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(閑話)7話 フェルナンドの軌跡

帝暦499年 春 ローゼンブルク帝国レーベンブルク公爵領ヘレントル


 フェルナンドの元にフローラからの手紙が届く。

 ステラの進捗状況、ステラの魂が不安定である事、8歳になるのにまだ5~6歳程度の幼さで体調不良が多い事、それでも知識の方はしっかりと育ち、生きる為の技術だけは一通り教える事が出来た事。

 そしてこの手紙が届いた次のチャンスがリミットである事。


「そうか。……次がラストチャンスか」


 48層までの道から4か月かけて50層までの道を把握した。敵が強く中々進むこともままならない。40層の拠点以降は休める場所も作る事が出来ない。

 フェルナンドはグッと拳を握る。若い連中とも随分と情が移ってしまった。将来のある彼らを使い潰して先に進む事は非常につらい。

 シュテファンの言う通り、彼らならばあと10年あれば実力でどうにか出来るだろう。だが、それでは意味がない。

 フェルナンドは思い起こせば後悔ばかりだった。

 どこかの選択肢で上手くやっていれば、少なくとも生涯をかけて神々の悪意からステラを守る事は出来ただろう。自分の滅茶苦茶さが妻の予知を乱していたのも分かっている。もうすこし計画的に動けたのではないかと思わなくもない。


 だが、今更詮無き事だった。

 フローラはきっとうまくやるだろう。ならば俺が邪眼王を殺さねばなるまい

 己の拳についている爪を見る。

 武闘大会優勝時に国に頼んで作らせた武器である。高値で競り落とされた竜の牙を購入しそれを元に作った武器だ。竜の牙は神を殺せる数少ない神器という噂はあるが、実際に神と戦う機会などないから、無駄に高値で取引されているようなものでもあった。但し、ドラゴンの死体自体が高値で取引されているので牙一本買うのに5000万ローゼン、つまり優勝賞金の半額を費やしたのである。


 邪眼王を倒して、家に帰った時にまだフローラは生きているだろうか?

 最後に一度会いたい。これでは死ぬに死ねないのだ。




***




 銀の剣のメンバーが全員そろいシュテファンが今回のミッションの説明をする。

「49層制圧と50層へ行くために塞ぐ門番の打倒。これが今回の目標となる訳だけど…」

「一つ良いか?」

 フェルナンドが挙手してシュテファンの方を見る。

「何ですか?」

「今回のミッションで俺は最後になる。49層制圧までは共に行こう。だが、それ以降は俺一人でそのまま向かわせてもらう」

「ちょ、ちょっと待て!48層の化物を見ただろ!準備をして始めてどうにかなる相手だ。50層は邪眼王、500年前魔神が解き放った眷属の一柱だ。それを一人でなんて無茶に過ぎるだろう!?」

 ヴィンフリートは慌ててフェルナンドをとどめようとする。

「いくらフェルナンドでも無理ですわ!」

 若い連中はフェルナンドの無茶な言葉を撤回させようと口にするがフェルナンドは首を横に振ってそれを拒絶する。


「どうして?」

「春までと言った筈だ。そしてどうも聞いた限りでは今回のミッションで戻って再び潜る為の猶予はないという話だ。これは俺の事情だ。俺の家族の未来が掛かっているだけだ。だが、お前らは違う。お前らはお前らの未来がある。俺が失敗したとしても、お前らは邪眼王をいずれ倒せるだろう」

「何でですか?何でそこまで焦る必要があるんですか?納得がいきません!」

 ユーディットは涙目でフェルナンドに訴える。薄々だが、フェルナンドもユーディットが自分にどういう感情を抱いているのか理解してきて逆に困ってもいた。


「魔神は世界中に目や耳がある」

 するとミロンがボソリと口にする。

「え?」

「今この場の会話は聞いている可能性がある。魔神とはそういうものだ。今は邪眼王ではなく悪魔王なのだろう?」

 ミロンの問いにフェルナンドは頷く。

 ミロンはにこりと笑う。

「俺はフェルナンドの事情は分からない。だが、将来、フェルナンドの娘は魔神の欠片に害される可能性があるという事だな?」

「…そうだ」

「片方だけ倒せば良いのか?」

「片方だけで十分だ。そしてそれが娘を守る事になる。もう一柱は俺じゃない誰かがやってくれるだろう。それにより娘は救われる」

「娘は体の弱かったと聞いていた。あの方に救いを求めたのか?」

「………違うが、………まあ、その様なものだな」

 喋る言葉に細心の注意を払ってフェルナンドは頷く。

「それはお前だけのものか?」

「それは分からない。世界が酷い事になるかもしれないが、ここは無縁かもしれない。だが俺にとっては命をかけるに値するものだ。7年弱、最愛の妻と娘に会えていない。それでもそうしなければならない。もしかしたら娘は恨んでいるかもな。母親をほっぽり投げてフラフラしている父親に。それでもだ」

