコがフルシュドルフダンスを広めるために竜社の敷地で子供たちを集める事にした際に協力してくれた人だ。

 若くて脳筋で文官なのに強そうなマッチョさんだと思い出す。貴族の権力闘争に加わってないのは単純に竜社管理という閑職に回る貴族だからだ。

 実はこのクロムウェル家というのは、仙人になる前の師匠の妹が嫁入りした家だそうで長く竜王国に奉仕する名家でもある。師匠の血を引く貴族は権力闘争に没頭し民を蔑ろにし過ぎたため、師匠自身の手で葬ってしまっているそうで、クロムウェル家は数少ない親類縁者の家だそうだ。

 権力から遠く、国の発達に重要な家である為、師匠が数少ない後ろ盾になっている家でもある。


「はははは。ヴィンセント様は手厳しいですな。ですがそれでは我々が得しすぎてしまいます」

 トルテがセントランド側にいるように、竜社の総本山はドラゴンマウンテンにある。ナヨリにある竜社も大きい権威を持っているが、竜社への寄付としてしまうとニクス竜王国には何のメリットもなくなってしまう。


「貴族の子供達は、この国の権力を欲しています。ですが、その為に民を蔑ろにするのはいただけませんね。今は情勢が不安定ですから。しっかり金を出して塩を調達し、商売っ気を出せば儲けられたのでしょうが、ニクス陛下が愛想を尽かしてさっさと動いてしまわれているので。彼らの耳に、竜王陛下は『お前達には期待していないぞ』というメッセージを真摯に受け止めて貰いたいのですけどね」

「陛下は最も遠い存在ですから仕方ないでしょう。我が国は身近ですから」

 ちらりと向こうの国の外交官さんはトルテの方に視線を向ける。トルテは小さな少女の腕の中でぬいぐるみのように抱かれていた。


 セントランドの姫といえば他国は知らないだろうが竜王国であればどのような存在かは言われずともわかる。何故なら共和国は王政ではないからセントランドの王といえば黄竜女王さん一択なのだ。

 まあ、ヒヨコも知らなかったことだが。

 トルテのくせに姫様とか呼ばれているとおかしいと思うだろう?


 すると遠くの方からドドドドドと巨大な体躯をした黒い狼が走ってくる。首輪についているハーネスにむしろ引っ張られて引きずられるように女の子も一緒にやって来る。

「殿下~。ひどいですよ、勝手にいなくなっちゃうなんて!」

 と涙目で文句を言うのはフェルナント君と一緒に留学しているお付きの少女モニカ・フォン・グロスクロイツだった。我が親友ギュンター君の次女、一番末っ子で年齢はフェルナント君と一緒の9歳、ヒヨコ的な呼び名ではモニちゃんである。


 どうも二人の父であるギュンター君と腹黒公爵さんは母親同士が学園時代の親友だったらしく、現在は共に皇帝陛下を支える有能な人物である。

 その為、家族ぐるみで仲がいいので当然のように付き合いもあり、お付きとしてヒヨコとモニちゃんが帯同することになってしまったのだ。


 パトラッシュはくーんくーんと鳴きながらフェルナント君に顔をうずめるように近づくが体長5メートルはある巨大な狼を前に、フェルナント君はお子様なので、高々と鼻によって持ち上げられてしまう。

「よしよし、お遣いご苦労だったなパトラッシュ。」

「くーんくーん」

 フェルナント君はおなかに鼻を埋めているパトラッシュの頭を撫でてあげる。フェルナント君は基本的に子供であるが、自分を食いそうな巨大狼に持ち上げられてもうれしそうに撫でている辺りが大物感を感じさせる。普通の子供は怖がるところだ。


 ヒヨコ達が拾った時、パトラッシュは普通の大型犬のサイズでかわいかったのだが、気づけばヒヨコを丸呑みできるほど大きくなってしまった。

 種族名はマナガルムという、この大陸固有の魔物で狼系最強モンスターなのだ。それにしても、何で懐いてしまったのだろうか?フェルナント君の従魔スキルは低いのに……。

 まあ、魔物という点を抜けばただのワンコだから懐くこともあるだろう。

 それも含めて大人達がフェルナント君に頭を抱えているのは規格外すぎるが故だろう。


「何だよ、モニカ。ちょっと出かけただけで大げさだなぁ」

「御身は第5帝位継承権保持者なんですよ。立場をもっと考えてください」

「だって勇者のお仕事だったんだもん」

 すると師匠がなだめるようにフェルナント君に声をかける。

「周りを心配させてはいけませんよ。殿下はまだ子供なのですから」

「むー。でも獣王陛下は僕と同じ頃に勇者のお仕事をしてたって言ってたもん」

 プウッと頬を膨らませて反論するフェルナント君にモニカはヒヨコに助けを求めるようにヒヨコの手羽を持ってぐいぐい引っ張る。

「ピヨピヨ【フェルナント君よ。獣王国は子供を子供でいさせてはくれないほど安定してなかったのだ。この国も帝国も子供は子供でいられるのだから無理に後輩君みたくなろうなんて考えてはダメだぞ?子どもの未来はヒヨコが守るのだ!】」

