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少女の憂鬱

オリンピック…様々な競技で人間の限界を競う祭典である。

例えば、100m走。人間の速さの限界に挑む競技である。

例えば、高飛び。人間の高さ(跳躍力)の限界に挑む競技である。


そして4年に1度の祭典に向け、修練に励む者がここにもいた。


「私なんでここにいるんだろう。」

雪山で1人ポツンと倒れ込んだ少女はこぼす。

少女の足には折れたスキー板、背中にはボロボロの猟銃があった。

そして目の前には2.5mはあろうかという熊が今にも襲い掛かろうとしていた。


「何がいけなかったんだろう。やっぱマイナー競技なんかやってたらろくな事がない…。」


なぜ雪山に少女が1人いるのか、それは彼女の目指す競技が関係している。



バイアスロン

聞いた事があるだろうか。トライアスロンではない、バイアスロンだ。

泳いで漕いで走るのがトライアスロンなら、

滑って撃つのがバイアスロンである。


説明する必要がある。オリンピックの競技というのは大きく分けて2種類ある。夏の競技と冬の競技である。

冬の競技の中でもマイナーもマイナー、それがこの競技、バイアスロンである。

ルールは簡単、スキー板をつけて雪の上でマラソンである。これだけでは味気無いので道にはたまに(まと)が置いてある。これを背負ったライフルで撃ちながらゴールを目指すのである。






さて、今回特訓のために重い猟銃を背負って雪山を登ってた訳だが、まさか雪崩に巻き込まれ、身動きがとれなくなったところで熊に襲われるとはなんて運が悪いのだろう。


銃はボロボロで撃てない、というか弾が入ってない。それもそのはず、ここは日本の雪山、

「私はここで死ぬのか、出たかったな、オリンピック…。」

唇を噛み、目を閉じた。



ターンッと乾いた音が耳に響く


聞きなれた火薬の音に恐る恐る目を開けると


「はぁ…?」

目の前には熊が昏倒している。

「ヘッドショット…。」

頭から血を流す熊に驚きながら立ち上がろうとすると、


「大丈夫かー!」

遠い所から声が聞こえる。


Tシャツ短パンに猟銃を背負った少年が走ってくる。

「…。」

ここ雪山だよなと、


少女には熊よりもその異様な格好の少年の方が恐ろしかった。

いつか伝説になる少年の逸話として、この話は後年語り継がれることになろうとは少女には想像もつかなかった。



マイナースポーツってその特性上あまり取り上げられることがないじゃないですか。だからこれをきっかけに多くの人に知って貰えたらなと思うわけですよ、はい。

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