「急ぐ理由は?」

「それは言えない」

 ミロンの問いは的確でまるで事情を把握しているかのようだった。

 長い経験からくる予測なだけであるが。ミロンは400年前の邪神戦役という戦場で戦っている戦士の1人だ。恐らくはフェルナンドの妻とも会った事がある筈だ。

 あの方とぼやかしている辺りに察しの良さを感じる。ともすれば分かっていて言えない部分を言わせないように周りが納得できることを話させようとしているのだろう。


「…………魔神が絡むのは時間の問題か」

 ミロンは厳しそうな顔で頷く。

「ミロンはそれだけで納得できるのか?」

「ああ。モーガンもそんなよく分からない事を教えてくれる存在を知っているだろう?そしてその事実を口外するのは危険だというのもな」

「そんな訳の分からないことを口にする………あ」

 モーガンは初めてその事で気付く。自分達が誰のお陰で生きているかを。そう、この世には神の力を世界に降ろすような神秘が存在している。未来の事を読める存在がいる。

 獣人族はその存在に助けられてきた。神以上に信仰している現人神だ。

「口にはするなよ。理解したのならば喋らず察して送り出してやれ」

「だからこれ以上は無理なのか?」

「そういう事だ」

「確かにそれなら仕方ねえ。俺が同じ立場でも黙って行くしかねえしな」

 モーガンは諦めるように口にする。

「じゃあ、こうしましょう」

 シュテファンは作戦を更に変更させる。安全マージンを切り落として49層の攻略後さらに侵攻する作戦を立てる。

 その一つ一つの役割分担などに関しては誰もが唸ってしまう。

 

「こんな作戦があるなら最初から提案しろよ」

 とヴィンフリートは訴えるが

「これはかなり博打だ。確かに確実に万全に邪眼王へ挑める道を作れるけど、引き返す為のマージンが無い。あくまでフェルナンドさんが勝てて、俺達が戦えるという前提だ。誰も彼もが手も足も出ずに負ける可能性が考慮されてない。万全で行って退路を確保した状況で戦うにはあと2~3回は準備できたはず。準備に3~4か月、あるいは1年か…」

 シュテファンは首を横に振り厳しい事を口にする。

「その作戦を取る理由は?」

「師匠を、フェルナンドを抜いて作戦を立てるとすれば恐らく1年やそこらでも攻略は困難だ。下手すれば攻略自体が出来なくなる可能性もある。未知の強敵を相手に一人で闇を切り裂いて先導できるような男は、勇敢な英雄はいないんだ。俺達は基本的にこのダンジョンで身の程を嫌という程を知っている」

 シュテファンの言葉にミロンは頷く。

「そうだな」

 するとフェルナンドは周りを見渡して口にする。

「明日は朝からダンジョンに潜る。そして5日後には邪眼王との決戦になるだろう。俺は勝っても負けてもここにはいないから別れの言葉を告げよう。今まで世話になった。お前らが居なければ俺はここまでこれなかっただろう。感謝する」

「そ、そんな…。勝ってもいないって…」

 ユーディットは動揺したようにフェルナンドを見上げる。

「ここから急いで妻のいる場所へ帰る。妻が生きている間に会えるかは微妙だ。俺の寿命もかなり厳しい。残された寿命は全て妻を失った娘に使うつもりだ。あの子を支えられるのは俺しかいない。1分1秒も惜しい」

