6章2話 ネビュロスの策謀
アルブム王国首都レオニスはもはや魔境と化していた。
聖女レイアの独裁政治により人心は離れていた。だが、逃げる事も許されなかった。
既に聖女は国民からは傾国の魔女だとささやかれている。勇者ルークに対して民は投石し、国が彼を焼き殺したが、聖女に騙されていたのだろうと今更になって気付き始めたが今更遅かった。
希望の勇者は既にこの世を去っているからだ。
首都でさえ餓死者が出始めている程、酷い状況になっている。
逃げる事が許されないのは超常なる者が呼び出した魔物達が王都を囲んで逃亡者を食い殺すようになっているからだ。
聖女もこの国の状況を理解していない。もう数か月も外に出ていないからだ。城の王室にて快楽を欲すれば好きに男を呼びつけて、食事も何もかも思い通りになっている為、食っちゃ寝の生活でブクブクと太っている。
だが、誰も何も言わないので、それさえも一切気にしていない。むしろ歩くのが億劫になっていて外に出る事も面倒になっていた。
故に、既に超常の者ネビュロスも好きにやっていた。むしろそうなる為に、レイアには夢の世界に押し込めてこの世界は自分が支配しているのだ。
既にネビュロスは国王は食い殺していた。国王が助けを呼ぼうとしたため、口封じに殺した。2月頃の話である。その時点で国王はレオナルド・エンリケス・アルバの姿をしたネビュロスになっていた。
更に、彼がやっているはオロール掌握により女神教の教皇となったルベン・アルグリアを利用する事だった。
国が酷くなれば人心は宗教への依存度が大きくなる。
ルベンは女神教の教皇にさせてアルブム、ベルグスランド、オロールにおいて、彼を大衆の前に出して国の非道を訴えさせていた。
そしてその事に対し、ネビュロスは咎めさせず、ルベンへの信仰の力を一身に高めさせていたのだ。宗教の力で国民たちは集まり不満を言い合い、国を倒せと盛り上がらせる。革命を起こせとルベンに焚きつけさせていた。常であればそれは余りにも問題のある事だった。常のアルブムならばこれで滅んでいただろう。
「ね、ネビュロス様、これでよろしいのでしょうか?し、しかし革命など起こさせては…」
玉座に座るネビュロスに跪き、ルベンはネビュロスに訊ねる。
「レオナルドと呼べ。知らぬ者達に下手に勘付かれても厄介だからな。革命を起こさせるつもりはない。事前に潰す」
「そ、そうなのですか?」
ルベンは革命を起こさせる理由を理解していなかった。
「うむ。以前、聖王女という人間に担がれた神輿がいただろう?」
「は、はあ」
「アレは単独でも壊れにくく食える魂であった。そこらの雑種は殺した瞬間魔力となって消えてしまい供物として食う事も難しい。オロールではあれだけの魂を刈り尽くしたというのに力は全く上がっていない。故に、人間を生かしたまま食い殺す方策を取っていたのだが、所詮はこの体は人の身だ。腹が膨れるのが難点だな。上手くいかぬものよ。忌々しくもこの世界の主神とやらはステータスというものを複雑な生命体に刷り込む事で、我らの力を制限している。更には神をも殺せる力を、それこそ自分さえ殺せる力を子らに与える事で我等侵略者達をも殺せるような設定にしている。何とも不便な事よ」
「し、しかし、女神教を信仰させれば、女神の力が増すというもの。その、レオナルド様にとっては好ましくないのでは?」
ルベンは跪きながらネビュロスに対して不思議そうに尋ねる。
「この世界の女神とやらは阿呆なのだろうな。こんなシステムを使えば自分の力も落ちてしまう。さらにこの世界の半分の人間を食えば女神の力は越えられる。西には神の座へと至る世界樹があり、北方の他大陸の情報も欲しい所だ。まあ、聞いた話では北方のダエモニウムと西方のローゼンシュタットに主要な人口密集地があるらしいからそこを滅ぼしておけば問題あるまい。後は神の座に行く途中にエルフを食い散らかせば我が力は女神を超えよう」
「途中にドラゴンの領域がありますが?」