「鳥の幼鳥たるヒヨコに子供の未来を守ってもらうのはどうなのだろう?」

「ピヨヨ?【フェルナント君よ、そこは気にするところじゃないぞ?好奇心、ヒヨコをも殺すと言うではないか。興味本位で怪しい男の後をついていったら黒ずくめの男たちに薬を飲まされて小さくなっちゃうかもしれない世の中なのだよ】」

「ならないよ!コ●ン君か!?」

 とっさに残念お姉さんが突っ込んでくる。

 ピヨピヨ、コ●ン君て誰だ?ヒヨコは未来の少年の話なんてしていないのだ。フェルナント君に対して割と真面目な話をしているのだが。

「ピヨピヨ【しかしヒヨコは昔追いかけていった黒ずくめの神様に魔法を放たれて、大きくされそうになったぞ?ならば小さくされそうになっても不思議ではない。そう、真実はいつも一つ!】」


「疲れたよ智子。このヒヨコに突っ込んでると疲れるよ」

「駿介君が生まれ変わったみたいなヒヨコだよね。2年前を思い出すよ。でも、なんで地球の二次元ネタを使うのだろう?」

 どんより疲れた顔をしている残念お姉さんと、あきれた様子の三つ編みお姉さん。


「ピヨピヨ【疲れたのならパトラッシュと一緒に眠るといい】」

「死亡フラグか!?」

 残念お姉さんは何故かおかしなことを言う。パトラッシュと寝るのが死亡フラグとはこれ如何に?まったく異世界勇者の残した言葉みたいなことを言う。

 まさか、異世界ではパトラッシュと寝ると死ぬのか?確かにうっかりパトラッシュに食われそうだけど。言われてみれば寝ぼけたパトラッシュに噛まれた事も無きにしも非ず。

 するとフェルナント君はパトラッシュの鼻から地面に降りてモフモフの毛皮を撫でながら自慢気に語る。

「パトラッシュの毛皮はあったかくて一緒に寝ると気持ち良いよ。僕も調べ事が終わって疲れるとパトラッシュと一緒に眠るんだ」

「殿下!そうやって近くの狼を寝具代わりに使うから、殿下が寝室で寝ておらず皆が慌てるのです!ご自重してくださいよぉ!」

 涙声で訴えるモニちゃん。フェルナント君もモニちゃんを泣かせるのはよくないのでもう少し世間の足並みに合わせた方が良い。

 そこら辺だよ、君が困ったちゃんと呼ばれる所以は。


「殿下。生活リズムは皆に合わせた方が良い。夢中になるといろいろと忘れてしまう気持ちも分からなくはないし、才ある者ほど顕著ですが、ゆえにこそ人の道を外れてしまう。人の道を外れ仙人となった私は寝なくても食わなくても生きていける身の上なればこそ、朝は朝餉を頂き、午前に剣術の稽古をするという生活リズムを作ることで人間社会に適応しています。モニカ殿に足並みを合わせるのもまた人の道を外れない事かと」