「まさか妻子の為に邪眼王も殺されるとは思ってはいまい」

「あいつらは人間を舐めている。故にこそそこに隙がある。ミロン、ちゃんと教えたんだろうな?」

 フェルナンドはちらりとミロンを見る。ミロンはシュテファンを一瞥してから心強くうなずく。

「問題ない。きっちり間に合わせた」

「なら良い」

 フェルナンドは保険を作ってくれたミロンに頭を下げる。



***



 そしてその5日後、49層のボス<大悪魔(アークデーモン)>を倒し、疲れが残っている中で50層へと突入する銀の剣のメンバー。

「アイテムが半分を切ったか」

「言っておくけど、戦い終わっても魔物が消える訳じゃないからな。帰りを考えて行動しておけよ」

 フェルナンドは周りに声をかける。

「わ、分かってるさ」

「もう49層だと出てくる魔物も少ないけど、出てくる魔物の全てが5層のフロアボスが束になっても勝てないような化物ばかりだからなぁ」

「普通にこいつら倒すだけで紅玉級だと思うんだけどね……」

「そりゃそうだ。ここの迷宮は他と違う。魔神の眷属にして魔神の欠片を生物に植え込むことで、魔神化した本物のダンジョンマスターだ」

「そうなの!?」

 ユーディットは驚いたようにミロンを見る。

「おや、知らなかったか?7体いる魔神の眷属で生き残っている2体のうちの1体だ」

 とミロンが細かく説明する。

「まあ、他のダンジョン攻略と同じ功績しかないがな。その事実を知る由もない。功績としては紅玉というよりは金剛に相応しい功績だろう。」

「うーわ、最悪。何でミロンはいつもそういう風にこっちのテンション下げるんだよ。知ってるか、こんなのが俺の義理の祖父なんだぜ」

 ヴィンフリートはこんな場所でも明るい調子で周りを和ませる。

「「知ってる」」

「ディアナは育て方を大きく間違えたからな」

「しれっと母さん批判しないで!?」

「お前が死んだら誰が子供たちの責任を取るんだ?」

「そうか、ヴィンは何人子供がいるか分からんからな。さすがは種馬皇子か」

 うんうんと唸るのはモーガンだが、全く誉めてはいない。


「私としてはこの戦いの前にいそいそと指輪を買っていたシュテファンが気になるんだけど。あれは誰の指輪なのかしら」

「な、何の事だ?」

 ユーディットの問いに対してそっぽ向くシュテファン。

「辞めてくれよ。大体、これが終わったらあの子と結婚するんだ、とか言う奴は大体死ぬからな」

「俺の義兄になるのは勘弁してもらいたい」

 ミロンが呆れるようにぼやき、ヴィンフリートは首を大きく横に振る。

「べ、別にエレンとそういう話は…」

「エレン~?」

「敵対しあっていたと思っていたのに、いつの間にそんな愛称で呼ぶように?」

 ニヤニヤと笑う一同。バレバレなのが明らかだった。


「今回の戦いが勝利に終わっても俺は残された寿命は少ないからな。シュテファンとあの皇女さんの子供なら俺に匹敵する位、強くなりそうだが残念だ。若い頃は最強を求めて各地を歩いたものだが俺に勝てる男はどこにもいなかったからな」

「だったら獣王になれば良いのに」

「アルトリウスの作る獣王国の行く先には興味はあるが、獣王になりたいとは思えないな。大体、俺には獣王国に守るべきものはないからな。ノーランドだぞ、ノーランド」

「あー」

 モーガンはノーランドという姓の意味を知っているから苦笑してしまう。

「ノーランドって何か意味があるのか?」

 ヴィンフリートは首を捻りモーガンの方を見る。

「ああ、土地を持たない流浪の民が名乗る姓だ。民族名も部族名も無い根無し草を示す姓さ。狐人族に多いが、大体、親戚じゃない別の根無し草だがな。まあ、ウチはそもそも姓自体がないオーク族だが、ハハハハハッ」

「とはいえ、根無し草だからな。もしもお前らの誰かが領地を持つ貴族になったら、ノーランドを名乗る哀れな狐人族が居たら助けてやってくれ。まあ、血は繋がってないんだけどな」

 笑いながら進む。50層に入ってから魔物が出てこない。


 やがてたどり着くのは巨大な門。

 50層は一直線で何の調査もなく巨大な門だけが存在していた。

「まさか、ここがラストか?」

「開けてみるしかないか」

 フェルナンドは拳を握り、遠距離から扉に突きだすと、扉がドカンと音を立てて開く。


『近くまで来ている事は知っていたが、まさか直接来るとはな』

 念話で話しかけてくる声の主は、巨大な玉座に座る巨大な蛇。呪いの瞳を持つバジリスクだった。闇に溶け込むような黒い巨体がゆっくりと起き上がる。


 恐らくは知恵のあるバジリスクだと誰もが認識する。かつて魔神の眷属として生み出されダンジョンを作った7体の一体、邪眼王と名付けられた怪物は人知の及ばぬ者だった。

「我が名は邪眼王バルバロス!貴様ら人類を滅ぼす者だ!」

 ギラリと瞳が光り輝くが、フェルナンドは前に出てその邪眼を一身に受ける。

 幻覚の邪眼だが、フェルナンドはその瞳の攻撃を精神力のみで耐えきる。


「やるぞ!」

「呪いに気を付けてください。少なくとも呪い耐性がある俺が前に出ます」

 邪眼王の戦いを考慮して、47層到達時点で呪い耐性の防具は揃えていた。50層と言っていたが48層が想定以上に大きくて50層を作れるほど潜れない等、あらゆる局面を想定しての事だった。