「扱いに困っている。この世界に伝わる歴史では神を殺す知的生物だと描かれていた。魂の力を独占しているようであれば殺すしかないが、下手に藪を突いて我が命を刈り取れる存在を敵に回すのはあまり良いとも思えぬ。エルフとはどちらにせよ神の座に至るまでに戦わざるを得ないから、そちらから力を回収する予定だ」
ネビュロスは淡々と説明する。この世界の侵略計画はすでに出来上がっているからだ。
「な、なるほど」
「500年前にこの世界にいたという魔神とその眷属どもが、たかがそこらの生物に滅ぼされたようだし、あまり迂闊なことは出来ないだろう。恐らく女神とやらは自分の力を下々に与える事で、下々の力で我等侵略者を退けようとしているのだろう。このような弱い世界の神の事だ。10年もすれば余裕で屠れよう」
ネビュロスは邪悪な顔をしてクツクツと笑う。
そして立ち上がりルベンの前にしゃがみ込み肩を叩く。
「貴様にはこれから大いに役立ってもらう」
「おお、ありがとうございます、ネビュロス様!せ、誠心誠意尽くしますので何卒、我が命を…」
ルベンは頭を下げて恭しく媚びへつらう。
だが、ルベンはきょとんとした顔でネビュロスを見る。
「え?あ?」
ネビュロスの腕がルベンの胸を刺し貫いていた。
「ああ。お前の魂はこのアルブム一つに匹敵するほど信仰の力を手に入れていた。この力はよくよく役に立たせてもらおう」
「あ、ああ…」
ネビュロスはルベンの胸から固まった半透明の可視化した魂を引き抜く。ルベンは絶望した顔で手を伸ばしてそのまま絶命する。
ネビュロスはその魂を食らい朽ちたルベンを見下ろして大笑いするのだった。
「さて、次は革命の指導者を食うかな。信仰を集めていそうだ。さぞや良い魂となっているだろう」
にやりと笑いつつ、ネビュロスは己の影を伸ばすと、ズブズブルベンの肉体を飲み込んでいき、玉座へと戻る。
どさりと座ってから、次の思案をしようとしたとき、ネビュロスは凄まじい喪失を感じる。
突然の喪失感。
何が起きたのかネビュロスにも理解が出来なかった。
「!?……な、何だ!?…………消えている。バカな!バカなバカなバカな!食う予定だったエリアスに仕込ませていた眷属が死んだだと!?ありえぬ!たかが人間風情がどうにか出来るものではないというのに!帝国にそのような力の強いものなどいなかった筈だ。竜の領域に二つ、エルフの領域に一つ程度だ。それ以外など有象無象だろう。何故、消えた!?我が眷属イポスが!?ありえぬ!………この世界の女神はまさかそこらの有象無象さえも神殺しの力を渡しているというのか?」
愕然とするネビュロス。
ただ倒されただけなら復活させればいいだけの事だった。その為に強靭な力を持つ存在も準備していた。
アルブムにあるダンジョンの深い場所に影王というこの世界でも屈指の魔物がいたので、それを捕獲して、自分の持つ力を削ってイポスを呼び出し、魂を入れたのだ。影王は人に取り付く事もできるのでエリアスの監視に最適だった。帝国の玉座を奪って信仰を集めようという回りくどいが効率的なやり方が可能だと思っていたのだ。
どうも帝国に宗教はあるがほとんどが無宗教の為、宗教的な支配が困難だと考えていたからだ。
「倒されるくらいならあり得ると思っていた。だが、存在を消された?何をすればこのような事が可能なのだ。………いや、………まさか…」
ネビュロスは勝手に女神に付けられた自分のステータスを見る。
この世界にある筈のない独自の地獄魔法が描かれている上にLV9となっている。氷魔法LV10というものが存在しているのにだ。
不思議には思っていたが、神がやる事だから気まぐれだろうと特に気にしなかった。
「まさか、人間でさえ魔法を極めれば神を殺せる魔法が手に入るのか?だが、人間風情がそこまでの領域に立てるとは思えぬ。………いや、エルフのような長寿種族が存在している以上、奴らの知恵が万民に落ちてしまえばありえない話ではないのか?」
ネビュロスはギリリと歯ぎしりをして虚空を睨む。