 師匠がたしなめる。師匠もフェルナント君ほどではないが、この世界で若くして仙人になっているので、常人を逸脱している人としてのアドバイスをしてくれる。

「む、むう…」

「ピヨピヨ【ヒヨコも朝はフルシュドルフダンスを踊る事で一般市民とのコミュニケーションをとっているのだぞ】」


「そういえばピヨちゃん、宿屋でも朝はいつもピヨピヨ踊ってたけど……」

 三つ編みお姉さんが不思議そうにヒヨコを見てぼやく。

「朝や夜のルーティンが生活リズムを規則正しくして、仕事を効率良くして、美容にもよく、健全な人間生活を作るともいうわね。異世界でも同じなのかー」

 残念お姉さんがぼやく。

「ピヨピヨ【世界どころか異世界を含めた共通認識から外れるとは、お母さんは悲しいぞ】」

「いやいや、ピヨちゃんは僕の母ちゃんじゃないよ!」

「ピヨピヨ【そうだな、ヒヨコはフェルナント君の母ちゃんではない。本当の母ちゃんに報告しよう。子供なのに夜遅くまで調べ事をしていたと】」

「ちょ、ひ、卑怯だよ!ピヨちゃん!僕を殺す気!?母さんにばれたらどんな酷い目に合うか……」

 一気に顔を青ざめさせるフェルナント君。

「そうです。悪いことをしたら皇妹殿下に逐次報告が飛びますからね!」

「ちょ、モニカ!それは卑怯だよ!ピヨちゃん助けて!」

「ピヨピヨ【ならば反省して生活を改めるが良いぞ。そうすればヒヨコがモニちゃんを鳥なそう!】」

「くうっ!卑怯な、モニカ。ピヨちゃんを味方につけるとは!」


 小さい子供が言い合いをしていてほっこりしているお姉さん達。

 ヒヨコは子供たちの相手は疲れるので二人の間から距離を取る。


 師匠は使節団のメンバーを誘って城の方へと向かう。


 ヒヨコはお姉さん達と一緒に自分の部屋へと戻るのだった。


 残念お姉さん、三つ編みお姉さん、それに新しく加わった髪の毛バサバサなお姉さんの3人がヒヨコの部屋にやってきていた。

 ヒヨコの横にはトルテとグラキエス君が座っており6人でテーブルをかこっていた。

「ピヨピヨ【何故にヒヨコ部屋に?】」

「一応、グダグダしている状況だったから花山に紹介しておこうと思って。これがうち等を保護してくれた赤いヒヨコ。名前はピヨ」

 残念お姉さんはヒヨコを指差して紹介する。もう少し示し方があると思うのだが。いつもぞんざいな扱いをするのでもう慣れたが。ステちゃんといた時も大体こんな感じだったしな。

「……なんかファンシーだね。ええと、花山美樹って言います。よろしくね、ピヨちゃん」

「ピヨピヨ【ヒヨコは大陸を越えて世界の人気者なので仲良くすると良いぞ?】」

「きゅうきゅう【そんな事ないのよね。アタシなんて偉い姫様なのよね。このトニトルテ様の前に跪くといいのよね】」

 偉そうにするトルテなので、ヒヨコとグラキエス君はスススとトルテの前に跪いてみる。

「きゅきゅうっ!?【や、やめるのよね。なんかものすごく恥ずかしいのよね!?】」

『そういうのは冗談でも辞めると良いのだ。でも、トルテは相変わらずで僕は嬉しいのだ』


「あの、ところで質問なんだけど」

 ひょいと手を上げる三つ編みお姉さん。何だろう?

「ピヨヨ?」

「グラキエス君はニクス竜王国の王子様で、トニトルテちゃんは共和国のお姫様だよね?兄妹ってどういう事?」

 不思議そうに首を傾げる三つ編みお姉さん。そういえばそこら辺を説明してなかったなぁと思い出す。

『説明するのだ。僕らが生まれる前、トニトルテの母であるフリュガ母ちゃんは子供が生みたくても、まともな雄がいなくて大変だったらしいのだ。卵から還る事も出来なかったらしいのだ。そこでフリュガ母ちゃんはニクス母ちゃんに相談しに行ったのだ。相手が邪竜イグニスならあるいはということで、フリュガ母ちゃんは邪竜イグニスに会いに行ったのだ。ニクス母ちゃんも心配だったので一緒に付いていったのだ』

「邪竜イグニスって…?」

『700年前に魔導科学文明が進んだ世界を滅ぼした破壊神なのだ』

「ピヨピヨ【500年前に魔神アドモスと戦ったといわれる勇者の乗っていたドラゴンでもあるぞ?ヒヨコはイグッちゃんと呼んでいる】」


「ええとそれは良いドラゴンなの?悪いドラゴンなの?」

 複雑そうな顔をする残念お姉さん。

『世の中には誰かの正義があるだけで善悪なんて誰かが見た一面でしかないのだ。700年前息子を殺されて暴走し世界を滅ぼしたドラゴンであるけど、普段は温厚でよく寝ているし、人質を取られれば悪者のいう事を聞いてしまう困った父ちゃんなのだ』

「ピヨピヨ【小さいドラゴンに諭されると、ちょっと厳しいけどな】」

『まあ、つまりフリュガ母ちゃんは子供を作りに、ニクス母ちゃんは700年前の因縁の邪竜との会談をしに行って互いに和解して、ニクス母ちゃんと父ちゃんとの間にできた子供が僕なのだ』

『次にフリュガ母ちゃんと父ちゃんの間にできたのが私なのよね』

「ハーレムか!?」

 残念お姉さんは頭を抱える。

「ピヨピヨ【イグッちゃんは人化の法を使ってお姉ちゃんの店に通うようなダメオヤジなので。ヒヨコもよくご相伴預からせてもらいました。キャバクラでお姉さん達にピヨちゃんかわいいと評判でした】」

「きゅうきゅう!?【たまにヒヨコが酒臭く帰ってきてたのは父ちゃんのせいだったのよね!?】」

『トニトルテはドラゴンなのに酒が嫌いだから珍しいのだ』

 ピヨピヨきゅきゅきゅと説明をする第3期ピヨドラバスターズであった。


 第1期:ヒヨコ&トニトルテ&キーラ

 第2期:ヒヨコ&トニトルテ&グラキエス&シロ

 第3期:ヒヨコ&トニトルテ&グラキエス&新メンバー募集中!