「名前通り邪眼使いだろう。致死の邪眼は俺が対応する。気をつけろよ」

 シュテファンとフェルナンドが前に出て構える。


『ほう?勇者と賢者を持つ者に、賢者が二人。たかが凡俗にしては稀有な者がいるようだな』

「神眼……か?ステータス的には手強いとは思えないが?」

 フェルナンドは鼻で笑って邪眼王を挑発する。

『我らの主に与えられた力が、よもや女神の眼風情で見えると思うなよ!』

 蛇は体を変質させ、巨大な腕が現れる。そしてステータスに一切書かれていなかった炎の吐息を吐いてくる。

「全員、散開!」

 シュテファンが叫ぶと全員が走り出す。

『予想していたのか?』

「馬鹿か。基本的に神眼なんて使ってねえ俺が、ちょっと一瞬見ただけでお前の能力をすべて知った気になると思っていたか?」

 フェルナンドは一気に前に出て邪眼王の命を狙いに向かう。


 戦いは熾烈なものとなる。


 フェルナンドとシュテファンが前に出て邪眼王の攻撃を受けつつ、ヴィンフリートとモーガンが隙あれば攻撃を仕掛ける。だがダメージはほとんど入らない。

 攻撃が入っても即座に回復して、傷がつかないというのが正しい。莫大なMPがこの化物を支えていた。

 一体を倒すのにダンジョンそのものと戦っているようなものだった。


 最初にやられたのはモーガンだった。速度不足が致命的になり、毒の牙をかすらせてしまい戦線離脱。ユーディットが引っ張って回復魔法をかける状況になり2人の戦力が一気に消える。

 次に被害にあったのはヴィンフリートだった。ヴィンフリートは右足を石化されてしまい動けなくなる。

 そして3人目の被害者はシュテファンだった。呪いの邪眼を一身に食らい様々な状態異常を引き起こしていた。鈍化の呪いも4重にも5重にもかけられ、遂には動きが止まり、魔法でどうにかするが魔力も尽きてしまい後ろに下がらざるを得なくなった。


「く、くそ……どうして…」

 シュテファンは両手で顔を覆い泣きながら地面に倒れていた。門の外まで退避し、フェルナンドとミロンの戦闘をただ眺めるだけだった。

 能力だけならミロンよりも上の筈だった。

 だが、経験の深いミロンは敵の策に対して次々と対応していき、未だにフェルナンドのサポートをしながら戦っている。

 シュテファンはユーディットに回復魔法をかけて貰っていた。それでも呪いが激しく、まともに動けなかった。

「何でここで……」

「邪眼王、あれは俺たちじゃ勝てる敵じゃねえ。だが、フェルナンドとミロンなら勝ってくれるさ」

 ヴィンフリートは悔しそうに舌打ちする。

 悔しさで泣きながら倒れて動けないシュテファンは、それでも動けない体を必死に動かそうとしていた。体中に瘴気がまとわりついている。それほど酷い呪いだった。

 最初は呪いにも掛かっていなかったのだ。ランダムでかかる邪眼に引掛かり、それを切っ掛けにたたみ込まれてしまった。


「俺はフェルナンドに命を救われた。フェルナンドのお陰で分不相応に冒険者として躍進した。折角恩を返せるチャンスなのに、こんなところで足を引っ張るなんて」

「シュテファン……」

 ヴィンフリートはシュテファンがどういう気持ちで戦っていたのかを理解してるからこそ心を痛める。

 ヴィンフリートやモーガンは銀の剣、ひいてはシュテファンという稀有な同世代の天才に惹かれてここに所属していた。ミロンやユーディットはフェルナンドという英雄の行く末を見たかった。だが、シュテファンはフェルナンドに忠誠にも近い気持ちを持っており、行く末を見たいのではなく共に戦いたかったのだ。自分を引っ張ってくれた恩人と肩を並べられるような存在になりたかったのだ。だが、最後の戦いでそれが無に帰した。


 その時、戦闘に動きが起こった。フェルナンドの拳が強く入り、あの巨体な邪眼王が吹き飛ぶ。

「ミロン!今だ!」

「任せろ!絶対零度(アブソリュート・ゼロ)!」

 ミロンが手を邪眼王に掲げて氷魔法LV10に相当する、神の魂をも凍らせる究極魔法を解き放つ。大気が一瞬で氷となって邪眼王を捕らえ、遂には邪眼王は凍り付いてしまうのだった。