「くそっ、歴史が700年前に途切れているせいで、どうにも情報が不足している。だが、500年前に降臨した魔神は魂を分けた眷属を7匹も生んで穴倉に保護していた。アドモスと言えば二つの世界を統べた事もある盗賊の神だ。眷属には七英雄もいた筈。そのアドモスが七英雄を呼び出してこの世界の神に対抗したという事は、もしかしたらこの世界の生物は存外に危険なのかもしれぬ。この世界は魂が柔らかいし、まさか500年前に魔神を殺した勇者が生きているとは思えないが、相応の力を持つ存在が生み出される土壌になっているかもしれぬ。念には念を込めておくか」
ネビュロスは念話で王国の配下を呼びつける。
即座に入口の門を開けて勇者アーベルが現れる。
「どのようなご用命でしょうか、レオナルド様」
既に洗脳済みであるため、ベルグスランドの勇者であるにもかかわらずレオナルドの配下だと認識しているのがその証左であった。
「先日捕縛したというグリフォンとケルベロスをここに持って来させろ」
「はっ、承りました」
アーベルは畏まり礼をすると走って出て行く。
暫くすると兵士たちが牢屋に入れられたグリフォンとケルベロスを連れてくる。どちらも随分と興奮して暴れていた。
「陛下、危険ですのであまり近づきすぎては…」
「問題ない。お前たちは下がっていろ」
「はっ!」
命令には従順に動くよう洗脳をしていたので問題はない。誰も玉座の間に居なくなると、ネビュロスは牢屋をこじ開けて、グリフォンとケルベロスを魅了の邪眼でひれ伏させる。
そしてネビュロスは勿体ないと思いながらも、己の魂を用いて配下を呼び出す。
「出でよ、カーシモラル、ナベリス。肉は用意してやったぞ」
グリフォンとケルベロスの足元が黒く燃えるような闇に包まれ黒く染まっていくとやがてグリフォンとケルベロスの瞳に闇が広がる。
「ネビュロス様、お呼びに従い参上いたしました」
「ネビュロス様、呼ばれて来たぜ」
グリフォンとケルベロスは流暢な言葉を話しながらもネビュロスに傅く。
「よく来てくれた。どうだ、体の様子は」
「我が体に適合しております。問題はないかと」
「むしろ霊体に近すぎて怖いほどだぜ」
グリフォンとなったカーシモラルは体を動かし、ケルベロスとなったナベリスは自分の能力が正しく持ってこれている事を確認し満足する。
「ふむ、この世界は一度アドモスの侵攻によって、魔物が多く湧いているからな。我等悪魔からすれば適応しやすい体が多くあるようだ」
「アドモス?あの盗神ですか?」
「二つの世界を滅ぼし奪ったあの神がこの世界に?」
カーシモラルは怪訝そうな顔をし、ナベリスはにやりと口元を吊り上げる。
「既に眷属諸共滅ぼされている。歴史を調べたが七英雄全てが殺されていた」
「なるほど、この世界にはそれほどの敵がいると?」
「うむ。この世界は女神と呼ばれている最高神がいる。恐らく民に恩恵を授け、力を強くさせる事で強化させている女神なのだろう。逆に言えば殺せば殺す程我らはこの世界を奪えるという事だこの世界はあまり大きくないが版図を広げて行こうではないか」
「はっ!」
カーシモラルとナベリスは傅く。
「私はこの王城で力を収集していく。カーシモラルはベルグスランドという国があるのでそこで民を操り獣王国に戦争を仕掛けろ」
グリフォン姿のカーシモラルに対して戦争を指示する。
「獣王国とは?」
「うむ。このアルブムという国の敵対国だ。どんなに命を刈っても文句を言われることがない非常に征しやすい国と思えば分かるだろう」
「はっ!とするとこの姿は少々厄介か。では…」
カーシモラルは魔法を使い、即座に己の姿を人型に変える。黒髪に黒目、どこにでもいるようなのっぺりした顔の男だった。
「ナベリスは反乱の兆しのあるアルブムの南方の町を滅ぼせ。反逆の主導者辺りが中々求心力を高めている為、魂を奪いやすい。そうだ、伝えていなかったが、この世界は魂が拡散しやすいから気をつけろ。信仰などを集めて魂を集めて固めてから奪わないと簡単に消えてしまう。何十万も殺したのにその1%も手に入れられなかった時には憤慨したものよ」
「なるほど。じゃあ、俺もそのように動くぜ。それに反乱して調子に乗ってる連中を滅ぼすのは俺むき出しなぁ」