 グラキエス君の説明にやっと理解するお姉さん達だった。

「な、なるほどつまり二人はニクス竜王国とセントランド共和国の竜王の子供で、父親が同じってこと?」

『そういう事なのだ』

「…え、ええと、あんまり理解してなかったんだけど、この大陸にいる5人の魔王のお子さんなの?」

 バサバサ髪のお姉さんは不思議そうに尋ねる。


「魔王?」

 三つ編みお姉さんと残念お姉さんの2人は目を丸くして訊ね返す。

「ピヨピヨ【そういえばそんなことを聞いたような気がするぞ?5人のマオーがいて、勇者はそれをやっつけろって話だ】」

『5人の魔王ってなんなのだ?聞いた事もないのだ』

「え、ええと。北に住む竜の魔王ニクス、中央のドラゴンマウンテンに住む魔王フリュガ、東にいる魔王イヴ?だったかな?あと西のティグリス、南のイフリート」

「きゅうきゅう【うちの母ちゃんが魔王にされているのよね】」

「ピヨピヨ【ということはつまり?】」

「きゅきゅきゅっきゅきゅ~【魔王少女トニトルテちゃん爆誕なのよね!】」

 ヒヨコの頭の上に載ってポーズを右手でキラッみたいな振りをするトルテであった。

「ピヨピヨ【ヒヨコと契約して魔王少女になって欲しいんだ!】」

「きゅうきゅう【ヒヨコと契約するのは何か裏がありそうで嫌なのよね】」

 残念、トルテはどうやらヒヨコと契約をする気はないようだ。


「トニトルテちゃんはキュウ●えに騙されなさそうで安心だね」

「何を言っているの、智子!?」

 ホッとした様子の三つ編みお姉さんに思わずといった様子で突っ込む残念お姉さんだった。

 キュウ●えって誰だろ?


「でも、その魔王ってじゃあ、何でそう言われてるの?」

 バサバサ髪のお姉さんは戸惑った様子で二人のお姉さんに尋ねるが、二人のお姉さんは首をひねる。

「きゅうきゅう【確か精霊信仰の親分がその名前だったような気がするのよね】」

『そうなのだ。氷の精霊達が従うニクス母ちゃん。雷の精霊達が従うフリュガ母ちゃん。水の精霊達が従うのがイヴっていう精霊で、西にいるティグリスが風の精霊達を従えていて、南のイフリートっていう魔人が火の精霊達を従えていたような気がするのだ』

「ピヨヨ?【そういえばヒヨコにも火の精霊の熱烈なファンがいるのだが……】」

「きゅうきゅう【あたしにも雷の精霊の熱烈なファンがいるのよね】」

『僕にも氷の精霊の熱烈なファンがいるから問題ないのだ』

「でも、私たちがこの世界から元の世界に戻るにはその魔王5体を倒さなければならないって聞いているけど」



 ………



「そうなの?」

 首を傾げつつ、ヒヨコに視線を向けるのは残念お姉さんだった。

「ピヨヨ?【……グラキエス君は何か知ってるか?】」

『うーん、あれは関係ないと思うけど……勘違いだと思うのだ。確かに母ちゃんたちは結界の守護者ではあるけど、それは魔神のような侵入者から守るものなのだ。出ていけないのであればピヨちゃんたちはこの大陸から出て行けない事になるのだ。そもそも魔神がいなくなったから、無くなるとか無くなったとかいう話は聞いていたのだ。悪神から隠す効果はあっても物理的に途絶えるようなものではないと聞いていたのだ。出て行くものを押しとどめる役割はない筈なのだ』

「ピヨピヨ【大陸結界か。確かにそのようなものを6精霊が維持していると聞いているがそれだけだった筈だ。というか結界が嫌ならその結界から出て行けば良いだけだと思うのだが】」

 グラキエス君とヒヨコはう~んと考える。

「きゅうきゅう【そもそもその結界って精霊たちに愛されていれば誰でもいいって話なのよね?母ちゃんがタッチしてアタシに任せても問題ないのよね?そのくらい簡単なモノなのに、倒せば良いって変な話なのよね?そもそも結界は6精霊が任されているのであって4大精霊王とは無関係なのよね】」