「やったか?」

 ミロンは動かなくなった邪眼王を見て恐る恐る口にする。

「分からないならとどめを刺すしかねえだろが!」

 フェルナンドは竜の牙によってつくられた爪によって氷ごと拳で貫く。


 崩れ落ちていく邪眼王の姿にフェルナンドは自分がやり遂げたと確信をした。

「やった!」

「ついに……」

「すごい場所まで来ちまったな」

 モーガン、ユーディット、ヴィンフリートの3人は声を上げて喜んだ。


 その時だった。突然、胸に大穴を明けてフェルナンドが地面に崩れ落ちるのだった。

 それはミロンでさえも予想不可能な事態だった。


『まさか奥の手を使う羽目になるとはな。人類の勇者、貴様はよくやった。あと1秒早く氷像を壊されていたら、私とて死んでいただろう。神の化身たる我にここまで迫る者がこの地に生れ落ちるとは驚きだ。賞賛しよう』


 影から現れるかのように、巨大な蛇の化物が地面からぬるりと現れる。


「ばかな!絶対零度(アブソリュート・ゼロ)に囚われて逃げられるはずがない!」

「確かにあれは危険な魔法だ。あんなものを持っていたとは想定外だ。だがかつて樹竜王が殺された魔法でもある。だからこそ、対策の一つくらいは練っているだろう?」

 そう言って邪眼王は尻尾を振りフェルナンドの右腕を潰す。ドラゴンの牙で出来た爪を壊したのだ。


『これで、貴様らは私を殺すことは出来ない。そこのエルフもMPも尽きた筈。回復手段が無かったのだろう?その大魔法を使うための確保していたようだが。それに気付けなければどうなっていた事か。人間の群れとしては頭一つ抜いた実力者であるが、神の眷属の前には薄汚い布切れ同然よ』


 シャシャシャシャシャと笑う邪眼王に、誰もが絶望する。

 ミロンはフェルナンドが戦線離脱した事で諦めたように膝が折れる。


「う、うそよ。フェルナンドが……い、いや―っ!そんな、そんなぁ!!」

 ユーディットは顔を覆って取り乱す。モーガンもヴィンフリートも敗北を感じて膝をつく。

「う、嘘だろ。……師匠が死ぬ筈ない。そんな……」

 腹に大穴を明けて大量の血を流して動かないフェルナンドを見て誰もが絶望に陥る。


「何をそんなに驚く?人間とは死ぬものだ。殺しても死なない我らとは違う、不完全な生物よ」

 薄笑いを浮かべながら邪眼王はフェルナンドの体を右手でつかみブラリと垂れ下がる姿を全員に分かる様に見せる。

 右腕も潰れ、胸にも穴が開いており、何の反応もしない。

『これが人間の死体だ。分かるだろう?』

「そんなものは分かっている!……我らはその男こそが旗頭だったのだ」

『つまらぬな。絶望に打ちひしがれた貴様らを食い散らかしたかったのだが、もう折れていてはなぁ。仕方ない、まずは貴様らの希望を食い散らかしてから、一匹ずつ食って行こう』

 邪眼王は笑いながらフェルナンドを食おうと口を大きく開けて食らおうとする。


 だが、次は邪眼王が驚く番だった。胸を潰されて死んだ筈の男が動いたのだ。そして潰した筈の右腕が復活し、その右腕が邪眼王の頭を貫く。

 猛毒の血を噴き出し、フェルナンドの腕は紫色に変色していく。


「へっ……捕まえたぜ、神様の眷属とやらよぉ!」

 フェルナンドはゆっくりと目を開けて地面に倒れるが、同時に邪眼王も頭を抑え込まれるように倒れてしまう。

『なっ……何で動ける!?殺した筈だ!そうだ、俺はお前が死んだのを確認した!ステータスも死亡となっていた筈だ!』

 さすがの邪眼王もあまりの事に驚き、あり得ないとうろたえていた。


「俺の嫁さんは神聖魔法レベル10の使い手でなぁ。一度なら死んでも生き返らせるリザレクションの魔法を俺にかけてくれていたんだよ。もう7年前になるがな。お前の耳がどこにあるか分からないから絶対に口には出来なかったけどな。さあ、捕まえたぜ、邪眼王。もう離さないぜ」

 フェルナンドは胸から大量の血を流しながらも辛うじて復活を遂げていた。だが体中が変色していく。邪眼王はバジリスクの姿をした凶悪な魔物だ。その血は降れるだけで毒素を回す。


『くっ、だが、貴様に何が出来る!?その腕とて我が体液の前ではいずれは溶け消える!俺を殺す方法など…』

「シュテファン!」

 フェルナンドは左手の指輪をシュテファンへと放り投げる。

 シュテファンはそれを受け取り驚いたようにフェルナンドを見る。

「俺の結婚指輪には嫁さんの莫大な魔力がこもってる。その魔力を使ってミロンに教わった補助魔法LV10のアレを俺に撃て!」


「!?」

 指輪を手に取ったシュテファンは瞳が揺れる。

「で、出来ません!そ、そんな事……」

「速くしろ!俺が何のためにこいつを捕まえたと思っている!こいつの魂のありかを俺が掴んでいる今がチャンスなんだよ!アブソリュート・ゼロじゃ俺が凍り付く過程で逃がしちまう!お前のアレが適任だ!さっさとやれ!俺はこいつを殺す為に半生をつぎ込んでんだ!今やらなくて何のために俺の弟子になったんだ、俺の人生を無駄死にで終わらせる気か!」