ナベリスというケルベロスの姿をしていた眷属は、同じく黒髪に黒目の大柄で粗暴そうな男の姿に早変わりし、ニヤリと獰猛に笑う。
「ネビュロス様はどうするおつもりですか?」
「軍隊に指示を出し帝国と獣王国と戦わせる予定だ。俺が力を取り戻す迄の足止めとそこから失われた命を基に力を取り戻す」
「帝国とやらと同時にですか?」
「奴ら、獣王国と手を組んだようだ。我らがいるこの国が負ける事も無かろうが、侮るなよ。帝国を乗っ取らせようとしていたイポスが討たれた」
「「なっ!」」
ネビュロスの言葉に二人は驚きを露わにする。
既に盗神アドモスが滅ぼされ、眷属の七英雄が失われ、さらには同輩たるイポスが討たれている。
カーシモラルとナベリスは驚きを露わにするが、即座に気を引き締める。
「ネビュロス様が慎重になる意味、重々に理解いたしました」
「うむ。これほど文明レベルが低く、神の恩恵が大きい世界にも拘らず、神をも覆す力を持っている歪な世界だ。警戒して当たれ、良いな?」
「「はっ!」」
ネビュロスは二人の眷属に指示を出し、彼らが去ると再び玉座に座る。
「これで一先ずは問題ないと思うが……この世界の民は神をも超える何かがあるというのか?ではどうして世界の中から神を殺すような存在が生まれなかった?何を考えている?」
ネビュロスは名すらも伝わっていない無名の神が何者なのか、自分を脅かしうる人間達がどういった存在なのかを悩み、虚空を睨む。
「手はすべて打った。後はただ淡々と進めるだけだ。俺は慎重な神だからな」
女神「パンパカパーン!あとがき担当の女神です!」
勇者「あとがきサポート役のシュンスケ・オキタです!」
天照「女神ちゃんの友達、天照ちゃんだよー」
女神「え?」
勇者「え?」
天照「あれあれー、どうしたの?やあやあ、女神ちゃん、お久し振りだね~。元気してた?」
女神「呼んでもいないのに出てきちゃった神がいる。お久し振りですね、天照ちゃん」
勇者「いや、こんな侵略してきた神々が悪たくみをしている回で、まさかのあとがきに登場するとは思いもしなかったんですけど。いや、俺も呼ばれた時は耳を疑ったんだけど」
女神「こう、神々が企んでるその上で、『ふははははは。愚かな神どもよ』と高笑いするのが大好きなので」
天照「さすが元邪神!そこに痺れる憧れる~」
勇者「いや、憧れないで!俺の地元の神様、変なのに憧れないでください。っていうかやっぱり邪神だったんかい!」
女神「ほら、人間達だって『若い頃はやんちゃしたものだ』なんて言う人がいるじゃないですか」
天照「女神ちゃんは盗んだ世界で走り出しちゃうからね、行く先も分からないまま」
勇者「女神様はオ●キか?っていうかこの世界は大丈夫なんですか?」
女神「さあ?大丈夫なんですかね?」
天照「おやおや~。女神ちゃん、把握してないの?」
女神「そりゃ、私が全て把握できる世界なんて面白くないので、前の神様が裸足で逃げた後に、私が拾った際には、私の色を入れてみました。最近まで、もう破棄するしかないのかな~位の気持ちで見てましたし。ザ・先の読めない世界!」
勇者「そんな世界に異世界転生させられた俺って一体……」
女神「きっとアドモスも驚いた事でしょう。『何やこの世界!?ワシの知っとる世界と違うがな!どうなっとんねん!?』と」
勇者「っていうか、アドモスそんな口調じゃなかった!関西系のお笑い芸人みたいな口調じゃなかった!」
天照「はてさてアドモス君ってそんなに有名な神様だったの?」
女神「あー、地球には関わりのない神ですから知らないでしょうけど、ほら、魔神や邪神の界隈で言えば『二つの高校を締めたアドモスさん、マジカッケェ』『アドモスさん関東連合のトップとか超ヤベえ』みたいなノリですね」
天照「にゃはははは~。な~るほど。私も神界を制した女神ちゃん、マジカッケェみたいなノリだしね」
女神「そう言えば聞きたかったんですけど、この変な魂、どうしてウチに流したの?しつこいお風呂汚れのように世界に残って割と面倒なんだけど」