「4大精霊王?何それ、初耳。」

 残念お姉さんは手を上げて尋ねる。

「ピヨピヨ【6つの属性の精霊がいて大陸南の火、大陸東の水、大陸西の風、大陸そのものである土、大陸北の氷、大陸中央の雷それが6精霊らしいぞ?土の精霊王はフラフラしてるから見た人は少ないらしい。10年前位に火の精霊王である不孵かえらずの卵が誰かに盗まれて、火の大陸を支配していた火の魔人イフリートが今日から火の精霊王は俺だーみたいな事を言い出した事件があったらしい。そんなヒヨコくらい大きい孵らない卵ならヒヨコは中を食べたかったのだが…………さぞ大きい目玉焼きが食べられたろうに。だが、残念。ヒヨコが生まれるころにはこの地にはなかったそうだ】」

『つまり、4大精霊王とはイフリートを抜いた4属性の精霊王なのだ。それがそちらのいう5大魔王というのに一致しているのだ』

「きゅうきゅう【そもそも光の精霊とか初耳なのよね?】」

『もしかしたら光十字教によって生み出された新しい精霊王かもしれないね。いつの間にかいた、というのが母ちゃんの言葉なのだ』


「何か、光十字教が胡散臭いんだけど」

「そ、そうかな?ソリス様は悪い精霊には見えなかったけど」

 目を細める残念お姉さんであるが、悪意を感じなかったとはバサバサ髪のお姉さんの弁である。ヒヨコもソ、ソ、ソリティア氏の名は知っているが、会った事がないので何とも言えない。何故かヒヨコはこの名前が覚えられないのは謎だ。

 おや、ソリティアだったか?まあ、何でもいいや。


「まあ、私達もこの国に来たばかりで、彼らの人となりを知らないわけじゃないけど…………。光十字教もかなりあくどいから胡散臭さが目立つよね。内部で偉い立場だっただろう人とかやり放題だったし」

「きゅうきゅう【ヒヨコを見てうちの大陸を評価されては困るのよね!あたしのように偉いドラゴンを見て崇め奉るとよいのよね】」

「ピヨピヨ【いい加減に大人になれよ、トルテ。ヒヨコはいつまでもトルテのレベルにはついていけないぞ?】」

「きゅう~きゅう~【あたしはとっても大人なのよね?】」

「ピヨヨ?【ほほう?どれくらい?】」

「きゅうきゅう【腹立ちまぎれに人化の法を解いて、ヒヨコを潰して屋敷を壊さない程度にはとっても理性的な大人なのよね?】」

『トニトルテ、それは絶対にやってはいけないのだ。ダメなのだ。本当にやっちゃダメなのだ。大人も幼女も関係ないのだ』

「ピヨピヨ【グラキエス君よ。そんなにやるなよ、やるなよ、と言ったら、逆にやってしまうかもしれないだろう?】」

「きゅ~【やるなよと言われればやりたくなるのがトニトルテスタンダード!兄ちゃんは分かってないのよね~】」

「ピヨヨ!「きゅきゅきゅっきゅきゅ~【われら、ピヨドラバスターズ!】」」

 ヒヨコは翼を広げ、トルテもヒヨコの頭に上って翼を広げてエヘンと胸を張る。

『ピヨドラバスターズの加盟に対して、僕は少し考えさせてほしいのだ』

 グラキエス君は頭をテーブルに伏せて呆れるようにヒヨコ達にぼやく。

「きゅうきゅう【ヒヨコ、兄ちゃんが音楽性の違いで脱退するとか言い出したのよね!】」

「ピヨピヨ【まいったぞ?ヒヨコのラップがダメなのだろうか?】」

「きゅう~【ヒヨコ、また下手なラップを刻んでいたのよね?あれはやめろと言ったはずなのよね】」

「ピヨピヨ【そんな事、言われただろうか?】」

 はて、ヒヨコには記憶にないぞ?ヒヨコの記憶力は怪しいが、トルテと別れるころ当たりの記憶ははっきりしているのだが。

「きゅうきゅう【別れる前に言おう言おうと思っていたけど言い忘れていたかもしれないのよね】」

「ピヨヨーッ【なのに、10年も放置されて下手なラップを10年刻んでいたヒヨコ!?】」

 トルテよ、ヒヨコが恥ずかしい目にあうのだからそういう事ははっきり言ってほしい。切実に。

 まるで社会の窓全開で10年間を過ごしてしまった気分だ。

 ああ、恥ずかしい。つい最近も下手なラップを刻んじゃったYO!