「そ、そんな、師匠……」

 シュテファンはそれを使う事の意味を理解している。確かに邪眼王は殺せるのだろう。だが、その結果、恩を返したいと思っていたフェルナンドをも殺す事になる。


「速くしろ……おれは…ながくねぇ………。体も限界だ。…頼むから…無駄に…するな」


 シュテファンが狼狽していると、フェルナンドの声もまた弱弱しくなっていく。

 フェルナンドの目標は邪眼王を殺す事あった。その目標をかなえるにはこれしかないのか?考えても答えは出ないが、今の時点でそれ以外の作戦は無かった。

『やめろ!やめてくれ!ありえない、俺が死ぬなんて!』

 邪眼王は必死に逃げようとするが、フェルナンドは掴んで離さない。そして互いに地面に倒れたままの状況だった。フェルナンドも暴れようとする邪眼王を必死に地面に抑えようとする。紫色の腕どす黒くなり腐りかかってくる。邪眼王、ひいてはその肉体を構成しているバジリスクそのものが猛毒だ。


「やれえええええええええええ!」

「くっ……ブ………<重力臨界(ブラックホール)>!!」

 シュテファンは指輪に溜め込んである魔力を使ってミロンに教わった補助魔法LV10における明らかに補助というよりは殺す為だけの魔法を用いる。


 補助魔法は力を操る魔法でもあり、LV8になると<重力(グラビティ)>という魔法が習得可能だ。相手の動きを大きい範囲で止められるような魔法である。その極限、重力を僅かだが無限大に至らせる人間の域を超えた超魔法がさく裂する。


 黒点がフェルナンドを包み込みそのまま邪眼王をも飲み込む。


『やめろ!死にたくない!死にたくない!俺は神の眷属ぞ!何で…やめ…あああああああああああああああああああああああっ!』

 見苦しく黒点の中で暴れるが全く動けずどんどん潰されていく。やがてその声さえも飲み込み始める。


 じゃあな


 フェルナンドはそう口にしてどこかやり遂げたような顔で笑う。

 黒点が無に消える程小さくなり、そして大爆発が起こる。爆風が吹き荒れ何もかもが潰れて消える。


「うあああああああああああああああああああああああああああああああああっ」

 シュテファンの悲痛な声がこだまする。

 かくして邪眼王は殺され、悪魔王はダンジョンの奥から這い出る事を選択する。

 世界は動き出す事になる。




***




 フェルナンドが死んだ頃、ホワイトマウンテンでは見た目こそ5~6歳だが、8歳になったステラが病気に伏せている母であるフローラにお茶を運んでいた。


 フローラは突然ポロリと涙を流す。

「おかあさん、どうしたの?」

「……ううん何でもないわステラ。ゴミでも目に入ったみたい」

 フローラは目元を拭いながら、心配する娘の頭を撫でる。

「早く元気になってね」

「貴方だって体が丈夫な訳じゃないんだから他人事みたいに言わないの。それよりもちゃんと今日の課題はやったのかしら?」

「むー、やったもん」

 頬を膨らませるステラを見てフローラは苦笑する。

「お母さん、お手紙を書いたから山のふもとの駐在さんに届けておいてね。獣王様に連絡があるから」

「どれ?」

「そのテーブルに置いてある奴よ」

「分かったー」

 ステラは手紙を取ると足早に部屋を出て行く。


「別に今じゃなくても良かったんだけど……せっかちなんだから。誰に似たんだか」

 フローラは呆れたように娘の去った後の部屋の出口を眺める。

 そしてもう一度ハンカチで涙を拭う。


「貴方、やったのね……。本当に………予知さえできない事だったのに。私の夫は本当に凄い人だわ。次は私の番かぁ」

 フローラは愛しい娘の為に自分の死期を予知する。正確には自分の死期ではなく、娘の成長による魂の欠損が原因で再び発作を起こす為であるが。後はアルトリウスに娘を託し全てに幕引きをしなければならない。

 その手紙をアルトリウスへ出したのだ。


「せめてイグニス様やイナバ君やアナスタシヤ様に一言位は伝えておきたかったなぁ」

 天井を見上げて懐かしい未だに生きている仲間を思い出す。




***




 時は帝暦508年の春に戻る。

 ステラは二つの指輪を手にすることで、膨大な情報が流れ込んできて倒れそうになるが、ヒヨコのクッションが体を支える。

 ステラはとめどなく涙があふれてくる。全く知らない父の事を今になって目の前で起こったかのように説明されたのだ。恐らく母の魔法が発現したのだろう。あの結婚指輪にはそういう細工がしてあったという事かもしれない。