天照「ふふふふ、遂に聞いちゃうのかな、全知全能の神である女神ちゃんさえ分からない謎の異物の事を」
勇者「っていうか、本人の前で変な魂とか謎の異物って…(どんより)」
天照「そう、彼は私の引きこもり仲間。ウチの神社に来て『百合とヤレますように。または異世界転生して俺強えーしてハーレム作れますように』とか、下品な事を祈っていたので、捨て…、いや女神ちゃんにプレゼントしました!」
女神「サラッと捨てようとしてましたよね。これだから引きこもり共は」
天照「そんな~。女神ちゃんみたいに多才な人はいないんだよ。私なんて引きこもっているのがお似合いの神だから。日が出ている間しか働きたくないし。日食と日曜日が大好物な神なんだから!」
勇者「他人を引きこもりと言いますが、じゃあ、女神様は何か出来るんですか?」
女神「そうですね。あらゆる分野で活躍しましたね」
天照「そう、女神ちゃんは凄いんだよ!将棋や囲碁を打てば『神の一手』を連発し」
勇者「そりゃ神だからな?」
天照「サッカーではボールを手で持ってゴールに叩き込んでも『神の手』としてスルーされ」
勇者「それ、反則だから!」※マラドーナ参照
天照「バスケをすれば『あれは女神ちゃんの姿をした神だ』とか呼ばれる始末」
勇者「女神ちゃんの姿をした神って何!?」※マイケル・ジョーダン参照
天照「レーシングコースを作れば『神が作ったコース』とも呼ばれるし」
勇者「神、都合良すぎるな!」※鈴鹿サーキット参照
天照「全く、女神ちゃんの凄さが分かってないな、プンプン。女神ちゃんはデスノートで人を殺さなくても大阪のビリケンさんを超える神様なんだよ!」
女神「そう言えば新世界の神(大阪の新世界にいるビリケンさん)って既にいましたね」
勇者「………ところで神様がデスノートってサラッと口にするとちょっと怖いですね。あるんですか?」
女神「私が若い頃に作って道端に捨てた事がありますね」
勇者「やっぱりあんた死神の類じゃ…」
天照「何を言ってるの、女神ちゃんは邪神だよ!」
女神「一通りの神を体験しましたね。最高神、闘神、唯一神、創造神、地母神、音楽神、豊穣神、美の神、愛の神、秩序の神、戦争の神、太陽の神、宇宙の神、付喪神、邪神、魔神、悪神、盗神、死神、冥府の神、軍神、水の神、火の神、雷の神……まあ、色々ですね」
勇者「何やってんすか。っていうかサラリと付喪神とか、普通にどうでも良い神様も混じってるし」
天照「付喪神の時が一番凄かったよねぇ。人形が動き出して、革命を成してしまうなんて。西洋風の世界で、旗を振りながら先頭をすすむ日本人形みたいのがいる絵画があの世界に残されていたっけ」
勇者「ジャンヌ・ダルクか!?しかもシュール?」
女神「ふふふ、懐かしいですね。私がやんちゃだった頃ですね。おかげであの世界はあんなことに……どこかの偉人が言ってましたっけ。認めたくないものですね、若き日の過ちを」
勇者「偉人じゃなくてシ●アですけどね」
天照「そう言えば500年前にあった時に一緒にガン●ム全シリーズ一夜漬けで流し見たっけ~」
勇者「一夜漬けで全シリーズ見切れねえよ!何夜漬けたんだよ!?」
天照「ふっ、神に時間の概念なんて存在しないんだよ」
勇者(だったら今までの時間の概念はどうなってんだ?)
女神「さて、とはいえ天照ちゃんがここにいるという事は地球、主に日本がウチの世界に近づいているという事なのかな?」
天照「ピンポンパンポン大正解!どうも境界面がぶつかっちゃうみたいなんだよ~。相当数の日本人がそっちに行っちゃうからよろしくね!」
女神「10年後くらいですか。まあ、準備はしておきましょう」
勇者「500年後の地球人か~。どんな文明から来るのか楽しみだな」
女神「え?」
天照「え?」
………
女神「まあ、説明するのは面倒なのでこの辺で。シュンスケは置いてきぼりにして、それではまたあとがきでお会いしましょう!次回『ヒヨコ、ピヨドラバスターズの解散』です」
天照「またね~」
勇者「ちょ、何で2人して疑問符を浮かべてるんですか?おれ、何か間違った事言ってましたか!?ちょ、勝手に終わらせ……」