「クスクス、魔王の子供にはとても見えないね」

 バサバサ髪のお姉さんはヒヨコ達を見て笑う。

 するとトルテはテーブルに飛び降りてバサバサ髪のお姉さんを見上げる。

「きゅうきゅう【でも信じちゃダメなのよね。実はトニトルテたちはお姉さん達のいない場所で『くくく、人間はちょろいのよね。子供の振りをしてまんまとだましてやったのよね』とか言ってるのよね】」

 酒嫌いのくせに、ワイングラスを手に取っているような感じで偉そうな事を言うトルテであった。

「ピヨピヨ【世界征服までもう少しだぞ。コロニア大陸はすでに八割方、支配は済んでいる。残るは本州島と大北海大陸だ】」

「きゅきゅう【フルシュドルフダンスはちゃんとアタシがセントランドで朝の標準体操にせしめたのよね】」

「ピヨヨ~【トルテ、ナイスだ!世界をフルシュドルフダンスで支配するのだ!】」

『という感じで、トルテとピヨちゃんは朝の元気体操<フルシュドルフダンス>を世界中に広げようと画策しているのだ』

「ピ~ヨピヨピヨピヨ、ピ~ヨピヨピヨピヨ【く~くっくっく。世界をフルシュドルフダンスで覆ってやる。世界征服も間近。光十字教など恐れるに足りぬ】」

「きゅうきゅう【世界中の朝がフルシュドルフダンスなのよね】」


「何て可愛らしい野望を抱いているのだろう?」

 戦慄しているのかほっこりしているのか分からない反応を示す三つ編みお姉さんだった。




***




 そしてこの事件から2週間が過ぎる。

 はてさて、異世界のお姉さん達はどうなったのか?


 髪を切りそろえたバサバサ髪のお姉さんはバサバサ髪のお姉さんではなくなってしまった。

 残念お姉さんも残念お姉さんと呼ぶとヒヨコに暴行を加えようとするので新たなる名前が必要だという話になった。

 という事で新しい呼称が必要となってしまっていた。



 ヒヨコの朝は早い。

 いつものように狩りに行って、魔物肉を肉屋に卸すのだ。トルテが来てからはグラキエス君とトルテの3羽で行くことになる。


 ……ドラゴンって翼を持ってるし、1羽2羽で数えて問題ないよね?


 そしてヒヨコ達の食べる分だけ確保してあとは売る。人間の姿なることで解体を覚えたが面倒なので血抜きをしたらそのまま引き渡す。

 そして朝は竜社の庭で子供たちと朝の元気体操フルシュドルフダンスを踊るのだった。


 お城に戻り、肉を厨房に預けてから、城内にある道場へと向かう。

 いつものように師匠は剣術の稽古をしていた。ヒヨコはそこに加わる。

 ここ最近、ずっと残念お姉さんは師匠に稽古をつけてもらっていた。なので残念お姉さん、改め剣術お姉さんとなった。ステップアップである。残念な剣術お姉さんではないのであしからず。


 ヒヨコは稽古を終えると、師匠と一緒に食堂に向かう。


 永久大公としてこの国に君臨する師匠が、皆と同じ食堂で食べるのはどうなのか?というツッコミがあるが師匠は気にした様子はなかった。

 師匠はいつもの焼き魚定食で味噌汁に米、漬物を食べていた。

 剣術お姉さんも同じようだった。異世界で日本の食事が食べられるとは、と感激していたが…。

 ヒヨコは狩猟した肉を焼いてもらい、ステーキである。もちろん、まだ人間姿であった。何でかって?ヒヨコは元々肉をかんで食べたいから人化の法を極めたのだから当然である。


 ちなみに、食堂でお手伝いしているのは三つ編みお姉さんだった。何とこのお姉さん、料理スキルが5もある。異世界の料理技術は発達しているらしい。三つ編みお姉さんは異世界では料理が得意な一般人だというのに、こっちの世界では繁盛している一流店のシェフレベルのスキルなのだ。帝国でも宮廷料理人くらいしか持たないスキルを持っていた。

 この食堂の味がこの世界における高級食堂並みになったのはとてもうれしい事である。師匠もシェフたちに三つ編みお姉さんに学ぶよう指示を出していたほどだ。恐るべきは異世界である。


 で、食事が終わるとヒヨコは魔法を教えることになる。どうもバサバサ髪のお姉さんは治癒魔法の恩恵を受けたそうな。なので今日からバサバサ髪のお姉さんは髪を切ってバサバサ髪でもなくなったので、ヒヨコの中では癒しお姉さんとなった。

 そこには剣術お姉さんや三つ編みお姉さんも加わって魔法の勉強をするのである。


 ヒヨコに魔法を教えることができるのかって?