「だ、大丈夫かい?」

「だ、大丈夫です」

 ステラはごしごしと涙を拭きながら銀の剣の面々を見る。

「母のいたずらですかね。指輪に細工がしてあったみたいで、父がどのような軌跡を歩いて来たのか情報が流れて来たので。一度もあった記憶のない父が私の未来を明るくするために命を懸けていたなんて……。せめて話をしてくれたのなら、私は獣王様の事を誤解もせず、父の事も誤解をせず、本当は恩義ある人達なのに恨む気持ちをもって育つはずがなかったのに。お母さんは何も話さないで逝っちゃうから」

 ステラは苦笑するように口にする。

「フェルナンドの軌跡?」

「分かったなら教えて欲しいんだが、どうしてフェルナンドはそんなに焦ってダンジョン攻略に踏み切っていたんだ?」

 モーガンはそれだけが心残りだと言わんばかりに訊ねる。それには全員が同じ思いだったようで頷き合う。


「私の未来の為、と言ってしまえば簡単ですけど、運命の強制力の高さを利用していたのです」

「運命の強制力?」

「歴史において必ず起こる事があるそうです。時代の流れに従い必ず起こす事です。私たち巫女姫はいつ起こすか、結果として誰が困って誰が不幸になって誰が得するか、そういう事は調整できても、物事の本質的な流れというのは我々でも変えられないのです。母はその流れを調整したのだと思います」

「予知できるからこそという事か?」

 シュテファンでも今一理解の及ばず首を傾げてしまう。

「はい。父には説明できなかったと思います。私は母と同じく予知の使い手なので、母の予知が確度の高い未来であり、結果として私が恩恵を受けるように動いていたようです」

「恩恵…ねぇ」

 ユーディットは不思議そうに首を傾げる。

「歴史の流れとして、社会や文化、思想などにより必ず起こる事があります。簡単に言えば飢えた民がいれば必ず反乱がおこるか領地から逃亡するでしょう?私たちはそれをより厳密に予知できるんです。でもそれって頭のいい人ならおおよそ見当がつくと思いませんか?私たちの能力はその延長線にあるけど、途中の理由がわからず解答だけを得る事が出来る。それが予知スキルなんです」

「だからフェルナンドはあんなに急いでいたのか?タイミングをそこにする為に」

 シュテファンは首を捻る。

「でも、そういうのってフェルナンドらしくないわよね」

「まあな。巫女姫であり妻の言葉を信じたって事か?」

「分からねえよ」

 うーんと男たちは首を捻る。


「母は賢いし知識も豊富なので、私と違って予知の過程を説明できますし、父も賢いのでその予測は立てられたと思います」

「なるほど」

「私たち妖狐族は魔神に狙われています。500年前に母以外の妖狐族は根絶やしにされましたから。両親が居なくなった場合、私は魔神に付け狙われるでしょう。とはいえ、魔神とその眷属、一勢力であれば予知スキルでどうにか逃げれたかもしれません。でも、もう一柱の悪神がこの世界に降りた場合、二勢力の神を相手に予知が働くか疑問です」

「待ってくれ。でも悪神を呼んだのは王国だが、話の流れとしては奴らは悪魔王の城に残された書物から呼び出す方法を得た筈だ。勇者が居なければ魔神は倒されず、悪神は呼び出せないのではないか?」

「それが誤解です。王国は停滞していて、力を欲してました。あの国は元々邪王カルロスの支配地でもあったのです。呼び出す方法が残っていても不思議じゃありません」


「あ」

 シュテファンは納得する。

 王国は勇者ルークが魔神を倒し、魔神の城からアルブム王国が神を呼び出す方法を手に入れようがいれまいが、いつかは悪神を呼びだすという考え方が潜在的に存在していたという事だ。

「王国が悪神を呼びだすのは決定事項です。勿論、魔神の眷属だっていつかは滅ぼされます。500年経っても復活できず下降気味でしたから。父と母も寿命が短かった。私を生かす為に魂を削ってしまっていた。二人は自分達が死んでも悪神降臨より魔神を先に滅ぼす条件を成し遂げるために、急ぎ邪眼王を討ったのでしょう。そうすれば妖狐族は普通に生きていけるから」

「言われても実感が無いなぁ」

「私もありません。そもそも魔神の脅威がどの程度のものなのかさえ分かりませんし。せめてお兄ちゃんも生かす方向性で未来を作れなかったのかなぁと。どうやって悪魔王に情報を取られないよう極秘し続けたのは分かるけど、極秘されていたせいで、危機感が全く無いんですよ。あの父が命を捨てて戦わないといけない以上、その脅威は分かりますけど。」