 人間(ルーク)時代の両親の名前さえ思い出せない薄情なヒヨコだが、魔法を覚えるための勉強した内容は全て覚えていた。イメージとしてくっきり残っているので魔法を教えることに関しては何の支障もない。

 アルブム王国の魔法学の先生よりも知的な勇者の記憶を継承したヒヨコであるが、思い出しながらちゃんと教えられるのである。

 トルテを抱えているセントランドから来た少女ニーナ・マクドナルドちゃん(7歳)もトルテと一緒に来て勉強していた。トルテの付き添いなのだが割と賢い子であるし勉強レベルは異世界から来たお姉さん達と同列なのでヒヨコの魔法理論魔力理論を説明するのである。

 帝国で知ったのだが、アルブム王国は帝国と違い実践的な魔法に関しては帝国に引けを取らず、古い文献も多くあり、ヒヨコの知識は帝国でも知らない事がいくらかあったらしい。


 トルテは『ヒヨコのくせに教師なんて生意気なのよね。アタシはヒヨコの話を聞いていると眠くなるのよね』と言って、寝ていた。

 勉強をすると寝てしまうダメな生徒みたいなトルテであった。


 そんなこんなで新しい日常を穏やかに過ごしていた。

 フェルナント君の学校が長い冬休みに入るまであと数週間といったところか。マスターと会いに旅に出たかったが、異世界人の世話をするために竜王国に残る羽目になってしまったのだった。残念無念である。

 早く国際情勢が穏やかにならないかなぁ。竜王国の貴族たちの権力闘争もいい加減に決着をつけてほしい所だ。頭を抱える問題が山済みである。



 そしてさらに2週間、ついにフェルナント君の封印が解けたのだった!


 というか長期冬休みに入って寮の部屋を出てヒヨコの家へとやって来る。モニちゃんを伴って。


 そしてヒヨコは第2章に続く。

 ピヨピヨ。こんなもんでどうだろうか?レポーターのヒヨコでした。

 それではスタジオに返します。スタジオの女神さ~ん。

 は~い、レポートありがとうございます、ヒヨコさん。こちらスタジオの女神です。


 って、違っげーよ!ここスタジオじゃないから!どこのテレビ局!?


 ………


 コホン、それでは改めましてあとがきを始めます。あとがき担当の女神です。


 さて、この大北海大陸は北半球にあるのですが、南半球の帝国が日本と似た季節を刻んでいます。その為、今は6月ごろですからちょうど冬になります。長期冬休みはそのためです。

 緯度差があるのでプラージ王国にいた頃は5月末でも海が西に在り涼しいくらいの気候です。ヨーロッパの気候を考えると高緯度であっても安定して暖かいと考えるのが分かり易いと思います。

 そこから北へと駆け上がりニクス竜王国のナヨリになると一気に寒くなります。内陸なのでモスクワあたりの気候に近いです。それ故の長期冬休みです。

 さて、皆様。10年後の成長したヒヨコはどうだったでしょう?

 え?全然成長していない?

 知識がついたものの精神がついてこないという感じです。大体、ドラゴンのような長寿種族はそんな感じですけどね。1000歳のお爺ちゃんであるイグニスが、明らかに30代半ばのダメ親父臭がする時点でご察しでしょう。日本人なら女子中学生年代のトニトルテや、男子高校生年代のグラキエスが10歳位のピヨちゃんメンタルと同じというのは仕方ないでしょう。ヒヨコメンタルは既に30代(人間20年+ヒヨコ10年)に入っているはずなのに人でいえば10歳位なのですから。

 大人ぶっているけど、精神年齢はフェルナント君と同年代と思われます。


 登場人物はステータス紹介で別途説明いたしますので、大陸事情を少し触れましょう。ヒヨコの指摘通りこの大陸はかなり荒れています。中世から近世辺りの時代が適当かと思います。

 広くて土地があるのに人口が少ないのは魔物の脅威に勝てていないからです。

 さて、ここで色々と国が入り乱れているのでちょっと整理しましょう。ヒヨコが頑張って説明していましたが、大陸状況は結構シンプルです。

 今回の焦点にあたるのは、光十字教が勢力を伸ばし大陸の中央と東西南北にある精霊信仰と竜神教を打倒しようとする大陸を巻き込んだ戦争です。

 それでは各国の状況は以下の通りです。


<ニクス竜王国>

 現在、ヒヨコ達の滞在している国です。

 首都はワッカナイ。普段、ニクスはここにいるので竜神教の聖地であり首都とされています。

 実際の首都機能を持つのが副首都ナヨリで、アレン・ヴィンセント大公が監督しています。この都市は三大貴族が首相となって国を治めるのですが、現状は三大貴族の権力闘争中で決まっていません。

 ちなみにリトレはニクス竜王国最大の港町で、三大貴族オーウェンズ公爵の領都です。恐らくこの物語に出てくる数少ない北海道以外の土地名です(笑)

 出てこないだけでほとんどそうなんですけどね。シュンスケとてそれっぽい場所の村を発展させ新しく北海道の土地名をつけているだけなので、それ以外は大半が北海道以外の都市名がついています。