 ステラは溜息をつく。

「そうだろうね」

 シュテファンは溜息をつく。

「お父さんもヒューゲル様に酷な事をさせる。最後まで我儘に付き合わせてしまって申し訳ありません」

 ステラは頭を下げる。

 ステラはあの情報を読み取った限りでは父のあれは確信犯だ。自分が博打を討つ羽目になる可能性を考慮していた。最悪の手段として残していたのだ。自分の命さえ博打のチップにしてしまう。何せあの母が愛した男だ。そこらの勇者よりも破天荒でなければやっていけないだろう。なにせ真の勇者の称号持ちである。

 ヒヨコにせよガラハドにせよ真の勇者の称号持ちは半端な真似はしない。彼らよりも経験値の高く母の予知すらも覆す父がろくな事をする筈もなかった。


「俺達としてはフェルナンドの手柄を奪ったみたいで気持ち悪かったけどな」

「まあ、父の目標達成の手段に良いように使われたお詫びに受け取っておいてください。ウチの親、かなり困った人達みたいなので。はあ、母さんまで共犯者とか娘はどうすれば良いのか分からないよぉ」

 ステラは頭を抱えて呻く。

「巫女姫様に使われたというならば、俺としては光栄の至りではあるが」

 モーガンは嬉しそうに言う。獣人族はこれだから、と言わんばかりにシュテファン達は呆れた視線を向ける。

「昔からオークは王国に近い場所に集落を多く持っていたから母に助けられることが多く信仰がアレなんで」

「いや、ステラ様も他人事ではないですよ。去年、故郷が王国に攻められた際にはステラ様を追い出したからこんな目にあったのだと愚痴っていた者も多くいましたし。聞けば、代替わりしても変わらず助けて頂いたとそれは感謝しておりましたからな」

「ピヨピヨピヨピヨ!」

 ヒヨコは楽し気にステラに語り掛け、ステラはヒヨコの首を脇に抱え込んで締める。

「誰がステラ教なんて開くか!聖鳥のピヨなんていらんわ!」

「きゅう~きゅ~」

「そして聖竜のトニトルテもいらない!」

 ステラは勝手に宗教にして稼ごうぜとか言い出すヒヨコとトニトルテにハリセンを叩き落す。

 二匹は頭を抱えて痛そうにする。

「でもトルテは実家に帰れば嫌でも祀られるのだから、祀られたいなら家に帰るのだ」

「きゅきゅっ!?」

 トニトルテは物凄く嫌そうな顔をする。


「え、そうなの?」

「トルテちゃんすごーい」

 ステラは驚いたように、ミーシャは目を輝かせて反応する。

「そうなのだ。僕の母さん達は他の大陸に住んでいたドラゴンで、そこでは精霊を信仰しているのだ。北に住んでる母さんは氷の幻獣として崇め奉られているのだ。中央の山に住んでるトニトルテの母さんは雷の幻獣として崇め奉られているのだ」

「ピヨピヨピヨピヨ」

「ピヨちゃんみたいなヒヨコはいないのだ」

「ピヨヨーッ」

 ヒヨコは何かを言ってみるがグラキエスに否定され、頭を抱える羽目になる。

「でも、南では鳥の幻獣が信仰されているのだ。不死の象徴で炎を吐く化物らしいのだ」

「ピヨッ!」

「とっても偉くて強いから種族名さえ口にするのは憚れると人類が口にしない内に、種族名も鳥の名前も忘れられたのだ。さらに強い強いという評判を呼んだせいで遥か昔に父ちゃんに食われたのだ」

「ピヨヨーッ!」

 ヒヨコは翼でバシバシと地面を叩いて涙を流す。

 ミーシャが聖母のようにヒヨコを頭を撫でてあげると、ヒヨコはひっしとミーシャに抱き付こうとする。


「フシャーッ!」

 ガリッ

 シロがヒヨコに爪を立ててヒヨコはごろごろと転がる羽目になる。


「結局、ヒヨコはヒヨコか」

 憐れむようにステラはヒヨコを眺めるのだった。




***




 目的を果たして去っていくシュテファン達をステラとヒヨコは見送り再び家に入る。

「実家に戻ったら父さんの墓も作らないとね」

 指輪でなくてもあの情報から父の残したものだった道具はまだホワイトマウンテンの家にあるし、手元に持っている。

 自分の知らない所で戦い、自分の平和を守ってくれた男に感謝をするのだった。


「おかえりなさい、お父さん」

 指輪を見てステラは微笑む。

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