<北海王国>

 高城ら3人の異世界人が舞い降りた国で、首都はルモエ、光十字教区の国でもあります。早速北部のニクス竜王国に向けて戦争を始めようとしてます。


<光十字教国>

 空中都市アサヒカワを首都に持つ光十字教国家です。光の精霊ソリスは空中都市アサヒカワに住んでいます。基本的には下層都市に多くの国民がいて、空中都市に上級貴族の家や光十字教の幹部だけが住んでいます。城のように大きい教会があると考えればいいでしょう。

 下層都市のアサヒカワに70人ほどの異世界人が来ていて鍛錬中です。多くの民はこの下層都市にいます。また、第二の首都機能を持つタキガワもこの国の都市となっています。


<サロマ王国>

 首都はモンベツ。

 異世界に降り立った3人の教師達がいるのがここ。こっちはこっちでいろいろ大変だとか。彼らもまたアサヒカワへ移動中。


<プラージ王国>

 首都はサッポロ。

 ヒヨコと岬、鈴木の2名が出会った土地です。

 一人の異世界人が降り立ち、アサヒカワへ移動中。


<白秋連邦>

 約11年前、自身の生まれたての赤子を人間に奪われプラージ王国に侵攻した風の精霊を従えるエレメンタルタイガー・ティグリスのいる精霊信仰国家群。

 いろんな種族がそれぞれの土地を治め、その長が集まって議会を開く連邦国家。

 首都はムロラン。ティグリスはムロランの北にある平原に居を構えていますがチトセなどにも精霊殿があり、基本的には滞在先に手崇められている。

 ちなみに奪われた赤子はいまだ行方不明。ちなみに人間を丸呑みするほど大きくなりますが生まれて1年くらいは普通の子猫です。魔力による過剰成長をするためです。


<ブーツ共和国>

 精霊信仰の国ですが、信仰よりも商売っ気の強い商人の国。

 南西にある本州島ヒノモトと大きい貿易をしている。鬼人領ダエモニウム、ローゼンブルク帝国、マーレ共和国といった国々の製品が多く流入しており、精霊信仰国家なのに精霊の恩恵が少ないのはそのせい。

 首都はハコダテ。同盟国白秋連邦しか隣接していないので戦争の少ない穏やかな国。

 国名の由来はブーツみたいな形だから。


<アレクサンドロ帝国>

 光十字教国圏でアレクサンドロ皇帝が支配する国家。但し、政変が多く皇帝の権威は大きいが権力で拮抗する貴族も多く内乱が多かった。光十字教の先陣を切るような国となっている。

 首都はオビヒロ。

 現在、白秋連邦と戦争中で、クレナイ精霊国や東部諸国連合から多くの土地を奪ってきているので仲は良くない。


<東部諸国連合>

 いろんな国、いろんな都市があり、人間を敬う光十字教であるが様々な種族がいて、様々な解釈を持った教典が存在する。光十字教に攻撃を受けて光十字教区になったが、内部がバラバラでまとまりがありません。

 さらに、連合国家なので首都もありません。

 ヒヨコとフェルナントが旅をした際にパトラッシュと出会ったクッシャロ湖がある。500年前、とある勇者がクッシー伝説を作ろうとして、自らの手で大穴を開けて川から水を引き込んで生み出された湖である。

 人口の湖、人はそれを池と呼ぶ。クッシャロ湖と呼ばれていますが、女神的解釈ではクッシャロ池です。

 大都市アバシリがカジノで有名な都市国家だったり、雑多な国がくっついていて、常に内乱の危機を抱えています。


<大東王国>

 首都ネムロがある精霊信仰の国。

 イヴと呼ばれる水の大精霊がいます。詳細は秘密。


<紅精霊国>

 精霊信仰の国で火の精霊を崇めていた。650年前の竜王と火の精霊王が戦い火の精霊王が敗れたがために、唯一残された精霊王の卵を信仰の対象としていた。

 11年前、卵が盗み出された為に、魔人イフリートが火の大精霊となって国の支配者として君臨した。その為、かなり荒れている。



 主要国家は以上のような状況でした。

 この後、次章に繋がる話と、ステータス公開を挟んでで第2部2章へと続くことになります。

 第2部1章が異世界人邂逅と戦の火種となるなら2章は北部戦争編ともいうべき話になります。

 また、ヒヨコ伝説の第1部がヒヨコが自分の魂の出自を理解するストーリーだとするなら、この第2部はヒヨコという鳥の素性を知る話になります。何の種族なのでしょうか?

 種族は?となっていますが、これは女神である私が知らないという訳ではなく、この時代に知っている人間が存在しないという事ですね。

 古い時代に生きていたエルフの女王や竜王は察していますが………、この第二部はルーツを知る話がメインとなります。

 あとがきはこれにて終了です。

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